7月24日。
その日、都内に激震が走った。
というのもひき逃げ、パワハラ、富裕層を対象とした明らかに違法なゲームの主催…等々黒い噂の絶えない悪徳都知事、
御間漂則(みまただのり)がパワハラの証拠を突き付けられた結果、
新たな都知事選が開催されたものの御間本人も出馬してさらには再選してしまったのだ。
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これらの噂は概ね事実であり、御間は部下には到底出来ない量の仕事を押し付け当然期日に間に合わなかったら激怒する、
休憩時間以外には決してトイレに行かせず粗相をしようものなら嘲笑う、
家族が亡くなっても欠勤は認めないくせ自分はペットの死で欠勤する、
インフルエンザやコロナ等の感染症でも欠勤は認めず病気を移されたらその責任を移した部下に押し付ける、
四次会まである強制飲み会の開催、その際酒が飲めない部下にスピリタスを強要、
女性の部下にはセクハラし放題、少しでも自分に意見をすれば良くて解雇、
酷い場合はやってもいない失敗や犯罪をでっち上げる…
一般人に対してもどんな理由でも通行の妨げになった者を護衛に押しのけさせる、
明らかに障害がある容姿の者や性的マイノリティと分かる者、ホームレス等を目にすると
機嫌のいい時は嘲笑し、悪い時は護衛を使って視界から排除させる、
自分に対して敬意が無いと見なした者はおろか少しでも自分の機嫌を損ねた者に
ありとあらゆる嫌がらせをしてその人生を破壊していく…といった正に「暴君」と呼ぶべき存在だったのだ。
その傲慢さ、理不尽さは一人娘の春奈(はるな)にも受け継がれている。
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千代田区にあるお嬢様学園「聖ヤコブ学院高校」、通称ヤコブ高に通う彼女は、家でも学校でも横暴の限りを尽くす。
歌が下手なのに自分では歌が上手いと思い込み広大なスペースを貸し切ってリサイタルを開催する、
不倫、借金、家庭崩壊、ブラック企業、いじめ、引きこもり、病気等々気分が暗くなるストーリーの「リアル人情劇」を
やはり広大なスペースを貸し切って開催する、
気が弱そう、もしくは自分の機嫌を損ねた女子生徒には取り巻きと共にいじめを行い、
これが報告されても上手くもみ消してもらいさらに被害生徒を追い詰める、
人の物を借りパクしておいて壊したり汚したりしても悪びれない、
とにかく自分にとって周囲の人間は自分を愉快にさせる義務があると信じて疑わず
逆に自分が気に入らない者は父親同様あらゆる手を使って潰す…等々絵に描いたような自己中である。
嘘ニュース事件の際、過度なポリコレ配慮に関する嘘ニュースに憤慨したのも彼女である。
御間邸は千代田区にあり、即ち彼女がこの嘘ニュースを目にしたのは噓ニュース発信範囲が千代田区にまで広まった後である事を付け加えておく。
さて再選の報せを聞いた御間であるが…
「当然の結果だえ。全て朕(ちん)の実力によるものだえ」
勝ち誇って大笑いを響き渡らせるのであった…
これに対し世間は…
「嘘だ…!!」
「誰だよあのクサレオヤジに入れた奴!!」
「やはり無敵なのかよ、『上級国民』様って奴はよぉ…!!」
報道を目にした者は誰も彼も不満を訴える。
これは劾達も同様である。
「ブッ!!」
基地でニュースを見ていた劾が噴き出しかける。
「これ…ひょっとして嘘ニュースじゃない…?」
同じくこの報道を目にした玲も苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべては思わず希望的観測を口にしてしまう。
