3章 進化心理学
課題1: 私は「観察学習」についての追加情報を記載する。
観察学習を包括する外の枠組みとして「モデリング」が存在する。
モデリングとは「他者の行動を観察することで自身の行動が変容すること」である。
つまり教科書の例も「大人が人形を攻撃(観察)」→「大人(他個体)の意図を推定。(学習)」→「人形を攻撃する傾向が強まる(行動変容)」という状況、観察学習及び行動変容による1つのモデリングなのである。
また、この用語を提唱したバンデューラは映像作品や漫画においても観察学習が起こるという実験結果を残している。
更に言えば、文章などの実像の無いモデルに対しても観察学習が起こる可能性がある。私個人、小説の内容やSNSでの文章に影響を受けたことがある。これは恐らく文章を元にした私の想像上の像をモデルとして、モデリング及び観察学習が起こったのだと考えられる。実際に、同様の経験がある方も多いだろう。このように文章等を元にした観察者の想像がモデルでも観察学習が起こる可能性があるのだ。だが明確な根拠となる物は未だ見つけられていない。しかし近いものとして>> 453ウェルテル効果や、>> 462認知行動療法の一つであるSST(社会生活技能訓練)では文章等を用いたワークシート、ソーシャルストーリー演習が存在する。これらは実像を伴わないモデルにも観察学習が起こり得ることを示唆していると言える。
上記の記載を行った理由は、教科書では観察学習が成立する前提の状況について記載が無かった点と、
これらの知識があれば上記のように分割して思考でき、教科書の例示の理解を深める事が出来る点が挙げられる。
後半については、教科書には直接の観察による例示しかされていなかった為、実際には直接の観察のみならず、観察者が共感可能なモデルであれば観察学習が起こる可能性についても留意しておくべきだと考えたからである。
出典1: 日本心理学諸学会連合 心理学検定局編,心理学検定基本キーワード改訂版,2022年,実務教育出版
出典2: SSTプログラムについて(https://di-agent.jp/tips/entry100.html)[2023/10/23参照]
課題2: 水平伝播の例 心理学課題提出の早期化
この場合、「早期に提出された課題がフィードバックに対する返答の余裕を持ち、更に返答が加点されていた」という文章記録より想像できる状況から、他個体の意図、感情を良い方向だと推定し、結果観察学習によって「余裕を持って早期に課題提出する」という水平伝播が起こったと考えられる。
また、実像を伴う事例としては、心理学の課題を早期に提出したらしい人物が余裕そうに観察出来たりすること。実際にその人物が早めに提出するよう他人に進めている状況を観察した場合(観察学習における動機づけ過程での外的強化が行われている?)なども観察学習、水平伝播が促進される要因になると考えられる。
よって本事例の担い手としては「観察学習、言葉による伝達」が挙げられる。
補足 今回の事例では「提出された文章記録」が観察学習のモデルとなっている。
理由については課題1及び>> 452を参照して欲しい。
課題1: 学習とは「意図を推定すること」なのですか? 「観察学習が成立する前提の状況」とは? そしてそれがどうして必要な情報だと思いますか。「分割して思考する」というのは、観察学習が段階的に進行し、その各段階がどういうものかがわかるという意味でしょうか。確かにそうですが、教科書理解というより教科書に書いていない高度な内容を知ることに貢献している気がします。そこまで知っておいたほうがよいと考える理由はなんですか。
文章を媒介とした体験によっても観察学習が生じる可能性に言及したのは面白いと思います。「実像のないモデル」という表現はわかりにくいですね。「視覚的体験以外の体験による」という意味ですよね?
課題2: 文章記録による体験ではありますが、課題1で述べられていた文書媒介の体験とは異なり、実際加点がなされている記述を見ているから強化されているのではないでしょうか。
強化子として想定しているものが教師と学生で異なることがあります。眼前に展開している出来事のどの部分を、行動の結果として注目するかが大切ですね。教師はコメントが強化子になってほしいと思っていますが、点数がしばしば学生にとっての強化子となり、期待した点数がないと「罰子」として機能してしまうこともあります。同じコメントと点数を返しても、その後の行動は全く違うことがある。なかなか難しいものです。
5点差し上げます。