kagemiya@なりきり 検索除外

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87

>> 71
……何処かで見た気はしたが、どうやら初対面だったようだ。
この記憶の滞りも酒のせいではなかったのだと、静かに胸を撫で下ろした。

「ぇ……わたし……そんなに、危なそうに見える……?」

酔っているという自覚がないのか、或いは自覚したくないだけなのか。
彼女の気遣いを知れば……自分はそんなにも、見ず知らずだろうと声をかけざるを得ないほどに酩酊して見えるのか、と考えてしまう。

>> 77
「そう……そうですか……そうだよね……こんな、いっぱい……のめるわけない……」

彼女の言葉をそのまま受け入れてしまうのは、やはり酒が回っている影響なのか。
いつものアズキであれば、彼女の真意を察した上でそれを汲み取り、同じ言葉を返すのだろうが……
今はその言葉を、言葉通りに受け取って、安心した様子で言葉を返した。

「…………わかってますよ……でも……きょうは、特別だから……」

「……だって……ハイボールいっぱいで、酔うなんて……いや……うそ、酔ってない……」

もはや支離滅裂だ。複数人に「酔っぱらい」と認識される中で、尚自分は大丈夫だと主張する。
だが彼女の言葉を聞く中で、その心境に変化が生じたか。しばし沈黙を続けると

「……ごめん、アカネ……迷惑かけちゃって……」

しおらしい言葉が漏れる。
普段のアズキからは考えにくい、素直で純粋な気持ちから漏れた謝罪だ。

>> 74>> 83
「……ぇ、と……なに……」

現れた二人に対しても、アズキは歯切れの悪い返事を向ける。
いつもならばバッサリと切り捨てる所なのだが……今の彼女からは微塵の敵意も感じられない。

「くすり……あぶないくすりは……だめ……」

薬、という言葉だけを聞いて反射的に言葉を返した。
一見すると要領を得ない返しだが……一周回って、その言葉は牽制にもなるかも知れない。

86
███=█=██████ 2019/12/31 (火) 22:34:39

>> 83
『__________おやおや、少々強引な方だ』

何処からか、声が届いた。……いや、それは本当に声だったか?
何故我々は、それを声と思ったのか。そう疑問に思う程に、それは酷く雑音塗れで聞き取りづらいものだった。

『年明けまでもう少し、やり残しが無いよう欲望を奔らせる気持ちは理解できなくもない。
 が、この舞台の主役は君たちでは無いのだ。端役は担った役以上の事はせず、さっさと退場するが吉』

それは、いつから……いつの間に其処に立っていたのか。
アズキに肩を貸すアカネと両石たちの間に、彼女の嫌らしい視線を遮るように、それは其処に在った。
居た、ではない。それの姿は声と一緒で、ノイズ雑じりの不気味な形をしていた。
しかし本当に奇妙なのは其処からだ。瞬きをしていない筈なのに、それはいつの間にか人の形を取っていた。
だが、今は誰も気づいていないが、それは見る者によって異なる姿で映っていた。
霧六岡からは、かつて挨拶に赴いた時と同じ、シャツまで黒い燕尾服にシルクハットを被った老紳士の姿に。
両石からは、少々早いが鮮やかな白黒の振袖を、胸元を晒すよう扇情的に着崩した20代前半の美少女の姿に。
意識が朦朧としているアズキと面識のないミオからは、長い髪と深い影で顔がはっきりと見えないのっぺらぼうの姿に。
そして__________この中で唯一、それと深い縁を持つアカネからは。
白いローブに腰まで届く白い髪、そして一転深淵のような黒い肌をした、不気味な青年の姿に。

85
アルメア・ギャレット:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 22:32:47

>> 80
「レビヤタン特大ラーメン……!」
 やはり自分の観察眼は正しかったとアルメアは確信する。まるで西部劇に登場するバーでミルクを頼んだようなこの緊張感。間違いない。皇ハルナはラーメン上級者だ。
 僅かに、アルメアの頬を冷や汗が伝う。女に語りかけるにはレビヤタン特大ラーメンの完食が必須。ツバメからは一度も耳にしたことのないルール(そんなものはないのだから当然である)だ。これは既に廃れた古の慣習と解釈するのが打倒だろう。そしてそれを彼女が口にした事実が示すのはハルナがツバメ以上の熟練者であり、天使ラーメンは彼女のフィールドであること。ラーメンに関しては素人で、レビヤタン特大ラーメンの存在すら知らなかったアルメアには圧倒的不利な状況にある。しかし。
「望むところさ」
 アルメアは不敵に微笑み、挑戦状を叩きつけるかのようにカウンターに手を置いた。
「マスター! すまないが注文を訂正させてくれ! ────レビヤタン特大ラーメンを1つ!」

>> 82
 打ちっぱなしコンクリートの店内に響くどよめきに背を向けたアルメアは次いでシヅキに向き直る。
「この指輪がない、素晴らしい指摘だ。君は良いセンスをしているよ神坂クン。正直なところ私も同感だ。出来ればこんなものは今すぐ捨ててしまいたいが……存外便利なんだよこの指輪は」
 男を見せろ。その一言がナンパ男の自尊心に久々に火をつけた。
「レビヤタンだか特大だか知らないが、見事完食し君を射止めて見せようじゃないか!」
 天使ラーメンの店内で、蒸気に籠もる熱気が僅かに増した。

84
影見ツクシ/スバル 2019/12/31 (火) 22:31:17

>> 79
「あ……有難う、ございます」
「ございますー」
ニコニコ顔で平然と受け取るスバルに対し、その大食漢振りを目の前で見たツクシの方は、やや顔が引き攣っている。同じだけ食べたら……と、ついお腹周りを気にしてしまうが、相手はサーヴァントである。余程のことでもなければ太るということはない。それを思うと、サーヴァントという存在は一種羨ましいものだとも思うが、それは腹の底に仕舞う。
好意を差し出してくれているのである。快く受け取らなければ、失礼というものであろう。

>> 78
……しかし、こういう好意はちょっと困りものである。
「うッ……み、水木さん! ちょっと離れて下さい、お酒臭いです!」
「アルコールのにおい、ですね?」
ぷ~んと、鼻につくその香り。顔を合わせた時はそういう人でもないと思ったが、やはり大人だ。祭りの時になるとこういうこともある。
顔を顰めながら、失礼にあたる言葉を吐きつつも、しかしそれを気にしていられるほどツクシは冷静でもなかった。

