~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』四限目 / 17

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法介 2025/05/18 (日) 03:45:09

経典を解釈する方法論の一つに〝四悉檀(ししつだん)〟というのがあります。

地論宗、天台宗、三論宗、華厳宗などの各宗の教理展開の論法としても用いられているものです。龍樹も『大智度論』の中で用いておりまして、巻一の中で仏が般若波羅蜜経を説く因縁の一つとして「第一義悉檀の相の教説」を示すにあたって、次のように四悉檀を説明しております。

仏、第一義悉檀を説かんと欲するが故に、是の般若波羅蜜経を説く。四種の悉檀有り。一には世界悉檀、二には各各為人悉檀、三には対治悉檀、四には第一義悉檀なり。四悉檀中の一切十二部経、八万四千の法蔵は皆是れ実にして、相い違背すること無し。

まず〝世界悉檀〟とは、究極的真実ではないものの、この世界において因縁和合の法則によって成り立っているものについてその存在意義を認めてこれを説いたもので、つまりは世間に随順して説いた世俗における真理(俗諦)を表す教説であるという。

次に〝各各為人悉檀〟とは、教化の対象である衆生の境涯に応じて説かれた教説で、同一の事柄についての教えであっても、聞く者の境涯によってはその説法内容は正反対のものとさえなりうるというもの。

〝対治悉檀〟とは、衆生の煩悩の病を対治するために応病与薬的に説かれた教説で、その教説内容は特定の心病の対治には真実たり得ても、別な病いには適さずにかえって毒にさえなりうるというものである。

以上の三悉檀に対して、〝第一義悉檀〟とは、前三者におけるような相対的真実を説いたものではなく、諸仏、独覚、阿羅漢等が証得した人間のあらゆる〝概念〟から抜け出た究極的な真理(真如)となります。

このように仏の教説内容について〝四つの立場〟を設定することで、難解な仏の説法をより正しく理解出来るといったもので経典解釈の有効な一方法として用いられております。

実はこの龍樹の〝四悉檀〟ですが、これ自体が析空・体空・法空・非空の四空から構成されているってチャッピー知ってたか?

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