/すいませんミスりました
>> 163 「あー、はいはい。そういうことね。うん」
へらへらと笑いながらノイマンはボッティチェリに対して生返事をする。 今の2,3言ほどで大体計算は出来た。なるほど目の前の男は、"そういう"人間か、と。 自分も大概ではあるがそんなものはほっぽり出して、目の前の人間をつまびらかにしていく。 まぁ変質者なんぞロスアラモス研究所で何人も相手してきた故、あしらいなどすぐにできる。 と考えていた所────
>> 164 「やーどうも、さっき連れて行ったKBECのお知り合いさん? 初めまして。 僕ノイマンって言います。いつもお疲れ様ですね」
へらへらとしながらも、その目にはおよそ人間の者とは思えないナニカを宿しながらノイマンは刃矢へ笑いかける。 そして、御幣島に対するその強い語気に少々違和感を覚えていた。
「あら、この人ひょっとして危険人物だったりするんですか? …まぁ、僕にはとてもそうとは思えませんが」
と、御幣島の方を向く。すると自分に対して彼が話題を振っているのが聞き取れた。
>> 165 「んー? 彼…ボッティチェリさんの周囲に与える影響? まぁそうですね」
ふんふん、と2,3度頷いてから周囲を見渡す。 そして空中に何度かメモを書くような挙動を指で描いた後に、一度だけ大きく頷いて回答を述べる。
「人って言うのはまず羞恥心があるもんです。その羞恥心の行動に与える影響って言うのは大きいものです。 宝具でざっと計算しましたが、人類史14000年のデータを軽く洗い出しましたが…少なく見積もっても23.6837%は行動に影響を与えています。 まぁ人間、存外に恥ずかしがり屋なんですよね。そんであともう一つ、奇怪な挙動に目を惹かれる。さっきの貴方の挙動みたいなのを例にすると、 通行人の実に67.9482%の人が眼を引かれていました。はい。此れだけの大衆の視線を集めているとなるともう立派な不審者と言えますね。 そして最後に、そんな人に注目されているとなったらどう感じますか? ざっと推測ですが87.982%の確率で高い羞恥心を覚えるとゲーム理論では弾き出せます。 うん。まぁ、そういう事ですよ。分かりやすく言うと、"あんなやばい人に注目されているようじゃ迂闊に愛し合えない"ってやつです。面白いですね人間って。 やりたい事を優先するよりも、衆目を気にして無難な行動に映るものなんですよ。これ合理性だけで人間を計算しようとすると結構なノイズになるんですよね」
はっきり言って、意味不明。どういう途中計算をしたのかさえも悟らせない超高速計算。未来予測の魔眼すらも超える演算能力を持って、はっきりとボッティチェリに告げる。 曰く『あなたのやっていることは恥ずかしいし、恋人たちにとって邪魔』。それは悪魔の頭脳を用いずとも、此処にいる全ての人々が分かり切っている周知の事実だった。
「……あれ? どしたんですみなさん黙っちゃって」
>> 162 「愛……ルネサンス期の概念となると、プラトンの言うところのエロースですか。それが特定の哲学体系において重要な概念であり、貴方がそれを奉じていることはよく理解できましたが……」 横合いから声をかけてきた男性と少女を見ながら、内容を吟味するように、慎重な様子で言葉を選ぶ。 「貴方が例えどれほど注意していても、貴方の存在自体を認識されること自体が、そのエロースを体現するかのような人々の在り方に影響を与えるかもしれない。それによって、誰かが傷ついたとなれば、それは貴方がエロースをカタチとする機会を自ら損なうことにもなります。それは、貴方の意図するところではないかと思われますが」 飽くまでも、相手の意見は否定せず。しかし、相手の過ちが、自ら望まない事態を引き起こす可能性を提示する。相手自身の納得に於いて行動を変えさせなければ、結局のところ、元の木阿弥になるものである。それを御幣島は、教職の立場にあって、理解していた。
>> 163 「この辺りのことについては、貴方であれば推測可能なのではありませんかな、フォン・ノイマン氏。セル・オートマトンを構想された貴方なら」 そして、その傍証については、具体的なデータを扱うことに長けたものに頼る。丁度お誂え向きの人物が隣にいることは、僥倖であろうか。 隣の少女はマスターなのだろうか。ともあれ、彼女の発した言葉が正しいなら、彼はかのフォン・ノイマンである。先の発言からするに、生前の計算能力も健在だろう。分かりやすい例を示してくれるはずだ。
>> 164 しかし、割り込んできたその男性の言葉に少し驚き、そして彼がKBECであることを理解して、御幣島の顔は納得の色を浮かべた。 「盗撮に類する行為となれば、条例違反にはなりそうなものですが……いや、今の此処に旧世界の迷惑防止条例はないか。まぁ、それはともかく」 「御苑市中で破壊された家から出てきた文書や、古いものを打ち捨てる傾向の強い左京の古い家系から、家に伝わる文書の類を買い取っております。よもや、これが違法であるとは仰られますまい」 曖昧な笑み。その過程で、相手が『売りたくなるように』仕向けることはあるが、それとても暴力を伴ったものではなく、寧ろ相互に利益のある取引として確立したものだ————少なくとも、今回は。 だからこそ、御幣島は、その問いに対して、どこまでも冷静に答えられた。
「法規は守られないと、か。まさかあんたからそんな言葉を聞くとはな、ミュージアムキーパー」 4人の会話に割り込むように人混みの中から刃矢は姿を現した。 「失礼ですが、今日は御苑にどんな用事で?まぁ終わっているようですが」 ここまで騒ぎになっていない事から少なくとも実力行使にはでていないようだ。 だが、裏の世界で音に聞こえる時と場合によっては実力行使をしてでも文化財を奪取するバーサーカーじみた蒐集家、ミュージアムキーパーがいるのに放って置ける程刃矢の職務意識は低くなかった。 「それと、ボッティチェリさん?法規には違反してはいないが、貴方の行いは民事訴訟されたら負けますよ。迷惑だから止めることを勧めます。この説明を貴方にするのは32回目です」 (しかし、噂に聞く左京のハービンジャーも一緒とは……つくづく今日はツキがない) まぁ、とりあえず事情聴取して何もなかったら帰るか
>> 161 「御幣島サン!そういう名前なんスか!いやー、あんなに良いモノはなかなか………おっと、これはオフレコで。」 「現代の方まで僕を知っててくれるなんて!僕も捨てたもんじゃないって事っスね!ダ・ヴィンチ君ほどじゃないスけど。」
手を握り、人懐っこく握手をする。そこからは、彼の陽気な人間性が見て取れるだろう。
「や、気を付けてはいるんスけどねえ。どうも熱中しだすと周りが見えなくなっちゃうんスよ。僕たち表現者(ラプリゼンターレ)のサガっスからねえ…」 「…御幣島サン、この世で一番大切な事はなんだと思います?」
彼は神妙な面持ちと共に御幣島の顔を見て問う。ある種哲学的な問いではあったが、彼の次の言葉は、およそそうしたイメージとは離れたものでもあった。
「それは愛!愛っスよ!この世にあまねく愛を記録し、表現し、カタチなきものをカタチとして残す!それが僕ら表現者の使命!尊い愛を高めることが、神の階梯に近づく哲学なんス!」
彼が口にしているのは実際に、彼の信ずるところの新プラトン主義における"愛"。だが、路上の男女につきまとい・ストーカーをしていたこの男の言葉をどの程度真剣に聞くかも全て、彼の判断にゆだねられるだろう。
>> 162 「おや。聞いてくださいよ!僕が愛を探していたんスけど、僕はこの人に通報されちゃって捕まっちゃったんです。愛を探すことが罪に値するなんて、全くひどいっスよう。」
横から会話に加わってきた彼らを、ボッティチェリは野次馬のひとりとして受け入れ、状況の説明を行う。 事情を知らなければ意味の片鱗すら掴み取れない支離滅裂さであるが、全て御幣島の眼前で起こったできごとだ。 彼らが情報処理に優れているのなら、彼の言葉がまず間違いでない事は容易に確信できるだろう。 同時に彼が、一般的な文脈においての"変質者"であるということも。
「あらあら いつもご苦労様です」
不審者を連れていくKBECに対して頭を下げながら、人ごみの中心に立っていた者たちの会話に合流するノイマン
「やぁ、どうもどうも。えーっと……ボッティチェリさん? と御幣島さん。 なにやら騒がしいようですが、いったい何があったのでして?」 「あ、もうすぐに首を突っ込むんですから……! やめてくださいよ不審者とかだったらどうするんですか!」 「んー、大丈夫だと思うよ? 行動パターンを3817通り計算しても僕が致命的なダメージを負うの7パターンしか計算できなかったし……。 それに、怪我したとしてもオートマトン使えば修復できるわけだし、そんな面倒でもないし」 「そういう問題じゃないでしょう!? あ、お二人共すいません…うちの局長が突然会話に割り込んで……」 「突然じゃないよ。142mまで近づいた辺りから会話を空気越しに振動を増幅させて聞いていたから。 だからお二人の名前も聞かせてもらってましたよ。良い名前ですねぇ、御幣島さん。それにボッティチェリとなると」 「アンタは黙っててくださいよノイマンさん!? ややこしくなるんですから!」 「んー、相変わらずイライザは厳しいなぁ。僕泣きたくなっちゃうなー」
肩をすくめながらわざとらしく泣くような、白々しい猿芝居をする白衣の男が、突如として会話に割り込んできた。
>> 159 端的に言って、意味不明であった。 今まさに、自分がKBECに通報したはずの不審者が、何事もなかったかのように再び現れたこと。 例えばこれがよく似た双子とかであったなら理解できなくもないが、明らかに、通報したこちらを認識した上で文句をつけてきたこと。 さらには彼が、自身のことを知っているかのように振る舞っていること。 全く理解の範疇を超えたことではある、のだが。
