けものフレンズBBS NEO

数年前に投稿したけもフレ1(た○き)→けもフレ2小説をこちらに投下します / 19

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匿名の字書き 2025/06/02 (月) 21:06:55 ac14f@21078

 ――その瞬間。
 そのセルリアンの真下にいたフレンズが、素早く後ろへ遠退くと、そのセルリアンの、魚でいう目がある場所の石へ向かって、拳で強い一撃を与えた。
 するとそのセルリアンは、見る間もなくばらばらに砕け散り、その破片が辺りへ散乱した。
 その光景を走りながら見ていたカッパは、驚き、目を見開いた。
 そのフレンズは地面に着地すると、照りつける日を手で遮りながら言った。
「大物ゲット。」
 カッパが川岸へたどり着いた頃には、その魚型のセルリアンの砕け散った破片は、既に消滅していた。
 かばんはそんな光景を眺めながら、小さな声で呟いた。
「……あっぱー……?」
「かばんちゃん、何か言った?」
 サーバルが聞いた。
「え……? いや、なにも……。」
 かばんは答えた。
 カッパはセルリアンが砕ける前にいた場所を、口を開けたまま眺めながら、その場に立ち止まっていた。
 そして、そんなカッパの存在に気付いた魚型のセルリアンを倒したフレンズは、彼女に近付くと微笑みながら、その顔を見つめて言った。
「おーい。こんな所で何してんのー?」
「え……、あの……。えっと……。」
 カッパは戸惑い、そう小さな声で答えながら、かばん達の居る方向を見た。
 かばんはその視線の意味を理解すると、大きな声でそのフレンズに呼び掛けた。
「あのー! すみませーん!」
「おお、あっちにも居たんだ。」
 かばんの発した言葉により、そのフレンズはかばん達の存在に気付いてそう言った。
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「私の名前、何だか分かる?」
 そのフレンズがかばんに聞いた。
「……え?」
 かばんが疑念の声を漏らした。
 そのフレンズはニコリと笑うと、両腕を広げて言った。
「当ててみて。」
 かばんは彼女の体を見回した。
 先程の影からいえば、ヒグマの様にも見えた。
 だが少し、色が違う気がする。
 かばんは彼女が、ヒグマでは無いことを確認した。
 だが、ヒグマと同じ様な姿をしているため、彼女は恐らくその仲間なのだろう。
 次にかばんは、彼女の頭部を確認した。
 彼女の前髪を見た時、かばんは気付いた。
 そのフレンズの前髪には三日月のような印が象られていた。
 そういえばヒグマには、円……いや、楕円形のような印があったはずだ。
 ヒグマの楕円形の印が|陽《ひ》だとするならば、彼女は……
「ツキグマさん……ですか?」
 かばんは首を傾げながら聞いた。
 するとそのフレンズは、笑みを強くすると、一息ついて言った。
「……惜しいっ! 私の名前はツキノワグマ。髪にある印の、“月の輪”から名前がつけられている……らしいよ!」
▼■■■■■▼ 食肉目 クマ科 クマ属
■  ■  ■
■  ■  ■ ニツキノワグマ
■  ■  ■
 ■■  ■  Asian Black Bear
「へぇーっ!」
 かばんはそんなツキノワグマの解説もとい自己紹介を聞いて、感心した様子でそう返答した。
「ところで、君たちは?」
 ツキノワグマと名乗ったそのフレンズは、かばん達を見ながら彼女達に聞いた。
 かばんはそんなツキノワグマの言葉に帽子を下げなから答える。
「あ、紹介遅れてすみません。ボクはかばんと言います。キョウシュウエリアから来ました。」
 かばんの自己紹介を皮切りに、サーバルがかばんの横で手を腰に当てながら揚々と話す。
「私はサーバルキャットのサーバルだよ! よろしくね!」
「アライグマのアライさんなのだ!」
 アライグマが続けて言うと、フェネックがそんなアライグマの後ろからひょっこりと顔を出して話す。
「フェネックだよー。」
 ……残り3人(と1台)の紹介も続いて行われた。
 そして。
「わ、私はカッパと言います!」
「よろしく。」
 カッパの自己紹介が終わり、ツキノワグマが言うと、カッパは彼女に更に近寄って言った。
「さっきの魚の捕り方……凄かったです! どうか弟子にしてください!」
 ツキノワグマはそんなカッパの言葉に、困惑した表情を浮かべて言った。
「ごめんなさい……。私、一匹狼だから……。」
「そうですか……。」
 カッパは俯きながらそう答えた。