「何言ってるんだ、『嘘ニュース事件』はとっくに解決したじゃないか。
…この国の政治家には汚い奴等が多いからなぁ、いつものように不正でもしてんだろ」
剣も呆れたように言う。
「確かに…ジュラファイグも今は修理中だし彼とは無関係ね。それと…この御間知事の天下は長くは続かないわよ」
シェリーが笑みを浮かべつつ何か意味深な事を言う。
「「「どういう事(だ)(ですか)???」」」
問いかける3人に対しシェリーは不敵に応える。
「言葉の通りよ」
「………」
暫しの沈黙の後、3人は意味を理解した。
そう、シェリーは未来人なのである。
即ち、史実では近いうちに御間は失脚する事を意味しているのだ。
「あとはデルタが余計な事をしなければいいんだけど…」
不安気に呟く劾。
「そうそう、御間の腐れ外道なんかの為にデルタの手を汚して欲しくもないし」
玲がそれに続く。
「御間を脅迫して表向きの指導者に仕立て上げて裏から東京を掌握しようとするかもしれないしな…」
剣もデルタが動く事を懸念する。
「御間の娘がいるというヤコブ高の生徒にも塁が及ぶかもしれないね…」
玲が何故かヤコブ高の生徒達の身を案じる。
「え、何でヤコブ高の生徒なんかの心配をするの?」
思わず尋ねる劾。
何故ならヤコブ高の生徒は高慢な者が多く一般人を見下し家柄マウントや持ち物マウントを取る、
親の権力を濫用して邪魔者や気に入らない者を潰す、
男性関係にも金に物を言わせ相手が既婚だろうが彼女持ちだろうがお構いなし…等といった蛮行が多く見られる。
無論春奈とその取り巻きはその傾向が顕著であるがヤコブ高全生徒に当てはまる訳ではない。
飽くまで一部の酷い者が悪目立ちするだけなのである。
そして劾の問いに玲は困り顔で応える。
「知り合いにヤコブ高の娘がいるの。少し変わった所もあるけど嫌な人じゃなくてね…
だからデルタ、もしくはデルタナンバーズがヤコブ高の生徒を一緒くたにして
その娘まで巻き込まれたら…」
「ああ、少し前に言ってた、組関係の娘の事…だろ。それと…何かごめん。
デルタ達は一部の困った人間がまるで人間全体みたいな偏見の目で見ているけど
たった今僕も同じような事を言っちゃってさ…」
ばつが悪そうな劾。
「私も飽くまで『その娘が』巻き込まれたら、という意味で言っちゃったから…
無意識に他全員を差別しちゃったかも…」
これを聞いて玲もばつが悪そうにする。
「縁起でもない話も、暗い話もこの辺にしとこうぜ」
機転を利かせ剣が話題を変えようとし、続いて声のボリュームを落として言う。
「次の話題は『明日何買うか』とかどうだ?…」
「いや、本人ここにいるしそれは…」
「そうそう、この話はまた後で…」
劾と玲はそれに小声で応じる。
「あら、何を話しているの?」
シェリーが3人に尋ねる。
「「「いや、何でもない(です)!」」」「?」
3人はぎこちなく誤魔化しそれを見たシェリーは小首を傾げるのであった…
そして劾と玲の懸念は杞憂ではなかった。
同日、デルタのアジト内。
「どうだい、これが金銭や権力を手にした人間の姿だよ」
モニターを介してデルタがデルタナンバーズの1体の大きな翅を持つ虫型レプリロイドに言う。
これまでそのモニターには金持ちや権力者、その関係者による蛮行が次から次へと映し出され
最後には『時事ネタ』とも言える御間父娘並びにヤコブ高生徒達の愚行の数々も流された。
これに対し「彼女」は静かに憤慨する。
「生活の為、そして人の為に使われるべきお金や権力を過剰に手にした人間は何て醜いこと…
特にこの御間という方の傲慢さ、理不尽さは目に余るものがありますわね」
そしてデルタは虫型レプリロイドに指示を出し始める。
「そうだろう、粛清すべきだろう!?