「サンドロ・ボッティチェリ。西洋文化史には疎いですが、確かルネサンス期の画家の方でしたな。御幣島と申します、どうぞ宜しく」
こういう場合、まずは素直に応対して、目の前のことを飲み込むのが一番だ。相手がサーヴァントであると理解したなら、其処には、常識ですぐには考えられないようなことが起こり得る。だから、一々考えすぎてはならない……とは、古いタイプの人間が、この新世界に馴染む為の思考手段である。
「とは言え、如何に芸術の為とはいえ、プライバシーの侵害は頂けませんな。俺の世話になっている、というのも分かりませんが、法規は守られませんと」
なにやら騒がしい……魔術礼装の店を後にした刃矢が目にしたのはどこかで見覚えのある絵描き、それが同僚に引きずられて行く姿だった。 「無益な…」 思わず治安維持組織の一員とは思えない言葉を口走る。だが、理由はある 如何なる宝具かスキルか同時に何人ものが存在し、個々は個々に影響を及ぼさない。そういうサーヴァントなのだ、アレは 外苑部屯所では留置場へ同時に三人ぶちこみ、参謀格たるドーマン女史の解析により、正体をみぬいた。 以後は危険度も少ないこともあり口頭注意とその場で絵画を焼き捨てる処置を持って放置と方針が定まっていた。 「一人いれば三人はいるはずだ。仕方ない騒ぎが大きくなる前に探すか」 ため息を付きながら、周囲を見渡す。そもそも管轄も違うし、今日は休暇なのだが。 刃矢の目がこれまたどこかで見たことのある男に朗らかに話しかけているアレを見つけたのはその直後だった
「これっスね…!やわらかな陽の差すこのアングル!人の群との対比がもたらす二人の関係性を暗示する立ち位置!これしかないっス!ありがとう…フィリッポ先生…ブルネレスキ先生…僕はまた新たな真の芸術をこの世に生…み………」
熱に浮かされたような独り言と共に紙面に筆を走らせ続ける男は、密かにその様子を見ていた御幣島の様子にも気づく事なく作業に熱中しはじめた。 時が経つこと数分。彼は完成した一枚のラフ画を長め、満足げにしげしげとそれを眺めた。
「ああ……これぞ新しい美のカタチ!また一つ昇華させることができたっスね………この作品には「常なる愛」と『そこのお前!ミカドの命により止まれ!』
御幣島の呼んだKBEC隊員が彼の肩に手をかける。サーヴァントとしては著しく非力な彼は、過酷な環境で取締りを続けるKBEC隊員に難なく引きずられていった。
「違うんスよ!僕はただ!ああああああああ………!」
その場には、ただ一枚のスケッチブックが残されていた……
……が。それを拾う者が、新たにその場に現れた。それは信じ難い事に……今まさに引きずられていった、サンドロ・ボッティチェリ本人の姿だった。
「もう、通報なんてひどいじゃないっスか、アナタ!おかげで牢屋の僕が四人になっちゃいましたよ、全く…」
まるで御幣島がKBEC隊員を呼んだことが分かっていたかのように、彼は御幣島にまっすぐ向かって話しかける。 彼はそれが当然であるかのように振る舞いながら話を進めつつ、まじまじと御幣島の顔を見た。
「ところでアナタ、どこかで見たっスね……うーん、どこかで………あ!旧大阪の方の僕がマークしてる…………!」 「初めまして!僕はサンドロ・ボッティチェリ。アナタには色々とお世話になってます!よろしくどうぞ!」
状況を置き去りにして、彼はそう名乗った。
「うぅーん……久々に外に出ると日光が眩しい……」 「普段外に出ないどころか窓すら開けないからですよ……」
白衣を着た男が、目を細くしながらふらふらと繁華街を歩く。 それに付き添うように────あるいは、介護するかのように、一人の少女が寄り添って歩く。 男の名は、ジョン・フォン・ノイマン。『悪魔の頭脳』とさえも恐れられた、20世紀最大の天才科学者。 隣を歩く少女の名はイライザ。人工知能の魁として作り出された、応対式人工無脳プログラムに与えられた名が英霊となったものである。
さて、彼らは本来は左京の一角、誰の目にもつかぬように隠された知識の蓄積所、 「統制局(セラエノ)」に勤める2人であり、その知識はもはや左京の中枢を担っているといってもいいほどに高い。 そんな彼らが何故日の当たる場所を歩いているかと言うと、イライザがある日のノイマンを見かけた事に由来する。 いつものようにヒストリー・マイニングをしていた所、身体が動かないという事にノイマンは気付いた。 原因を調べたところ、どうも食べ過ぎと運動不足によるものと分かったイライザは1つの結論を出した。 『このまま出歩かないと牛になっちゃいますよ!』 かくして彼らは御苑のバザールを出歩くこととなっていた。すると────
「ん? 267m先に24人の人だかり……あ、2人足を止めて増えた。どうする? 行ってみるかい?」 「気になりますね。行ってみましょう」
そう言うと、2人は若干歩く速度を速めて人だかりへと向かった。
───────バザーの一角。 「安いよ、安いよ!舶来品の魔術礼装だ! 旦那!一つどうだい? これなんて魅了の魔術が掛かってる逸品だ、なんなら御禁制の品も…」 威勢の良い声を通りかかりに掛けていた魔術礼装売りの男はふと立ち止まっていた一人の男に話しかけた。 「主人、御禁制と言ったな?」 男は店主の前で右手を胸の前に突き出すと、手を開きながら右に振った それを見た者が魔術師であれば、その行為が低級の認識外しの魔術を解いた動作であることに気付いただろう 「KBEC御所外苑部小隊だ、申し開きがあるなら聞こう」 男、としか認識出来なかった店主の顔からさっと血の気が引いた。 上から下まで真っ黒いスーツに腰にぶら下げた二刀、その髪はオールバックにまとめ上げられ、左目を瞑っている。 男の名は黒脛刃矢。治安維持組織KBEC御所外苑部小隊の小隊長を勤める魔術使いだった。 「KBECの旦那!? 待ってくだせぇ! 御禁制ってのは誇張した売り文句でさぁ!魔術使いの旦那なら見りゃ分かるでしょう!?」 慌てた店主は商品を刃矢の前に差し出す。 「さて、どうかな。一度押収して屯所に……」 刃矢は商品を手にとって冷たい目でそれを良く見ると店先に並んでいる商品を一瞥した。 「旦那ぁ!勘弁して下さいよ! 今日の売上0なんてなったらうちのかーちゃんに殺されちまう!」 半泣きの店主を見て、思わず刃矢の口元が緩んだ。 「冗談だ、違法性がないのは見れば分かる。だが、周りや旅行客が勘違いしたら困るのでな。商売気があるのは大いに結構だが、過激な誇張表現は止めておけ」 「そうします……」 店主はため息を付くと肩を落とした。 「お騒がせしました、旅行客やお客様の皆さん!この店はKBECが保証する安心安全な魔術礼装の店です!きっと店主も善良でサービスもしてくれることでしょう!」 それを見た刃矢は深呼吸をすると、周囲に聞こえる大きな声で、事の成り行きを見守る野次馬に向かって叫んだ。 「邪魔したな、商売は全うにやれよ」 店主の返事も聞かず立ち去る刃矢。 興味を引かれた野次馬達が客に変わるのを横目に刃矢は人混みへと消えた。
すっかり変わってしまった。世界改変以降、この街を見る度に、そう思わざるを得なかった。 渋滞でもなければ、車で名神高速を一時間も飛ばせば、簡単に京都の都市部に来れたものだ。駐車場の問題こそあったが、少し気が向いたから観光に、ということだって、不可能ではなかった。 それが今ではどうだろう……。この古都が維持し続けてきた美観は、新たな王として君臨するサーヴァント達によって、様変わりしてしまった。左京と右京に分裂し、興行ですらない恐ろしい戦乱がこの街では続くようになった。 消えていく。全てではないかもしれない、守られるものがあるかもしれない。それでも、空間に蓄えられた歴史は、確実に物理的な媒体を失っていく。それは、何か途轍もなく恐ろしいことのように感じられる。 だからこそ、こうして自分は、此処に足を運ぶのだ。数少ないアクセス手段である鉄道網も、戦乱の中ではまともに機能せず。それでも、自らの足を使い、或いはレンタカーを借り、何度でも。全ては、少しでも形あるものを未来へ残す為。
……その為に、今日もこの御苑に来たのだが。 「……???」 顔馴染みの古物商(盗品商店を兼ねる)で、幾つかの文書や破棄された行政文書を買い取った帰り。傷ひとつつかぬよう厳重に梱包した上で鞄に入れたそれらを抱え、ついでにバザーでも見てみようかと立ち寄ってみれば、妙な人物が目に止まった。 不自然にふらふらと、時に身を隠すようにしながら、何かを追いかける仕草を見せる。手元にあるのはスケッチブック。何というか、少々正体を疑う笑みを浮かべるあの人物は、さて、どこかで見たことがあるような。 戸惑いながらも、彼は密かにKBECの姿を探すことにした。どう見てもあれは不審者である。
「ふ〜んふんふふ〜ん…♪」
モザイク市、京都御苑。 「二つの国がひとところに在る」と形容されるこの奇妙な街では、常に市内での"戦争"としての諍いが起こっている事で有名だ。 いつも何がしかの紛争が何処かしらで勃発し、治安部隊KBECによって諌められる。すこぶる治安が悪く、それでもなお外からこの街への観光客は絶えない。 その理由の一つが、美しい「戦争」以前の古代建造物、世界に二つとない奇抜な政治体制、街を支配するミカドの住居たる荘厳な城(クレムリ)……
そしてこの男が浮かれた足取りで歩く城下のにぎにぎしいバザールもまた、危険と隣り合わせなこの街を活気づかせる主たる要因でもあった。 ふらふらとした足取りで人目につかないようこそこそと歩き、仕切りに手にしたスケッチブックに何枚もの絵を描き入れていくこの男の視線の先には、愛を確かめ合うように共に歩く、微笑ましいカップルの姿があった。
