ne_ta6
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2021/03/20 (土) 17:25:39
海水を渡る向こう岸
私を迎えるおじいちゃんの笑顔
写真の中でいつも笑っていた
母と祖母から聞く穏やかな「おじいちゃん」と
この小さな島に閉じこもったまま
家族にも会わず死んだ「祖父」の
あわいにいるおじいちゃんが
私の手を引いて境内へ歩き出す
苔むした石段の上
拝殿の静寂に控えめな柏手
何をお願いしたんだい?
新しい生活のことを
この岸にいないあなたのことは
何故か話してはいけない気がした
ねえ、ここからはどこへも行けないの?
石段から見下ろす海は平らに凪いで
空との境まで歩いて行けそうだ
そこに在るはずの対岸はどこまでも見えないけれど
そんなことはないよ、船が来れば……
おじいちゃんの枯れたような指が指し示す
来るはずだった船
来るはずのなかった家族
いまは何者でもない、私
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中学三年の夏
リビングのドアを開けた先で
何かを慌てて隠した母
手紙をね
問われもしないのに
手紙をね 毎月書いたんだ
岸壁に建つ鳥居が水面へ影を落としている
返事は滅多に来ないけど
お前が無事生まれたのは教えて貰えた
写真が欲しかったんだがな
病院らしい建物の方からチャイムの響き
あれが三回鳴るまでに戻らなきゃ
風が木々を渡り花を水面へ散らしてゆく
じゃあ、写真を撮ろう
と、スマートフォンを祖父へ向ける
この島では春が早く通り過ぎていくみたい
気がつけば参道の両側は雨のような花吹雪
蜂蜜のような陽差しに影は濃く、笑顔は淡い
送信先が空白のまま、画面を消した
桜がぜんぶ散り切ったら、
私たちにはそれぞれ新しい名前がつく
この海を渡ったことなんて、まるでなかったかのように
生徒と先生じゃなくなる日か
患者と先生じゃなくなる日
そんなものがぼくらにも来るだろうか
>じゃあ、写真を撮ろう
↓
>じゃあ、いま写真を撮ろうよ
かな。すいません細かくて。
(推敲大事ですね)
あ、その方がいいですね!
海水を渡る向こう岸
私を迎えるおじいちゃんの笑顔
よく来たね 会えて嬉しいよ
写真の中でいつも笑っていた
母と祖母から聞く穏やかな「おじいちゃん」と
この小さな島に閉じこもったまま
家族にも会わず死んだ「祖父」の
あわいにいるおじいちゃんが
私の手を引いて境内へ歩き出す
>> 61(>> 56)微修正
三行目
「く来たね 会えて嬉しいよ」
を追加。
おじいちゃんを最初から喋らせることで
第一連の「ぼくら」におじいちゃんを重ねやすくする…という若干苦しい細工です。
おじいちゃんをもう少し表層に持ってくるんですね。
なるほど!
>海水を渡る向こう岸
>よく来たね 会えて嬉しいよ
>私を迎えるおじいちゃんの笑顔
この順番のほうがいいかなと思ったのですがどうでしょう。
それで!
何か取って付けたタイミングだなと思ってました()