『朝鮮王公族―帝国日本の準皇族』

朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 -新城道彦 著|中公新書|中央公論新社
1910年8月、日本は大韓帝国を併合した。最大の懸案だった皇帝一族の処遇については、王族・公族の身分を華族より上に新設し、解決を図った。1945年8月の敗戦まで、男子は軍務に就くなど、皇族同様の義務と役割を担う。異民族ながら「準皇族」扱いされた彼らの思いは複雑であり、日本に忠誠を尽くす者、独立運動に関与する者など多様であった。本書は、帝国日本に翻弄された26人の王公族の全貌を明らかにする。

Chuko
新城道彦 著
中公新書
レビュー
日韓近代史の本ではあるが、君主国を滅ぼした場合(平和的な併合を含む)、その君主と一族をどう扱うに参考となる一冊。日韓併合時における大韓帝国皇族の扱いを、分かりやすく書いてある。
また、儒教的価値観での方位と席次の関係、その意味合い、「冊封」と「冊立」の違い(大韓帝国側は、中華皇帝を中心とした伝統的「冊封体制」に固執していたが、日本側はそれにはこだわらず、「西洋的なルール」を重視していた)も、分かりやすい。これらは中国史本を読むときにも参考になる。