ロン・スミス編のVol.1の【File No.1-5】 大脱出(後編)を
ツイキャスで朗読してみよう。
~シーン:大脱出(後編)~
ロンのバイクの車輪は突っ込んで来た勢いで
強引に溝に嵌り込んでいて容易にそれが外れる事は無い。
ハーレーのV型2気筒の大きなボア・ストロークが
エンジンにず太いトルクを生み出し、
ロンを乗せた車体を垂直方向に力強く押し上げて行く。
地下に作られたこの基地は地上には一階部しか姿を現しておらず、
その地上1階がエレベーターの到着地点になる。
その広い1階エレベーター・ホールには
30名程の武器を構えた兵士達が昇ってくるロンを仕留めるべく
銃口を一点に集中して迎え撃つ。
「奴が出てきたら一斉射撃だ!」
指揮官らしき人物が兵士全員に届きわたる大きな声で指示を出す。
しかし・・・
どうやって出てくるのだろう
照準をそこに合わせて待っているそれぞれの兵士達の脳裏に
同じ疑問がよぎる。
一方ロンの頭の中では、、
Van Halen の『 I Can’t Stop Loving You』
がパンチの効いたリズムで
脳ミソを心地よく刺激する。
何かを楽しんでいる子供のようなニヤケ顔で
再びスロットルをロックさせ
太ももで自身の体重をホールドすると
INSIST・カイザーを抜き取り
エレベーターの終着点の天井の4隅に
ワイルド・Bisonをぶち込んだ。
一発発射される度に
その凄まじい反動が
バイクごとロンを下方向に押し下げる。
レールに食い込んだホイールが
一層鮮やかに火花を撒き散らし
弾丸の発射に相応して
金属音の悲鳴を高鳴らせる。
4発の弾丸で4隅に大きく開いた穴から
天空の光が
導くように差し込んでくる。
そして残った最後の1発が
4隅の中心に撃ち込まれた瞬間
天井の鉄板は、強引に毟り取られるように
無慚な残骸となって天空に吹き飛んだ。