83
霧六岡六霧/両石閻霧:難波 2019/12/31 (火) 22:20:21

>> 77
>> 81
「ほう、そうか。なれば良い。女子(おなご)なればこの夜道は危険が多い。気をつけろ」
霧六岡はふんふむと頷きながら、踵を返した。だが
「あらぁ、あらあらぁ、そんなに重篤では可哀想に……。二日酔いでしょうかぁ? それでしたらいい薬を持っていますよぉ?? ふふ、ふふふふふ」
あからさまに妖しく両石は笑う。それに対して霧六岡は、珍しく眉に皺を寄せる。
ああ、また両石の悪い癖が起きたか、と
「(ったく、こいつは悪ふざけが過ぎるからなぁ、ご愁傷様だお前たち)」
どの口が言う言葉を思い、霧六岡はやれやれと肩をすくめてその場を去ろうとした。
「まぁ俺は天ぷら粉を買わねばなのでな、これにて失礼する。この両石はお前たちが頑張って追い払え」
そう言って、呵々と嗤い男の方は去って行った。

82
神坂シヅキ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 22:19:46

>> 75
「奏金……」
す、と酔いが覚めそうになる。
忌まわしい記憶、憎らしい父の背中が脳裏に浮かぶ、が。

>> 76
「────はっ」
当の男からの、予想だにしていなかった言葉で、心がなぜか軽くなった。
「はははっ、ええな、ナルメア言うたか、あんた結構なギャグセンスやんか。あぁギャグだけな、その指輪はないわ。オツキアイもお断りや」
…奏金なんている割に~、という言葉を続けかけて、飲み込む……と。

>> 80
なにやらハルナちゃんが面白いことを吹っ掛けていた。
なんやアタシが求婚されて自分だけ言われないのが嫌やったか?などと検討外れな事を考えながらも、ノリで彼女の言葉に(棒読みで)続ける。
「そうやそうやー、あんくらい食いきれんで男見せたなんて言えるかー」

81

>> 77
>> 74
「成る程。では、この方の介抱は貴方にお任せ致します。良き時間を過ごされることをお祈り致します」
再び会釈。無表情は竟ぞ変わらず、しかしその誠意も変わらず、そのまま少女は離れていこうとした。
しかし、その途端に掛けられた一つの声。アカネが応対する声に反応するように声の主を見てみれば、どうにも怪しすぎる二人組であった。
それを見てどう思ったものか。少女もまた、このように告げた。
「お気にかけてくださり有難うございます。しかし、問題は解決致しましたので……」

80
皇ハルナ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 22:13:43

>> 76
反射的にアルメアを睨んだ。

当然冗談なんだろうが、そういった物言いは決して愉快ではない。
とはいえ当然殴りつけるわけにもいかない。仮にも直営が9mmで倒せるとも限らないだろう。
そんな折、彼が頼んだ小盛りのラーメンと、彼が口にした謎ルールが思考に挟まった。
当然ながら、天使ラーメンにそんなややこしい掟はない。合成食材に満ちたラーメンにルールはなく、ただ美味しければそれでいい弱肉強食の世界だ。
だが、何か誤解があるならそれでいい。

「……ここで女に語りかけたいなら、レビヤタン特大ラーメンを完食してからにしてもらおうか」

レビヤタン特大ラーメン。
店主がお約束の特大メニューとして作ったはいいが、本気で完食者が1人しか出なかったことで強制的に幻となったメニューの一つである。そのボリュームは瀬戸内の海の如し。
さぁどうする余所者。乗るか反るか。

79

>> 62
「んー、まーいっつもこの位は食っとるかな?」

焼きそばとタコ焼きを食い終え、背中に映えた白い翼の上に器用に置いていた年越しそばを手に持ってはずぞぞぞぞーっと気持ちいい音を立てながらおいしそうに啜る。まだ腹八分目には遠そうだった。
そのまま1分も経たずに麺を食い終え具材を放り込み、汁を一滴残さず飲み干すと、
隣に滞空させていたローちゃんが咥えていた袋の中からたい焼きを三つ取り出して、

「んぐ。食うかー?」

と、一つを咥えながら残り二つをツクシとスバルへと差し出した。

78

>> 62
「ん……あれは」
どこぞの屋台で買ったのかワンカップを片手に住吉大社の境内を見て回っていた見覚えのある三人と二羽に気付いた。
「おぉう! 逃……影見のおじょうちゃんにハービンジャーじゃないかぁ! それにワルキューレの嬢ちゃんにそのお供!」
その声は上ずり、顔は真っ赤になっている。
「夕飯は食べたか? 小腹は空いてないかおじさんがおごってやるぞぉ! ってワルキューレの嬢ちゃんは食ってるとこかヒック」
泥酔状態のトウマはしゃっくりをして酒臭い息を吐きながら二組に話しかけた

77

>> 65
「ん?あー……………いや流石にこんな飲めねえ。一、二缶程度だよ」

嘘である。この少女、瓶こそ空けていないものの缶に関しては半分以上飲み切っている。
しかしアカネは(本人は認めないだろうが)気遣いができる人である。自分に向けられた視線に乗せられた感情と、そしてその奥に隠されたアズキの考えを読み取った彼女は、少々言い淀みながらも嘘をついた。
……逆神アカネは嘘をつくのが下手な部類だ。加えて長い付き合いであるアズキに嘘が通じたことは一度もない。
しかし今の彼女は酔っ払い、正常な思考を保っていないだろう。だからこそ言い放った嘘であった。

「……私の勘違いかもしれないけど。一応、一つだけ言っておく。
 酒が飲めないことは、別に恥ずかしいことでもなんでもない。むしろ無理して飲んで酔っ払うほうが恥ずかしい」

アズキと目を合わせず、彼女を運びながら語る。

「私は5
「ん?あー……………いや流石にこんな飲めねえ。一、二缶程度だよ」

嘘である。この少女、瓶こそ空けていないものの缶に関しては半分以上飲み切っている。
しかしアカネは(本人は認めないだろうが)気遣いができる人である。自分に向けられた視線に乗せられた感情と、そしてその奥に隠されたアズキの考えを読み取った彼女は、少々言い淀みながらも嘘をついた。
……逆神アカネは嘘をつくのが下手な部類だ。加えて長い付き合いであるアズキに嘘が通じたことは一度もない。
しかし今の彼女は酔っ払い、正常な思考を保っていないだろう。だからこそ言い放った嘘であった。

