けものフレンズBBS NEO

【自作SS】けもフレSSを書いて読むスレ【わいわい】 / 16

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ふせんさん(暇人) 2026/08/08 (土) 08:53:34 >> 15

「お、おおーっ……!なんか、遠くに陸地が見えるのだ!」

「ほんとー?んー、代わってー」

覗き込んだフェネックが目を細める。

「あ、ほんとだねぇ?結構遠いところまで見えるねー?」

「私も私もー!」

覗き込んだマイルカが、あっと声をあげた。

「あっ……あれって、もしかして……キョウシュウエリアじゃない……?」

「キョウシュウエリア?」

サーバルとかばんの声が重なる。

「うん!サーバルとかばんが元々暮らしてたところだよ。ここまで来ると、もうあんなに小さく見えるんだね」

かばんも望遠鏡を覗いてみると、小さく霞んで見える、それでも見覚えのある陸地の輪郭がそこにあった。

「……あれが、僕たちがいたキョウシュウ……」

呟くように言ったきり、かばんはしばらく言葉を継げなかった。

「わぁ……なんか、変な感じだね...あ、だれか見えるかもしれないね!おーいっ!」

「あはは...」

少し寂しそうな、でも前を向くような表情で、かばんは笑った。

一同はしばらく無言のまま、遠くに霞むキョウシュウを見つめていた。

――――――――

そのとき、灯台の上階の外――手すりのあるバルコニー部分に、ふと一羽の鳥が舞い降りた。

気配に気づいて振り返る一同。

「なになに?誰かいるよ!」

その鳥のフレンズは、少し驚いたように羽をすくめた。

「……あっ、えっと…初めまして…私は...アオツラ……カツオドリ……?」

たどたどしく、目を伏せがちに名乗る彼女に、かばんが応える。

「初めまして、僕はかばんっていいます」

「私はサーバル!みんなも自己紹介する?」

「アライさんなのだ!」

「フェネックだよー」

「マイルカだよー、よろしくねー!」

「……よ、よろしくお願いします……」

小さく頭を下げるアオツラカツオドリ。

「アオツラカツオドリちゃんは、ここで何してたのー?」

「……えっと……その……」

少し目を泳がせた彼女は、何かを言いかけて、ふと遠くの空を見上げると、表情をわずかに強張らせた。

「あっ……ごめんなさい、私……行かなくちゃ……」

「えっ?」

「また……いつか、ちゃんとお話しできたら……」

そう言うと、アオツラカツオドリは勢いよく羽ばたき、あっという間に空の彼方へと飛び去ってしまった。

「あっ……行っちゃった」

「……なんだったんだろう?」

かばんは、飛び去った方向をじっと見つめていた。

「アオツラカツオドリは、海に飛び込んで魚を捕まえるのが得意な海鳥なんだ。名前の通り、顔の青い部分が特徴なんだよ」

「へぇーそうなんだ!」

「そうなんですね」

「……うーん、あの子...急いでる感じだったねー。何か、事情がありそうだったよー」

フェネックの言葉に、一同はそれぞれの思いを胸に、もう一度、灯台からの景色を見渡した。

「かばん、電池が、そろそろ充電できてる頃だと思うよ」

「あ……そうでした!みんな、電池を取りに戻りましょう」

「あっ、そうだったね!いこいこ!」

一同は灯台の一階に戻り、かばんが充電の終わった電池を機材から取り外した。

「充電できたよ、できたよ」

「よかったのだ!」

「これで、ちゃんとバスも走れるね!」

かばんは電池を抱えてバスまで戻り、丁寧に取り付けた。

「これで、大丈夫だと思います」

「今日はもう遅いから日を改めていった方が先決だと思うよ」

「そうですね、今日はここでゆっくり休んで...明日、出発にしましょう!」

「わかったのだ!」

「はーいよっ!」

「うん!」

――――――――

夜遅く、波の音とカモメの鳴き声だけが残る砂浜で、かばんは一人、海を眺めていた。

「かばーんさ~ん?」

「うわぁ!?...ふ、フェネックさん...!?」

「いやー心配したよ~、こんな夜遅く、いなくなったから」

「すみません...」

うつむくかばんの隣に、フェネックがそっと腰を下ろした。

「アライさんみたいにどっかにいかれたらアライさんならどこにいるかまぁまぁ見当がつくけどさー?かばんさんはどこに行くかわからないしねー?」

「......」

「それにしても珍しいねー?かばんさん」

「えっ...?」

「かばんさんって、夜行性じゃないんでしょー?」

「そうみたいですね...ぼく、サーバルちゃんみたいに夜目はきかないので...」

「それなのにどうしてこんな時間まで起きてるのかなっておもってさー?」

「......」

「......」

かばんは、少しだけ迷ってから口を開いた。

「...ぼく、悩んでたんです」

「んー?」

「サーバルちゃんやみんなの邪魔しちゃいけないって...僕の都合で勝手に連れてきてよかったのかなって...そう思うんです...変な話ですよね」

「...かばんさーん?」

「...はいっ」

「私たちはかばんさんの都合で来たわけじゃないよー?」

「えっ?」

「私はアライさんがかばんさんのところに行きたいって言ったからついてきたし。サーバルだって、かばんさんのところについていこうと思ってきたわけだし、みんなかばんさんの都合で来たんじゃなくてさ、自分の意思で来たんじゃないかなー?」

