『建築知識2025年7月号 預言者のモスクから、神秘主義教団の街、迷宮都市まで イスラムの建物と街並み詳説絵巻』
エクスナレッジ
レビュー
※月刊誌ではあるが、上記リンク先の出版社の公式ショップ「エクスナレッジ・ショップ」では電子版の購入が可能。また、「エクスナレッジ・ショップ」では各オンライン書店へのリンクもある。「エクスナレッジ・ショップ」のリンク先オンライン書店では、アマゾンで紙版バックナンバーを取り扱っている可能性がある。とはいえ、時間が経つと入手が難しくなるので、紙版がよければ各オンライン書店に在庫があるうちに購入したほうが良い。
美麗なカラー絵でイスラム世界が具体的にイメージできる良書。イスラム世界は、西洋風世界からも、中華風・和風世界からも、「異国」として描けるので、ファンタジーの創作資料としては、必読級の一冊。
特に、イランの住宅、トルコのコーヒーハウス、居酒屋、公衆浴場があったことが良い。「イスラム」というと中近東・北アフリカだが、本誌ではそれのみならず、カザフスタン、ウズベキスタン、中国、インド、インドネシア、スペイン、タンザニアと極めて広範囲を取り上げている(イラン、イラクなど現在行きにくい国、イスラム教徒以外立ち入り禁止のサウジアラビアのメッカが取り上げられていることは特筆に値する)。前月号の「古代オリエントの建築と街並み諸説絵巻」は素人目には「似たような都市ばかり取り上げられている」だった。
また、建物解説にとどまらず、一通りの歴史・服飾の解説、用語集まである。間取り図も、間取り図上に小さいながらも住人や家具が描かれ、ぱっと見で、何の部屋かが分かる。実に親切な構成。
ただ、「雑誌の特集」なのが本当にもったいない。81ページの特集だったが、もっとページ数を増やしてほしかった。取り上げられた建築はどれもこれも、1項目見開き2ページなのがもったいない。各項目数ページにわたって取り上げられても良いぐらいだ(特に、イランのイスファハーン、スペインのコルドバ、アルハンブラ宮殿、モロッコの迷宮都市・フェズ)。先月号のオリエント特集と併せて、項数2、3倍の単行本として出してほしい! 故に、雑誌で時間が経つと手に入りづらくなることは実に残念。