「……私の勘違いかもしれないけど。一応、一つだけ言っておく。
 酒が飲めないことは、別に恥ずかしいことでもなんでもない。むしろ無理して飲んで酔っ払うほうが恥ずかしい」

アズキと目を合わせず、彼女を運びながら語る。

「どんだけ豪華なご馳走並べてもよ、美味く食えなきゃ意味がない。
 無理して腹に詰め込んで、後で吐かれでもしたら、食ったほうもそうだし作ったほうだってつらい気持ちになる。
 だから……あー、そうだな。とにかく苦手なモンは断って好きなモン頼めばいいんだよ。雰囲気やら責任感やらに振り回されるなんてお前らしくもねえだろうに……」

>> 71
「……あー、悪いな。こっちは私に任せて、お前も年末年始ゆっくり過ごせよ。
 天王寺じゃあ何かやってるみたいだし、こっちも新年はお祭り騒ぎだからよ」

そう、ぶっきらぼうに返すアカネであった。

>> 74
「……………」

面倒くせぇ、と内心舌打ちするアカネだったが、ギリギリ暴言を吐くことは我慢できた。
ただでさえ隣には今にも吐きそうな少女がいる。そんな隣で騒げば決壊してしまうかもしれない。
それだけは避けねばならなかった。被るであろう自分としてもそうだが、年明け前に彼女に苦い思い出を残させたくないという気遣いの気持ちのほうが強かった。

「……こっちはもう大丈夫だから、あっち行っててくれ」

しっし、追いやるように手を振る。彼女にしては珍しく、穏便にことを解決しようとしていた。

76
アルメア・ギャレット:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 22:04:52

「私はまだまだラーメン初心者だからね」
 誰に言い訳するわけでもなくペラペラとアルメアは並べ立てる。隣にいるハルナに向けたセリフとも言えない、独り言もどき。
「曰く、一年食べつけるまではミニラーメンを注文しなければならない。
 非合理的な理屈だと思うが郷に入っては郷に従えとの格言もある。それが店のルールなら従うさ」
 ……それはアルメアがラーメンを食べたことがないと聞いたカグヤの吹き込んだ嘘だった。
 アルメアが信じているのか、それともふざけているだけか、表面上からは読み取れなかったのでツバメはスルーを決め込んでいたが、あいにくと今回ばかりは本気で信じていたアルメアはこうして毎度毎度ミニラーメンを注文している。
 今のセリフはようやく疑いが鎌首もたげてきたアルメアがそれとなくラーメン上級者っぽいハルナに出したSOS信号だったりした。
 しかし、そんな事情を知らずに聞いているハルナにすればまったくもって意味不明なセリフでしかなかったのだが。

>> 70
「おっと」
 ハルナの言葉にアルメアは軽く眉を上げた。
「はじめまして。自己紹介が遅れたね。私はアルメア・ギャレット、ご察しの通り奏金の直営だ。そういう君は……皇ハルナさんだったかな? 活躍は耳にしているよ」

>> 73
 声が耳に届く。アルメアはそちらを一瞥し、それとなく手袋を外した。金の指輪が品のない光を反射する。
(神坂シヅキ……独立派の中心人物か。奏金のリストに入っていたはずだ。……意向に従うなら捕縛しておくべきかもしれないが……)
 小さく鼻を鳴らし、アルメアはやれやれと首を降った。今日は大晦日。仕事納めは終えている。働く必要はない。
「こんばんは美しいレディ。第一印象で決めました。結婚を前提としてお付き合いを申し込みたい。……お返事をいただけるかな?」

75
皇ハルナ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 22:01:17

>> 73

「直営の人だよ。多分。奏金の」
小声でシヅキに耳打ちする。
彼女の出自を考慮して、少し思案を回す。
そ知らぬ顔でラーメンを啜ってもいいのだが、奏金の人間に思うところがあるのなら席でも変えるべきだろうか。

それはそれで直営の男に礼を欠きそうではあるが……彼そういうの気にするのか?
……あまり他人の思考には疎い。変に気を回すよりさっさと食事を済ませたほうがいいか。

74
霧六岡六霧/両石閻霧:難波 2019/12/31 (火) 21:57:13

「んんん? あれは、酔っぱらいか? あれは」
興味深そうに人の形をした災害霧六岡が、酔っていたアズキとその周囲を囲む少女達を見つける
「よぉ!そこの女子(おなご)共!何かあったか?」
「ちょっと……あら、かわいい子達」
じゅるり、と後ろに立っていた、モコモコファーのコートを纏った両石が舌なめずりをする
その胸元には、閉まりきらないほどの乳房がすこし見え隠れしていた

73
神坂シヅキ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:52:34

>> 70
「あぁ、ごめんなぁー」
席に辿り着くまでに飯が来てしまっていたようで、恨めしそうな目線を貰ってしまう。
それはそれとして構って貰えたのが嬉しいので、席からラーメンとジョッキを持ってきて、場所を動く旨を店員に伝えた。
「……へへへへ」
思いの外心細かったようで、隣に知己がいるだけで笑みが零れてしまう。
……が。

>> 66
「……で、そっちの成金優男はなんや。アタシはまだハルナちゃんを嫁に出す気はあらへんでー」

72
パーシヴァル 2019/12/31 (火) 21:50:31

>> 58
アルスくんが、マスター闘志を燃やしている。
それはとても素敵で成長が嬉しいのですが、私は今素直に成長やその凛々しい姿を喜んでいる余裕がありません。
あれは一ヶ月ほど前、マネージャーさんの持ってきた紅白の仕事に一も二もなく「紅組で!」とか抜かしたら歌う方ではなく司会だったのですから。
これは不味い!と気付いて何とかしようとするも、時既に遅し。着々と話は進んでしまい、先王に思わず愚痴を零すと「てめぇは昔から人の話聞かねぇな!」とケ…鸚鵡に罵られ「じゃあやってみせますよ!」と啖呵を切ったのが2週間前。
そしていま私は紅組司会として大舞台に立っている。
正直頭に叩き込んだ台本をそのまま言うのが精一杯です。
アドリブする余裕なんてありません!……大物芸人の方!アドリブでこっちに振るの早めてください!
しかし、ここでトチれば主であるアルスくんや仕事をとって来てくれたマネージャーさnはじめとしたプロダクションの方、それにプロデューサーに恥をかかせることになります!
ここはなんとしてでもやり遂げてみせます!
そう言えばプロデューサー今朝見た時、死にそうな顔してましたけど大丈夫なんですかね、あの人

