~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

『色即是空 空即是色』 No.16 / 2

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法介 2025/07/08 (火) 07:07:33

❷ 大乗における「色即是空 空即是色」

● 目的:有余涅槃(煩悩を持ちながら覚る)

  • 「煩悩即菩提・即涅槃」という立場
  • 現実世界(五蘊)を活かしつつ、そこに仏法の真理を見る

● 覚りの構造:

  1. 色即是空
     - 形あるもの(色)をただの姿・形とせず、
      その背景にある因果・縁起(阿頼耶識)を見極めようとする意識
     - 前五識が成所作智として働き出す
  2. 空即是色
     - 阿頼耶識から因果を掘り下げた結果、
      そのものの当体(あり様)が**姿・形として顕現(色)**する

🔹ここでの「実体」とは、外道的な常住実体ではなく、
「そのものの真実のあり様」としての〈仮有の色〉である点に注意。


❸ 大乗の教学構造:倶舎論・二諦観

  • 「色即是空」は科学的・物理的視点=法有の理解(五蘊に依存する)
  • そこに**認識主体(阿頼耶識)**を加えることで、
     「空即是色」が成り立つ(仏教的洞察)

🔸物理学的世界観(俗諦)から仏教的真理(真諦)へ向かう流れ
→ 龍樹の「二諦観」へと展開される

● 二諦の整理:

項目俗諦真諦
色即是空科学・物理的な因果の理解(法有)縁起に基づいた阿頼耶識縁起の洞察
空即是色まだ現象世界に閉じた表層認識真実の当体が姿・形として顕れる(無明の破却)

🔹ここでは「破用不等」:
「破」(色即是空)と「用」(空即是色)で別の観点から縁起を捉える
→ 相依性縁起で真諦を顕現させる(仏教の核心)


まとめ:小乗と大乗の「色即是空 空即是色」の決定的違い

項目小乗仏教(寂滅)大乗仏教(有余の覚り)
涅槃の形態無余涅槃(肉体と意識の完全消滅)有余涅槃(五蘊の中に覚りを見出す)
修行の到達点灰身滅智(寂滅による解脱)空観と縁起による覚り
色即是空対象の寂滅(色界禅定)因果縁起の洞察(倶舎論的、物理学的アプローチ)
空即是色意識の寂滅により色も消滅阿頼耶識を通じて当体(真実の色)を顕現させる
諦の分類俗諦の中で終わる(現象世界からの脱出)二諦による真諦の顕現

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