そこで君に任務を与えよう。
明日この御間という人間、そして彼が住む千代田区一番町の人間に然るべき罰を与えたまえ。
それから…娘の御間春奈、及び彼女が通う聖ヤコブ女学院高校の生徒達にも同様の罰を与えたまえ。
分かったかい?」
「ええ、分かりましたわ」
虫型レプリロイドは不敵にほほ笑む。
翌7月25日、新宿区某所。
剣は劾と玲に指定した待ち合わせ場所に向かっている。
しかしその時、横から大勢の男の怒号と走る足音が聞こえて来た。
「待てコラァ!!」「逃がすかぁ!!」「ハァ…ハァ…」
見ると服がボロボロで顔や身体にも暴行を受けた痕がある男性が青緑のスーツに身を包みオレンジ色のサングラスをかけた大勢の屈強な男達に追い回されているという只ならぬ光景が繰り広げられている。
「やれやれ、厄介ごとに出くわし易い体質なのか俺は?」
そう呟くと剣は劾と玲に「悪い、トラブっちまった。お前等だけで先に始めててくれ」というメッセージを送ると追走劇の展開される路地裏へと向かう。
路地裏にて…
「追い詰めたぞ!」「お前には消えて貰おうか…」
青緑スーツの集団がボロボロの男性へとにじり寄る。
対するボロボロの男性は彼等に向かって声を絞り出し始める。
「あの…私はもう…死ぬ思いで…死に死に死ぬ思いで…アレだ…」
「ハァ?何言ってんだテメー?」
青緑スーツの男達は耳に手を当てて問い、ボロボロの男性は続けて言う。
「今回の御間の再選…あれは明らかに不正によるものだ…
こんな茶番が罷り通るなら誰がねぇ!誰に投票しても同じ!同じじゃないか!!
この問題をぉ!解決したいが為に!私は…文字通り…命がけで!訴えて!!
この現状を…この現状を変えたい!!あんたらには分からないだろうがなあ!!」
男性は声を張り上げ思いの丈を伝える。
「ああ分からんよ。我々は現状なんぞ変えたくないからな。この世界から見れば…旦那様から見れば
貴様の存在など極々小さなもの…死ね!!」
ブンッ!
青緑スーツの男の一人がナイフでボロボロの男性をナイフで突き刺そうとした刹那。
ガシッ!
現場に到着した剣が男の腕を止めた。
「なんだあっ!?」
男が反応しかけた時…
ズダンッ!!
剣はそのまま男に一本背負いを繰り出し勢いよく転倒させた。
その男の転倒をすぐそばにいた他の青緑スーツの男達が避けた為、瞬間的に隙間が出来た。
「今だ!」グイッ!タタタタタッ…
剣はボロボロの男性の手を引き、駆け出す。
ヒョイ!
男性の足取りが覚束ない為、剣は彼を背負う。
にも拘わらず剣の走る速さは全く衰えない。
「チッ、見られたか…まぁいい、さっきのガキも消すぞ!!」「「「おお!!!」」」
ドドドドドドドドド…
青緑スーツの集団は剣達を追い始める。
「ハァ…ハァ…まずは…礼を言っておこう…私は…記者で…今回の都知事選の不正も含む…
御間に関するいくつものネタを掴んだのだが…奴等に…御間グループ護衛チームに目を付けられて…しまってね…」
ボロボロの男性、もとい記者は走る剣の背後から声を掛ける。
「ああ、一部始終は聞いていた。安全な場所に行くぞ!