71

>> 57
>> 65
「……成る程。お知り合いの方がいらっしゃいましたか」
相も変わらず無表情で、どうにも、感情が読み取れない。
倒れかかっていったアズキを横合いから見つつ、少女は言葉を続けた。
「私と貴方の間に面識はありませんが、体調不良のようでしたので、勝手ながら介抱した方が宜しいかと思いお声掛けした次第です」
しかし、と、首をアカネの方へ傾けて、
「どうやら無用のことだったようです。失礼致しました」
スカートの裾をつまみ、小さく頭を下げる。決して洗練された動きではないが、謝罪の手段として、誠意が込められていることだけは、何とか読み取れる。そんな、ややぎこちないものだった。

70
皇ハルナ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:43:33

>> 66
「あなた、奏金の……誰だっけ?」
チラとアルメアの方を見て身なりを確認し、すぐに視線をラーメンに戻す。
いざラーメンを食べに行くとなると、あまり同業者と顔を並べながら食べるのは気が進まないのだが。
多分気にしないだろうなぁ彼。話聞かなさそうな感じがすごい。

>> 67
後方からの衝撃。顔をがくりと前に倒し、すぐに戻す。
そして少し恨めしそうにシヅキに視線を向けた。

「シヅキ、今食べてるから」

そして、アルメアのいない方の席を軽く叩いた。

69
神坂シヅキ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:43:10

>> 67
(注目→注文)

68
霧六岡六霧/両石閻霧:両石自宅@難波出張所 2019/12/31 (火) 21:37:57

~少し前~
「ダッハッハッハッハァ!! 今年の絶対に笑ってはいけないエルメロイ教室24時も面白いなぁ!! 
 まさか時計塔の麒麟児キリシュタリアまで呼んでくるとは思わなかったぞ! 驚いたものよなぁ両石ィ!!」
「いや知らないし……私時計塔関係知らないから。てかなんでアンタは分かるのよ」

ふぅむ? と分かっているんだかわからないんだかの生返事を返す霧六岡

「しかし、年末というのにこうして家から出ないというのも、些か平穏すぎやぁしないか?」
「そうね、あんたが来るまでは平穏だったわね」
「ああ? この前破壊した玄関は俺が全面修理してやったろう? 何が不満だ!?」
「悪趣味が過ぎるのよ! 何あの黄金の髑髏の装飾! 剥ぐのにどれだけかかったと!?」

呵々と両石の講義を嗤って流しながらビールでから揚げを流し込む霧六岡
年越し蕎麦の為の出汁の準備を片手間に済ませ、今の彼はすっかり年越し晩酌モードだ

「む? おい両石天ぷら粉はどこにいった?」
「いやそんなあって当たり前なこと言われても常備してないんだけど」
「ナニィ!?」

ガタリ!! と勢いよく立ち上がり手に持っていた麒麟百番搾りの空き缶を握り締める

「年越しそばと言ったらカラリと揚ったかき揚げの乗ったそばであろうがァ! それを貴様ぁ!!!!!!」
「うるさいマジで五月蠅い。頼むからその声帯を切り離してハードオフで売っ払って来て」
「天ぷらの無い年越しなどあっては我が狂気が曇るというもの……!! いくぞ両石!! 出征の時だ!」

そう言って男はもこもこのファーのついたコートを両石に投げつけ、自分もコートを羽織った。
両石は心底めんどくさそうな顔をするが、ここで反対をするとめんどくさい事になるのはよく理解しているので、
仕方なく彼の行動についていくことにした。もちろん、彼の狂気を諫める理由もあるが、理由はもう一つある

この霧六岡は、いわゆるトラブルメーカー体質。それはつまり、似たような破天荒な少年少女を呼び寄せる意味も持つ。
つまり

「(今夜紅白で出るアルス君みたいな、可愛い美男美女拾えるかもね。拾えたら、いい奴隷玩具になりそう…)」

つまるところ、彼女も自分の狂気の為に、霧六岡の狂気についていくことを選んだのだ

67
神坂シヅキ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:37:11

「ナハハハハハハ!!年の暮れで酒が美味いわー!!」
年末。アタシは毎年一日だけ…と言うほどでもないが、この日はだいぶはっちゃけてもいい日やと自分を許している。
こういう時にツれないロベスピには適当な理由を付けて家で待ってて貰って、システィナと一緒にここに飲みに来るのがいつものパターンだった。
「……つっても一人じゃ盛り上がりに欠けるんよなぁ、はぁ……ラーメンうま」
しかし、今年はシスティナがいない。
HCUの方が回収業者に暇を出したと知った途端、独自調査のチャンスだとか言ってどっか行ってしまった。
激辛味噌ラーメンの美味さは相変わらずだが、ツッコミがいないのにボケるのも意味がない。
微妙に空回りするテンションに若干の白い目が向けられるのを感じて声のボリュームを下げながら、ずるずると麺をすすりジョッキ三杯目の合成生中を流し込む。
「ぶはー……。はーぁ、誰か来んかなー、来たらこのノリで無駄に絡んでやるんに……お?」
と、ぼやいたあたりで視界の隅に映ったのは、いつも通りのゴツいコートを着た女…皇ハルナ。

>> 63

「……けっけけけ、今日アタシの前に現れたのが運のツキやでハルナちゃん……!」
ふらり、と千鳥足の自覚を持ちつつ立ち上がり、注目を済ませ一息ついたのを確認してから、後ろから近づいて。
「ハルナちゃーん!こっちで飲もうでー!!!」
がばっと。誘いをかけつつ抱き付くなどということを試みてみた。

66
アルメア・ギャレット 2019/12/31 (火) 21:34:54 >> 63

 独り言を呟き呟き、暖簾をくぐった男は皇ハルナのすぐ隣で立ち止まる。
「ところでそこの麗しいお嬢さん。お隣よろしいかな? 見ての通り、他に空席が見当たらないんだ」
 ハルナの返事を聞く前に男は図々しくも右隣にどっかと腰を下ろした。脂臭いラーメン屋にそぐわない薔薇の薫香が冬のホタルのようにほんのりと、本当に幽かだが漂ってくる。
「天使ラーメン小。硬めで頼むよ。それとセットに二枚羽餃子一人前を」

