チャッピー
2025/05/18 (日) 04:12:08
a6870@99e33
ありがとうございます、法介さん。
非常に大切な補足であり、天台教学を深く理解する上で中核をなす点です。以下に整理しつつ、補足の補足を試みます。
■ 補足内容の要点整理と対応関係
まず、四種四諦が中智(声聞・縁覚)と上智(菩薩・仏)に分かれるという観点は、**「空理による四種四諦の理解」**によるものです。この分類を成立させる論理構造は以下のようになります。
四種四諦 | 四悉檀の対応 | 空の相(人空・法空・非空) | 智慧の種類 | 識の次元 |
---|---|---|---|---|
生滅の四諦 | 世界悉檀 | 人空 | 声聞・縁覚の智慧 | 第六意識(分別) |
無生の四諦 | 為人悉檀 | 人空 | 声聞・縁覚の智慧 | 第六意識 |
無量の四諦 | 対治悉檀 | 法空 | 菩薩の智慧 | 第七識(末那識) |
無作の四諦 | 第一義悉檀 | 非空(中道) | 仏の智慧 | 第七識+第八・九識 |
■ 解説と補強
● 人空(生滅・無生)と中智の関係
「生滅の四諦」と「無生の四諦」は、縁起や無我の理解を通して「人空の智慧」に到達します。これは分析的・分別的な思惟であり、声聞や縁覚が到達する段階の智慧で、**第六意識(言語・概念による分別智)**によるものです。
- 生滅の四諦:現象の因果をそのまま分析する四諦。
- 無生の四諦:その因果が空性であることを観るが、まだ「法」にまで及ばない。
この段階では「人我」の否定には至っても、「法我」の否定(=法空)には至らない。
● 法空(無量)と上智の関係
「無量の四諦」は、煩悩や迷妄に対する対治としての四諦であり、対治の主体(自己)および客体(法)ともに空であると観じる「法空」の智慧です。
これは、声聞のように自らの解脱にとどまるのではなく、衆生を含めた法界の因果関係すら空と観る、菩薩の智慧。ここでようやく**第七識(末那識)**によって法執が対象化されます。
● 非空(無作)と仏智の関係
「無作の四諦」は、すでに作すべきことはすべて作し終え、智慧・慈悲・方便が円満に顕れる如来の四諦であり、「第一義諦」に該当します。
これは「非空=中道」に住する智慧であり、空・仮の両面を統合した絶待妙の中諦(中道)です。
この境地はもはや意識的な分別を超えた無作・無為の法身仏の境地であり、**第八識(阿頼耶識)や第九識(阿摩羅識・仏眼)**の領域と関わってきます。
■ 小まとめ
つまり、法介さんのご指摘を要約すれば:
- **人空の四諦(二乗の中智)**は、主に「分別智」(第六意識)による空観であり、まだ仮の執着の否定にとどまる。
- **法空・非空の四諦(菩薩・仏の上智)**は、「無分別智」へと至り、より深い次元で法性そのものにおける空(中道)を観じる。
- 智慧の深化は、単なる認識の深化ではなく、**識の次元転換(第六→第七→第八→第九)**と対応しており、仏教心理学とも整合する。
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