(奴等は大人数で武装もしていてしかも鍛えられている…ここはロックコマンダーの転送機能を使うか…)」
剣は人間相手でロックスーツを起動する事を良しとせず、物陰に隠れて自身と記者を転送する事を考え始める。
ちなみに現在行ける場所は基地の会議室、並びに同じくロックコマンダーを持っている劾と玲の近くである。
そんな時だった。
背後から聞こえてくる足音の数が徐々に減り始めてきたのだ。
「な、何でこの男がここに…!」「うっ…!」
同時に御間グループ護衛チームの男の何かに驚く声や断末魔のような途中で消える声も聞こえ始める。
「遅いですねぇ、欠伸が出ますよ」
更にはこれまで現場にいなかった男の声も聞こえ始める。
そして御間グループ護衛チームの足音が完全に途絶えた時だった。
「終わりましたよ」
背後から聞こえて来た御間グループ護衛チームの誰とも違う男の声に剣が振り向く。
そこには気絶して泡を噴いている御間グループ護衛チームの一人の首根っこを掴んでいる一人の男が佇んでいた。
男は背こそ劾より高いものの細身、細面で刃のような目つき、長く伸ばした両サイドの前髪、
左右に跳ね上がった後ろ髪、燕尾服のような服が特徴である。
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「アンタは確か…」「汰威超組幹部…鉄斬さん…ですよね?」
「いかにも」
剣と記者の問いかけに男、もとい鉄斬は肯定する。
汰威超組とは渋谷区に拠点を置き赤灯会に辛勝した他、大阪から侵攻してきたヤクザ「三界組(みかいぐみ)」、
横浜から侵攻してきたヤクザ「楼州一家(ろうすいっか)」を返り討ちにした超武闘派ヤクザであり、
幹部は揃いも揃って狂人ばかりと言われている。
この鉄斬はその中でも上位の実力者でありスピードと諜報能力に優れ、普段はブーメランを愛用するが
今回は訳あって所持していないようである。
ちなみに弟の花太も汰威超組に在籍している為舎弟からは「斬の兄貴」、花太からは「兄さん」、
それ以外からは基本的に「鉄兄」と呼ばれている。
そして彼の通った後には剣達を追ってきた御間グループ護衛チームのメンバー達が全員泡を噴いて伸びていた。
「さて…私も一部始終を見ていました。記者さん…貴方、御間のネタをどなたに託しますか?
上司ですか?警察ですか?」
鉄兄は記者に問う。
記者はうつむき吐き捨てるように答える。
「正直…どちらも当てになりません…!」
「でしたら…我々に託してみませんか?先程私が彼等(御間グループ護衛チーム)を無力化したのは…
つまりそういう事なんですよ。
本来は彼等の『服』に用があったのですがここで貴方の持つネタを提供して頂けるとこちらとしても大助かりなんですが…」
「……」
記者は暫し考え込むが、すぐに意を決して首を縦に振った。
「汰威超組の方は任侠道を極めていると聞いています。
加えて今貴方が御間グループ護衛チームを制圧したという揺るぎない事実…
これらを踏まえ御間の悪事を明るみに出すには貴方方に賭けるのが今この場で出来る
唯一にして最善の手でしょう」
「貴方も世の中の為に命を賭したその行為…これこそ任侠でしょう。
そして少年…そんな彼を助けた貴方の行為もまた任侠道と言えますねぇ」
鉄兄は記者に、続いて剣に言う。
「困っている人がいたら助けるだけだ」
「同じく!」
剣と記者がそれぞれ応じた瞬間…
ドドドドドドド…
遠くから大勢の足音が聞こえてくる。
程なくして足音の主達は剣達の前に姿を現した。
彼等は汰威超組一般構成員だった。
「ハァ…ハァ…斬の兄貴…相変わらず…足がお速いですね…」
「しかも愛用のブーメランも無しで全員を倒しちまうなんて流石ですぜ!」
「服に傷をつけたり血で汚す訳にはいかないので今回は睡眠薬だけに頼りましたが…
てんで手応えがありませんでしたよ」
舎弟達の言葉に冷笑を浮かべ応じる鉄兄。
「ところでこちらの御仁達は?」
「彼は記者で御間のネタを握っているそうです。そして彼はそれで御間グループ護衛チームに追われていた
記者さんを助けたんですよ」
舎弟に問いかけられた鉄兄は記者並びに剣を紹介する。
「坊主も記者の旦那も大した根性だなぁ…ロックマンみてぇなスーパーヒーローは勿論凄ぇが
本当のヒーローってぇのはこういう漢の事を言うんだろうな…」
「(………)」
汰威超組構成員の言葉に対し剣は複雑な気分になる。
「さて記者さん、貴方とはこれからビジネスの話がありますのでご同行願えますか?