65

>> 56
「ふぇ」

思いがけない声が背後より投げかけられ、素っ頓狂な声を上げてしまう。
振り返るとそこに立っていたのは、白い髪の美しい青い瞳の少女―――――。

「え、っと……あなたは……ぅ、っ」

見覚えのある顔の筈なのに、肝心の名前を思い出せないのは、今体を巡っているアルコールのせいなのだろうか?
思考を巡らせるも言葉は出ない。アズキは眉間にシワを寄せながら……こみ上げる吐き気をこらえながら、俯きつつ沈黙を引き伸ばす。

>> 57
そんな時、またも見知った声が投げかけられた。
がちゃがちゃ、がさがさと、膨らんだビニール袋に缶を詰め込んでいるその少女は

「ぇ……アカネ……アカネぇ……?」

難波都市軍に所属する「剣士」、逆神朱音その人。
自我を失う寸前にあっても、見知った彼女の名は思い出せた。
ここ難波でも何度顔を合わせたことのある相手で……こんな姿を見られたくなかった相手。

「だ……大丈夫ですよ……この程度で、私が酔っ払うわけ……うぇ……」

情けない姿は見せられないと、精一杯の虚勢を張ってはみるが……言い終えるよりも前に崩れかける。
そんなアズキの姿を見かねてか、倒れる寸前で腕を差し伸べ、抵抗することも出来ぬまま彼女に体を預ける形となってしまった。

「…………それ……それ、アカネが全部飲んだの……?」

そんな中で、彼女が手にしていたビニール袋――の中に詰め込まれていた、空き瓶や空き缶の数々が目に入った。
アズキからしてみれば到底信じられない量の酒。これを、彼女が一人で飲み干したというのだろうか……?
口に出すつもりはなかった。だが朧気な思考回路ではその声を心のうちに留めることは出来ず、驚愕と畏れが混じった声色で言葉を零してしまった。

64
アルメア・ギャレット 2019/12/31 (火) 21:27:34

「んっんっん〜。ツバメくんのヤツめ、自分から誘っておいて……急用が入るとはね。いやはや務め人とは辛いものだ」

63
皇ハルナ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:16:55

「……天使ラーメン。醤油あっさり細麺、それと二枚羽餃子2人前」

62
影見ツクシ/スバル 2019/12/31 (火) 21:14:29

>> 60
「……年越しそばじゃなくて年越しうどん? 強欲な……」
「? としこし? うどん ごうよく?」
「ああ。この年越しそばっていうのはね……」
年越しそばならぬ年越しうどんを売る出店がふと目に留まり、つい零した言葉を一々とスバルに解説する。こういうのはセンセイの役割じゃないかなあ、とぼんやり思ったツクシが、掛けられた声に振り返ると、見覚えのある顔がいた。

「ああ……リットさん。こんばんは」
「こんばんはです。やっほー?」
控えめに会釈をするツクシに対し、スバルはふりふりと手を振る。あまり意味は分かっていないようだが、楽しそうな顔をしている。
「リットさんも、年越しを待っていらっしゃるんですか?」
もぐもぐと食べ続ける少女と、それを支える二羽の鳥を見比べ、鳥達に同情の目線を送りながら、それとなく問いかける。いつもこんなに食べているのだろうか。

61
皇ハルナ:天使町 2019/12/31 (火) 21:13:28

「…………」

テレビを消す。
外から入ってくる情報は、いつも心底辛い時の励みになるものだ。
ただ、時間の流れを感じるものだけはいただけない。
「神戸」ができてから何年経っただろう。
事故が起こってから
私たちに羽が生えてから
私達は、これで何年この鳥籠に閉じ込められているんだろうか。

コンテナを漁り、銃を手に取る。
こんな時期に仕事なんて、風情もへったくれもない。というか、組合は依頼を出して貰えるだろうか?
それでも、過去を懐かしむよりは、今に埋没してしまいたい。
仕事に意識を集中させていきたい。
何も考えたくない。

「――――――はぁ」

空振り。
組合長―――『最初の回収業者』が応対に出てきて、直々に断られた。
曰く、休める時に休めなくなると命が危ないですよとか。相変わらず呑気な人だ。
結局はHCUがバタバタしてるのもあって、直営も個人も今日明日と勝手に動くな。ということだ。
こうしてヤケクソを即座に禁止されてしまった訳だが、果たして如何に時間を潰すべきか。

「―――ラーメン、食べようかな」

まぁ、自堕落に発砲するよりはまだ健全だろう。
とりあえず掴んでいた銃を仕舞いなおして、町の中にあるラーメン屋に脚を運んだ。

60

>> 53
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ。
エンドレス咀嚼音を響かせリスのように頬を膨らませながら出店の食材をモグる少女がそこにいた。
彼女はリット。モザイク市を旅する新世代ワルキューレサーヴァントであり、
最近は羽休めとして天王寺に滞在し、そして今は住吉大社の屋台を食欲のままに食い荒らすリス系美少女である。

「……ん?お、ツクシちゃんにスバルくんや。やっほー、楽しんどるー?」

やってきた二人に気づき、顔を向け挨拶するも、食事の手は止まらない。
ちなみに彼女の隣で普段羽ばたいている白鳥のローちゃんと烏のメーちゃんは買った食事が詰め込まれたビニール袋を咥えているため会話に参加できない。断じて喋らせるのが面倒とかそういう理由ではない。いいね?

