24心理学(3)

23年度「心理学(3)」投稿ページ / 1508

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F23104 2023/12/19 (火) 04:09:10 修正 18825@7d254

11章 発達障害
課題1 DSM について補足する。
 DSM-5の発達障害分類群はの区分は教科書では7つ、日本精神神経学会(2014)の区分では8つあり、
ここでは教科書に無い4つについて追記する。
  コミュニケーション障害群
   言語障害、語音障害など:社会的相互作用や言語的コミュニケーションに関する障害
  運動障害群
   発達性協調運動障害、常同運動障害など:感覚の統合や反復行動の自制など運動機能に関する障害
  チック障害群
   トゥレット障害など:自分の意志に反して、突然運動や発話が起こることに関する障害
  その他障害群
   他の特定可/不能の神経発達障害
 これらの分類について教科書では、>> 1504等の理由で意図的に省かれていると考えられる。だが少なくとも上3分類は教科書記載の4分類に比べ際立って社会への適応難度が高いケースが多いことから、「発達の偏りと多様性」について語る上で無視できない要素だと考えた。また発達障害に含まれない、全体の障害分類については同教科書183に記載がある。

課題2 書字に関する限局性学習障害(書字障害)学校/職場で障害とみなされなくなる環境整備案
 これは集団全体で遠隔授業・テレワークを選択可能、または強制することによって解消可能だと考える。
以下にその理由を述べる。
 まず、書字障害は文法・句読点の誤りや文章表現法の躓き等を特徴とする書字表出障害と文字の綴字障害の2種に大別できる。そのため、この障害は、文字・文章の稚拙さ、乱雑さなどの形で表出される事が多い。
 この特徴を周囲から障害として見えない形にするためには、書字表出障害の場合は文書作成サポート(人、chatgpt等)、綴字障害の場合は書字サポート器具(PCキーボード等)の利用が必要だと考える。そしてこれらのサポートの利用が自然である、または表出しない環境として、遠隔授業・テレワークが挙げられることから、これらの環境の構築が書字障害が学校/職場で障害とみなされなくなる環境整備案として適切だと考えた。
 だが書字障害は読字障害、発達性協調運動障害を伴う場合がある。その場合には更なるサポートが必要になるだろう。

課題3 課題2の通り、どの様な障害であれ、サポートを受けている事が周囲にわからない環境であれば、障害者と健常者の共生は成立すると考える。サポートも運動補助具、視線入力装置、文章補完アプリ、テキスト読み上げアプリ、視覚支援など、充実しているため、様々な障害を保持していても健常者と共生は可能だろう。だが、実際に共生した際に障害者にとって不利益となるのは、これらサポートの利用による影響とそれによる行動の遅延だ。この障害者-健常者間の差を低減する為には、彼らがサポートを利用しなくても良い、もしくは利用した上で不利益を被りにくい環境に身を置く必要がある。現実環境で最低限必要とされる能力は「落ち着き」「表情からの感情の読み取り」「移動能力」など多岐にわたる。だが、例えばこの掲示板で必要とされる能力は大きく分けて「心理学の知識」「課題理解・回答の適切さ」「論述・作文能力」のみである。そのため、その他能力の有無はほぼ無視でき、サポートの影響もほぼ判別できない環境であると言える。このように、障害者でも自身の保持しない能力を求められる環境を避ける、また可能であれば教科書例のように自身の強みを活かせる環境に身を置くことで不利益を低減できると考えた。これは健常者にも共通する要素である。「自己分析と環境の見定め」の重要性という視点において、障害者と健常者がある程度平面で考えられるという事は、現実との折り合いが良いのではないのだろうか。

補足 だが、健常者と比べ障害を持つ方々の方が活躍できる環境を探す事が難しい、またそもそもそのような環境が少ない現状がある。しかし、私達の学ぶ「心理学」は、彼らの自己分析と環境の見定めを心理検査の適用・開発、環境評価(計量、統計心理)によってサポートし、活躍可能な領域を知らせ、広げることができる学問である。そして、自身の支援者、または私達のように支援者になり得る者が健常者より多く存在する事は彼らの現実との折り合いの一助になるだろう。
 
出典1:日本精神神経学会(2014)「DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン」『精神神経学雑誌』166(6).429-457.
出典2:若宮英司・玉井 浩(2016)「医療スタッフのためのLD診療・支援入門」診断と治療社 2-5.
出典3:中道圭人・小川翔大(2021)「教育職・心理職のための発達心理学」ナカニシヤ出版
出典4:日本心理学諸学会連合 心理学検定局編(2022)「心理学検定基本キーワード改訂版」実務教育出版

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  • 1512
    satsugakushinri 2023/12/19 (火) 09:59:36 >> 1508

    課題1: 「社会への適応」というのは、この章の一つの障害観だと思います。よって、この観点から取り上げるべき障害群を考察することはとてもよいことでしょう。この観点で注目すべきは、適応が要請される社会(環境)のあり方を含めて適応を考えるということです。教科書に載っていない障害群が「「発達の偏りと多様性」について語る上で無視できない」のであれば、おそらくこれが理由になるかと思います。なぜこれらの障害群について触れる必要があるかを主張するのであれば、ここまで論点を明確にしたほうがよいと思いました。
    課題2: 本質的なのは「文書作成サポート」「書字サポート」の整備で、それが実現しやすいのは「遠隔授業・テレワーク」だという論理ですね。それらのサポートを受けていることが、遠隔だとわかりにくいという意味でしょうか。遠隔によって、いろいろな可能性が開けているような感覚を覚えます。その一方で、新たな問題が懐胎されている気もします。後者についても今後は考えていかないといけないですね。
    課題3: 健常者同士であっても得意不得意で棲み分けがなされているので、障害者も含めて棲み分けが起こるのはなんら問題はないですね。「自身の強みを活かせる環境に身を置くことで不利益を低減」するように、棲み分ければいい。障害者、健常者という枠に関係なく。
     「補足」部分についても興味深く読ませてもらいました。「障害」と言われるのは、その特性によってまだ「不利」「不利益」が露見するからです。それらを希薄にするサポートの方法、および価値観を考えていきたいですね。

    14点差し上げます。