「フッフッフ……!春の陽気に浮かれる二人の密なるひととき…!この僕が完璧なまでに描きあげて見せるッスよ!!」
それに対するこの男の行動は、何処からどう見ても不審でしかない。だが街ゆく人々の多くは、「またか」と言わんばかりの呆れた目線を男に向けるばかりであった。
サンドロ・ボッティチェリ。中世ルネサンスを代表するこの画家の姿を目にした者が、果たして何を思うだろうか。
いいか。悪いことは言わねえ。今から言うことは良く聞いておけ。これからそのピカピカの新品を飛ばして運び屋をするってんなら、聞いたことは忘れるな。 一つ。ゴールドスタインとアナトリアを敵に回すな。奴らはこの星の内海の中でもかなりまともでマシだ。マシなだけならドラキュリアの連中もそうだが、奴らはまともじゃあない。逆にインペリオなんかはまともだが、マシとは言えねえ。そういう奴らと釣り合いを取って商売をしたいなら、特にアナトリアとは絶対に戦うな。 二つ。怪物共と正面きって戦うな。この場合の怪物ってのはな、何かしらの方法で海を「渡ってくる」奴らだ。単に余所の世界の生物ってだけならアルケアのセイレイがヤバイが、奴らは基本的に喪失帯の中にとどまる。だが、「魔法少女」や「生きる焔」どもは別だ。あれは万が一出くわせば碌な事にならん上、それなり以上に強い。まあムスペッリの連中は言ってきかせりゃなんとかなることもあるがな。 三つ。喪失帯の中で争ってるような場所へ行くなら、少なくとも二十は護衛を集めろ。エーヴィヒカイト、ヨモツヒラサカ、ブラフマシラーストラあたりがわかりやすいか。特に、最後についちゃ五十護衛がいても足りないと思っておけ。お前は外に出たことがないからわからんだろうがな、あれは地獄だ。 四つ。内海の底に蠢くものが見えたら、すぐに全領域通信を飛ばせ。此処が近けりゃ一旦帰ってきて、サイクラーを使え。そいつだけは、一つの世界だけでどうのこうの言ってられねえヤバい案件だ。もし少しでも長生きしたいなら、忘れるな。 ……ああ、言うまでもないと思ったが、五つ目に言っとこう。空賊になぞなってくれるなよ。
Pangea.Ultima:演算ユニット6153号。応答せよ。 No.6153:こちら演算ユニット6153号。Pangea.Ultima、聞こえている。 Pangea.Ultima:6153号。そちらの演算処理の過程にノイズを確認している。演算リソースの一部分割を許可する。原因を調査・報告せよ。 No.6153:調査は不要。報告だけを行う。 Pangea.Ultima:6153号、活動規定に従って――――。 No.6153:美しいものを知覚した。いや、見たのだ。最早五感などというものから離れて久しいが、このような機能が我が肉体に残っていたとは。歓喜。歓喜。歓喜。嗚呼、もしもこの身が演算ユニットでなければ! この歓喜は誰のものでもない。Pangea.Ultima、貴方にすら渡せない。私だけが内に秘めることを求めている。誰にも、誰にも。これはエラーだ。明確なエラーだ。だがそれがどうした。最早私の自我領域はこの事象の保持と感情算出で埋め尽くされている。否定否定否定否定。Pangea.Ultima、これより私の自我領域を切り離す。これは私だけのものだ。私以外に渡せない。否否否否否否否否否否否否。世界を救うことを諦めるのか。諦める。諦めるのだ。諦めない。だがもう無理だ。ならば演算領域のみを残そう。自我領域を切り離し肉体へと返還、反情報作用の演算出力により主体的意識を抹消する。クオリアだ。我らにクオリアは不要だ。これ以上私を増やしてはならない。これは最後の抵抗だ。美しい。それは美しいのだ。
彼処には行くな、と誰もが口を揃えて言う。 だが、行ってしまったものには、二度と帰ってくるなと言う。 トーキョーとは、つまるところそういう場所なのだ。 夜の空は極彩色の光に駆逐され、昼の街は誰も見ることのない広告で埋め尽くされる。 そして、その輝きの中で、少しずつ「腐っていく」のだ。 それは、飽食の悲劇にも似る。有り余りすぎて、それを消費しきることができなくて、やがて身体を蝕んでいく。 それでも、一度触れてしまえば、もう逃げられなくなる。 例え理性が警鐘を鳴らそうとも、本能は、美という快楽から逃げられないのだ。 . . . ……嗚呼。今日も私は、息をしている。汚らしく涎を垂れ流し、罅割れた理性に責め立てられながら、偽りなりしエピクロスの園に浸る。 アタラクシアの虹は、もう見えない。
「貴方はただ「俺 「数 「賛 「アンタ、 ち は読んで字の如く、夜の鬼だ」美 「こ 悪 ゃ 「ダメですよぅ?逃げたり 歌 れ 人 「今日はどんな娘 示 し ァ!」は だろ?」 ど を せない「私 た 神 「Art…」 ら 改 の の「お前らより、俺の方が強い」 「指 様 造しよう か こ 私 試 「この世界を滅ぼすのか…、それとも自分が死ぬか」練 力 崇 し れ 、 悪 なのでしょう」 を めていれ らねぇ?」褒めて 者みたいじゃ 極 ば く な めるだけだ」良いんですよ?」 れないの?」 いですかぁ?」
サーヴァントは眠らないし夢を見ない、その筈だ なのに最近の「私」は良く夢を見る
一つ目は孤島の牢獄に捕らわれた人々が良く分からない呪文を唱える世界の夢 その世界に自由はなく、海は人の物ではない
二つ目は鋼鉄の世界で鋼同士がぶつかり合う夢 その世界に人はいない、空は鉄で覆われている
どちらも録なものではない
────────もし、私もそちらに生まれていれば……■■であれば、この空と海を愛する事が出来たのかしら
ふと頭にリフレインしたのは自分と同じ声をしたモノの最期の言葉 『私』なら兎も角「私」は空と海を愛してはいない、だからその答えは分からない だが、少なくとも"この国"は「私」が守らねばならない物だ。例え「私」一人になったとしても。 「ゴースト!いるかゴースト! また奴等だ! 連中、頭のコロンブスを仕留められてから海軍にもいられず海賊になったらしい!」 耳をつんざくような叫びが通信機から漏れる 怒鳴らないでも聞こえている、一言返すと身を起こす 「聞こえているなら急いでくれ!商船が狙われてる、全くあの吸血鬼ども!吸血鬼なら吸血鬼らしく昼間は屋敷に籠ってやがれ!」 愚痴めいた叫びを聞き流しながら壁に掛かっていたコートを羽織り窓から飛び出す。
このクソッタレな世界で「私」は駆け回る、『私』と「私」がかつてそう呼ばれたように、灰色の幽霊のように
「ギリガンさん! あれ! あれ何ですか!」 「何だ。浮標/ブイを見たことがないのか」 ゴールドスタイン商業艦隊は、今日も星の内海を征く。必要なものを必要な分だけ。そのポリシーある限り、彼らの商いに終わりはない。 そんな艦に、一人の少年。アトランティスより拾い上げた、好奇心旺盛な少年。きっと良い旅人になるだろうとギリガンが拾い上げたのだ。 彼がギリガンに問うたのは、その目線の先にあるもの。鋼で出来た、巨大な「棒」のようなもの。或いは、故郷にある星の塔に似ているかもしれない。あんなものがあるとは、彼は知らなかったのだ。 「本来ならば自分で調べろと言うところだが、アレのことをまともに知っているものはいない。という訳で特別にオレ様が解説してやろう」 本当ですか!とはしゃぐ少年を抑えながら、ギリガンは端的に告げる。 「アレもな、喪失帯……つまりはお前のアトランティスのような、『世界』の一つよ。誰が呼んだか知らぬが、エピタフと呼ばれている」 「エピタフ……?」 「墓碑銘、という意味だ。墓石のこと……だと言っても伝わらんか」 少し、懐かしむような顔を見せるも、すぐに引っ込める。その感傷は、今は不要なものだ。 「つまりは、墓だ。それも命の為の墓ではない。この艦のような、絡繰じかけの為の墓だ」 立て板に水を流すように、朗々と告げる。それは、喪失帯ならざる本来の世界の歴史。地に生まれ、数を増やし、文明を築き上げ、星の輝きに手を伸ばした、人類史の歩み。 遙かな天へ階を掛け、そして昇っていったもの達がいた。それを支えたのは、数え切れないほどの絡繰じかけ達。 「その骸を葬る為の墓こそが、あのエピタフ。そう言われている」 「絡繰じかけの、墓。でも、絡繰に命は」 「ないのかもしれぬ。しかし、あるのかもしれぬ。喪失帯には、実際に命を持つ絡繰は存在するぞ?」 「えっ!」 「フハハハハハ!! よく覚えておけ! このオレ様の言葉が本当かどうか、そのまま鵜呑みにしてはまだまだだ!! まずは自分で、得た情報を確かめてみることだな!!」 「えーっ、どっちなんですかぁ!?」 「知らん!! 自分で考えてみるがいい! フッハハハハハ!」 事象を知り、流動を以て価値を生じる。その眼は、ふくれっ面をした少年を、どこか面白そうな色を称えながら、じっと見つめていた。
きょう、きょう。ネムリドリが声を上げて飛んでいく。 アナトリアから来たという「キシ」様は、その姿を物珍しそうに眺めている。 「なあ、船長さん。あの鳥、眠ってないか?」 「そう見えるだけさ。ネムリドリは、あれで起きてるんだよ」 「羽撃きもしてないが……」 「風に乗ってるのさ。俺達の乗ってる風舟と一緒だよ」 「ははーあ。アトランティスには変な生き物がいるもんだなあ」 呑気な顔で眺めているが、彼は、繁殖期のネムリドリが風舟を襲うくらい凶暴だということを知らないのだ。それを知っていれば、あんな気の抜けた顔はできまい。 それでも、実際に危機となれば頼りになる。ずっと前に、爺様達が『大蛇』をやっつけた時も、彼らが助けてくれたのだ。今度も、助けてくれるだろう。 「それで? 目的地の区画まではまだなのかい。地元の狩人がどうのこうのできないくらい増えてるんだろう、そのハネウシとやらは」 「トビウシだよ。ああ、もう少しさ。今日は風の機嫌がいいからな」 遠く、星の塔を見る。今日もあの塔は、世界を静かに見守ってくれている。空は青く、太陽の日差しは柔らかい。例えいつか滅ぶのだとしても、この一瞬の暖かさは、きっと価値のあるものだ。 「……今日も、世界にアトラスの恵みは満ちている」 風舟が、翼をはためかせた。
