今年で三十五になる、わたしの長男のことです。
彼がまだ中学三年生だったころ、高校受験の日の出来事です。
同じ高校を受験する友だち数人と一緒に、
自転車で地下鉄の駅まで行き、
そこから電車で試験会場へ向かいました。
ところが、
試験を終えて駅に戻ってみると――
そこにあるはずの自転車が、
一台残らず無くなっていました。
市の職員によって
すべて撤去されてしまっていたのです。
どうやら、
駐輪禁止区域に止めていたらしく、
子どもたちはそれぞれ二千円の罰金を支払い、
自転車を返してもらって帰宅したのでした。
帰ってきた息子からその話を聞いた私は、
何やってんだと、
市役所へ速攻で怒鳴り込みに行きました。
そして地域整備課の課長に向かって、こう言いました。
「収入のない未成年の、しかも中学生から罰金二千円を徴収しただと?
お前ら、バカかーッ!」と。
突然の大声に、周囲の職員たちの視線が一斉に私に集まりました。
課長は顔をこわばらせながらも、こう答えました。
「私どもは市の条例に基づいて業務を遂行しただけです。
条例には、違反者から罰金二千円を徴収すると定められておりますので。」
その言葉を聞いて、さらに腹が立ちました。
私は机を両手で思い切り叩き、
「お・ま・え・は……バカかーッ!」
と、再び怒鳴りました。
そして、諭すようにこう言いました。
「叱られるのが怖くて親に言えない子はどうする?
お金がない子はどうする?
中には親の財布からこっそりお金を抜き取る子だって出るかもしれない。
あるいは友だちを脅してでも金を工面しようとするかもしれない。
あなたたちのやり方が〝因〟となって、新たな問題を生むかもしれないんだぞ。」
しかし、私がもっとも怒った理由は別にありました。
それは――
子どもたちにとって人生の大きな節目である高校受験の日に、
大人である役所の人間が、何をやってくれてるんだということです。
中には、試験の出来が思わしくなく、
落ち込んで駅に戻ってきた子もいたはずです。
そんな子から平然と罰金を徴収するとは、何ごとかと――
そう課長に言うと、彼はこう言い返しました。
「我々には関係ありません。文句があるなら、条例を作った議会に言ってください。」と、、、
あきれ果てた私は、ついにブチ切れました。