そのままデルタは投げ捨てるようにセイバーを振ってシェルコーンのボディを剣にぶつけようとする。
剣はこれを回避。シェルコーンは床に激突しひびを入れる。
「これも『子供』に対する仕打ちか?」
「何でだ!!シェルコーンはお前を裏切ってねぇだろうが!!」
剣は静かに、翔は激しく怒りを込めて問う。
「デルタナンバーズは飽くまで駒だよ。駒には駒の役割があるんだ。
だからボクを裏切るレオゴルドも、戦いの足を引っ張るシェルコーンも、
あんな役に立たない小型のボディにされたジュラファイグ達も…要らない。
さあお喋りはここまでだ、そろそろ終わりにしよう」
デルタを乗せたオミクロンが剣と翔に迫る。
そして光の矢を放とうとする。
両手を取手から離さなければならないが水平移動なら問題ない。
腕を広げたのはかなり剣と翔との距離が縮まってきてからだった。
これは何本もの光の矢を剣と翔に集中的に当てようとしている事を意味する。
対する剣と翔はそんなデルタとオミクロンを真っすぐに見据える。
そして光の弧が分裂する瞬間…
「「喰らえ!!」」
剣と翔は各々の武器を交差させ、チャージ攻撃の斬撃を放つ。
結果巨大な十字型の光が現れそれは光の矢を全て打消しデルタとオミクロンに決定打とも言えるべきダメージを与える。
「思ったよりやるね…この場は引くとしよう。ではまたの機会に…」
そう言い残しデルタは転送の光で姿を消した。
去り際のデルタの悲しみと恐怖と使命感を同時に抱いているかのような表情を、剣は見逃さなかった。
そして下から自身達への喝采が響く中ロックマン達はシェルコーンのボディを伴って帰投した。
基地内では…
「オレ達は…デルタには付かない」
「裏切ってもいねぇシェルコーンを破壊しちまうとかぁ!!意味が分からん!!」
「世間で言う『毒親』ですわ」
「オレ達にもデルタは願い下げっス!!」
ミニ・レプリ達はデルタへの決別の意思表示をする。
「それなら喜んで貴方達を歓迎するわ」
シェリーは彼等を快く受け入れる。
「……デルタを敵、悪と断じるのはまだ早い気がするんだ」
暫しの沈黙の後、剣が口を開く。
「あの時は頭に血が上ってやしたがよくよく考えてみると俺にもそんな気がしますぜ」
「私は今日も含めて何人もの身勝手で凶悪な人を見てきましたけど、デルタはそういう人達とはどこか違う気がします」
翔と玲が賛同する。
根拠はデルタの思いつめたような口調や表情、挙動である。
「デルタが言う『破滅の未来』が鍵、という事だね…」
劾も頭の血が下りており、ただ単にデルタが我欲で行動している訳ではない事を察している。
「これも希望的観測だけど、デルタの左胸に黄色い三角形のケースが付いていたのを覚えてる?」
シェリーの問いに劾が応える。
「そう言えば付いてましたね、あれが何か?」
「あれはネームプレート。
デルタを開発して1年が経った記念にあの子に与えた『1歳の誕生日プレゼント』よ。
あの子はあれを貰った時、とても喜んで大切にしていたわ。
それを今も付けているの」
「博士への想いを捨てきれていない、という事か…」
シェリーの回答に剣も自らの憶測を述べる。
デルタの事だから人間のように「ついうっかり」とはとても考えられないのだ。
「必ず説得します、博士!」
劾が放った言葉はシェリーの為でもあり、デルタの為でもあった。
この一連の会話は大破したシェルコーンのボディと隣のシェルコーンのミニボディを前にして行われたのだが
起動前のシェルコーンは聞いていなかった。
デルタのアジトでは…
デルタはネットで自身への悪評とロックマン達への称賛を目にしていた。
「筋書き通りだ…」
デルタは呟く。
そして胸のネームプレートの入った黄色いケースを外し、見つめながら再度呟く。
「博士、分かってください…これは人類の為、博士の為なんですから…」
病院では…
「菌壌!」「茸土!」「本当に良かった!!」
汰威超組の構成員達が茸土の元に駆け付けたがそこには何故か拳志もいた。
「怖かったよおお~っ!!」
茸土は構成員達に縋りつく。
ちなみに毒は時間が経てば抜ける仕様となっている。
シェルコーンに囚われていた他の人々もこのまま帰れると安堵しかけるも現実はそうは甘くなかった。
暫くして病院の駐車場にパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
彼等はあくまで何かやらかした人々だった為、汰威超組と繋がりのある警察官がやってきたのだ。
「まぁ、あそこ(自分達が捕まっていたハイパードライホール)よりかはマシか…」
彼等の内、何人かは取り調べあるいは懲役刑となるであろうがついこの前の自分達の経験を踏まえ大して絶望はしていなかった。
樺口は警察が来る前に病院から逃げていた。
後日。
太山は余罪がいくつも発覚し莫大な賠償金の支払い義務が課される事に。
支払いの為には借金をしなければならなかったがその債権を蟹江が買いその結果ベーリング海送りになった。
成瀬は先日のレストランでの醜態がネットに拡散されフォロワー数が一気に0人になった。
おまけにあらゆる飲食店からブラックリスト扱いにされ出禁になり、
本当に食べたいと思った安藤のパン屋のアンパンも売ってもらえなかった。
そして樺口だが。
「俺様はこれから寄食の道を究めるゾ!!イタダキショーク!!」
蛆虫入りチーズで図らずもマイナーでグロテスクな料理「寄食」に魅せられ
日本を飛び出し世界中の寄食を探求するようになった。
その際現地で奇病にかかったり災害に巻き込まれたり現地マフィアと揉めたり様々な困難に巻き込まれるが
それでも彼はめげずに新たな寄食を求めて旅を続けるのであった…
続く