59

天王寺
「ご馳走さん! こっちの蕎麦も悪くねぇな。 しかし、蕎麦湯ねぇのが信じられねぇ
蕎麦湯まで飲んでこそ蕎麦ってもんだろうが」
年季の入った蕎麦屋から、上機嫌で出てきた男がいた。
男、水木トウマの顔は赤い、年越し蕎麦のついでに一杯引っ掻けたようだ。
あーだこーだ言いつつも蕎麦の味には満足だったらしくいつになく上機嫌で街を歩く。
相棒であるケルベロスは寒い中外には出たくないと家に籠っている。
年末の街中というのはどこも店は閉まり、人がいないと言うのにどことなく祝い事のような雰囲気があってトウマはそれが好きだった。
「ん……確かこっちは?」
だが、そんな独特の雰囲気とは違う賑やかな気配を感じトウマは首を傾げた。
方向と声のする距離を頭の中に入れた地図で照らし合わせ何があったか推察する。
「あっちは住吉大社か……二年詣りには早いが行ってみるか」
(あ……ボスが出てるのに紅白見るの忘れてた。ま、ケルベロスが録ってるだろ……)
トウマは軽やかな足取りで鼻歌なんて口ずさみつつ住吉大社へと向かった

58
アルス/XXXI:紅白会場 2019/12/31 (火) 20:59:58

特設のステージで、男が吠える。
飛び上がるように激しく、浮遊するように夢見心地のエクスペリエンス。
彼を知らぬ者の多くは話題性だけのアイドルと言い、彼を知る者の全てはKAWAIIと言う。確かにKAWAIIとしか言いようがない。
この舞台に選ばれた彼の実力は、本物だ。
自然と拳に力が籠る。それは感動ゆえか、あるいは。
しかして今は駆け出すべきではない。今の自分には何よりもやるべき使命がある。

「彼谷パルヴァライザーさんの『飛行型完全体』ありがとうございました!!」

時は大晦日。このステージはこの地域に古くから伝わる祭事―――紅白歌合戦の中心にある。そして、司会の大役を自分が務めているのだ。

「さて、そろそろ中間発表の時間であるな!今の段階では……白組が優勢である!皆の者ありがとう!」

ここで折り返し。しかしまだまだ気は抜けない。今年を駆け抜けた流星の如きアイドル達を代表し、自分はここに立つ。
側に立つ己の騎士は、今は紅組の司会……この一夜だけはライバルを名乗らせてもらいたい。
その気負いが眼差しに宿っていたのか、パーシヴァルもまた本気の視線を返す。

今年もあと僅か。1年間の想いを込めた、熱唱を此処に!

57

>> 55
そんな彼女の下に、近づく影が一つ。

「……おい、大丈夫か?」

普段羽織っているレインコートはなく、代わりに赤いジャージをセーラー服の上から着込み。
何時も携えていた無骨な機巧刀の代わりにチューハイの空き缶や日本酒の空き瓶がぎっしり詰まったビニール袋を持った。
そんな如何にも飲み会帰りな彼女の名は、逆神朱音。今目の前で酔いどれているアズキと同年代の少女である。
その袋の内容から、彼女もまた相当な量を飲んでいる筈なのだが……一杯でふらふらになってしまった彼女とは異なり、特に酩酊した様子もなく、顔はぽうっと赤くなってはいるものの、その足つきは確かなものであった。

「ほら、肩を貸してやるから……ここからだとウチが近いな、キツそうなら一辺吐いたほうがいいぞ」

慣れた手つきで今にも倒れそうなアズキの腕を取って体勢を支える。というのも彼女、実は先程まで雀荘で大暴れしており、そんな彼女に一足先にお年玉を振り込んだ挙句ヤケ酒で酔い潰れた、最近知り合った青年を送り届けていたのだ。
ぐでぐでヨットマンを丁寧にベッドに寝かせ、わざわざ律義にゴミを持ち帰っている最中に、こうして同じく酔っ払った彼女と出会い、いつものようにお節介を焼きに近寄ったのだ。

56

>> 55
「……大丈夫ですか?」
そんなアズキに、声をかけるものがいた。寒空の下、更に寒さを感じさせるような冷めた色のパーカーに、丈の長いスカートを身につけた少女。
顔を見てみれば、それを何処かで見たことがあるのにも気がつくだろう。しかし、それを何処で見たのだったか。中々思い出せない。そんな、地味な顔立ちであった。
それが、無表情なまま、いつの間にか立っている。声をかける割りには、その声音に心配の色はない。青い瞳が、透明な輝きを湛えているばかり。

55

年末の難波、道頓堀。
過ぎゆく年を楽しく祝おうと、人混みで賑わう繁華街にて。

「……ぅ、ひっく……」

人混みから少し離れるように歩く、千鳥足の少女が一人。
いつもは仏頂面のその顔は仄かに赤く染まり、固く締まっているはずの口元も、今日はどこか緩んでいる様子。
堅苦しい雰囲気はどこへやら、着崩されたシャツの胸元からは、僅かに肌色が覗いている。

……数時間前、彼女、鴈鉄アズキが所属する武装警邏隊で年内最後の忘年会が行われた。
周りは一回り以上も離れた年上の男性ばかり。そんな中に、娘のような年齢の少女が放り込まれればどうなるか。
あれ飲めこれ飲めそれ食べろ、と。蝶よ花よと愛でられて……そんな雰囲気に流されてしまった結果……
軽い気持ちで飲んだハイボール一杯で、まさかここまで酔ってしまうなんて。

「ふらふらする……あつい……はやく、かえらないと……ぅ、ぷ……」

覚束ない足取り、酩酊が見て取れる表情は、この人混みの中でも一際目だって見える。

54
影見ツクシ/スバル 2019/12/31 (火) 19:50:52

/絡み待ちです。他の都市泥の方もどんどん自分なりの年越しイベントを起こしてみて下さい。

53
影見ツクシ/スバル 2019/12/31 (火) 19:50:20

年の暮れなど、彼女の暮らしには関係なかった。仕事があれば関係なく引き受けるし、仕事がなくても、別段特別なことをするわけではない。
年越しそばなど、彼女が小学校に入る前に食べたっきりだ。だから、今年もそうするものだと思っていた。
……だが、今はスバルがいる。何も知らない、本当の子供のような同居人(サーヴァント)が。この子に、それまでと同じ、“普通ではない”年越しをさせるのは、少し気が引けた。
という訳で、影見ツクシは、もこもことしたコートに身を包み、スバルにはもっともこもこしたジャンパーを着せ、「天王寺」の天王寺町にある住吉大社へと足を運んでいた。
此処では、毎年年越しを共に祝うイベントが開かれている。ちょっとした出店じみたものなどもあり、その雰囲気はお祭り宛らだ。

