海と花束BBS

カジオの小説置き場 / 26

26
seller♪☆ 2026/05/26 (火) 00:14:40

そして、ついに最終盤。
盤面はほぼ私の「白」で埋め尽くされ、残る空き地は右下の「H8」——一番大事な「角かど」のちゃぶ台1台のみとなりました。

「はぁ、はぁ……先輩、私の勝ちですね。そこに黒は置けません」
私が勝利を確信して告げると、汗だくの先輩はニヤリと笑いました。

「甘いな。家具屋の技術をなめるなよ。……これを見ろ!」

先輩は自分のポケットから、1本の「リモコン」を取り出しました。
「職人ってのはな、誰もがこれを夢見るんだよ。……くらえ! 全自動・ちゃぶ台返しじゃあああ!!!」

ピッと音がした瞬間、64台すべてのちゃぶ台の脚に仕込まれていた小型モーターが一斉に起動しました。

ガシャガシャガシャガシャーーーーン!!!

すべてのちゃぶ台が、まるで生き物のように自分でバタバタとひっくり返り始めました。倉庫の中に白と黒の天板が激しく舞い踊ります。

「ひ、ひえええええ!」

私は頭を抱えて、床に伏せました。折れた木の脚が、しゅりけんのように飛んできます。もうオセロではなく、木のどしゃ降り雨です。

しばらくして、静かになりました。
恐る恐る顔を上げると、まわりはボロボロの山になっていました。

「はぁ、はぁ……見たか、後輩……」

ほこりまみれの先輩が、ボロゴロの山からゾンビのように出てきました。
全自動システムのせいで、自慢の売り物のちゃぶ台はすべてバラバラに大破しています。

「全部リセットだ……。つまり、引き分けだな……!」

「引き分けなわけないでしょうが! 売り物を全部こわして、大赤字じゃないですか!?」

私が叫んだその時、工場の奥から、鬼のような顔をした先輩の「お父さん(社長)」が、頑丈なバールを持って走ってきました。

「お前らぁぁぁ! 売り物のちゃぶ台をキズだらけにしおって! 全員でタダ働き100年じゃあああ!」

「ひえええ!」と叫んで逃げ出す先輩。
こうして、家具屋のプライドをかけた「巨大ちゃぶ台オセロ」は、先輩の顔が恐怖で真っ白になるという終わり方をしたのでした。

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