YA/Ju-93-1〈注1〉は公称810hp・離昇900hpを発揮するumo(ウモ)114、並びに改良型公称940hp・離昇1150hpのumo514エンジン〈注2〉を搭載したとされる謎多き試作機である。残存資料から当機は「Ju-87を下地に空力的洗練を図った機体」と推定されており、ラジエータ配置変更による特徴的だった大きな顎の消失、主翼並びに尾翼の形状改良に伴う引き込み式主脚への変更や支柱の撤廃など、性能向上を目指した大幅な再設計がなされていた。
開発はJu-87採用直後とほぼ同時期に開始されたとされ、87の開発中に初飛行し既存機を圧倒する高速性を示したBf-109の出現の影響に加え、ソレに対する将来の敵機を踏まえた速度性能が、現行の改良型または後続のスツーカにも要求される事を考慮した為と考えられる。しかし資料の少なさから分かる通り開発は早々に中止されており理由は定かではないが、主に1.リソース的に既に出来上がっているJu-87のラインから割く必要があったが「改変部分の多さに比べて性能の向上が貧弱」が理由の、生産力低下危惧(自軍や内戦中のスペインへの供給量を保ちたかった)説・2.また「(当時では)87の性能で十分であった為不要だと判断された」説。3.元々技術試験等の実験目的で作成した為量産自体を考えていなかった説の三つが有力である。
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※注1:YAは敗戦後に連合軍へ接収された際、試作攻撃機である事を記すべく付けられた物がそのままで広まったとされる。※注2:エンジン名称に関しては、Umoではなくumoと表記されていた事、類似名にJumoが存在するとして何らかの際にJが削れてしまったというのが有力とされており、またその場合ユンカース社のエンジンは200台の番号である事から114ではなくI(アイ)14、514も同様にS(エス)14であり社内用の名称では無いか?と言う意見も存在する(同意見の場合、番号の飛躍に比べて性能向上が貧弱すぎると言う点も解消出来る)。出力においても資料によっては「僅かながら水増しがされており実際の114は離昇893、514は公称931・離昇1145.14」とする物もある。