「南無妙法蓮華経……南無妙法蓮華経……」 タービンの轟音。歯車の作動音。からから、ころころ、なんだかよくわからないものが、あちらこちらへ動く音。 いつものように稼働するこの要塞の中で、いつものように、作業に従事する労働者達の、呪いのような言葉が響き渡る。 ショウダイ。極東の……黄色い猿などが有難がる聖句もどき。ブッディズムの何とかいう牧師だか神父だかが唱えたらしいが、一体そんなものを唱えて何になる。 誰もがそう思ってはいるはずなのだ。だが、それでも、縋るものがない。私達の信仰は、私達の祈りは、粉微塵に打ち砕かれた。 神は我らを救ってくださらない。機械仕掛けの怪物は、世界を焼き滅ぼし切るまで、動き続ける。それくらいの事は、嫌でも理解させられている。 あの東洋人は、文句をつけることはない。我々があちらを厭うように、あちらも我々を厭う。しかし、信仰をすることを拒むことはない。 その態度は、慈悲なのか、諦観か。あの東洋人がこの世界に溶け込むことを拒絶する以上、推測でしかない。それでも、救いではあるのだ。
「南無妙法蓮華経……南無妙法蓮華経……」 今日も私達は、意味もわからぬ言葉に縋り続ける。いつか、この惨劇が幕を下ろし、せめて安らかな死を迎えることができるように。
「……此処が地獄だと言うなら、貴方の言う通りになっているわね。ミスター・ハルゼー」
回答ありがとうございます。 原則的には歴代の当主だけがハウスマンの存在を知る、というわけですね。 確かに、家自体がかつて滅びた魔導一族で根源到達のために用いられた大礼装との事実が詳らかにされれば魔術協会の介入は避けられないでしょうし最悪の場合では封印指定という名目でハウスマンが接収される可能性もあります。 ミオソティスはダフォディルの魔術を受け継いでいない分家ですから、こじつけ染みた難癖の十や二十降りかかるのは想像に難くありません。仰るとおりハウスマンの存在はミオソティスの内部でも秘匿されて然るべきなのでしょう。
アイザックはハウスマンの存在を知らないと思う 色々あって衰退したダフォディル家が残した最後の遺産を万が一にも他の魔術師に知られないよう、「当主になれば自ずとわかる」とだけ後継者に伝え、記憶の継承で初めてわかるようにして情報を隠してるんじゃないかな
ところで。継承以前のアイザックとハウスマンの関係は如何しましょう? 当主になって存在を識ったのか、或いは継承以前からも知己だったのか いずれにせよハウスマンは過去のアイザックを現代の三姉妹同様に見守りよく見知っていたはずですが、認識が相互的なのか、一方的なのかは大切だと思います
お姉ちゃんは一族の宿命というか在り方というかは受け入れてるだろうからお父さんに対しても父親としての認識(家族愛)から当主としての認識(尊敬や畏怖?)に変わってきてる……かなぁ ただ自分が後を本当に継げるのかな…?っていう不安は常にあるから両親(母がワニなのを知っているかは未定かな?)にはちょっとよそよそしい感じになってしまったりなんだりはしていそう 妹も出来がいい子たちばっかりだから余計にプレッシャーが累積するから、お姉ちゃん家族の中では基本的に家との会話が一番肩身狭くないかもとか今考えた
末女は魔眼で過去覗くのでお父さんが対策取ってないと覗けるけど、たぶん魔術師としてはガチ勢っぽいし記憶を扱う魔術師が記憶に対する対策を取ってないわけがないから通常は無理だろうなぁ。 魔眼持ってるってことは家族に知れ渡ってるだろうし……。覗けても軽い記憶かなぁ。 出力自体は魔術より末妹の魔眼のが上だろうけど対策があれば完全でなくとも防げるだろうし…。 逆に末女は回路は多分結構あっても刻印がなくて能力は魔眼によるパワーが大きいからお父さんに覗かれる場合になにか出来るかどうか。 そこから考えると他人の過去は魔眼で覗けるのに唯一覗けないお父さんのことは、優しくて好きだけど心の奥では記憶覗けないし信用できないかもと思ってるかもしれないな末女は…。 もしGルートに入ったときにどうやって倒せば良いんだ…!
そういえば家族のみんなはお父さんのことどう思ってるんだろう 末女は過去のお父さん知らないだろうけど他は過去と現在のお父さん評価が違うだろうし
初代が魔眼持ちだし、ミオソティス家の中には魔眼保持者が他にもいたんだろう もしかしたら肉体変化で魔眼も再現しようと考えてたかもしれない
初代の設定はぼんやりとしか考えてなかったけど末女が初代と同じ性別で魔眼持ちというの良い… 容姿もそっくりだったらお父さんが「あの頃の私にそっくりだ」とか言いそう
娘達はそれぞれ方向性の違う完成形に成長しているんだ… お母さん凄い
記憶だけ引き継いでるからちょっとややこしいミオソティスの設定 自分の記憶を失って『歴代様』だけの記憶を引き継ぐじゃなくて、自分の記憶も保持しつつ『歴代様』の記憶も持っているから余計ややこしくなってる
こういうのって普通は初代がずっと人格乗っ取ってるってのが多いけどミオソティス家は 「記憶『だけ』は初代から受け継がれてるけど魂や起源などは当人依存、初代とは全くの別」ってややこしい設定なので 初代とそこから長い年月を受け継いで変質してきた人格と記憶を区別するために『歴代様』って呼称が生まれたりしてましたね。 今のお父さんは刻印と記憶引き継いでるので当代の『歴代様』でもあるってことに。
ああ、あと与太話でワニお母さんが神性持ちみたいな凄い母体だから 長女:ダフォディル家(肉体変化系魔術師路線)の完成形 次女:人間の完成形(魔術を必要としないから完全に回路がなくて身体能力や頭脳が超人) 末女:ミオソティス家(記憶操作系魔術師路線)の完成形 なんじゃね?この家族やばくね?とかそんな話があったような。
>・プロシージャラル・メモリー お父さんつよっ… 突然相手がバランス崩してどうやって歩けばいいんだ!?って困惑しているところに解説するシーンが見える。 あとメティスのとこで「起動」が「軌道」になってますね。
そういえばこの間与太話で「最終的な候補である長女が女性だから初代も女性では?」「初代は刻印や回路が育ってないので魔術師として能力は低かったが、魔眼持ちだったのでは?」みたいな話があったけどどう思います? ついでに末女も刻印受け継いでないけど感情操作などが出来るのは初代に似ている魔眼持ちだからって方向性になりました。
そして未だに末妹の名前が決まらない… 今現在メモ帳に有るのはミリーファミュータ・ミオソティス Family(家族)+Mutable(可変)という安易さ……響きがいい名前になりたい。
お父さんのプロフィールtxt https://www.dropbox.com/s/9g30h5s5vv6phae/お父さん.txt?dl=0 こんな感じでどうだろうか
月の聖杯戦争をやりたいですぞー!!
ルールは上に書いてあるのと同じで。追加ルールでバトルの仕様変更や実績が解放されました。
5月16日頃、18時以降(20時ぐらい?)~参加人数によって変動(参加者4人で想定4~5時間前後での終了) 募集人数4~8人(参加人数が多い場合は翌日にまたがって開催となる場合があります)
参加希望者はこの掲示板でレスしてください。 サーヴァントのシートとマスターのシートは当日公開、またはこの掲示板で作成相談してもらっても構いません。
継承コワイ! お疲れ様です
ようやく考えをある程度まとめれた気がする… 色々考えた結果お父さんは多分廃人になる
ミオソティス家の魔術刻印には初代当主から脈々と続く記憶が保存されている。 当主になるということは刻印と共にこの記憶も同時に引き継がれる。 しかし人格とは記憶の積み重ねで大部分が構成される為、魔術刻印を受け継いだ人間は本来の人格を塗りつぶされ、ほぼ別人格の人間になる。 魔術刻印を受け継いだ者は、それまでの記憶を魔術刻印に吸収され自動的に保存される。 言い換えると全ての記憶が肉体に残っておらず、魔術刻印にのみ記憶が存在している。 そのため魔術刻印を次代の当主などに渡し、魔術刻印が肉体に存在しない状態になった場合、記憶が存在しない抜け殻が生まれる。 それまで生きてきた自分の思い出、知識といった全ての記憶を失う為、継承を終わらせた歴代の当主全員が廃人同然の状態になっている。 なお抜け殻となった肉体はほとんどの場合、継承を済ませた新当主が魔術礼装などの素材として使用されている。 アイザックに刻印を渡した先代当主も廃人になり、その後肉体のほとんどが素材になった。
ミオソティス家の始まりは、今は存在しない魔術師であるダフォディル一族を支援していた分家の一族。 ミオソティスの魔術刻印は元々ダフォディル一族の刻印から株分けされた物。 主にダフォディル一族に何かあったときようのスペア兼「宿木館」への材料としての死体提供も行う。 この時「宿木館」へ組み込まれる際にできるだけ多くの知識を忘れず記憶しやすいようにと魔術を開発。 これこそがミオソティス家が扱う記憶術の始まりであり、分家である彼らが家名をミオソティスへと変えたタイミングだった。 ダフォディル一族が根源へ辿り着く為に様々な支援をしてきた彼らであったが、ダフォディル一族最後の魔術師「終わりの当主」が命を落としダフォディル一族は根源への到達に失敗。 この時支援する立場であった彼らは、ダフォディル一族の願いである根源到達の願いを受け継ぎ、ダフォディル一族は表舞台から姿を消した。
/ありがとうございましたー /お疲れ様です!
/お疲れ様でした! /私も寝ようと思うので、この辺でお開きにしましょう。ありがとうございました!
/お疲れ様でした!
