T1750.37.0194a02: 第十五中品生觀。中品上生者有三。第一標。 から
T1750.37.0194b09: 得生。第四從經七日下。生後利益也 まで
ご提示いただいた漢文は、前回に引き続き善導大師(ぜんどうたいし)の『観無量寿経疏』の一部で、十六観のうち、中品往生(ちゅうぼんおうじょう)について詳細に解説しています。
現代語訳と解説:第十五観 中品生観
第十五観 中品生観
「中品上生者、有三」
中品上生には三つの部分がある。
- 標題(中品上生)を掲げる。
- 「若有衆生下」:衆生が…という箇所から、観想の具体的な方法を説く。
- 「是名下」:これが…と呼ばれるという箇所で、観想を締めくくる。
「釋中有四」
この観想の解説には四つの部分がある。
- 往生する原因を説く。
- 「臨命終時下」:臨終の時に阿弥陀仏が…という箇所から、縁に値(あ)うことを説く。
- 「行者見已下」:修行者がそれを見て…という箇所から、往生を得ることを説く。
- 「當華敷時下」:蓮華が開く時…という箇所から、往生後の利益を明らかにする。
(ここからは、観想の条件や仏教用語の解説)
「五戒」:殺生、盗み、邪淫、嘘、飲酒をしないこと。
「八戒」:五戒に加えて、高価な寝具を使わない、飾りを身につけない、歌舞音曲を聴かない、正午を過ぎて食事をしないことを守ること。
「四諦」:苦諦、集諦、滅諦、道諦。
「羅漢」:仏の教えを完璧に悟った、最高の位。「応供(おうぐ)」(尊敬されるべき者)や「不生」(もう輪廻の世界に生まれない者)、「殺賊」(煩悩という賊を殺した者)とも訳される。
「三明六神通」:三明とは過去・現在・未来を明らかに知ること。六神通とは、天眼通、天耳通、他心通、宿命通、漏尽通、如意通。
「八解脱」:八つの心の解放の境地。煩悩の執着から背を向け、捨てることで心が自由になること。
「釋會者」
「『往生論』で小乗の者が往生できないとあるのに、ここでは往生すると説かれているのはなぜか?」
「答」:小乗の修行だけでは往生はできない。しかし、彼らが大乗の菩提心を退(しりぞ)けても、浄土に生まれて無漏(むろ)(煩悩のない)の修行をすることで、阿羅漢果(悟りの境地)を証得(しょうとく)する。彼らはその小乗の境地に留まらず、再び大乗の心を発して修行を進めるので、非常に速く初地の菩薩(悟りの第一段階)になることができる。「中品中生者、有三」
中品中生にも三つの部分がある。「釋中有四」
その解説には四つの部分がある。
- 往生する原因を説く。
- 「如此行者下」:このような修行者は…という箇所から、縁に値うことを説く。
- 「行者自見下」:修行者が自ら見て…という箇所から、往生を得ることを説く。
- 「在宝池中下」:宝池の中に入って…という箇所から、往生後の利益を明らかにする。
「十戒」:八戒に、金銀や財産を持たない、正午を過ぎて食事をしないことを加えて十戒とする。
「具足戒」:比丘(男性の出家者)が守る二百五十戒、比丘尼(女性の出家者)が守る五百戒など。
「須陀洹」:悟りの第一段階の聖者。
「中品下生者、有三」
中品下生にも三つの部分がある。「釈中有四」
その解説には四つの部分がある。
- 往生の原因を説く。
- 「此人命終時下」:この人が命を終える時に…という箇所から、縁に値うことを説く。
- 「聞此事下」:このことを聞いて…という箇所から、往生を得ることを説く。
- 「経七日下」:七日経って…という箇所から、往生後の利益を明らかにする。