「じゃあ、ツキノワグマさんの家の場所を教えて下さい!」
「え……。まあ、いいですけど……。」
 カッパの言葉に、ツキノワグマはそう答えた。
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 ぐんまさふぁりぱーく きりゅういんおねえさん(ぐんま)
「ツキノワグマはー。そうですねー。雑食性でー。そうですねー。基本的には何でも食べましてー。そうですねー。ま、親子以外は基本的には単独生活をしててー。そうですねぇ。ツキノワグマの胆嚢はー熊胆といって薬用にされたりしていてー。そうですねぇー。まあ、そういうのに使うからか、そうですねぇー……結構ツキノワグマの個体が少なくなってるのはーそれのせいかもしれませんねー。」
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 話を聞いてみると、彼女……ツキノワグマの家も、カッパと同じく、この川の、さらに上流の方にあるようだった。
 カッパはかばんと、他6人のフレンズから許可を得ると、ツキノワグマをバスの中に招き入れた。
「おー。すごいねぇ。」
 ツキノワグマがそう言いながら、バスの中を見回す。
「バスって言うんですよ。」
 かばんがツキノワグマにそう説明した。
「バスか……。いいな、一つくれ!」
 ツキノワグマは言った。
「こ……、このバスは一つしかないので……。」
 かばんは困惑した表情を浮かべ、両手を横に振りながらながらそう答えた。
「ソレナラ、ココカラモウスコシジョウリュウニイッタトコロニアルヨ。」
 その話を聞いていたのか、運転席で運転をしていたラッキービーストが言った。
「バスってまだあったんですか?」
 かばんが言った。
「コノエリアゼンタイデカゾエレバ、アトゴダイハアルヨ。」
 ラッキービーストは答えた。
「そうなんですか! 知りませんでした……。」
 かばんは言った。
「……そういえば、きょうしゅうえりあでも、他にバスってあったんですか?」
 ラッキービーストは答えた。
「キョウシュウエリアデモ、ホントウデアレバ、アトナンダイカアッタハズナンダケド、レイノセルリアンノイッケンガオキテ、パークノショクインタチガエリアカラニゲルタメニ、ホトンドツカッタカラ……。アノイチダイイガイハ、ナカッタハズダヨ。」
「例の……一件?」
 かばんは疑念の表情を浮かべながら、ラッキービーストのその言葉に聞き返した。
 すると、ラッキービーストは声のトーンを普段より少し低くして言った。
「キミガ、エリアジュウノフレンズタチトキョウリョクシテタオシタ、アノセルリアンノコトダヨ。トウジノパークノショクインタチニハモウドウシヨウモスルコトガガデキナクデ、アエナクテッタイスルコトニナッタンダ。」
 ……辺りに沈黙が訪れた。
 すると、そんな沈黙の中、一人のフレンズ……ツキノワグマが、まるでその話を気にしないかのように、立ち上がって言った。
「そんなことはともかく、バス、一つ貰って良いですよね!」
「モラッテモイイケド……ツカワナイコトヲオススメスルヨ。」
 ラッキービーストはそう答えた。
 すると、そんなラッキービーストの言葉を聞いて、あることに気付いたかばんがラッキービーストに聞いた。
「そういえば、ラッキーさん、最近普通にフレンズさん達と話してますけど……。」
「コンゴ、カバンノミニナニカ、キケンナコトガオキルカノウセイガタカイカラネ。モシモノトキノタメノヨボウサクダヨ、」
「そ、そう……なんですか……。」
 かばんは頷きながら少し困惑しつつ話す。
「つまり、そのパークの、職員? さんでも太刀打ち出来なかった問題を、たった一晩で解決出来た私達は、と〜ってもすっごーい! ……ってことだよね!?」
 サーバルが大きく身体を広げるジェスチャーをしながら意気揚々と話す。
「トウジハ、パークナイノキャクタチヲヒナンサセルノガセイイッバイダッタカラネ。ソレガナカッタブン、ヤリヤスカッタンダトオモウヨ。」
 ラッキービーストは答えた。
 サーバルはその言葉が、「凄くはない」という意味だという事を理解すると、耳をグッタリとさせながらもの悲しそうに言った。
「何だぁ……。」
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 しばらくすると、川のある方向とは反対側にあるバスの窓から、外を眺めていたかばんの目に、あるものが映った。
「あれは――。」
 かばんが呟く。
 そんなかばんが見たもの。

