「給料から天引きされる健康保険料が上がった」。会社員など約3000万人が加入する健康保険組合(健保組合)の1割超が、保険料率を引き上げた。健保組合は国民健康保険(国保)などに比べて豊かとされてきたが、今年度の赤字は過去最大となった昨年度と同規模の見込み。負担増は、どこまで拡大するのか。保険料率の上がったサラリーマンは少なくない。健康保険組合連合会(健保連)が4月に発表した平成21年度健保組合予算の早期集計(回答率88%)によると、平均保険料率は7・412%で、前年度比0・046ポイント増。報告があった1304組合のうち187組合が料率を引き上げた。原因の一つは、組合から高齢者医療への拠出金が増えたこと。後期高齢者医療制度が発足し、新制度に移行した昨年度は赤字組合が急増。解散して、協会けんぽに移行する健保組合が相次いだ。今年度は、赤字組合が約92%にのぼると推計される。景気の悪化でサラリーマンの収入は減り、保険料収入も減っている。健保連では「実態はもっと厳しくなるのではないか。健保組合の第一の使命は、現役世代への給付。ほかの制度への拠出が50%を超えると、被保険者の理解を得にくい」と話している。健保組合、昨年度は過去最大の赤字65歳~74歳の「前期高齢者」の医療費に対し、健保組合など被用者保険からの拠出は従来、国民健康保険(国保)にある「退職者医療制度」だけだった。しかし、昨年度、後期高齢者医療制度が導入され、同時に前期高齢者にも拠出が拡大された。健康保険組合連合会によると、健保組合の昨年度予算の収支は過去最大の赤字となった。高齢者の医療費は、被用者保険と国保の各医療保険制度が拠出して賄う。被用者保険には現役世代が多いが、国保には高齢者が多く、医療費がかさむ。制度ごとに高齢者を支えると、高齢者の多い国保で加入者負担が重くなる。拠出金は、制度間で負担をならすのが目的だ。今後も高齢化は進み、医療費は膨らむ見通し。現役世代の負担増が続けば、高齢者との保険料負担の不公平感が生じかねない。 (2009.5.6 産経新聞)
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