ににんがし

【川原寝太郎&はったみさと】 / 56

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56
ne_ta6 2021/03/20 (土) 17:25:39

海水を渡る向こう岸
私を迎えるおじいちゃんの笑顔
写真の中でいつも笑っていた
母と祖母から聞く穏やかな「おじいちゃん」と
この小さな島に閉じこもったまま
家族にも会わず死んだ「祖父」の
あわいにいるおじいちゃんが
私の手を引いて境内へ歩き出す
苔むした石段の上
拝殿の静寂に控えめな柏手
何をお願いしたんだい?
新しい生活のことを
この岸にいないあなたのことは
何故か話してはいけない気がした
ねえ、ここからはどこへも行けないの?
石段から見下ろす海は平らに凪いで
空との境まで歩いて行けそうだ
そこに在るはずの対岸はどこまでも見えないけれど
そんなことはないよ、船が来れば……
おじいちゃんの枯れたような指が指し示す
来るはずだった船
来るはずのなかった家族
いまは何者でもない、私

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  • 57

    中学三年の夏
    リビングのドアを開けた先で
    何かを慌てて隠した母
    手紙をね
    問われもしないのに
    手紙をね 毎月書いたんだ
    岸壁に建つ鳥居が水面へ影を落としている
    返事は滅多に来ないけど
    お前が無事生まれたのは教えて貰えた
    写真が欲しかったんだがな

    病院らしい建物の方からチャイムの響き
    あれが三回鳴るまでに戻らなきゃ
    風が木々を渡り花を水面へ散らしてゆく

    じゃあ、写真を撮ろう
    と、スマートフォンを祖父へ向ける
    この島では春が早く通り過ぎていくみたい
    気がつけば参道の両側は雨のような花吹雪
    蜂蜜のような陽差しに影は濃く、笑顔は淡い
    送信先が空白のまま、画面を消した

    桜がぜんぶ散り切ったら、
    私たちにはそれぞれ新しい名前がつく
    この海を渡ったことなんて、まるでなかったかのように
    生徒と先生じゃなくなる日か
    患者と先生じゃなくなる日
    そんなものがぼくらにも来るだろうか

    81

    >じゃあ、写真を撮ろう

    >じゃあ、いま写真を撮ろうよ

    かな。すいません細かくて。
    (推敲大事ですね)

    83

    あ、その方がいいですね!

  • 80

    海水を渡る向こう岸
    私を迎えるおじいちゃんの笑顔
    よく来たね 会えて嬉しいよ
    写真の中でいつも笑っていた
    母と祖母から聞く穏やかな「おじいちゃん」と
    この小さな島に閉じこもったまま
    家族にも会わず死んだ「祖父」の
    あわいにいるおじいちゃんが
    私の手を引いて境内へ歩き出す

    82

    >> 61(>> 56)微修正
    三行目
    「く来たね 会えて嬉しいよ」
    を追加。

    おじいちゃんを最初から喋らせることで
    第一連の「ぼくら」におじいちゃんを重ねやすくする…という若干苦しい細工です。

    87

    おじいちゃんをもう少し表層に持ってくるんですね。
    なるほど!

    >海水を渡る向こう岸
    >よく来たね 会えて嬉しいよ
    >私を迎えるおじいちゃんの笑顔

    この順番のほうがいいかなと思ったのですがどうでしょう。

    88

    それで!

    何か取って付けたタイミングだなと思ってました()