エンタメ小説研究交流会

『アラブの住居 間取りや図解でわかるアラブ地域の住まいの仕組み』のご紹介 アラビアンナイト風世界の住居を知るための1冊

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『アラブの住居 間取りや図解でわかるアラブ地域の住まいの仕組み』

アラブの住居 - マール社
本著は 200以上の豊富な間取りや図版とともに、アラブ地域の伝統的な住居建築を紹介しています。 気候や、建築材料、構法など、さまざまな角度からの分析を扱った他に類を見ない一冊です。住まいには過酷な自然環境の中、限られた条件下で、イスラームのしきたりを守りながら暮らす人々の工夫や知恵が詰まっています。建築資料はもちろんのこと、イラスト等の創作資料としても幅広くお使いいただけます。 謝辞/まえがき/第1章 序/第2章 アラブ地域/第3章 建築の起源/第4章 伝統的建築材料/第5章 伝統的構造/第6章 アラブ地域のシェルター/第7章 平面構成要素/第8章 水と水管理/第9章 伝統的建築計画/第10章 慣習からの逸脱/第11章 事例集(モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト、シリア、レバノン、ヨルダン・パレスチナ、イラク、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーン、イエメン)/第12章 西洋と東洋/第13章 付録/アラビア語術語語彙集(索引つき)/文献と引用/索引/訳者あとがき ※本書掲載の図版およびテキストの著作権は著者に帰属しますので、権利の侵害とならないようご注意ください。
マール社

フリードリヒ・ラゲット著
深見奈緒子訳
マール社

総評

 北緯30度線に沿って、東はイラン、西はモロッコまでのアラブの住居を総覧した本。気候、建材、宗教はじめ文化的側面、風呂・トイレを含めた水利の基本がまとめられた上で、目玉は第11章の各国住居の詳細な間取り図
 
 白黒の線画ならば、室内の模様がよく分かる美麗な挿絵もある。

 上記リンク先で、出版社のサイトをご確認いただきたい。内容の一部が公開されている。

残念な点

 ・第11章の間取り図が詳細なのは良い。ただ、何の部屋かは番号で示されていて、いちいち対応表と突き合わせないといけないのが不便(対応表を暗記できれば別だが)。訳者や編集部も不便さには気付いていて、カバー袖に簡易版番号対応表を載せてくれてはいた。間取り図上に人物や家具のイラストを描くか、せめて何の部屋か分かるように「客間」「台所」と文字で示してほしかった。また、アラブ世界に詳しい人なら良いが、無知な者には一見では各国どれも同じに見える。建築図面を読みなれていれば良いが、素人がパッと見るには専門的すぎる。類似書だと、先に紹介した『建築知識 2025年7月号』(本書のほうが取り上げられた住宅数は圧倒的に多いが)のほうが、パッと見でも楽しい。

 ・建物外観が分かる全体図、村・街の全体図が少ない。部分部分の解説は細かいが、全体像がよく分からない。

 ・カラーページが全くなく、色の想像がつかない。
 
 ・それなりの数はあったが、もっと室内の模様が分かる挿絵がほしかった。また、家具の配置など「室内のしつらえ」も詳細に描いてほしかった(室内のしつらえは「建築書」よりも「インテリア本」の範疇だろうが)

 ・本書はあくまでも「住居」の専門書。住居以外は完全に対象外。市場、宮殿、モスクなどは取り上げていない。

ドラコン
作成: 2025/07/04 (金) 15:26:05
最終更新: 2025/07/04 (金) 19:29:16
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