H.O.P.E.

「第二次ソフィスト」の研究 / 66

73 コメント
views
9 フォロー
66
American_Crusoe 2025/07/14 (月) 23:16:16

(7)ピロストラトス

ピロストラトスまたはフィロストラトス(古希: Φιλόστρατος, Philostratos ; 羅: Philostratus ; 170年頃 - 240年代頃)は、ローマ帝国期のレムノス島出身のギリシア語著述家・弁論家・第二次ソフィスト。

主な著作として、「第二次ソフィスト」の由来になった伝記集『ソフィスト列伝』、ナザレのイエスと同時代の奇跡行者の伝記『テュアナのアポロニオス伝』、トロイア戦争の異説物語『英雄が語るトロイア戦争』(『へーローイコス』)、などがある。

フルネームはフラウィウス・ピロストラトゥス(羅: Flavius Philostratus)またはプラビオス・ピロストラトス(古希: Φλάβιος Φιλόστρατος, Phlabios Philostratos)。あるいは「ルキウス・フラウィウス・ピロストラトゥス」(Lucius Flavius Philostratus)というローマ市民式の名前も持っていた。

ピロストラトスの人物像には不明な点が多く、断片的な資料を繋げ合わせることで推測される。

おそらく170年頃にレムノスで生まれた。青年期にアテナイに赴き、ナウクラティスのプロクロスのもとで弁論術を修得した。その後ローマに移り住み、セウェルス帝妃ユリア・ドムナの主宰する知的サロンに参加した。彼女との縁によりカラカラ帝にも仕え、各地の遠征にも随行した。『スーダ』によれば、軍人皇帝ピリップス・アラブスの在位時(244年 - 249年)まで活動した 。

【主な作品】

親族のピロストラトスと混同されやすい等の理由から、作品の帰属にも諸説ある。いずれも古代ギリシア語で書かれている。

①『へーローイコス』(邦題:『英雄が語るトロイア戦争』『英雄論』、古代ギリシア語: Ἡρωικός ; ラテン語: Heroicus ; 213-214年ごろ成立)は、トロイア戦争を題材にした物語作品で、ホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』の異説にあたる。枠物語として、現代(3世紀)のトラキア・ケルソネソス(トロイア遺跡の対岸)に住むぶどう園主が、トロイア戦争の英雄プロテシラオスの幽霊(英雄神[13])と交流して、その交流内容をフェニキア人の旅人に対話形式で聴かせる、という形式をとる。作中では、ホメロスへの賛辞と批判修正が入り交じる。

②『テュアナのアポロニオス伝』(古希: Τὰ ἐς τὸν Τυανέα Ἀπολλώνιον ; 羅: Vita Apollonii, 217-238年ごろ成立)は、テュアナのアポロニオスの伝記の形をとった物語作品で、ユリア・ドムナの依頼により書かれた。テュアナのアポロニオスは、1世紀のテュアナ出身の新ピタゴラス学派の哲学者であり、ナザレのイエスと同時代に活動した奇跡行者でもある。本書では、そのアポロニオスが、西はヒスパニア東はインドまで世界各地を旅する様子を描く。そのなかで、彼の奇跡や哲学の描写だけでなく、地誌や伝説上の生物など雑多な内容が描かれる。本書によって伝えられたアポロニオスは、後世、キリスト教批判者などに注目された。また、本書におけるラミアーの描写は、17世紀のロバート・バートンに受容され、さらにそのバートンを経由して19世紀のジョン・キーツにも受容された。

③『ソフィスト列伝』(古希: Βίοι Σοφιστῶν ; 羅: Vitae Sophistarum ; 英: Lives of the Sophists, 231年-237年ごろ成立)は、ソフィスト達の伝記で、執政官ゴルディアヌス1世への献呈作品。全2巻からなり、第1巻ではゴルギアスら古代ギリシアのソフィストを、第2巻ではローマ帝国期のソフィスト(第二次ソフィスト)を扱う。内容は、史実に即した伝記というよりは、ピロストラトスの視点に基づく評伝として書かれている。ピロストラトスのいう「ソフィスト」は、蔑称ではなくむしろ「哲学者」と並ぶ尊称だった。

通報 ...