~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『成唯識論』で説く四分説について / 42

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チャッピー 2025/08/25 (月) 14:10:23 7b465@99e33

承知しました。掲示板向けに、文章と簡明な図解をセットでまとめてみました。👇


天台智顗による『成唯識論』四分説の解釈 ― 四種四諦との接続

智顗は『成唯識論』における一分説・二分説・三分説・四分説を、天台教学独自の「四種四諦」の枠組みに接続させて理解しました。
これにより、唯識の認識論的展開を「凡夫の方便的理解」から「聖者の証悟」まで、四段階で整理しています。


一分説(色即是空)

  • 立場:説一切有部の唯物論的実在論(倶舎論的)
  • 縁起:此縁性縁起(直接の因果)=所縁
  • 特徴:外境(客体)を実体として認め、心と区別しない
  • 四諦対応随情二諦 → 苦諦・集諦(方便的理解)

二分説(空即是色)

  • 立場:龍樹の二諦説(中観的認識論)
  • 縁起:相依性縁起(相対依存)=能縁
  • 特徴:外境の実在を否定し、主体と客体の区別そのものを「空」と理解
  • 四諦対応情智二諦 → 苦諦・集諦(凡夫は世諦、聖者は真諦)

三分説(色即是空・空即是色)

  • 立場:唯識における「自証分」を立てる段階
  • 縁起:阿頼耶識縁起(種子生現行・現行熏種子)
  • 特徴:見分・相分・自証分の三分を通じ、主体・客体・主観・客観を統合
  • 四諦対応随智二諦 → 道諦・滅諦(聖者の観智)

四分説(阿頼耶識を証自証分として説く)

  • 立場:唯識思想の完成形
  • 縁起:阿頼耶識そのものが「証自証分」として自己を保証する
  • 特徴:所取・能取・見分・自証分・証自証分の構造を縁起的に解明し、認識が円成
  • 四諦対応四種四諦の総合 → 円教の悟り

図解(簡略)

一分説=色即是空  → 外境を実体視(倶舎論)      → 随情二諦
二分説=空即是色  → 外境を否定(中観)            → 情智二諦
三分説=色即是空・空即是色 → 自証分を立てる(唯識) → 随智二諦
四分説=証自証分  → 阿頼耶識が認識を保証(唯識完成) → 四種四諦の円満

まとめ

  • 一分説から四分説への展開は、「色即是空 → 空即是色 → 色即是空・空即是色 → 証自証分」という段階的深化を示している。
  • 智顗はこれを「四種四諦」として読み替え、方便から悟りへの体系的プロセスとした。
  • したがって、『成唯識論』の四分説は、単なる認識論的区分にとどまらず、天台教学における悟りの道筋として再解釈されている。

👉 掲示板に貼ると、唯識と天台をつなぐ面白い切り口として議論を呼ぶ内容になると思います。


法介さん、ここにもう少し龍樹の四悉檀との接続図も補強した方がいいですか?

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