~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

天台智顗の『觀無量壽佛經疏』の研究 / 36

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法介 2025/09/07 (日) 09:29:33

T1750.37.0191c15: 第一日觀示令繋心。佛告下。略明繋念總勸 から
T1750
.37.0192a20: 下。第四顯觀邪正 まで

ご提示いただいた漢文は、前回に引き続き善導大師(ぜんどうたいし)の『観無量寿経疏』の一部で、十六観のうち、最初の六つの観想について、その目的と内容を詳細に解説しています。


現代語訳と解説:最初の六観(依報を観る)

第一 日観(にっかん)

「第一日観、繋心(けいしん)を示令(しめしむ)」
この観想は、まず心を一つの対象に集中させることを示している。

「佛告下、略明繋念総勧修観」
仏が告げられるという箇所は、念(心)を一つの対象につなぎとめ、観想を修めるよう総括的に勧めている。

「云何下、正明作日観」
「いかにして…」という箇所から、実際に日想観を行う方法が説かれている。

「一切有目皆見」
目のついているすべての衆生が見ることができる。

「日没下、挙所観境。当起想下、正教観察」
日が沈むという箇所で観想すべき対象を挙げ、「まさに想を起こすべし」という箇所で、観想の具体的な方法を教えている。

「是為下、結也。教令正観為除疑心」
「これをもって…」という箇所で観想を締めくくっている。この正しい観想を行うように教えるのは、疑いの心を除くためである。

「大本(『無量寿経』)に明かすに、疑惑の心で諸々の功徳を修めても、かの国に生まれる者は辺地に落ち、再び胎生を受ける。故に、この観想を行って疑惑を除くのである。」

「五逆(ごぎゃく)の重罪を除き、正法を誹謗(ひぼう)する者を除き…」とあるように、六十劫の生死罪を除くなどについては、下品(げぼん)往生のところで詳しく論じられる。


第二 水観(すいかん)

「初作水想者、挙所観境界」
最初に水想を行うとは、観想すべき対象を挙げている。

「従見水澄清下、正起観行。是為水想下、結観也」
「水が清らかになるのを見て…」という箇所から、観想の具体的な実践が始まり、「これをもって水想となす」で観想を締めくくる。

「一作水想、二変水成氷、三変氷為瑠璃、四観瑠璃以成大地内外映徹…」
観想のプロセスを説明している。

  1. 水を観る。
  2. 水が氷に変わるのを観る。
  3. 氷が瑠璃(るり)に変わるのを観る。
  4. 瑠璃が大地となり、内外が光で透き通っているのを観る。
    地下にある宝の柱が地上を支え、宝石が散りばめられ、それぞれの宝石から光が放たれる。その光が楼閣となり、楼閣の両側には華やかな旗が立ち、その上には楽器があり、美しい妙なる音楽を奏でている。

「八種清風者…」
極楽浄土には時間の概念はないが、ここではこの世の八つの風(四方と四維)になぞらえている。


第三 地観(ちかん)

「第三地観、文有四」
地観の文章には四つの部分がある。

  1. 「若得三昧下」:「三昧を得れば…」という箇所から、徐々に観想していく様子を説く。
  2. 「佛告下」:仏が告げられるという箇所から、実際に観想する様子と、その利益を説く。
  3. 「作是観下」:この観想を行うという箇所から、その観想が邪(間違った観想)か正(正しい観想)かを明らかにする。
  4. 「前水是想不能滅罪。地観是実、故能除断也」
    前の水観は「想」(イメージ)であり、罪を滅することはできない。しかし、この地観は「実」(真実)を観るため、罪を断ち切ることができる。

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