H.O.P.E.

「常識陣」 / 177

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オビディ✩.*˚ 2025/03/19 (水) 22:28:48 修正

>> 175

学術的にも論争がすごくて、一度手を出したら沼る問題の一つだしね。
畿内・九州以外にも四国説とかもあるし。

ちなみに魏から贈られたとされる三角縁神獣鏡が中国で発見されてないっていうのも面白い。
また、当時の日本には銅鏡を作る技術はあるけど、漢字が伝わってないから漢字が入っていたであろう部分が一種のシンボル化されて、記号というかデザインの一つになったっていう話もある。

東遷説の問題点は、「そもそも東遷する必要があったのか?」って部分だよね。
中国史でみてわかるのは、東遷するのって基本的にそこが勢力下に治まってて、もともとの中心地でクーデターなりが起こった場合だから、それと照らし合わせて考えると、さまざまな事情が想定される。
例えば、卑弥呼の家が分家で力を持ってて、直系の王と争ったとかね。
中国史でいえば、古代王朝である周がそう。
西周と東周で争って東周が勝って春秋時代に突入することになったって話。
それと同じようなことが当時の倭国でも起こってたかもしれない。
実際国が大きく乱れてたと書かれてるし。

そうやって考えると、九州の王であった奴国と覇権を争って勝ちとったとかも面白そう。
これは畿内説になるけど。
親魏倭王印をもらったのは奴国より上位に立とうとしたとかね。

また、「邪馬台国はどこか?」論争とはちょっとズレるというか、畿内説の補説みたいな感じだけど、邪馬台がヤマトの音写で、大和国はその名残だって説もあるね。
実はヤマタイって読み方の方が新しくて、江戸時代当時の中国語に合わせた読み方らしい。
何故か今ではそっちが一般化してる不思議な現象になってるけどね。

この説の面白いところは、やっぱり後のヤマト王権との関連性が想像できるところだと思う。
とはいえ、邪馬台国が東遷してヤマト王権になったのか、もともと邪馬台国が後の大和国、現在の奈良県にあったのか、
また、ヤマト王権側が邪馬台国から政権を奪取して名乗ったのかはわからないけどね。

しかもこのヤマト王権も謎で、その時代に倭の五王が中国に朝貢してるのが中国側の文献に残ってるのに対して、日本側の史料にはそれ以前の卑弥呼も含めて記されてなくて、「倭の五王って誰なの?」っていう謎もある。
中国の史料上、倭の五王は讃・珍・済・興・武の5人の王のことなんだけど、日本の歴史では王が中華名を名乗った事例がないっていうのもあってこの五王が誰なのかわかってない。
一応、史料上ではワカタケル、後の雄略天皇の時代に中国との往来があったと書かれてるから、武がこのワカタケル(幼武)だろうとされてるし
他の五王もたぶんこの天皇だろうっていう感じにはなってるくらいのことしかない。

邪馬台国も含めて謎になってるのは、そもそも日本の国史である『古事記』や『日本書紀』に書かれてる神武天皇以前の話が、神話でしかないっていうのがこうした謎を呼んでるんよね。
アニメとか物語で有名なイザナミ、イザナギの話や天照大御神とかスサノオみたいな神様の話がそのまま事実として記されてる。
だから、逆に神話に当時の歴史事情を求めるってアプローチもある。
当然神話として脚色されてるっていう前提はあるけどね。
これで面白いのが天照大御神=卑弥呼説。

天照大御神は太陽神という偉大な神様な一方で、天皇家の先祖という側面もある。
特に後者は邪馬台国とヤマト王権の関係性を示唆してるというところ。

また、天照大御神の話で有名な、天岩戸隠れの話が日食と関係してるっていうのはよく言われるんだけど
実は卑弥呼の時代に日本で皆既日食が起こったらしいことが研究から明らかになってる。
ただこの皆既日食は北九州でしか観測できない(部分日食は畿内でも見られた)って話だから、九州説にたどり着くんだけどね。
そもそも神武天皇は九州から東征して奈良を制覇したって話だから日本の史料からみるとやっぱり九州説になる。
もしくは、邪馬台国が奈良にあって、ヤマト王権が邪馬台国を滅ぼしたのかのどっちか。
これは邪馬台国が東遷してて、同じくルーツを持つ神武天皇が邪馬台国を滅ぼしたって見方もできるし、そもそも邪馬台国と関係なかった神武天皇が邪馬台国を滅ぼして、自らの正当性を示すためにヤマトの名を名乗ったという見方もできる。

こうやって歴史を見るとロマンがあって本当に面白いよね。
特にヤマト王権と邪馬台国の戦いが実際にあったと想像してみると、すごく壮大なストーリーになっていくし。
これだから歴史は面白いと思えるんよね。

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  • 178
    オビディ✩.*˚ 2025/03/19 (水) 22:30:13 >> 177

    なんかすごい長文になっちゃった。
    読みにくかったら申し訳ない。