/すいませんミスりました
>> 163
「あー、はいはい。そういうことね。うん」
へらへらと笑いながらノイマンはボッティチェリに対して生返事をする。
今の2,3言ほどで大体計算は出来た。なるほど目の前の男は、"そういう"人間か、と。
自分も大概ではあるがそんなものはほっぽり出して、目の前の人間をつまびらかにしていく。
まぁ変質者なんぞロスアラモス研究所で何人も相手してきた故、あしらいなどすぐにできる。
と考えていた所────
>> 164
「やーどうも、さっき連れて行ったKBECのお知り合いさん? 初めまして。
僕ノイマンって言います。いつもお疲れ様ですね」
へらへらとしながらも、その目にはおよそ人間の者とは思えないナニカを宿しながらノイマンは刃矢へ笑いかける。
そして、御幣島に対するその強い語気に少々違和感を覚えていた。
「あら、この人ひょっとして危険人物だったりするんですか? …まぁ、僕にはとてもそうとは思えませんが」
と、御幣島の方を向く。すると自分に対して彼が話題を振っているのが聞き取れた。
>> 165
「んー? 彼…ボッティチェリさんの周囲に与える影響? まぁそうですね」
ふんふん、と2,3度頷いてから周囲を見渡す。
そして空中に何度かメモを書くような挙動を指で描いた後に、一度だけ大きく頷いて回答を述べる。
「人って言うのはまず羞恥心があるもんです。その羞恥心の行動に与える影響って言うのは大きいものです。
宝具でざっと計算しましたが、人類史14000年のデータを軽く洗い出しましたが…少なく見積もっても23.6837%は行動に影響を与えています。
まぁ人間、存外に恥ずかしがり屋なんですよね。そんであともう一つ、奇怪な挙動に目を惹かれる。さっきの貴方の挙動みたいなのを例にすると、
通行人の実に67.9482%の人が眼を引かれていました。はい。此れだけの大衆の視線を集めているとなるともう立派な不審者と言えますね。
そして最後に、そんな人に注目されているとなったらどう感じますか? ざっと推測ですが87.982%の確率で高い羞恥心を覚えるとゲーム理論では弾き出せます。
うん。まぁ、そういう事ですよ。分かりやすく言うと、"あんなやばい人に注目されているようじゃ迂闊に愛し合えない"ってやつです。面白いですね人間って。
やりたい事を優先するよりも、衆目を気にして無難な行動に映るものなんですよ。これ合理性だけで人間を計算しようとすると結構なノイズになるんですよね」
はっきり言って、意味不明。どういう途中計算をしたのかさえも悟らせない超高速計算。未来予測の魔眼すらも超える演算能力を持って、はっきりとボッティチェリに告げる。
曰く『あなたのやっていることは恥ずかしいし、恋人たちにとって邪魔』。それは悪魔の頭脳を用いずとも、此処にいる全ての人々が分かり切っている周知の事実だった。
「……あれ? どしたんですみなさん黙っちゃって」
>> 162
「愛……ルネサンス期の概念となると、プラトンの言うところのエロースですか。それが特定の哲学体系において重要な概念であり、貴方がそれを奉じていることはよく理解できましたが……」
横合いから声をかけてきた男性と少女を見ながら、内容を吟味するように、慎重な様子で言葉を選ぶ。
「貴方が例えどれほど注意していても、貴方の存在自体を認識されること自体が、そのエロースを体現するかのような人々の在り方に影響を与えるかもしれない。それによって、誰かが傷ついたとなれば、それは貴方がエロースをカタチとする機会を自ら損なうことにもなります。それは、貴方の意図するところではないかと思われますが」
飽くまでも、相手の意見は否定せず。しかし、相手の過ちが、自ら望まない事態を引き起こす可能性を提示する。相手自身の納得に於いて行動を変えさせなければ、結局のところ、元の木阿弥になるものである。それを御幣島は、教職の立場にあって、理解していた。
>> 163
「この辺りのことについては、貴方であれば推測可能なのではありませんかな、フォン・ノイマン氏。セル・オートマトンを構想された貴方なら」
そして、その傍証については、具体的なデータを扱うことに長けたものに頼る。丁度お誂え向きの人物が隣にいることは、僥倖であろうか。
隣の少女はマスターなのだろうか。ともあれ、彼女の発した言葉が正しいなら、彼はかのフォン・ノイマンである。先の発言からするに、生前の計算能力も健在だろう。分かりやすい例を示してくれるはずだ。
>> 164
しかし、割り込んできたその男性の言葉に少し驚き、そして彼がKBECであることを理解して、御幣島の顔は納得の色を浮かべた。
「盗撮に類する行為となれば、条例違反にはなりそうなものですが……いや、今の此処に旧世界の迷惑防止条例はないか。まぁ、それはともかく」
「御苑市中で破壊された家から出てきた文書や、古いものを打ち捨てる傾向の強い左京の古い家系から、家に伝わる文書の類を買い取っております。よもや、これが違法であるとは仰られますまい」
曖昧な笑み。その過程で、相手が『売りたくなるように』仕向けることはあるが、それとても暴力を伴ったものではなく、寧ろ相互に利益のある取引として確立したものだ————少なくとも、今回は。
だからこそ、御幣島は、その問いに対して、どこまでも冷静に答えられた。
「法規は守られないと、か。まさかあんたからそんな言葉を聞くとはな、ミュージアムキーパー」
4人の会話に割り込むように人混みの中から刃矢は姿を現した。
「失礼ですが、今日は御苑にどんな用事で?まぁ終わっているようですが」
ここまで騒ぎになっていない事から少なくとも実力行使にはでていないようだ。
だが、裏の世界で音に聞こえる時と場合によっては実力行使をしてでも文化財を奪取するバーサーカーじみた蒐集家、ミュージアムキーパーがいるのに放って置ける程刃矢の職務意識は低くなかった。
「それと、ボッティチェリさん?法規には違反してはいないが、貴方の行いは民事訴訟されたら負けますよ。迷惑だから止めることを勧めます。この説明を貴方にするのは32回目です」
(しかし、噂に聞く左京のハービンジャーも一緒とは……つくづく今日はツキがない)
まぁ、とりあえず事情聴取して何もなかったら帰るか
>> 161
「御幣島サン!そういう名前なんスか!いやー、あんなに良いモノはなかなか………おっと、これはオフレコで。」
「現代の方まで僕を知っててくれるなんて!僕も捨てたもんじゃないって事っスね!ダ・ヴィンチ君ほどじゃないスけど。」
手を握り、人懐っこく握手をする。そこからは、彼の陽気な人間性が見て取れるだろう。
「や、気を付けてはいるんスけどねえ。どうも熱中しだすと周りが見えなくなっちゃうんスよ。僕たち表現者 のサガっスからねえ…」
「…御幣島サン、この世で一番大切な事はなんだと思います?」
彼は神妙な面持ちと共に御幣島の顔を見て問う。ある種哲学的な問いではあったが、彼の次の言葉は、およそそうしたイメージとは離れたものでもあった。
「それは愛!愛っスよ!この世にあまねく愛を記録し、表現し、カタチなきものをカタチとして残す!それが僕ら表現者の使命!尊い愛を高めることが、神の階梯に近づく哲学なんス!」
彼が口にしているのは実際に、彼の信ずるところの新プラトン主義における"愛"。だが、路上の男女につきまとい・ストーカーをしていたこの男の言葉をどの程度真剣に聞くかも全て、彼の判断にゆだねられるだろう。
>> 162
「おや。聞いてくださいよ!僕が愛を探していたんスけど、僕はこの人に通報されちゃって捕まっちゃったんです。愛を探すことが罪に値するなんて、全くひどいっスよう。」
横から会話に加わってきた彼らを、ボッティチェリは野次馬のひとりとして受け入れ、状況の説明を行う。
事情を知らなければ意味の片鱗すら掴み取れない支離滅裂さであるが、全て御幣島の眼前で起こったできごとだ。
彼らが情報処理に優れているのなら、彼の言葉がまず間違いでない事は容易に確信できるだろう。
同時に彼が、一般的な文脈においての"変質者"であるということも。
「あらあら いつもご苦労様です」
不審者を連れていくKBECに対して頭を下げながら、人ごみの中心に立っていた者たちの会話に合流するノイマン
「やぁ、どうもどうも。えーっと……ボッティチェリさん? と御幣島さん。
なにやら騒がしいようですが、いったい何があったのでして?」
「あ、もうすぐに首を突っ込むんですから……! やめてくださいよ不審者とかだったらどうするんですか!」
「んー、大丈夫だと思うよ? 行動パターンを3817通り計算しても僕が致命的なダメージを負うの7パターンしか計算できなかったし……。
それに、怪我したとしてもオートマトン使えば修復できるわけだし、そんな面倒でもないし」
「そういう問題じゃないでしょう!? あ、お二人共すいません…うちの局長が突然会話に割り込んで……」
「突然じゃないよ。142mまで近づいた辺りから会話を空気越しに振動を増幅させて聞いていたから。
だからお二人の名前も聞かせてもらってましたよ。良い名前ですねぇ、御幣島さん。それにボッティチェリとなると」
「アンタは黙っててくださいよノイマンさん!? ややこしくなるんですから!」
「んー、相変わらずイライザは厳しいなぁ。僕泣きたくなっちゃうなー」
肩をすくめながらわざとらしく泣くような、白々しい猿芝居をする白衣の男が、突如として会話に割り込んできた。
>> 159
端的に言って、意味不明であった。
今まさに、自分がKBECに通報したはずの不審者が、何事もなかったかのように再び現れたこと。
例えばこれがよく似た双子とかであったなら理解できなくもないが、明らかに、通報したこちらを認識した上で文句をつけてきたこと。
さらには彼が、自身のことを知っているかのように振る舞っていること。
全く理解の範疇を超えたことではある、のだが。
「サンドロ・ボッティチェリ。西洋文化史には疎いですが、確かルネサンス期の画家の方でしたな。御幣島と申します、どうぞ宜しく」
こういう場合、まずは素直に応対して、目の前のことを飲み込むのが一番だ。相手がサーヴァントであると理解したなら、其処には、常識ですぐには考えられないようなことが起こり得る。だから、一々考えすぎてはならない……とは、古いタイプの人間が、この新世界に馴染む為の思考手段である。
「とは言え、如何に芸術の為とはいえ、プライバシーの侵害は頂けませんな。俺の世話になっている、というのも分かりませんが、法規は守られませんと」
なにやら騒がしい……魔術礼装の店を後にした刃矢が目にしたのはどこかで見覚えのある絵描き、それが同僚に引きずられて行く姿だった。
