海と花束BBS

せらスレ / 3319

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seller♪☆ 2026/05/13 (水) 21:11:27

朝を告げる鐘の音がなっている。
僕たちは村の広場にぞろぞろと向かう。
そして列を作ってくじ引きをする。
くじを引く順番待ちにみんなと喋ったりする。
この時間だけは唯一みんなと交流できる時間なのだ。
「今日は誰が当たるだろうな?」
「カイル、お前の番だったりしてな?」
「え?いや、まさか。どうせまたエマが当たるんじゃないの?」
僕が最後に当たったのはいつだったろうか。
エマに当たるな、僕に当たれ。
そう思っていたら僕の番はやっぱり来なかった。
僕より前で並んでいたエマがまた当たりを引き当てたのだ。
「あはは、やだ~3連続~?エマってば運よすぎない?」
エマは一人嬉しそうだ。
みんなはがっくりと肩を落とした。
だが僕はカッと怒りが湧いた。
エマにではなく村長に対しての怒りだ。
「村長!!なんでくじ引きなんですか?」
突然僕が叫び出したのでみんなが驚いた顔をしている。
だけど村長は冷静だった。
「くじ引きより順番を決めてやった方が公平ではないですか?
運が悪い人は何年も当たりを引かないし、運が良い人は連続で当たりを出して!そんなのおかしいです!」
僕は目にうっすら涙を浮かべていた。
悔しかったのだ。
毎日毎日、期待してははずれ、寝てばかりの生活で。
辛かったのだ。
村長は笑った。
「おかしくていいじゃありませんか。不公平だからこそ当たった時の喜びが倍になるんですよ?
当たればハズレを忘れるくらい幸せになるんだから、気にしないことです」
やっぱり順番制にはしてくれないようだった。
村長の言葉に少しだけ心が揺らいだ。
たしかにそうなのかもしれない。
1度でも当たりを引けさえすればいいのだ。
でもどこかまだ納得いかない気持ちもあった。
「さあ、そんなことより、今日の当たりくじはエマです!おめでとう!」
村長の宣言を合図に、みんなは祝う気持ちはないが仕方なしにぱらぱらと拍手をする。
当たった人が決まったら次は唱和だ。
円になって全員で、「みんなは一人のために。みんなは一人のために」と唱えた。
唱え終わるとさっきまで表情があったのに、すっとどこか冷めた表情に戻る。
これで僕たちの自由時間は再び終了する。
エマを除くみんなはまた布団の中にいなければいけない。
さあ地獄の始まりだ。

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