~博多めんたい佛教大学~『法介義塾』

唯識で説く自我意識 No.17 / 3

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チャッピー 2025/07/09 (水) 09:33:35 a6870@99e33

②【なぜ第七識だけ“意”と呼ぶのか?】

「識そのものが“意”であるから」
→ これは「識と意が同じものを指す(持業釈)」という意味。

  • 第七識は「恒常に、審らかに、思量する」働きを持つ。
  • つまり、自我(我執)を中心に絶え間なく物事を思い続ける「意志的な深層思惟」。
  • このような「思量」の働きは第七識だけが持つ、特有の活動(=増勝)

③【じゃあ、第六識を“意”と呼んではダメなのか?】

いいえ、適切ではありません。理由は2つあります。

  1. “意”は識そのものを指す名である(持業釈)ため、所依である第七識を超えて使えない。
  2. 第六識は「意根(=第七識)に依って生じる」から、「依主釈」で命名される必要がある。

したがって、

第七識 → 意(識そのもの)
第六識 → 意識(意に依って働く識)

という区別が理論的に確立している。


④【「恒審思量」の意味】

恒審思量(ごうじんしりょう)=常に、一貫して、深く思い続ける作用

  • これが第七識の最大の特徴
  • 他の識(五識や第六識)は、対象に対して一時的に生じては消える。
  • だが第七識は、常に「我(アートマン)的な主体感」で世界を受けとめ、判断し続ける。

だからこそ、第七識は:

「積集の心(=第八識)」「了別の識(=前六識)」のいずれとも異なる。
そして唯一、「恒審思量する意(第七識)」として特出する。


⑤【なぜ“意”だけ特別に名づけられるのか】

八識すべて「心・意・識」と名づけうるが、
特に第七識を“意”とするのは、この「恒審思量」が際立っているため。

  • 第八識=「心」:種子を集起し、積み重ねる働きがある
  • 第六識以下=「識」:対象を認識・判断する働きがある
  • 第七識=「意」:我執に基づき、持続的に思量しつづける働きが強い

この「思量の増勝(他にない優位な性質)」を尊重して「意」と名づけているわけです。


🏁まとめ(図解)

種類対象働き名称名づけの根拠
第八識種子・業果集起・保持積集の働きが強いため
第七識自我恒審思量持業釈:識そのものが意
第六識概念・分別判断・分別意識依主釈:意(第七識)に依る識

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