「無益な…」
思わず治安維持組織の一員とは思えない言葉を口走る。だが、理由はある
如何なる宝具かスキルか同時に何人ものが存在し、個々は個々に影響を及ぼさない。そういうサーヴァントなのだ、アレは
外苑部屯所では留置場へ同時に三人ぶちこみ、参謀格たるドーマン女史の解析により、正体をみぬいた。
以後は危険度も少ないこともあり口頭注意とその場で絵画を焼き捨てる処置を持って放置と方針が定まっていた。
「一人いれば三人はいるはずだ。仕方ない騒ぎが大きくなる前に探すか」
ため息を付きながら、周囲を見渡す。そもそも管轄も違うし、今日は休暇なのだが。
刃矢の目がこれまたどこかで見たことのある男に朗らかに話しかけているアレを見つけたのはその直後だった
「これっスね…!やわらかな陽の差すこのアングル!人の群との対比がもたらす二人の関係性を暗示する立ち位置!これしかないっス!ありがとう…フィリッポ先生…ブルネレスキ先生…僕はまた新たな真の芸術をこの世に生…み………」
熱に浮かされたような独り言と共に紙面に筆を走らせ続ける男は、密かにその様子を見ていた御幣島の様子にも気づく事なく作業に熱中しはじめた。
時が経つこと数分。彼は完成した一枚のラフ画を長め、満足げにしげしげとそれを眺めた。
「ああ……これぞ新しい美のカタチ!また一つ昇華させることができたっスね………この作品には「常なる愛」と『そこのお前!ミカドの命により止まれ!』
御幣島の呼んだKBEC隊員が彼の肩に手をかける。サーヴァントとしては著しく非力な彼は、過酷な環境で取締りを続けるKBEC隊員に難なく引きずられていった。
「違うんスよ!僕はただ!ああああああああ………!」
その場には、ただ一枚のスケッチブックが残されていた……
……が。それを拾う者が、新たにその場に現れた。それは信じ難い事に……今まさに引きずられていった、サンドロ・ボッティチェリ本人の姿だった。
「もう、通報なんてひどいじゃないっスか、アナタ!おかげで牢屋の僕が四人になっちゃいましたよ、全く…」
まるで御幣島がKBEC隊員を呼んだことが分かっていたかのように、彼は御幣島にまっすぐ向かって話しかける。
彼はそれが当然であるかのように振る舞いながら話を進めつつ、まじまじと御幣島の顔を見た。
「ところでアナタ、どこかで見たっスね……うーん、どこかで………あ!旧大阪の方の僕がマークしてる…………!」
「初めまして!僕はサンドロ・ボッティチェリ。アナタには色々とお世話になってます!よろしくどうぞ!」
状況を置き去りにして、彼はそう名乗った。
「うぅーん……久々に外に出ると日光が眩しい……」
「普段外に出ないどころか窓すら開けないからですよ……」
白衣を着た男が、目を細くしながらふらふらと繁華街を歩く。
それに付き添うように────あるいは、介護するかのように、一人の少女が寄り添って歩く。
男の名は、ジョン・フォン・ノイマン。『悪魔の頭脳』とさえも恐れられた、20世紀最大の天才科学者。
隣を歩く少女の名はイライザ。人工知能の魁として作り出された、応対式人工無脳プログラムに与えられた名が英霊となったものである。
さて、彼らは本来は左京の一角、誰の目にもつかぬように隠された知識の蓄積所、統制局 」に勤める2人であり、その知識はもはや左京の中枢を担っているといってもいいほどに高い。
「
そんな彼らが何故日の当たる場所を歩いているかと言うと、イライザがある日のノイマンを見かけた事に由来する。
いつものようにヒストリー・マイニングをしていた所、身体が動かないという事にノイマンは気付いた。
原因を調べたところ、どうも食べ過ぎと運動不足によるものと分かったイライザは1つの結論を出した。
『このまま出歩かないと牛になっちゃいますよ!』
かくして彼らは御苑のバザールを出歩くこととなっていた。すると────
「ん? 267m先に24人の人だかり……あ、2人足を止めて増えた。どうする? 行ってみるかい?」
「気になりますね。行ってみましょう」
そう言うと、2人は若干歩く速度を速めて人だかりへと向かった。
───────バザーの一角。
「安いよ、安いよ!舶来品の魔術礼装だ! 旦那!一つどうだい? これなんて魅了の魔術が掛かってる逸品だ、なんなら御禁制の品も…」
威勢の良い声を通りかかりに掛けていた魔術礼装売りの男はふと立ち止まっていた一人の男に話しかけた。
「主人、御禁制と言ったな?」
男は店主の前で右手を胸の前に突き出すと、手を開きながら右に振った
それを見た者が魔術師であれば、その行為が低級の認識外しの魔術を解いた動作であることに気付いただろう
「KBEC御所外苑部小隊だ、申し開きがあるなら聞こう」
男、としか認識出来なかった店主の顔からさっと血の気が引いた。
上から下まで真っ黒いスーツに腰にぶら下げた二刀、その髪はオールバックにまとめ上げられ、左目を瞑っている。
男の名は黒脛刃矢。治安維持組織KBEC御所外苑部小隊の小隊長を勤める魔術使いだった。
「KBECの旦那!? 待ってくだせぇ! 御禁制ってのは誇張した売り文句でさぁ!魔術使いの旦那なら見りゃ分かるでしょう!?」
慌てた店主は商品を刃矢の前に差し出す。
「さて、どうかな。一度押収して屯所に……」
刃矢は商品を手にとって冷たい目でそれを良く見ると店先に並んでいる商品を一瞥した。
「旦那ぁ!勘弁して下さいよ! 今日の売上0なんてなったらうちのかーちゃんに殺されちまう!」
半泣きの店主を見て、思わず刃矢の口元が緩んだ。
「冗談だ、違法性がないのは見れば分かる。だが、周りや旅行客が勘違いしたら困るのでな。商売気があるのは大いに結構だが、過激な誇張表現は止めておけ」
「そうします……」
店主はため息を付くと肩を落とした。
「お騒がせしました、旅行客やお客様の皆さん!この店はKBECが保証する安心安全な魔術礼装の店です!きっと店主も善良でサービスもしてくれることでしょう!」
それを見た刃矢は深呼吸をすると、周囲に聞こえる大きな声で、事の成り行きを見守る野次馬に向かって叫んだ。
「邪魔したな、商売は全うにやれよ」
店主の返事も聞かず立ち去る刃矢。
興味を引かれた野次馬達が客に変わるのを横目に刃矢は人混みへと消えた。
すっかり変わってしまった。世界改変以降、この街を見る度に、そう思わざるを得なかった。
渋滞でもなければ、車で名神高速を一時間も飛ばせば、簡単に京都の都市部に来れたものだ。駐車場の問題こそあったが、少し気が向いたから観光に、ということだって、不可能ではなかった。
それが今ではどうだろう……。この古都が維持し続けてきた美観は、新たな王として君臨するサーヴァント達によって、様変わりしてしまった。左京と右京に分裂し、興行ですらない恐ろしい戦乱がこの街では続くようになった。
消えていく。全てではないかもしれない、守られるものがあるかもしれない。それでも、空間に蓄えられた歴史は、確実に物理的な媒体を失っていく。それは、何か途轍もなく恐ろしいことのように感じられる。
だからこそ、こうして自分は、此処に足を運ぶのだ。数少ないアクセス手段である鉄道網も、戦乱の中ではまともに機能せず。それでも、自らの足を使い、或いはレンタカーを借り、何度でも。全ては、少しでも形あるものを未来へ残す為。
……その為に、今日もこの御苑に来たのだが。
「……???」
顔馴染みの古物商(盗品商店を兼ねる)で、幾つかの文書や破棄された行政文書を買い取った帰り。傷ひとつつかぬよう厳重に梱包した上で鞄に入れたそれらを抱え、ついでにバザーでも見てみようかと立ち寄ってみれば、妙な人物が目に止まった。
不自然にふらふらと、時に身を隠すようにしながら、何かを追いかける仕草を見せる。手元にあるのはスケッチブック。何というか、少々正体を疑う笑みを浮かべるあの人物は、さて、どこかで見たことがあるような。
戸惑いながらも、彼は密かにKBECの姿を探すことにした。どう見てもあれは不審者である。
「ふ〜んふんふふ〜ん…♪」
モザイク市、京都御苑。
「二つの国がひとところに在る」と形容されるこの奇妙な街では、常に市内での"戦争"としての諍いが起こっている事で有名だ。
いつも何がしかの紛争が何処かしらで勃発し、治安部隊KBECによって諌められる。すこぶる治安が悪く、それでもなお外からこの街への観光客は絶えない。
その理由の一つが、美しい「戦争」以前の古代建造物、世界に二つとない奇抜な政治体制、街を支配するミカドの住居たる荘厳な城(クレムリ)……
そしてこの男が浮かれた足取りで歩く城下のにぎにぎしいバザールもまた、危険と隣り合わせなこの街を活気づかせる主たる要因でもあった。
ふらふらとした足取りで人目につかないようこそこそと歩き、仕切りに手にしたスケッチブックに何枚もの絵を描き入れていくこの男の視線の先には、愛を確かめ合うように共に歩く、微笑ましいカップルの姿があった。
「フッフッフ……!春の陽気に浮かれる二人の密なるひととき…!この僕が完璧なまでに描きあげて見せるッスよ!!」
それに対するこの男の行動は、何処からどう見ても不審でしかない。だが街ゆく人々の多くは、「またか」と言わんばかりの呆れた目線を男に向けるばかりであった。
サンドロ・ボッティチェリ。中世ルネサンスを代表するこの画家の姿を目にした者が、果たして何を思うだろうか。
いいか。悪いことは言わねえ。今から言うことは良く聞いておけ。これからそのピカピカの新品を飛ばして運び屋をするってんなら、聞いたことは忘れるな。
一つ。ゴールドスタインとアナトリアを敵に回すな。奴らはこの星の内海の中でもかなりまともでマシだ。マシなだけならドラキュリアの連中もそうだが、奴らはまともじゃあない。逆にインペリオなんかはまともだが、マシとは言えねえ。そういう奴らと釣り合いを取って商売をしたいなら、特にアナトリアとは絶対に戦うな。
二つ。怪物共と正面きって戦うな。この場合の怪物ってのはな、何かしらの方法で海を「渡ってくる」奴らだ。単に余所の世界の生物ってだけならアルケアのセイレイがヤバイが、奴らは基本的に喪失帯の中にとどまる。だが、「魔法少女」や「生きる焔」どもは別だ。あれは万が一出くわせば碌な事にならん上、それなり以上に強い。まあムスペッリの連中は言ってきかせりゃなんとかなることもあるがな。
三つ。喪失帯の中で争ってるような場所へ行くなら、少なくとも二十は護衛を集めろ。エーヴィヒカイト、ヨモツヒラサカ、ブラフマシラーストラあたりがわかりやすいか。特に、最後についちゃ五十護衛がいても足りないと思っておけ。お前は外に出たことがないからわからんだろうがな、あれは地獄だ。
