ポ『お母さん!あのドアなに?』
母『え?どれ?』
ポ『あれ!入り口の横にあるやつ!』
母『スタッフさんが通るところだよ』
母の答えに納得がいかなかった。
スタッフ用の扉にしては凝りすぎている。
当時の俺にそのような言語化はできず、モヤモヤが残る。
中覗いてみるだけなら...
どうせ鍵しまってるでしょ...
扉までの距離はおよそ50メートルほど。さすがにこの直線で迷子になるわけもない。
『ちょっと見てくるね!』と握っていた母の手を離し、扉は向かう。
歩を進めるほど心がザワザワする。
とても奇妙な感覚でとにかく早く確かめたかった。
その扉の先に何があるのか。
その扉の前に立って改めて感じる。
背の低い当時の俺目線だとますます異様な存在感だった。
その先に何があるのか。。。
開けてはいけない気がするのに、どうしても開けてみたい。
ノブに手をかけた。
でも、そこからの記憶がまるっきり無い。
気づいたら俺は迷子センターにいた。
白い天井に明るすぎる蛍光灯。
スタッフのお姉さんが『お母さんきたよ』と笑顔で話す。
ポ「お母さん、あのドア、どこ?」
母「え?何の話?」
ポ「さっきのドア!変な色した変なやつ!」
母「なに言ってるの、早く帰るよ」
胸がざわざわする。
なんか、変だ。何かが変。でも、それが何なのか、掴めない。
「ほら、アイス。もう溶けちゃってるよ。」
少し不機嫌そうな父親から手渡されたアイスを受け取って、口に運ぶ。
ほとんど溶けてる冷たくて甘ったるいバニラが口の中でいっぱいになる。
それが美味しくて、変な気持ちは少し遠のいた。
なんだかどうでもよくなってきた。
全部が夢だったのか、本当にあったのかも、もうわからない。
そのまま車で家へ向かう。疲労でいっぱい。
何も考えずに眠りに落ちた。
それから15年が経過。
大学生になりイベント関係で昭和記念公園を訪れた。
扉はなかった。
別の施設や裏側など見渡してもそれらしきものは見当たらない。
そんな扉など存在しなかったかのような。
『やっぱりね...』
何とも言えぬ寂しさが心に残った。