American_Crusoe
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2025/07/14 (月) 16:07:16
「これは、じっさいに第二ソフィストたちの扱った弁論のタイトルを見れば、いっそうはっきりしてくる。たとえば『列伝』では、この時期を代表するソフィストであるアリステイデスの代表作として、『アテナイ人を海上覇権から引き離そうとするイソクラテス』、『十人の将軍を埋葬しなかった件でカリクセイノスを弾劾する』、あるいは『シケリア情勢について審議する人々』等、歴史的にして個別具体的な状況を設定したうえで架空の弁論を行うという、いわゆる模擬弁論の典型的な主題が列挙されているのである。
ここまでの考察から、フィロストラトスのいう二つのソフィスト術の違いとは、この「一般論題」と「個別論題」という、弁論術において扱われるべき論題の質的な相違を反映したものだと考えることが許されよう。その際、「哲学的」すなわち「哲学的な課題を論じる」弁論術τὰ φιλοσοφούμενα ὑποτιθεμένη とは、「一般論題」を扱う弁論術と読み替えることができ、これに対して「第二のソフィスト術」が扱う題材は、つまりは、法廷や議会を想定した「個別論題」を扱う弁論術の領域に等しい、ということになる。」
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