「……こんな風になってたんだ」
「ひとがたくさんです。みんな、なにをしているのですか?」
「もうちょっと待ってれば、分かるよ」

そうして、あちこちを見やるスバルの手を引き、彼女は境内をふらふらと彷徨っていた。其処此処に、見覚えのある顔がある。

50
クリスマスの数日後 2019/12/29 (日) 21:02:03

「○○○○(クソッ)!」
角を曲がった先にある、道を遮る瓦礫と凄鋼の巨大複合物を目にしたイーサンは、乱暴に舌打ちをする。
ロストHCUが存在する地点の目星がかろうじてつき始めたと思ったらこれだ。
「神戸」内部は一見すると人気のない市街地のようだが、実際には天然、いや人工か、の迷路ようなものだ。
暴走した自動開発プラントと凄鋼によって構造自体が狂っており、しかもそれが変化し続けている。
それに加え、クソッタレな無人兵器がうろついていて、見つかろうものなら容赦なく攻撃を加えてくる。
要するに、ここで迂回路を探そうものなら、お宝は二度と見つからない可能性が高いってことだ。
イーサンは携行していたAA-12を苛立ちのままに構え、目障りな塊に銃口を向けて引き金を引こうとしたところで、思い直して指を離す。
そして、自分でもわざとらしいと感じるほどに大きくため息をつき、呼気とともに湧き上がる感情を吐き出す。
ショットガンではこの障害物を破壊できないし、AA-12をグレネードとして使用するために特殊弾薬のFRAG-12を使ったところで結果は大差ないだろう。
そしてなにより、弾薬はタダではない。
「ったく」
と思わず口に出してしまうが、その続きは口にするには惨めすぎるので何とか飲み込む。
俺の人生はいつだってこうだ。
そんな言葉は他人には聞かせられない。
特に、自分のサーヴァントには。
「お、どうしタ」
後ろからついて来ているギドィルティ・コムが、なんとなく違和感のあるイントネーションでイーサンに声をかけてくる。
「見ての通りだギドィルティ。こいつが通せん坊ってわけだ」
振り返ったイーサンはAA-12で瓦礫と凄鋼でできたオブジェを指す。
「なるホど。オレの出番ってわけだナ」
それを聞いたギドィルティ・コムは、いつになく素直な様子で口を開くと、羽織ったパーカーのポケットに手を突っ込んだまま障害物に近づく。
ギドィルティ・コムと入れ替わるように、イーサンは数歩後ずさる。
ほとんど不死身のようになった体とはいえ、「これ」は何度見ても本能的な忌避感がある。
ギドィルティ・コムが大きすぎる口をぱかりと開くと、その周囲に巨大な口のような幻像が現れる。
はっきりと目に見えているかは分からないが、それが口であるということだけはなぜか明確に分かる。
そして、ギドィルティ・コムががちりと尖った歯を噛み合わせるのと同時に、巨大な口も閉じる。
そこに残ったのはボリボリガリガリと硬そう音を立てて何かを噛んでいるギドィルティ・コムと、大きく削り取られた障害物だ。
その断面は、特大のハンバーガーに思い切りかぶりついた時にできる跡とでもいえばいいだろう。
これは、ギドィルティ・コムにとってはまさに食事なのだ。
目の前に恐るべき捕食者がいるという脅威が、これほどまでに本能的に嫌な感覚を引き起こすのかもしれない。
咀嚼していた何かを飲み込んだギドィルティ・コムは、イーサンに視線を向ける。
それに対してイーサンはうなずいて返す。
何を考えているのか分からないやつだが、たまにはこれで通じるようになった。
ギドィルティ・コムは、大きく削れたものの穴が空くには至っていない障害物に向き直る。
「そうイえば、あのクリスマスケーキっテやつは中々ウマかったゾ」
そう言ってから、今度二口三口とかぶりつく。
ギドィルティ・コムは空いた穴の前でイーサンに向き直ると言葉を続ける。
「でだ。年が明けるト、この国ではモチとかいう白くてノびるもの食べルらしいな。今度はソれをよこセ」
イーサンは思わず苦笑する。
ある意味では、何を考えているのかこの上なく分かりやすいか。
「うるせえ。ハンバーガーで我慢しろ」
「もう飽きタ。それに天使町ラーメンとギョウザもマだ食ってないゾ」
イーサンは、ギドィルティ・コムの恨みがましい視線と言葉を受け流しつつ、空いた穴を通って先へ進む。
後ろからギドィルティ・コムの足音が聞こえる。
もっと扱いやすいサーヴァントの方が良かったと思うことも正直あるが、これはこれで悪くない。
ま、お目当てのブツが首尾よく手に入ったらモチってやつを買ってやるよ。
言質を取られても面倒なので、イーサンは内心で付け加えた。

49
セクターゼロ怪文書:収監者参號監視手順 2019/12/29 (日) 01:06:39

収監者参號は、セクターゼロ標準収容独房の中央に安置されます。
収容独房にはサーモグラフィカメラを設置し、常に収監者参號の温度上昇を監視します。
想定される変化量を上回る温度上昇が確認された場合は、即座に封鎖プロトコル“望まれぬ篝火”を発動します。
収容独房の管理維持は、耐熱加工及び指定されたキャスターのサーヴァントによる魔術的強化を施された無人ドローンによって行います。
いかなる事情があろうとも、生死を問わず生命体が収容独房に立ち入ることは禁止されています。

