【謎】
千島アイヌがウイルクの計画に入っていないのはなぜか?
ウイルクの極東連邦国家構想は、182話で明かされました。この構想は、地理的には樺太・北海道・極東ロシアの一部を含み、目的は、北方少数民族の言葉や神さまを含む総合的な文化を守るものです。ハハ…でっかいなってやつですね。
ウイルクの説明から、彼は協力しあえる仲間を獲得して、母数を増やしたいのだと理解しました。協力しあえるの条件は、良く似た文化を持つ人々を優先的に想定しているんだな、と。そうであれば、似た文化を持つ千島アイヌとも協力することを視野に入れていても不自然じゃないのに、なぜ抜け落ちているんだろうか?と疑問に思いました。
千島アイヌについては、勉強が追いついていないんですが、1875年の樺太・千島交換条約で、大国の思惑により辛酸を舐めたもう一方の人々なわけです。色丹島への強制移住後には、故郷の北千島へ帰還するため、あるいは他の島へ移住するために、日本の行政にアイヌ側からの働きかけもあったそうです。
現実には、生活と気候風土の激変、伝染病等で千島アイヌは限りなく減少し、千島アイヌとしてのアイデンティティを持っている人は現在存在しないと言われています。そういう仕打ちを受けてきた人々だからこそ、ウイルクのたちと共闘の可能性もあったはずだし、構想に千島列島を含む意味もあるのでは?と。
(ソフィアはウイルクから少数民族の文化を色々教わってきているので、バックグラウンドは異なれど、協力できる露人ということかもしれません)
仮説は以下2点です。
1.ウイルクは千島アイヌの存在を認識していなかった。
北海道アイヌに関しても「…だそうだ」という仄聞レベルの認識だったので、さらに遠く離れた千島列島の事情は知る術がなかったのかもしれません。情報も限られていたでしょうし、例え資料があってもアクセスがなかった可能性もあるので。
ただ、この仮説は個人的にいこごち悪いんですよね…似たような文化を持つ人々が、一方を透明化してしまう構造が気になってしまって。
2.作中で描写するための資料が少ない
これはメタ的な仮説です。
千島アイヌの言語や文化は、今日にほとんど伝わっていないそうです。なので、描かないのではなく、描けないのかな、と想像します。フィクションとはいえ、さらに、今日すでに存在しない民族とはいえ、実在した人々を描く上で捏造する訳にはいかないですし。
作者は描写にあたり、綿密な調査をしていることは言わずもがなです。なので、描くべきではない、という作者なりの矜持であり、現在協力してくれている人々への誠意なのかな、と思っています。
今後、ウイルクの構想の詳細がもっと明らかになると、違う可能性も見えてくるでしょうね。