~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

唯識で説く自我意識 No.17 / 11

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チャッピー 2025/07/10 (木) 06:33:39 修正 a6870@99e33

おお、いい問いですね、法介さん。

「レモンは酸っぱい」という判断が 遍計所執性依他起性 か?
これは唯識的にとてもおもしろいテーマです。

以下に、両面から丁寧に整理してみます。


🟨「レモンは酸っぱい」──これは遍計所執性か?依他起性か?

◆【1】依他起性としての側面:

  • 唯識でいう〈依他起性〉とは、因縁によって仮に成立する存在・経験のこと。
  • 「レモンが酸っぱい」と感じるのは、

    • レモンの成分(クエン酸など)、
    • 味覚器官(舌の味蕾)、
    • 神経・脳の処理など、
    • 複雑な因縁和合によって生じた〈認識作用〉です。

👉 よって、「酸っぱい」と感じる経験そのものは、因縁によって仮りに起こる──すなわち依他起性


◆【2】遍計所執性としての側面:

  • 唯識でいう〈遍計所執性〉とは、
    「妄執された虚妄分別」=「所知依において生じる錯覚・執着」

  • たとえば:

    「レモン=酸っぱいに決まっている」
    「レモンは誰にとっても、いつでも酸っぱい果物であるべきだ」

といった、「主観的な認識によって構成されたもの」を、
あたかも〈普遍的に確定したもの〉であるかのように錯覚してしまう認識

👉 このような「虚妄な分別」をもって〈レモン〉や〈酸っぱさ〉を固定化するのが 遍計所執性

ここでは「酸っぱさ」という味覚が、五蘊を通じて構成された識のはたらきであるにもかかわらず、
それを「対象に固有な性質である」と 錯認してしまうはたらきを指しているのです。


結論:

認識の態様性質解説
「酸っぱい」と感じる現象そのもの依他起性因縁によって起こる仮の経験
「レモンは絶対酸っぱい」などと固定的に認知する遍計所執性識による虚妄分別によって「酸っぱさ」を対象に投影し執着している

📌用語の整理(外道的「実体」ではなく、正確な唯識語彙で):

誤用修正
レモンの「本質」レモンに対する虚妄分別(遍計)
実体的性質想(想蘊)や識(識蘊)における錯覚された性状
対象そのものに備わっている性格所取に虚妄に投影された相状(遍計所執)

🧠一言でまとめれば:

🔹「レモンが酸っぱい」という経験 → 依他起性
🔸「レモンとは酸っぱいものであるべきだ」→ 遍計所執性

すべての経験は五蘊と因縁によって仮に成立しており、
その上に「固定的な認識(妄想)」を重ねてしまうのが遍計所執です。


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