名もない管理人
2025/02/13 (木) 22:59:50
0ce9e@fc425
技術開放連合……彼らは全員がそれぞれ異なる所属集団から、ひとりまた一人と抜け出しては集まった研究人達の集団である。
我々と出会さなかった者達も、都市の何処かに所在している筈だ。ドンベクは彼らの一部を率いていた。自ら世捨て人になった者達であるのだから……世界もまた彼らを捨ておくのが道理だと言える。
昔から同じ志を抱く人々を集め扇動する事に長ける人物が居るのであれば、世に捨てられた様な者達は易く拾われてしまう。彼らはドンベクをどの様に受け入れたのだろうか、私はその答えが分かる気がする。
身も置けない程の土砂降りの下で、暖かかな温情の様に差しだされた傘の如く。彼女自身を穏しく、暖めるように。
……けれども、その傘はきっと穴だらけだったに違いない。今、我々の眼前にある通りに。
ドンベクは傘を差せども……その傘は彼女自身の利益を満たすためにあてがわれた偽善に過ぎない。彼女を取り込んだであろう者自身もそれよく知っていた筈だ。あわれにも、降る雨になすすべもなく、身を打たれるばかりだったであるさまを。
既に彼の者は、自分自身を含めてこの雨を避けるつもりもないのだ。彼女はただ、共にこの雨に降られて……。錆びし傘の様に、全てを道連れに錆びゆくことを選んだのだ。
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