「...そうなんですかね...」

「まー私は、面白そうだから来ただけなんだけどね」

「ははは...」

かばんは、苦笑いを浮かべた。

「私は、そろそろアライさんのところに戻るよー」

「はい、おやすみなさい」

「はいよー」

フェネックが去っていったあと、かばんは一人、小さく呟いた。

「...意思かぁ」

海を眺めながら、かばんはふと、その言葉を口ずさんでいた。

――――――――

翌朝。日が昇り、鳥のさえずりが聞こえる。

かばんはジャパリバスの座席から目を覚まし、ゆっくりと起き上がると、目をこすりながらバスを降りた。

「あ、かばんちゃん!おはよー!」

「おはようございます」

「よーし、今日も元気に出発なのだ!」

一同はバスに乗り込み、ゴコクエリアの奥へと進んでいく。

――――――――

バスは、いつしか陸地に上がり、土の道を進んでいた。

「あれ、なんか木がいっぱい生えてきたね」

見渡す限り、まっすぐに伸びた緑の竹林が広がっている。

「わぁ……ここ、なんだか変わったところですね」

「ほんとだ!草原とも森ともちがう感じ!」

そのとき、ガクンッという衝撃とともに、バスが大きく傾いた。

「ふぇ、ふぇーっ!?」

「んー……どうやら、溝にはまっちゃったみたいだねー」

「えっ……」

バスの下を覗き込んだかばんが呟く。

「本当だ……車輪が、溝に……」

「よし、みんなで押せば何とかなるよ!」

「そうですね。じゃあ、一旦バスを降りましょうか」

一同はバスから降り、後ろに回った。

「せーの、で押すよー!準備はいい?」

その時、近くの草むらから「ガサ、ガサ……」という物音が聞こえた。

「……?」

「……?」

草をかき分けて、ひょっこりと何かが姿を現す。

「うわぁっ!?た、たべ……」

「はじめまして。僕は、ラッキービーストだよ。よろしくね」

「えっ...?」

「ボスっ!?」

サーバルの声が、竹林に響いた。

――――――――

夜明け前の、ゴコクエリアにある森の中。

草のざわめきと、遠くで泣くフレンズの声が、静寂の中に足音とともに響いていく。夜も明けていないせいか、空気が冷たい。

そんな中、必死に息を切らして走るフレンズがいて、泥で顔を汚し、足元を震わせながらも、なんとか逃げ続けていた。

うしろにはセルリアンがいて、ドス……ドス……という重い足音がじりじりと距離を詰めてくる。

「はぁっ...はぁっ...!」

小さな石に足を取られ、ズシャッと音を立てて地面に転がったのは、アードウルフだった。

セルリアンが、そんな彼女ににじり寄る。恐怖のあまり、アードウルフはぎゅっと目を閉じ、震えることしかできない。

「こっ、こないで…っ!」

けれど、いつまで経ってもセルリアンが襲いかかってくることはなかった。

おそるおそる目を開けたアードウルフが見たのは――パッカーンと砕け散る、セルリアンの姿だった。

しばらくの沈黙。森の中には、フクロウの鳴き声だけが響いている。

少し離れた場所に一人のフレンズが立っていて、なぜかその服はうっすらと汚れ、呼吸も荒い。

ゆっくりと歩み寄ってくるその子に、アードウルフはビクッと肩を震わせながらも、おそるおそる顔をあげた。

「…………こわかったですよね。――ごめんなさいっ」

少し斜めになっていた帽子を直しながら、その子――ドールは、心配そうに、けれど優しく謝った。

そして、すぐに明るい調子に切り替える。

「でも、もう大丈夫ですっ!探検隊が来ましたからっ!」

にっこりと笑うドールに、アードウルフは思わず見入ってしまう。

数秒後、近づいてくる足音とともに、サーベルを左手に持ったサーベルタイガーが姿を現した。無言であたりを見回すと、落ち着いた声で、少し眉を寄せながら尋ねる。

「......ふたりとも、けがはありませんか?」

「私は大丈夫ですっ!隊長ですからっ!」

にっこりと明るく答えたドールは、それからアードウルフの方に向き直った。

「そういえば、あなたは大丈夫ですか?」

首をかしげるドールに、アードウルフは少し戸惑いながらも、小さく頷いた。

「...はい。あの...あ、ありがとう、ございます……」

ドールが、そっと手を差し伸べる。

「いえ...たんけんたいのしごとですからっ!」

その手を取って、アードウルフはゆっくりと立ち上がった。

風の音と、フクロウの鳴き声だけが、静かに森に残っていた。

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