あまりの空腹と疲労で意識が朦朧としていた俺は昔の事を思い出していた、まだ俺達三人が仲良く笑いながら飯を食っていた頃のだ。
『けんきゅうじょ』と呼ばれているそこは全身真っ白な格好をした『けんきゅうしゃ』と呼ばれてる奇妙な奴らが沢山いて、俺達はいつも『じっけん』とか言う物に付き合わされていた、気がついた時から俺達はそこに居てそれが当たり前の事だった、おかしいなんて特に疑問に思うことなんて無かった。
スフィンクスは難しい言葉でしょっちゅう俺をからかって笑ってたりしてたけど、俺達の中で一番しっかり者で頼りになる奴だった。ヒポグリフの奴は大人しいけど凄く優しくて面倒見がいい奴だ、一緒にいると凄く安心出来た。
それはある日の事だった。スフィンクスが真剣な顔をして俺にこう言った。
スフィンクス「…いいかいグリフォン、よく聞いてくれ、僕が次にあの部屋から戻って来たら、僕はもう君達の知っている僕では無くなっているかも知れない…、その時は君の手で僕を止めて欲しいんだ」
グリフォン「突然何だよ…それ、訳がわかんねぇよ…スフィンクス」
スフィンクス「ヒポグリフの事、頼んだよ…、あの子を守ってやれるのは君だけなんだから」
それからスフィンクスに会ったのは随分経ってからだった、その頃にはもうスフィンクスは別の何かになっていた…、あの顔に付けた眼鏡ってやつを直す癖、前のあいつはそんな事を一度もした事は無かった。
でも俺は覚えてる、あれと同じ癖いつもをしていた『けんきゅうしゃ』を、そいつは他の『けんきゅうしゃ』に囲まれていて、異様な雰囲気をしていた。
そいつの名前は『永久(とこしえ)』博士。
俺が様子のおかしくなったスフィンクスと会ってからはそいつを一度も見る事は無かった。代わりにスフィンクスが『けんきゅうしゃ』達と一緒に居るようになった。
それからだ、NEO体化『じっけん』が本格的に始まったのは…、最初にヒポグリフが手術を受ける事を知った俺は必死に自分にしてくれと頼んだ。そしてヒポグリフは見逃してくれと。
NEO体手術を受けた俺は暫くしてセルリアンとか言う変なのと同じ部屋に入れられた。
セルリアンを『こんとろーる』するのが目的らしかった、『じっけん』は途中までは順調に行っていたんだ、そして最後のセルリアンと一体化する『じっけん』であの事故が起こった。
セルリアンを取り込んだ俺は制御を失い暴走した、途切れ途切れの記憶の中で『けんきゅうじょ』を壊した事以外、後はもう何も覚えていなかった、気が付いたときにはどこか全く別の場所に居た。
それから長いこと各地を点々としてようやく『けんきゅうじょ』があると言うこのジャパリパークにたどり着いたのだ。
ライオン城の一室で目覚めた俺の側ではヒポグリフが、もたれ掛かるように眠っていた。
「ん……あれ? どうしたんだ……。」
俺は辺りを見回した。
「……! ヒポグリフ!」
そう言って彼女に駆け寄ると、どこからか声が聞こえてきた。
「もう少し、寝かせてあげてやるのです。」
そんな声に反応し、俺は顔を上げる。
――そこには、博士と助手が居た。
「まだ怪我も治ってないのですから。」
「俺……助け出せたんだな。ヒポグリフを。」
へいげんでの戦いも終わり、城内では勝利の宴が行われていた
ジャパリまんや、ジャパリちっぷす、さらにはもっとレアなジャパリちょこ等大盤振る舞い!
城に避難していた者達や直接戦には参加していないフレンズ達は宴たけなわ
そんな中、今回の戦に参加した者達は城の最上階に集まっていた
ハクトウワシ「あのフレンズセルリアンを操るフレンズ…それから君たちは、一体何者なんだ?」
ヤマアラシ「力が強いのはともかく、セルリアンを操れる動物なんて聞いたことないですぅー!」
ヒグマ「そんな動物いるわけがないだろ…」
リカオン「じゃあ、何なんですか、あのおでこにセルリアンの目があるフレンズは!」
ヒグマ「そんなの私が知るか!」
リカオン「それにあの何とかって子、こちらに置いておいて大丈夫なんですか!?さっきまで敵だったんでしょ!?」
キンシコウ「落ち着いてください二人とも!」
ハシビロコウ「い、一体私が後門の見張りしてる間に何が…」
セルリアンを操る謎のフレンズ…未知の相手に場は戦々恐々としてざわついていた
シロサイ「博士達もご存じありませんの?」
博士「セルリアンの群れの中にいるフレンズの目撃話は何度か聞いているのです。が、それが何なのかは我々もわからないのです。」
ヘラジカ「事情を知っていそうな者に直接聞くのが早いだろう。なぁ、グリフォン!」
ヘラジカの問いかけに、ジャパリまんをかじりながらグリフォンは答える
グリフォン「多分俺もすべては知らない。でも、あいつがセルリアンを操って各地で暴れているとなりゃあ、もうあんたらも無関係だとは言えねえ。」
ヘラジカ「話してくれるか?」
グリフォン「話せば長いぜ…
グリフォンは淡々と話し始めた・・・
過去に自分の身に起きた出来事の事・・・
ヒポグリフとスフィンクスの事・・・
「けんきゅうじょ」と「けんきゅうしゃ」・・・「じっけん」の話・・・
そして、「トコシエ博士」というけんきゅうしゃの事・・・
グリフォン「・・・と、まあ俺が知っているのはこのくらいだ。」
一同「・・・・・・」
ライオン「どういうことなの?その「トコシエ」ってやつが、スフィンクスって子を乗っ取っちゃったって事?」
グリフォン「俺にもわからねえ。だが、スフィンクスは俺の友達だった。俺なんかよりずっとまともで良いヤツだった。」
一同「・・・・・・」
静寂を破るように、ヒポグリフの介抱をしていた助手が部屋に入ってくる
助手「あの子はひどく衰弱しているのです。しばらくはまともに動けそうもないですね。」
グリフォン「意識は戻ったのか!?」
助手「さっき一度意識が戻りましたが、また気絶するように眠ってしまいました。しばらくは安静にしてやるのです。」
グリフォン「そうか・・・すまねえな」
博士「で、お前はその「けんきゅうじょ」へ向かうつもりなのですか?」
グリフォン「当然だ。居場所が分かってるのに待つ意味はねえぜ。まずは「としょかん」へ行って、けんきゅうじょの場所を聞いてこねえとな」
博士「・・・その「詳しいヤツ」とは我々の事なのです。「けんきゅうじょ」の場所は確かに知っています」
グリフォン「え!?そうなのか?こいつはありがてえ、手間が省けたぜ。」
博士「あの辺りはセルリアンが多く、危険なセルリアンが多いのです。立ち入り禁止なのです。」
グリフォン「そりゃあねえだろ!あんだけのセルリアンと戦わせといて、今更危険もクソもあるか!教えろよ!」
博士「条件があるのです。お前ひとりだけではとても危なっかしくて任せられないのです。」
グリフォン「だったらどうだってんだ?おたくらが一緒に来るとでも言うのか?」
博士「今この場にいる者の中から3人ほど選んで、一緒に連れて行くのです」
グリフォン「な、なんだと!?」
博士「誰を選ぶかはお前に任せるのです。気の合うものをじっくり見極めて決めるといいのです」