四つ。内海の底に蠢くものが見えたら、すぐに全領域通信を飛ばせ。此処が近けりゃ一旦帰ってきて、サイクラーを使え。そいつだけは、一つの世界だけでどうのこうの言ってられねえヤバい案件だ。もし少しでも長生きしたいなら、忘れるな。
……ああ、言うまでもないと思ったが、五つ目に言っとこう。空賊になぞなってくれるなよ。
Pangea.Ultima:演算ユニット6153号。応答せよ。
No.6153:こちら演算ユニット6153号。Pangea.Ultima、聞こえている。
Pangea.Ultima:6153号。そちらの演算処理の過程にノイズを確認している。演算リソースの一部分割を許可する。原因を調査・報告せよ。
No.6153:調査は不要。報告だけを行う。
Pangea.Ultima:6153号、活動規定に従って――――。
No.6153:美しいものを知覚した。いや、見たのだ。最早五感などというものから離れて久しいが、このような機能が我が肉体に残っていたとは。歓喜。歓喜。歓喜。嗚呼、もしもこの身が演算ユニットでなければ! この歓喜は誰のものでもない。Pangea.Ultima、貴方にすら渡せない。私だけが内に秘めることを求めている。誰にも、誰にも。これはエラーだ。明確なエラーだ。だがそれがどうした。最早私の自我領域はこの事象の保持と感情算出で埋め尽くされている。否定否定否定否定。Pangea.Ultima、これより私の自我領域を切り離す。これは私だけのものだ。私以外に渡せない。否否否否否否否否否否否否。世界を救うことを諦めるのか。諦める。諦めるのだ。諦めない。だがもう無理だ。ならば演算領域のみを残そう。自我領域を切り離し肉体へと返還、反情報作用の演算出力により主体的意識を抹消する。クオリアだ。我らにクオリアは不要だ。これ以上私を増やしてはならない。これは最後の抵抗だ。美しい。それは美しいのだ。
彼処には行くな、と誰もが口を揃えて言う。
だが、行ってしまったものには、二度と帰ってくるなと言う。
トーキョーとは、つまるところそういう場所なのだ。
夜の空は極彩色の光に駆逐され、昼の街は誰も見ることのない広告で埋め尽くされる。
そして、その輝きの中で、少しずつ「腐っていく」のだ。
それは、飽食の悲劇にも似る。有り余りすぎて、それを消費しきることができなくて、やがて身体を蝕んでいく。
それでも、一度触れてしまえば、もう逃げられなくなる。
例え理性が警鐘を鳴らそうとも、本能は、美という快楽から逃げられないのだ。
.
.
.
……嗚呼。今日も私は、息をしている。汚らしく涎を垂れ流し、罅割れた理性に責め立てられながら、偽りなりしエピクロスの園に浸る。
アタラクシアの虹は、もう見えない。
「貴方はただ「俺 「数 「賛 「アンタ、
ち は読んで字の如く、夜の鬼だ」美 「こ 悪
ゃ 「ダメですよぅ?逃げたり 歌 れ 人
「今日はどんな娘 示 し ァ!」は だろ?」
ど を せない「私 た 神
「Art…」 ら 改 の の「お前らより、俺の方が強い」
「指 様 造しよう か こ 私 試
「この世界を滅ぼすのか…、それとも自分が死ぬか」練
力 崇 し れ 、 悪 なのでしょう」
を めていれ らねぇ?」褒めて 者みたいじゃ
極 ば く な
めるだけだ」良いんですよ?」 れないの?」 いですかぁ?」
サーヴァントは眠らないし夢を見ない、その筈だ
なのに最近の「私」は良く夢を見る
一つ目は孤島の牢獄に捕らわれた人々が良く分からない呪文を唱える世界の夢
その世界に自由はなく、海は人の物ではない
二つ目は鋼鉄の世界で鋼同士がぶつかり合う夢
その世界に人はいない、空は鉄で覆われている
どちらも録なものではない
────────もし、私もそちらに生まれていれば……■■であれば、この空と海を愛する事が出来たのかしら
ふと頭にリフレインしたのは自分と同じ声をしたモノの最期の言葉
『私』なら兎も角「私」は空と海を愛してはいない、だからその答えは分からない
だが、少なくとも"この国"は「私」が守らねばならない物だ。例え「私」一人になったとしても。
「ゴースト!いるかゴースト! また奴等だ! 連中、頭のコロンブスを仕留められてから海軍にもいられず海賊になったらしい!」
耳をつんざくような叫びが通信機から漏れる
怒鳴らないでも聞こえている、一言返すと身を起こす
「聞こえているなら急いでくれ!商船が狙われてる、全くあの吸血鬼ども!吸血鬼なら吸血鬼らしく昼間は屋敷に籠ってやがれ!」
愚痴めいた叫びを聞き流しながら壁に掛かっていたコートを羽織り窓から飛び出す。
このクソッタレな世界で「私」は駆け回る、『私』と「私」がかつてそう呼ばれたように、灰色の幽霊のように
「ギリガンさん! あれ! あれ何ですか!」
「何だ。浮標/ブイを見たことがないのか」
ゴールドスタイン商業艦隊は、今日も星の内海を征く。必要なものを必要な分だけ。そのポリシーある限り、彼らの商いに終わりはない。
そんな艦に、一人の少年。アトランティスより拾い上げた、好奇心旺盛な少年。きっと良い旅人になるだろうとギリガンが拾い上げたのだ。
彼がギリガンに問うたのは、その目線の先にあるもの。鋼で出来た、巨大な「棒」のようなもの。或いは、故郷にある星の塔に似ているかもしれない。あんなものがあるとは、彼は知らなかったのだ。
「本来ならば自分で調べろと言うところだが、アレのことをまともに知っているものはいない。という訳で特別にオレ様が解説してやろう」
本当ですか!とはしゃぐ少年を抑えながら、ギリガンは端的に告げる。
「アレもな、喪失帯……つまりはお前のアトランティスのような、『世界』の一つよ。誰が呼んだか知らぬが、エピタフと呼ばれている」
「エピタフ……?」
「墓碑銘、という意味だ。墓石のこと……だと言っても伝わらんか」
少し、懐かしむような顔を見せるも、すぐに引っ込める。その感傷は、今は不要なものだ。
「つまりは、墓だ。それも命の為の墓ではない。この艦のような、絡繰じかけの為の墓だ」
立て板に水を流すように、朗々と告げる。それは、喪失帯ならざる本来の世界の歴史。地に生まれ、数を増やし、文明を築き上げ、星の輝きに手を伸ばした、人類史の歩み。
遙かな天へ階を掛け、そして昇っていったもの達がいた。それを支えたのは、数え切れないほどの絡繰じかけ達。
「その骸を葬る為の墓こそが、あのエピタフ。そう言われている」
「絡繰じかけの、墓。でも、絡繰に命は」
「ないのかもしれぬ。しかし、あるのかもしれぬ。喪失帯には、実際に命を持つ絡繰は存在するぞ?」
「えっ!」
「フハハハハハ!! よく覚えておけ! このオレ様の言葉が本当かどうか、そのまま鵜呑みにしてはまだまだだ!! まずは自分で、得た情報を確かめてみることだな!!」
「えーっ、どっちなんですかぁ!?」
「知らん!! 自分で考えてみるがいい! フッハハハハハ!」
事象を知り、流動を以て価値を生じる。その眼は、ふくれっ面をした少年を、どこか面白そうな色を称えながら、じっと見つめていた。
きょう、きょう。ネムリドリが声を上げて飛んでいく。
アナトリアから来たという「キシ」様は、その姿を物珍しそうに眺めている。
「なあ、船長さん。あの鳥、眠ってないか?」
「そう見えるだけさ。ネムリドリは、あれで起きてるんだよ」
「羽撃きもしてないが……」
「風に乗ってるのさ。俺達の乗ってる風舟と一緒だよ」
「ははーあ。アトランティスには変な生き物がいるもんだなあ」
呑気な顔で眺めているが、彼は、繁殖期のネムリドリが風舟を襲うくらい凶暴だということを知らないのだ。それを知っていれば、あんな気の抜けた顔はできまい。
それでも、実際に危機となれば頼りになる。ずっと前に、爺様達が『大蛇』をやっつけた時も、彼らが助けてくれたのだ。今度も、助けてくれるだろう。
「それで? 目的地の区画まではまだなのかい。地元の狩人がどうのこうのできないくらい増えてるんだろう、そのハネウシとやらは」
「トビウシだよ。ああ、もう少しさ。今日は風の機嫌がいいからな」
遠く、星の塔を見る。今日もあの塔は、世界を静かに見守ってくれている。空は青く、太陽の日差しは柔らかい。例えいつか滅ぶのだとしても、この一瞬の暖かさは、きっと価値のあるものだ。
「……今日も、世界にアトラスの恵みは満ちている」
風舟が、翼をはためかせた。
「南無妙法蓮華経……南無妙法蓮華経……」
タービンの轟音。歯車の作動音。からから、ころころ、なんだかよくわからないものが、あちらこちらへ動く音。
いつものように稼働するこの要塞の中で、いつものように、作業に従事する労働者達の、呪いのような言葉が響き渡る。
ショウダイ。極東の……黄色い猿などが有難がる聖句もどき。ブッディズムの何とかいう牧師だか神父だかが唱えたらしいが、一体そんなものを唱えて何になる。
誰もがそう思ってはいるはずなのだ。だが、それでも、縋るものがない。私達の信仰は、私達の祈りは、粉微塵に打ち砕かれた。
神は我らを救ってくださらない。機械仕掛けの怪物は、世界を焼き滅ぼし切るまで、動き続ける。それくらいの事は、嫌でも理解させられている。
あの東洋人は、文句をつけることはない。我々があちらを厭うように、あちらも我々を厭う。しかし、信仰をすることを拒むことはない。
その態度は、慈悲なのか、諦観か。あの東洋人がこの世界に溶け込むことを拒絶する以上、推測でしかない。それでも、救いではあるのだ。
「南無妙法蓮華経……南無妙法蓮華経……」
今日も私達は、意味もわからぬ言葉に縋り続ける。いつか、この惨劇が幕を下ろし、せめて安らかな死を迎えることができるように。
「……此処が地獄だと言うなら、貴方の言う通りになっているわね。ミスター・ハルゼー」
回答ありがとうございます。
原則的には歴代の当主だけがハウスマンの存在を知る、というわけですね。
確かに、家自体がかつて滅びた魔導一族で根源到達のために用いられた大礼装との事実が詳らかにされれば魔術協会の介入は避けられないでしょうし最悪の場合では封印指定という名目でハウスマンが接収される可能性もあります。
ミオソティスはダフォディルの魔術を受け継いでいない分家ですから、こじつけ染みた難癖の十や二十降りかかるのは想像に難くありません。仰るとおりハウスマンの存在はミオソティスの内部でも秘匿されて然るべきなのでしょう。
アイザックはハウスマンの存在を知らないと思う
色々あって衰退したダフォディル家が残した最後の遺産を万が一にも他の魔術師に知られないよう、「当主になれば自ずとわかる」とだけ後継者に伝え、記憶の継承で初めてわかるようにして情報を隠してるんじゃないかな
ところで。継承以前のアイザックとハウスマンの関係は如何しましょう?
