オフィスタ・ハケンニュース

フルキャスト 違法派遣に厳しい処分

0 コメント
views

厚生労働省東京労働局は、労働者派遣法で禁止されている港湾での荷さばき業務に労働者を派遣していた人材派遣大手のフルキャストに対し、事業停止と再発防止策の報告を求める事業改善命令を出した。   十日から神戸港に六人を派遣した神戸市にある三支店は二カ月、全国三百余りの事業所は一カ月の事業停止になる。   徳島市内には徳島支店、阿南市内に徳島営業所がある。   労働者派遣法では危険が伴うことなどから港湾、建設、警備の三業務に派遣が禁止されている。同社はこれまで神奈川県や宮城県で建設や警備に派遣を繰り返し是正指導を受けたが改善せず、東京労働局が三月に事業改善命令を出していた。   度重なる行政指導を無視した派遣は悪質である。利益優先主義に走り法令順守を置き去りにした体質は容認できない。   違反のない事業所を含めた処分は初めてで、極めて重いものになったのも当然だ。   同社は一九九二年の設立。景気拡大による求人増で、軽作業を中心にした日雇い派遣で業績を伸ばし、東証一部に上場した大企業だ。一日一万人以上を派遣しているという。   同じ大手のグッドウィルも日雇い派遣労働者が一回働くごとに「データ装備費」の名目で二百円を天引きしていたことが問題になっている。   規制緩和によって労働者派遣市場が急拡大し、ひずみが出ている。法令順守の精神が緩んでいるとの批判もある。各業者には厳格な法令順守と賃金の透明性を高める努力が求められる。   一方で、派遣を受け入れる企業側も再考の余地がある。   九九年の改正労働者派遣法で建設、港湾など一部を除いて派遣業務が自由化、二〇〇三年には製造業も解禁され派遣労働者は増え続けている。厚労省によると、〇五年度は約二百五十五万人で前年度より12・4%も増えている。   派遣労働者を繁忙期に雇用し、仕事が少なくなれば雇わない雇用調整弁として使う企業の姿勢が見て取れる。確かに企業にとって日雇い派遣は低賃金で人材の確保ができる上、社会保険の負担もなくなる。経済界はさらに、港湾など三業務の解禁を要望している。   しかし、派遣労働者を中心とした雇用形態が拡大していくのは日本経済にとって好ましい状態とはいえない。経験や知識の積み重ねによって企業力は継承されていくが、それがなくなると先細りになり国際競争力も次第に低下を招く。   正社員は年齢とともに給与が上がっていくのに比べ、派遣労働者は年齢が上がっても低賃金に抑えられたままだ。若い世代は将来設計が立てにくい。経済的な理由で国民年金の不払い、結婚を先送りにするなどの遠因になり、社会保障制度や少子化問題にも影響を及ぼしているのではないか。   派遣の規制緩和は若者や女性の雇用機会を広げる効果はあった。半面、懸命に働いても収入が増えない「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」といわれる負の現象も生んだ。   派遣市場の急成長で労働政策が対応できていない状態だ。後れを取った国にも責任がある。〇四年の派遣法改正で、一定の派遣期間を超えると企業が直接雇わなければならなくなったが、まだ定着していない。   派遣労働者が安心して働ける雇用環境にしていくために不正摘発の徹底と雇用政策の強化が求められる。   (2007.12.27 徳島新聞)

オフィスタ
作成: 2019/03/16 (土) 13:27:41
最終更新: 2019/03/18 (月) 16:36:37
通報 ...