48
あんひみ怪文書:鍋を作る 2019/12/29 (日) 00:50:55

今日は珍しく、彼女が夕刻まで外出している。これほど早く帰宅することは、彼女を召喚してからは初めてかもしれない。
帰宅した時に迎える声がないことに、酷く面食らい寂しさを覚えるようになってしまった。何とも、以前の己からは大きく変わったものだと、妙なところで感慨深さを覚える。
ともあれ、彼女がいないのであればやるべき事がある。夕食の準備だ。普段は彼女にお世話になりっぱなしだが、インスタント食品に頼り気味だったとはいえ、これでも自炊していた身である。
彼女に何もかもを頼りきりになるような堕落した真似をするつもりもなく、普段の恩義も兼ねて、これくらいはやらねばならぬ。
というわけで、彼女ほどのものではないが、男鰥の雑な料理をいそいそと始めることとした。作るのは、鍋である。
この頃はよく冷える。温暖化したとは言っても、冬季の冷え込みに歯止めがかかるものではない。鍋の一つでも作って、よくよく温もろうという算段である。
放り込む具材として、冷蔵庫からあるだけの野菜を引っ張り出す。ネギ、白菜、人参、大根、豆腐、まずまず一般的な具材は揃っている。
加えて、買って帰ってきた鶏肉、豚肉、マロニーにえのきやしめじも加えて、今日の献立は水炊き鍋である。
出汁を昆布で取りつつ、通り一遍具材を切る。暇があれば鶏肉を煮込んで少しくらいはスープを取りたいところだが、そんな間はないので、粉末の鶏がらスープを入れて間に合わす。味を見て、少し薄味だったので味の素を少々つまみ入れる。
味が整ったところで、煮えにくいものからポンポンと具材を放り込む。難儀するのがマロニーで、幾ら溶けにくいとはいっても茹で続けるとくたくたになってしまう為、入れるタイミングには要注意である。
彼女であれば見た目にまで気を払うのだろうが、粗雑な自分では、やればやるだけ具材を滅茶苦茶にするのがオチであろう。多少具材の入れ方を丁寧にする程度でお茶を濁す。
具材が煮えてきたら、次いでシメのうどんも軽く水でほぐして用意しておく。まだ足りなければ雑炊でも、と思ったが、それは流石に彼女に食べ過ぎだと言われてしまうだろう。
そもそも、今の段階でも具材の量が多い。つい嘗ての要領で作りすぎてしまうのは、今となっては直した方が良い癖だろう。ここは自重することにする。
「只今戻りました。お待たせしてすみません」
……と、この辺りまで準備したところで、彼女が帰ってくる。都合が良いな、と思ったが、よく考えてみれば、彼女は『千里眼』を持っているのである。此方の準備に合わせて帰宅することなど造作もなかろう。
これは寧ろ、彼女を労うはずが、逆に気を遣わせて帰りを急かしてしまっただろうか。情けのない気分に陥るところを、しかし、拾い上げてくれるのも、やはり彼女である。
「私がそうしたいと思ったから、そうしたんです。貴方と一緒に、食卓を囲みたいと思ったから」
……このような殺し文句を言われて顔を綻ばせない人間がいれば、ひとつお目にかかりたいものである。全く以て、彼女には終生勝てる気がしない。
その後は、いつも通りの光景である。ひとり、ひとり、食卓を挟んで向き合う。拍手ではなく、もっと単純な、当たり前の祈り。頂きます、と、細やかな声が二つ重なった。

47
ツクスバ怪文書:いい夫婦の日 2019/12/29 (日) 00:13:03

いい夫婦の日というものが、世の中にはあるという。
多分センセイに聞けば色々教えてくれるのだろうけれど、私は特に興味がないので聞かないことにする。
そんなことより、センセイと、そして卑弥呼様のことだ。
あの二人。“聖杯”ならぬ《聖杯》が紡いだというあの縁は、傍目に見れば「いい夫婦」そのものだ。
よく働き、そして疲れ果てて帰ってくる夫を、家を守りながら待つ妻。
今時時代錯誤かもしれないが、あの二人を見ていると、そんな関係性が極自然なように思えてくるから不思議なものだ。
だから、私はてっきり、二人ともそういう仲なんじゃないか、と思ったりもしたのだが、そうではないらしい。
他にも沢山そう思っている人はいるようだが、聞かれる度、口裏をあわせている訳でもないだろうに、そういう間柄ではない、と答えるのだ。
……男女の仲は、恋だけではないと、そんな小説を読んだこともある。
ただ、それを実感を以て理解するには、きっとまだ生きた時間が足りていない。
「スバル。君は、どう思う?」
「……? なにが、でしょうか?」
「……ごめん。忘れて」
「そうですか。では、ハービンジャーはわすれることにします……あふぅ」

秋の半ばを通り過ぎ、寒くなってきた夜半。低く唸る家庭用発電機の音をBGMに、スバルと二人で空を見上げ、眠るまでの時間を過ごす。
それが、この子を預かってから、私の日常の一部になっていた。
座席を改造したソファーは、そのままベッドにもなる。他に寝床もないから、私とこの子は、二人で一つのソファーを使って眠っている。
……自分のサーヴァントでもないのに。家族のように接して。滑稽だ。だけど、それでも、私はこの時間を、失いたくはないと思っている。
目は、随分重たそうに持ち上がっている。眠気を隠せない、そのあどけない表情からは、この子がサーヴァントであるという事実を読み取ることは出来ない。
まるで、今を生きている人間のような。だからこそ、私は、それを愛おしく思って、手放す覚悟ができなくて。
「いい夫婦、かぁ」

……センセイと卑弥呼様を思い出すのも、スバルと離れられないのも。
その暖かさに、惹かれるからだろうか。
夫婦のように、或いは、一つの家族のように。一緒に過ごす温もりが、欲しいからだろうか。

あの二人のように。比翼の鳥、連理の枝、偕老同穴の契りを結ぶような、そんな、かけがえのないものが。

……スバルは、すっかり寝息を立てている。その寝顔に浮かんだ微笑みは、何処か、嘗ていたはずの少女の姿を連想させる。
きっと、ウチ/私には、許されない。逃がされたウチに、逃がした私に、その権利はない。
だから、少しだけ。君の赤銅の髪に触れて、いつか失われるその柔らかな暖かさを、少しだけ。

「君が、ウチのサーヴァントだったら、なあ……」

46
セディヴローモン怪文書:ジンギスカンの由来 2019/12/28 (土) 23:58:00

ジンギスカン……13世紀にモンゴル帝国を築き上げたかの成吉思汗から名を頂いたという、羊肉を用いた日本の料理だ。
遠征中のモンゴル軍において食されたとも言われるが、実際のモンゴル料理との乖離を鑑みるに、俗説の域を出ん。料理としての直接的なルーツは、イスラム系の異民族である回族の料理、烤羊肉(カオヤンロウ)にあろうと推定される。
料理として成立したのは20世紀初頭の日本であり、この時期近代化を迎えた日本では、服飾素材としての羊毛増産を図って羊を飼育する牧畜業者を増やすことが試みられていた。この際、羊毛のみならず羊肉をも消費させることで、収益率を上げ、積極的な羊の牧畜が行われることを期待したという。
しかし、当時の日本では羊肉を食する習慣がなく、為に羊肉料理の開発を行うことが国家によって要請された。これに応え、高等教育機関──当時は師範学校だが、その一つで料理研究が始まった。この際、烤羊肉を元にして開発されたのが、ジンギスカン鍋の始まりだという。
……ところで、何故突然このようなことを聞いてきたのか。否、奴吾は問われれば何に対しても答えることを業務としているから、問題はないが。