さまざまな理由で搾取される派遣社員 「お母さん、貧乏ってお金かかるんだね」 ある日、派遣社員を夫に持つ母親に、小学生の息子が言った。夫のAさんは、派遣会社に登録して地方都市から東京に出稼ぎに出ていて、毎日日雇いで働きながら仕送りしている。地方にいても、まったく仕事がないからだ。 Aさんの場合、登録した派遣会社から携帯にメールが入り、翌日の仕事が決まるという「携帯派遣」システム。登録時の仕事内容には、いろいろな職種が掲載されているが、実際にあるのは重労働ばかり。それも、極めて劣悪な条件の日雇い労働である。集合時間は、作業開始の1時間前で、10時間労働もザラ。時給は1000円とそれなりの金額だが、集合前と休み時間の1時間は支給外になる。交通費は、一定金額以上は支払われず、自腹を切ることになる。 毎日の取り決めとして、出発時間・集合時間・現場到着時間の3つに遅刻ラインが設定されている。もし1分でも遅刻でもしたら、ペナルティとして500円・500円・1000円を、給与から天引きされるシステムになっている。そのうえ、グループ管理制度がとられていて、自分と同じチームの人間が遅れたら、全員が罰金を取られることになる。派遣先紹介の担当者からは、「指定の作業服やヘルメットを購入すれば給与も上がるし、仕事も増える」 と、甘い言葉で勧誘される。 このように、至るところに、派遣労働者からの搾取の罠が仕掛けられているのだ。Aさんの場合、さらにレストボックスに滞在していて、1泊1500円かかる。レストボックスとは、2段ベッドが並ぶ相部屋で、トイレ、キッチン、シャワーがついている簡易宿泊所。昔は「ドヤ」とか「飯場」と呼ばれた場所である。 こうしてみると、1日働いても6500円しか残らず、そこから交通費の自己負担分や食事代を引けば、5000円前後になってしまう。Aさんの場合、ここから仕送りをするのだが、せいぜい12万円前後がいいところ。これでは、地方に残してきた妻と子は、生活保護一歩手前のギリギリの暮らしなのだ。 (2007.12.27 MONEYzine)
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