『図説 民居 イラストで見る中国の伝統住居』
科学出版東京発行
東方書店発売
王其鈞著
恩田重直監修
押川雄孝、郭雅坤訳
レビュー
本書最大の特徴は、この掲示板に投稿した『図解 中国の伝統建築』『建築知識2024年7月号 新石器・古代王朝から清朝まで 中国の建物と街並み詳説絵巻』では記述が少なかったり、分かりづらかったりした「中国の少数民族の民居」「民居の部屋割り」「室内のしつらえ」の扱いが大きかったり、まだ分かりやすかったりすること。
中国の少数民族の民居に1章当てていて、取り上げられた少数民族は以下の通り。
・ウイグル族
・モンゴル族
・チベット族
・朝鮮族
・雲南省・貴州省・広西チワン族自治区のトン族、ダイ族、ペー族、ナシ族。
内容については上記リンク先の出版社の公式サイトで目次をご確認いただきたい。取り上げられている地域も広く、種類も多い。中華モノの創作での「住」の参考には必読級の一冊。また、少数民族にもページを割いているため、中央アジア、チベット、モンゴル、朝鮮、東南アジアの山間部舞台でも一定の参考になる一冊。
想定チベット舞台で、想定モンゴル族も出した中華風ファンタジー小説をまがりなりにも執筆した者としては、もっと早く買っておくべき本だった。
欠点としては以下の三つ。
・見開きページの境目にかかって見づらい図版が2点あったこと。
・部分部分の解説はカラー図版付きで詳しいが、全景がよく分からない民居があること。
・本書はあくまでも「民居の専門書」。商店、寺院、宮殿は対象外。




