- 成唯識論
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(『三十頌』の)「及び(及)」という言葉は、前六識を合わせて一種類とすることを示している。これら三種(異熟・思量・了境)をすべて「能変識」と名づけるが、この「能変」には二種類ある。
一には「因能変」である。これは第八識の中にある、等流(とうる)と異熟(いじゅく)の二つの原因となる習気(しゅうき/種子)を指す。「等流習気」は、七つの識の中の善・悪・無記の行為によって燻習(くんじゅう)され生長する。「異熟習気」は、前六識の中の有漏(うろ)の善・悪の行為によって燻習され生長する。
二には「果能変」である。これは上述の二種類の習気の力によって、八つの識がそれぞれ種々の相(現行)として生じることを指す。「等流習気」を因縁とすることによって、八つの識の体相がそれぞれ個別に生じる。これを「等流果」と名づける。果が原因(因)と似ているからである。「異熟習気」を増上縁(ぞうじょうえん)として第八識を招き寄せる。これは引業(いんごう/総報を引く力)に報いるものであり、常に相続するために「異熟」という名を立てる。また、前六識を招き寄せて満業(まんごう/別報を満たす力)に報いるものは、異熟(第八識)から生じるため「異熟生」と名づける。これらは間断があるため(第八識のように)「異熟」とは名づけない。この「異熟」および「異熟生」を合わせて「異熟果」と名づける。果が原因(因)と性質を異にするからである。
ここでは、ひとまず「我愛」によって執蔵(しゅうぞう)され、雑染の種子を保持する能変の果識を指して「異熟」と名づけているのであり、すべて(の異熟果)を指しているわけではない。
すでに能変の三つの名称を略説したが、まだその三つの相(本質的特性)を詳しく論じていない。まず、最初の能変(第一能変)の相とはどのようなものか。頌(じゅ)に次のようにいう。
「初めの能変は阿頼耶識(あらやしき)であり、異熟識、一切種識とも呼ばれる。その執受(しゅうじゅ)と、拠り所となる処(世界)、および了別(認識作用)の内容は知りがたい。常に触・作意・受・想・思の五つの心所と相応する。受(感受作用)は唯だ『捨受』である。これは無覆無記(むふくむき)であり、触などの心所もまた同様である。常に瀑流(滝の流れ)のように変化しながら相続し、阿羅漢の位に達したときに、その名は捨てられる」