 ……それは、土の層の中に、ポッカリと空いた複数の穴。
 その中には水まで浸かっているものや、地上から数m離れた位置にあるものまで、様々だった。
 そして、かばんがそんな光景を眺めていると、バスに乗っていた、元のメンバー以外の二人のフレンズ……カッパとツキノワグマが、ほぼ同時に声を発した。
「「ここ、私の家です!」」
 そんな声を聞いた二人は、お互いに顔を見合わせた。
「え……ツキノワグマさんも……?」
 カッパがツキノワグマに聞いた。
「そう言うカッパさんも……?」
 ツキノワグマが、カッパの問いに、そう聞き返した。
 二人は顔を見合わせて笑い合った。
 すると、そんな和やかな空気の中、ラッキービーストが更に衝撃的な事を言った。
「ドウヤラコノチカクニ、モウイチダイノバスモアルヨウダネ。」
 カッパとツキノワグマは声を揃えて驚きの声を上げた。
「ええ〜〜〜〜〜っ!?」
 かばんはそんな彼女達を見て、サーバルと共にかばんに付いてきたフレンズ達と、顔を合わせて静かに笑った。
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「いやあ。それにしても衝撃的でしたね〜。」
 かばんが語り掛けるように言った。
「みっつの目的が、一気に達成出来るなんて……。本当にまさかだったよねー!」
 サーバルがかばんの言葉にそう答える。
「そうだねー。」
 かばんはサーバルの答えに頷きながら言った。
 そしてかばんはふと、窓の外を見た。
「きれい……。」
 気付けば辺りは、今まで見たことのないような夕焼けの空に囲まれていた。
 地平線を見れば、落ち行く陽が薄紅に染まる空を、徐々に幻想的な紫色へと変えて行く。
 西の空を見ると、既に月が上り始めている事が分かった。
 それすなわち、夜の始まりを意味する事だ。
 だから出来れば、どうか夜までに、どこか泊まる事が出来る場所が、見付かればよいのだが……

 【エンディング】

「それにしても私、住んでいる所がツキノワグマさんとこんなに近かったなんて、驚きましたよ〜。」
 カッパがツキノワグマの顔立ちを見つめながら言った。
「私もびっくりしたよ〜。」
 カッパの言葉に、ツキノワグマがニコリと微笑みながら答えた。
 カッパは少し歩くと、その穴の前で立ち止まって言った。
「「それじゃあ私、家ここなんで……。」」
 カッパは気が付いた。
 また、ツキノワグマと声が重なった事に。
 そして、そんなツキノワグマは、自分の家に当たる穴……、その隣の穴を指さしながらその場に立ち止まっている。
 そんな光景も相まって、カッパはこみ上げる笑いに、耐えるに耐えきれずに、口もとを緩めて笑い出した。
 すると、ツキノワグマはそんなカッパの笑いを真似するかのように、カッパと顔を合わせたまま笑い出した。
 ……その日、かせんちほーに楽しそうな笑い声が長く響いた。

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  の          の
    の      の
 の の タイリク予告 の の
    の      の
  の          の
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 どうも、タイリクオオカミだ。
 この小説、「けものフレンズ██」もやっと4話まで進んだな。
 さて、次は5話となる訳だが、その前に予習しよう。
 今回予習しておくのは……何だっけ?
 確か……。
 けい……、けい……。
 そう、渓谷だ。
 渓谷とは、崖に挟まれた川のある所の事だ。
 通常の谷には川はないが、渓谷には川があるんだ。
 漢字に、さんずい?が含まれている事からも、その事は分かるだろう……。
 えーと。
 次回、「けいこくちほー」。
 それじゃあ次回もよろしく、な!

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