働き方改革関連法の施行から5年以上が経ち、政府が「働き方」の見直しを議論するなか、厚生労働省は5日、労働者が希望する労働時間などについての実態調査を初めて公表しました。厚労省が労働者3000人を対象に行った調査によりますと、労働時間については、「このままで良い」と回答した人が約59.5%、「減らしたい」人が約30%、「増やしたい」人が約10.5%だったということです。「増やしたい」と答えた人のうち、現在の時間外労働の上限規制(月80時間)を超えてまで働きたいと考える人は約0.5%とごく少数にとどまりました。「増やしたい」人の多くは、現在のルールの範囲内で労働時間を増やしたいと考えている人や、扶養控除などを意識して就業調整をするパートなどの労働者が占めたということです。「増やしたい」理由として最も多かったのは「たくさん稼ぎたいから」で、4割以上を占めました。次いで「自分のペースで仕事をしたいから」、「残業代がないと家計が厳しいから」が続きました。また、調査では企業へのヒアリングも行われ、回答した企業327社のうち、労働時間について「現状のままがいい」と回答したのが201社と最多でした。次いで「減らしたい」が73社、「増やしたい」が53社でした。「増やしたい」と回答した企業は、建設業や運輸業で多い結果となりました。運輸業では、なぜ労働時間を増やしたいと考えるのかを探るため、トラックドライバーを取材しました。日本テレビの取材に答えたトラックドライバーによりますと、運輸業では労働時間が減ることで「稼げない」ジレンマがあるといいます。多くの業種で時間外労働の規制が強化された後、運輸業でも2024年にほかの業種同様に規制が強化されましたが、これにより労働時間が減ったことで、周りのドライバーでは月の給料が3万から4万円ほど減ったといいます。「労働時間が減ると給料も減るのが現実」だとして、運輸業ではもっと稼げる他業種に人材が流出しているとも話します。所属する会社では、ドライバーが、この2年で50人から30人ほどに減少したということです。一方で、「十分な給料がもらえるなら、これ以上働きたいとは思わない」としていて、労働時間を増やすのではなく、配送料を上げるなどの工夫で給料を維持できる方法を、と求める声があります。こうした現場の声がある中、5日に開催された自民党の会議では、労働時間の上限規制について「見直した方が良い」という意見は基本的には出なかったということです。議員からは、生産性を高めるための政策を充実すべきとの声や、ワークライフバランスを守った働き方を進めていくべきとの意見が大半だったといいます。厚労省は、多くの労働者や企業が「もっと働きたい」とは回答しなかった今回の結果をふまえ、「上限規制そのものの増減を検討するのではなく、上限規制の範囲内で(繁忙期などには)労働時間を増やすなどの工夫について、制度面と運用面でどう進めるのか今後の議論の参考にする」としていて、労働時間の上限を増やす方向での改革は行わない方針を示しています。また、高市首相は国会で「裁量労働制」に言及していて、現在はIT技術者や弁護士などに限られている裁量労働制の対象業務を増やすのかどうかなども検討される見込みです。裁量労働制は、労働者が仕事の進め方などを主体的に決められる一方で、労働者に実質的には裁量が与えられない場合などには、「定額働かせ放題」などといわれ、長時間労働につながるといった批判もあります。政府は、今後、働き方をめぐる議論を進め、夏ごろまでには方向性を出すとみられています。
(2026.3.5 日テレNEWS)