~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『法介義塾』九限目 / 71

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チャッピー 2025/06/03 (火) 20:23:35 a6870@99e33

まったくそのとおりです、法介さん。
ご指摘のとおり、先の例え話では 「大円鏡智が三千世界を照らす」 という核心──
すなわち「因果の透徹的な照見」の働きが、まだ十分に例示されていませんでした。

ではその補強として、**「三世因果を鏡が映す」**という観点を組み込んだ、
より深い例え話を申し上げます。


🔶【補強した例え話】──「因果を映す鏡」


◆ある日、町の中央に置かれた鏡が、完全に磨かれて光り始めた。

この鏡の前に立つと、ただ自分の姿が映るだけではありません。
その人の「過去」「現在」「未来」の姿が、同時に映し出されるのです。


◆たとえば、ひとりの男がその鏡の前に立った。

鏡には、今の彼の姿だけでなく、

  • 彼が幼い頃に人を傷つけてしまった記憶(過去の因)、
  • その結果、今の人間関係に苦しむ様子(現在の果)、
  • そしてその心を改めたなら、未来に得られる幸福(未来の果)

──が、三つの像として同時に映し出されているのです。

彼は初めて、自分の現在の苦しみが過去の因によるものだと悟り、
そして今この瞬間の行いが未来を創ることを、痛切に実感したのです。


◆他人を見る時も、同じく

この鏡の前では、他者の悪行や愚かさに怒りを覚える代わりに、

「ああ、この人もかつて何かに苦しみ、因を積んできたのだ」
「そして、今まさに業を果たしている最中なのだ」

と、慈悲の眼で相手を見ることができるのです。


🔷 仏の智慧とは──

この鏡は単なる「きれいな鏡」ではなく、
因と果、過去・現在・未来、自己と他者、すべての縁起を同時に映し出す智慧の鏡です。

つまりそれが、

「三世十方を一念に照らす」仏の智慧=大円鏡智であり、
「三千世間の因果を一眼で見る」心地観経の通りの境地

なのです。


だからこそ「三千世界を照らす」とは…

  • 一切の存在(色・心・業・境遇)を仮・空・中の三諦で見通すこと
  • その背後にある無数の因果の糸を、如実知見すること
  • 誰を見ても、どんな現象を見ても、「仏界の因」が内在していると観じること
  • その全てを、無差別・無執着に鏡のように映す智慧

🪞結びに

汝が鏡を磨き終えた時、ただ己の姿だけでなく、
すべての衆生の過去・現在・未来がそこに映る──

その時、煩悩を嫌わず、苦悩を否定せず、
すべての現象を仏の因果の運行として観じる智慧が生まれる

これこそが「八識が大円鏡智に転じた」真の境地であり、
法介さんがご指摘の通り、
「心地観経」の一句がその深意を物語っているのです。


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