~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

天台智顗の『觀無量壽佛經疏』の研究 / 37

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法介 2025/09/07 (日) 09:29:43

第四 樹観(じゅかん)

「第四樹観、文三」
樹観には三つの部分がある。

  1. 前の観想を締めくくり、次の観想につなぐ。
  2. 「観宝樹下」:宝の樹を観るという箇所から、観想の具体的な実践を説く。
  3. 「是為下」:観想を締めくくる。

「正観中有五」
正しい観想には五つの部分がある。

  1. 樹の本体を明らかにする。
  2. 樹の美しい飾りを明らかにする。
  3. 樹が生まれる様子を明らかにする。
  4. 「有大光明下」:大きな光明があるという箇所から、仏の国土が現れる様子を説く。
  5. 「見樹茎葉下」:樹の幹や葉を見るとという箇所で観想を締めくくる。

第五 池観(ちかん)

「第五池観、中有五」
宝池観には五つの部分がある。

  1. 池の本体を明らかにする。
  2. 池の様子を明らかにする。
  3. 心が思いのままになる様子を明らかにする。
  4. 観想の利益を明らかにする。
  5. 観想を締めくくる。

「摩尼(まに)者、如意珠也」
摩尼とは、願いを叶える宝珠のことである。

「八功徳(はちくどく)者」
八つの功徳(軽快、清浄、冷たさ、柔らかさ、美味、安穏、安楽、快楽)を持つ水のこと。


第六 総観(そうかん)

「第六総観、中有四」
総観には四つの部分がある。

  1. 「衆宝国土下」:多くの宝でできた国土を観想するという箇所から、総括的な観想を説く。ここでは、楼閣、樹、大地、池をまとめて観想する。
  2. 「是為下」:観想を締めくくる。
  3. 「若見下」:見ることができたなら、その利益を説く。
  4. 「作是観下」:観想が邪か正かを明らかにする。

全体のまとめ

この文章は、十六観の中でも特に極楽浄土の環境(依報)を観想する最初の六つの観想について、その具体的なプロセスを順を追って解説しています。

  • 観想の段階:
    • 第一観は、心を集中させるための準備段階。
    • 第二から第五観は、極楽の水、大地、樹木、池といった個別の要素を観想する段階。
    • 第六観は、それらすべての要素を一つにまとめて、極楽浄土の全体像を心に浮かび上がらせる段階です。

この詳細な解説は、単に経文を解釈するだけでなく、実際に観想の修行を行う人々のために、どのような心のプロセスをたどるべきかを具体的に示しているのです。

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