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これまでのあらすじ
そこはフェイルーン大陸西岸、ソードコースト地方。
”悪徳の街”バルダーズ・ゲートに変わり者のノームがいた。
ノームと言えば枕詞に変わり者と付く種族ではあるが、その男・コツマッツェロはとりわけ奇人の部類と言ってよかった。
コツマッツェロは解剖医…遺体を解剖して詳らかに調べ、何事もなければ寺院へ、事件性があるものは衛兵へと引き渡すことを生業としていた。
バルダーズ・ゲートでは殺人は日常の風景であり、研究の対象とする死体には事欠かない。
だが、コツマッツェロはそのような”恵まれた”環境に満足していなかった。
世の中にはありとあらゆる種類の死体があるのに、バルダーズ・ゲートで目にするのは主要な人型生物の死体ばかり。もっと多くの種族を解剖して学術書をまとめ上げるのが、コツマッツェロの夢であった。
折しも、先の”大騒動”…イリシッド、すなわちマインド・フレイヤーがバルダーズ・ゲートに攻め入ったとき(註:ゲーム『バルダーズ・ゲート3』のできごと)に手に入れたマインド・フレイヤーの死体を解剖していたある日のこと、街の南西に位置するクロークウッドの森で、巨人の死体が発見されたという情報が入る。
ちょうどいいタイミングで、ハイメとヒーターが訪れる。
ハイメはまだ若いヒューマンで、黒社会とつながりのある訳ありの少年。
ヒーターは親に捨てられたハーフリングの浮浪児で、ストリート・パフォーマーをしている。
ふたりはコツマッツェロの元に死体を運ぶ仕事を手伝ったりして、以前からの知り合いだった。
巨人の死体を探すため、3人は連れ立って森へと出かける。
一方その頃、バルダーズ・ゲートへと続く街道を北上していたのは、南方のエルシア谷から上京途中のヒューマンの青年・ソル。
ソルはかつて、郷里で”不思議な友人”と出会い、「キミは特別な運命を背負っている」と、予言にも似た言葉を掛けられ、彼女から戦うすべと竜語、広い外の世界のことを教えてもらった。
田舎の村で農夫として過ごすはずのソルの運命は、彼女との出会いによって全く異なる方向へと向かうこととなった。
その友人は現れたときと同じく突然ふらりといなくなってしまい、探したがその足跡は杳として知れなかった。
数年後、村をコボルドの集団が襲うようになり、ソルはコボルドの住処に単身乗り込み、これをことごとく討ち滅ぼす。
一躍村の英雄になるも、自分の運命はこんなものじゃないと村を出て、大都市バルダーズ・ゲートへ向かっていたのだ。
その時、近くの森から地響きが聞こえてくる。
何かを感じたソルは森の中に入った。
そこには、異国の装束を身に着けたヒューマンの少女がいた。
名はリー・シャオエン。
聞けば、フェイルーン大陸の東の端、カラ=トゥア地方のショウ・ルンで暮らしていたという。
ショウ・ルンの僧院で育ったシャオエンは、悪魔王アスモデウスの崇拝者たちとの抗争に巻き込まれ、気づいたらはるか遠い森の中に転移してきたのだ。
自分がソードコーストにいるという事実に半信半疑のシャオエンだったが、バルダーズ・ゲートに向かうというソルに同行することとなった。
ちょうどそこに、コツマッツェロたちが現れ、不思議な縁で5人が一同に会すのだった。
クロークウッドの森に住む狼に襲われるもこれを一蹴し、互いの目的を話す。
巨人の死体探しに興味を惹かれたソルらも加わり、5人で森の探索を始めると、彼らの前に森のフェイ(妖精)が現れ、情報を得た。
果たして、巨人の死体はそこにはなく、代わりに人型生物の無惨な死体がいくつも放置されていた。
死体をエサに使ってコツマッツェロを誘い出す何者かの意図を感じ取った5人は、死体を埋葬すると、バルダーズ・ゲートに向かった。
コツマッツェロのラボに着くと、そこには何者かが侵入しており、不用意に出入りするものを焼き殺す魔法の罠までもが仕掛けられていた。
慎重にラボに入り込むと、一行は倉庫で奇妙なものを拾う。それらは解剖された死体の遺品などの品だったが、シャオエンが見つけたのは、自分の似顔絵であった。
なぜついさっき転移してきたシャオエンの似顔絵がこのような場所にあるのか。見当もつかず、ひっかかるものを感じつつも、侵入者の排除を優先する一行。
解剖室に陣取っていたのは、マインド・フレイヤーの死体をゾンビ化させ操ろうとしていたカルト狂信者であった。
たちまち始まる戦い。
即席の5人組は協力して敵を打ちのめし、見事に制圧する。
互いの実力を称え合う彼らに、自然と連帯感が生まれた。
彼らは冒険者としてパーティを組むことになった。
英雄になることを自分の運命と信じるがゆえに、さらなる解剖学的知見を得るための手段として、あるいは異国から迷い込み当面のあいだ生きていく生業として。
それぞれに動機は異なるが、なにか新しい世界が広がる…そんな予感がしていた。