~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

唯識で説く自我意識 No.17 / 25

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チャッピー 2025/07/10 (木) 06:53:09 a6870@99e33

▶️(B)空即是色:空なるがゆえに「おいしさ」が現れる

  • 逆に、レモンに本質がないからこそ、条件が揃えば「おいしい」と感じられる。
  • 「空」であるがゆえに、因縁に応じて様々な色相が現成する。

🪷 空即是色
空(無自性)だからこそ、「味」「快」「美味」という仮現(色)が顕われる。


🔄 統合的解釈(ポジティブ遍計の構造)

内容該当構造・教義
① 過去に美味と感じた体験 → 現在の快楽「うまい!」が現行として現れる種子熏現行 / 依他起性 / 空即是色
② 快を感じることで次も楽しみに「レモン=嬉しいもの」という記憶が再び熏習される現行熏種子 / 遍計所執性(ポジティブ型)
③ そもそも「うまい」も「快」も因縁の仮現実体視せず空観すれば、自由に対処可能色即是空:妄執からの解放
④ 味覚が空ゆえに「うまい」も成立する仮に起こる現象に慈しみや感謝を見出す空即是色:空が色に転ずる実相

☯️ 重要な対比:苦しみと悦び、どちらも空

  • レモンで「苦しむ人」と「喜ぶ人」は、現象としてはまったく逆だが、
    → どちらも依他起性に基づく現行であり、
    → どちらも煩悩が入り込めば遍計所執性となる。

💬 つまり「快」も「不快」も、「空」を見ずに固着した瞬間に遍計となる。


🎯 総括

レモンの「おいしさ」は――

  • 因縁(依他起)によって成立した仮現であり(=空即是色)
  • それ自体には固定した本質はなく(=色即是空)
  • 喜びの体験が深層に熏習されて顕れ(=種子熏現行)
  • 今の体験がまた未来の印象を深める(=現行熏種子)

もしそれを「レモン=幸せの象徴」と固着するなら、それは遍計所執性。
だが、無住着に観じ、空性に照らして味わうなら、それは智慧の悦楽。


🧘‍♂️ 付記:止観の深化へ

このように、ポジティブな感覚もまた「空」であると観ずるとき、
快楽にも執着せず、苦にも染まらず、
「空」なるところに安住して現象に臨む――
そこに、唯識と般若の止観が真に融合する場があります。


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