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大量発生中の「働かないおじさん」が有する「高い能力」 優秀な中高年を活かせない日本企業の損失

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出世を考えなくなった瞬間からやる気がなくなった――そんな中高年層を活かせない現代の企業は、大きな損をしているかもしれない。加速する人手不足とインフレの未来で、日本はどうなるか。
■50代前半で「ジョブパフォーマンス」が最も低下
「働かないおじさん」が発生する2つめの理由は、中高年層の転職市場が薄く、40代後半以上では「キャリアアップ」とみなされる転職が難しいということである。中高年層でも転職が容易であれば、社内で昇進が見込めなくなったところで転職し、次の会社で昇進・昇給を狙えばいいだけなのだが、事実上そうした選択肢は閉ざされている。3つめの理由は、日本企業における解雇・降格の少なさである。昇進の見込みがなくなっても、あまりにパフォーマンスが低いと解雇・降格が現実的にあり得るのなら、悠長に「働かないおじさん」化している暇もないわけだが、解雇はもちろん降格・降給すら少ない日本企業においては、「頑張ってもアップサイドはなく、さぼっていてもダウンサイドはない」という状況に陥る従業員が少なくない。「働かないおじさん」はその典型と言える。50代前半で「ジョブパフォーマンス」と「会社への満足度」が最も低下することを指摘している。こうした中高年層の労働意欲減退とそれによる「働かないおじさん」化は、言うまでもなく会社にとって大きな損失である。当たり前の話だが、「選ばれなかった人材」は、どこかの時点までは「選ばれるかもしれなかった人材」であり、本来的には高い能力を持っているはずである。そうした人材を十分に活用できなくなってしまうのは、大きな機会損失である。
■本人の問題ではなく企業の問題
なお、出世の道を閉ざされた(=昇給の可能性がなくなった)途端にやる気を失う人が多いのは、実は「仕事はお金のため」という30代の回答と整合的である。非金銭的な要因(「生きがいを見つける」や「社会の一員として務めを果たす」)が本当に労働のモチベーションになっているのであれば、「働かないおじさん」にはならないだろう。つまり、「働かないおじさん」が社会問題化するほどに大量発生しているという事実は、奇しくも「仕事にやりがいはない」という若年層の見方と整合的なのである。この点、必ずしも若年層と中高年層で価値観の分断が生じているともいえない面がある。「負担ばかり重い管理職」にもなりたくないし、「働かないおじさん」にもなりたくないとすれば、「早めに仕事を辞める」ことを志向するのは当然の論理的帰結とも言える。結局のところ、「自分も将来こうなりたい」と思わせてくれるような上司・先輩がいない(少ない)ということが、素朴ながら重大な要因になっているように思う。そして上司・先輩の側も、自分が必ずしも部下・後輩から尊敬されていないことを感じるからこそ、苛立ちが募るのだろう(そして、同年代の知人と居酒屋やタバコ部屋で若年層批判に花を咲かせる)。付言すると、この問題は、「ロールモデルたり得ない上司・先輩」個人の問題ではなく、ロールモデルたり得る人材像を提示できていない企業の問題だと思う。白河桃子(2021)が「働かないおじさん」の発生は本人の問題というより企業の問題だと指摘しているが、「ロールモデル」的人材の不足についても同じことが言えるだろう。

(2026.4.15 AERA)

オフィスタ
作成: 2026/04/15 (水) 13:01:06
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