Wild-Bison Vol.1
File No.1-4 大脱出(前編)
https://wild-bison.blog.jp/archives/19446012.html
↑のわたしのWeb小説をツイキャス朗読用に書き直します。
ネバダ州ラスベガスの北西――150キロ。
そこに、謎に包まれたエリア51がある。
その存在は、今日まで数え切れぬほどの噂を生み出し、
常に世間を騒がせてきた。
地上には目立った施設はない。
あるのは、世界最長とも言われる8キロの滑走路。
そして、軍用機を格納するいくつかの巨大建物。
だが、真の姿は地下に広がっている。
地下10階建て、東京ドームすら丸ごとスッポリと収まるスケール。
そこに築かれた秘密軍事基地は、
24時間体制の厳重警備で守られ、
決して一般の人間を近づけることはない。
――その地下8階。
物資や機材を保管する第4格納庫に、
一昨日、奇妙な木箱が搬入された。
高さ3メートル、頑丈な造り。
それこそが、ニコラがロンに託した「贈り物」であった。
その時すでに、警報ベルが基地中に鳴り響いていた。
外部からの侵入者を知らせる、甲高いサイレン。
そしてその通路を――爆音を轟かせながら、一台のバイクが疾走していた。
木箱の中身。
それは、ロンの相棒――
ハーレー・ダビッドソン、ダイナ・スーパーグライド・カスタム。
ロンは「目的のブツ」を手に入れ、
押し寄せる兵士たちを振り切りながら、
地上への大脱出劇を演じていた。
地下8階からエレベーターホールへと続く通路。
その一本、北側から一直線に伸びる道を、ロンのハーレーが爆進する。
リヤタイヤを完全にロック。
バイクは横に滑り、クランクケースが火花を散らす。
氷上を舞うスケーターのように流れながら――
ロンはホール入口へと迫った。
大型エレベーターとバイクのラインが重なった瞬間。
ロンはスロットルを全開に。
呼応(こおう)するように、
野獣のごとく吠え上げるエンジン。
クラッチが繋がれ、リヤタイヤが思いっきり床を蹴り上げる。
ぶっといゴムの固まりが
黒煙を上げ床面を思いっきり蹴り上げて、
流れて来た水平ラインから垂直に鋭く立ち上がる。