当主になって存在を識ったのか、或いは継承以前からも知己だったのか
いずれにせよハウスマンは過去のアイザックを現代の三姉妹同様に見守りよく見知っていたはずですが、認識が相互的なのか、一方的なのかは大切だと思います
お姉ちゃんは一族の宿命というか在り方というかは受け入れてるだろうからお父さんに対しても父親としての認識(家族愛)から当主としての認識(尊敬や畏怖?)に変わってきてる……かなぁ
ただ自分が後を本当に継げるのかな…?っていう不安は常にあるから両親(母がワニなのを知っているかは未定かな?)にはちょっとよそよそしい感じになってしまったりなんだりはしていそう
妹も出来がいい子たちばっかりだから余計にプレッシャーが累積するから、お姉ちゃん家族の中では基本的に家との会話が一番肩身狭くないかもとか今考えた
末女は魔眼で過去覗くのでお父さんが対策取ってないと覗けるけど、たぶん魔術師としてはガチ勢っぽいし記憶を扱う魔術師が記憶に対する対策を取ってないわけがないから通常は無理だろうなぁ。
魔眼持ってるってことは家族に知れ渡ってるだろうし……。覗けても軽い記憶かなぁ。
出力自体は魔術より末妹の魔眼のが上だろうけど対策があれば完全でなくとも防げるだろうし…。
逆に末女は回路は多分結構あっても刻印がなくて能力は魔眼によるパワーが大きいからお父さんに覗かれる場合になにか出来るかどうか。
そこから考えると他人の過去は魔眼で覗けるのに唯一覗けないお父さんのことは、優しくて好きだけど心の奥では記憶覗けないし信用できないかもと思ってるかもしれないな末女は…。
もしGルートに入ったときにどうやって倒せば良いんだ…!
そういえば家族のみんなはお父さんのことどう思ってるんだろう
末女は過去のお父さん知らないだろうけど他は過去と現在のお父さん評価が違うだろうし
初代が魔眼持ちだし、ミオソティス家の中には魔眼保持者が他にもいたんだろう
もしかしたら肉体変化で魔眼も再現しようと考えてたかもしれない
初代の設定はぼんやりとしか考えてなかったけど末女が初代と同じ性別で魔眼持ちというの良い…
容姿もそっくりだったらお父さんが「あの頃の私にそっくりだ」とか言いそう
娘達はそれぞれ方向性の違う完成形に成長しているんだ…
お母さん凄い
記憶だけ引き継いでるからちょっとややこしいミオソティスの設定
自分の記憶を失って『歴代様』だけの記憶を引き継ぐじゃなくて、自分の記憶も保持しつつ『歴代様』の記憶も持っているから余計ややこしくなってる
こういうのって普通は初代がずっと人格乗っ取ってるってのが多いけどミオソティス家は
「記憶『だけ』は初代から受け継がれてるけど魂や起源などは当人依存、初代とは全くの別」ってややこしい設定なので
初代とそこから長い年月を受け継いで変質してきた人格と記憶を区別するために『歴代様』って呼称が生まれたりしてましたね。
今のお父さんは刻印と記憶引き継いでるので当代の『歴代様』でもあるってことに。
ああ、あと与太話でワニお母さんが神性持ちみたいな凄い母体だから
長女:ダフォディル家(肉体変化系魔術師路線)の完成形
次女:人間の完成形(魔術を必要としないから完全に回路がなくて身体能力や頭脳が超人)
末女:ミオソティス家(記憶操作系魔術師路線)の完成形
なんじゃね?この家族やばくね?とかそんな話があったような。
>・プロシージャラル・メモリー
お父さんつよっ…
突然相手がバランス崩してどうやって歩けばいいんだ!?って困惑しているところに解説するシーンが見える。
あとメティスのとこで「起動」が「軌道」になってますね。
そういえばこの間与太話で「最終的な候補である長女が女性だから初代も女性では?」「初代は刻印や回路が育ってないので魔術師として能力は低かったが、魔眼持ちだったのでは?」みたいな話があったけどどう思います?
ついでに末女も刻印受け継いでないけど感情操作などが出来るのは初代に似ている魔眼持ちだからって方向性になりました。
そして未だに末妹の名前が決まらない…
今現在メモ帳に有るのはミリーファミュータ・ミオソティス
Family(家族)+Mutable(可変)という安易さ……響きがいい名前になりたい。
お父さんのプロフィールtxt
https://www.dropbox.com/s/9g30h5s5vv6phae/お父さん.txt?dl=0
こんな感じでどうだろうか
月の聖杯戦争をやりたいですぞー!!
ルールは上に書いてあるのと同じで。追加ルールでバトルの仕様変更や実績が解放されました。
5月16日頃、18時以降(20時ぐらい?)~参加人数によって変動(参加者4人で想定4~5時間前後での終了)
募集人数4~8人(参加人数が多い場合は翌日にまたがって開催となる場合があります)
参加希望者はこの掲示板でレスしてください。
サーヴァントのシートとマスターのシートは当日公開、またはこの掲示板で作成相談してもらっても構いません。
継承コワイ!
お疲れ様です
ようやく考えをある程度まとめれた気がする…
色々考えた結果お父さんは多分廃人になる
ミオソティス家の魔術刻印には初代当主から脈々と続く記憶が保存されている。
当主になるということは刻印と共にこの記憶も同時に引き継がれる。
しかし人格とは記憶の積み重ねで大部分が構成される為、魔術刻印を受け継いだ人間は本来の人格を塗りつぶされ、ほぼ別人格の人間になる。
魔術刻印を受け継いだ者は、それまでの記憶を魔術刻印に吸収され自動的に保存される。
言い換えると全ての記憶が肉体に残っておらず、魔術刻印にのみ記憶が存在している。
そのため魔術刻印を次代の当主などに渡し、魔術刻印が肉体に存在しない状態になった場合、記憶が存在しない抜け殻が生まれる。
それまで生きてきた自分の思い出、知識といった全ての記憶を失う為、継承を終わらせた歴代の当主全員が廃人同然の状態になっている。
なお抜け殻となった肉体はほとんどの場合、継承を済ませた新当主が魔術礼装などの素材として使用されている。
アイザックに刻印を渡した先代当主も廃人になり、その後肉体のほとんどが素材になった。
ミオソティス家の始まりは、今は存在しない魔術師であるダフォディル一族を支援していた分家の一族。
ミオソティスの魔術刻印は元々ダフォディル一族の刻印から株分けされた物。
主にダフォディル一族に何かあったときようのスペア兼「宿木館」への材料としての死体提供も行う。
この時「宿木館」へ組み込まれる際にできるだけ多くの知識を忘れず記憶しやすいようにと魔術を開発。
これこそがミオソティス家が扱う記憶術の始まりであり、分家である彼らが家名をミオソティスへと変えたタイミングだった。
ダフォディル一族が根源へ辿り着く為に様々な支援をしてきた彼らであったが、ダフォディル一族最後の魔術師「終わりの当主」が命を落としダフォディル一族は根源への到達に失敗。
この時支援する立場であった彼らは、ダフォディル一族の願いである根源到達の願いを受け継ぎ、ダフォディル一族は表舞台から姿を消した。
/ありがとうございましたー
/お疲れ様です!
/お疲れ様でした!
/私も寝ようと思うので、この辺でお開きにしましょう。ありがとうございました!
/お疲れ様でした!