名もない管理人
2025/02/02 (日) 00:50:17
9a198@73082
ドンランは動物たちを愛していた。故郷でも彼は、病の動物の世間をしていた。
あの仔牛...まさにヌロンイがそのようであった。
ドンランの家に行くと、彼は数日前からヌロンイの面倒を見ながら迎えてくれた。
「部屋を出て今夜は畜舎で寝てみようか」と冗談を言った思い出もある。
ヌロンイは生まれつき虚弱だった。だから、母親にも捨てられてしまった。
親友の誰かは「どうしてそこまでしてヌロンイの世間をするのか」と聞いたが彼はただ、「可愛いじゃないか」という言葉で返した。
T社に来ても、彼は変わらなかった。
路上に飢え死にしそうな動物がいるのなら、喜んで拾い育てていた。
故郷に置いてきたヌロンイと重ねたのだろう。私はあえて言わなかったが、そのように感じた。
だが、九人会の技術に価値が生まれると彼は少しずつ変わっていった。
ヨンジ兄の窓硝子が権力者達と大衆の関心を引き、私も鏡技術を生み出したが...ドンランの技術はそれほどの価値を認められることはなかった。
ドンランはそのことをずっと情けなく思っていたのだろう。
T社が我々の技術を徴収しに来た時、ドンランは自己欺瞞と共にその技術を概念焼却機に投げ込んでしまった...。ドンランの心はその時から強く燃え上がってしまった気がする。
九人会が散り散りになった後、再会したドンランは誰もが羨ましいと思う職場に、彼がずっと前から望んだ命を救う技術を扱う研究員になった。
だが...。彼の目には、あの時のような純粋に命を見守ろうとする熱意が、もはや映し出されていなかった。
それの結果、立ち遅れた己の技術によって忘れていた筈の故郷のヌロンイを思い出す今。
...進むべきである道を見失ったのだろうか?
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