…その前に傷の手当が必要ですね」
「縁もゆかりもない私如きにそこまでして頂いて本当に有難うございます」
続いて鉄兄は記者に手を組む話を持ち掛け記者はこれを承認。
「人を助けるのに繫がりの有無や共に過ごした時間の長さなど大した問題になりませんよ、
そして勇敢な堅気の少年…」
次に鉄兄は剣に向き直り別れの挨拶をする。
「貴方の勇気と行動は堅気にしておくには勿体ないほどの価値があるものです…縁あったらまたどこかで会いましょう」
「ああ…」
剣が応じるや否や鉄兄は記者に肩を貸し、汰威超組一般構成員達は御間グループ護衛チームのメンバー達を抱えて各々が何台もの車に分かれて乗車していき、この場を後にする。
「それじゃ俺も合流…」
剣が劾達に合流しようとした時だった。
ヴー!ヴ―!ヴ―!
剣のロックコマンダーがけたたましく鳴ったのだ。
「今度は何だ!?」
時は剣が御間グループ護衛チームに襲われる記者を目撃した直後に遡る。
「博士へのプレゼント、何にしようかな…」
劾が呟く。
劾と玲、そして本来なら剣はこの日新宿のショッピングモールでシェリーにプレゼントを買う約束をしていたのだ。
それも本人には内緒に、である。
彼等はシェリーと出会った記念、そしてデルタのことで気を病んでいる彼女を元気づける為に今回の買い物を企画したのだ。
「取り敢えず家電とかはナシだよ、今の時代は博士の時代から見れば100年も昔だから性能面を考えると厳しいかもね…」
「…となると服飾系かなぁ?服でも時代遅れ、と考えるとマズいし、でも昔のファッションが見直される事もあるし…」
剣が記者の元に向かい、二人でショッピングをする事になった劾と玲はプレゼントの内容についてあれこれ話し合う。
そんな彼等の後ろ姿を、その場に居合わせた翔が見ていた。
ちなみに獅子雄との戦闘で負った怪我は普段通りに動き回れるほど回復したが、顔や身体の数ヶ所に手当の跡がある。
「(カップル、か…俺も普通の人生歩んでりゃいずれはこうなるんだろうな…
しかし俺はお日様の下を歩けねぇ裏世界の人間、
この道を歩むとなりゃ汰威超の親分みてぇに上手くやれねぇ限り女になんか構ってられねぇ…
この前の獅子雄との戦いでも分かったが今の俺はテメエの身も満足に守れやしねぇ…
そんな俺が女一人幸せにできるかよ…)」
どこか切なげに物思いにふける翔。彼はそのまま一言呟く。
「俺に触れた女は、火傷しちまうのさ…なんてな…」
そして翔は劾達とは逆方向に歩いていくが、その道中にて不穏な事態を目にする。
「やれやれ、トラブルさんからお呼びがかかっちまったぜ…」
呆れと怒りを交えて現場に向かう翔。
彼の進行方向の横の裏路地にて、数人の半グレが一人の人間に絡んでいたのだ。
絡まれている人物の特徴は野球帽を被り後ろ髪が帽子にしまわれている為髪型は一見ショートカットに見え、
目には度の強い「グルグル眼鏡」をかけ上は「月に代わってお仕置きよ」とプリントされた文字Tシャツ、
下は丈の短いジャージで足元は安物のスニーカーにスニーカーソックスといった格好であり
色白で体型は細身、背丈は翔よりやや長身で年齢は恐らく未成年、そして大きくはないものの
胸の膨らみがある事から性別は女性…といったものである。
色気も何もないファッションであるが体型や顔立ちからしてそれなりの美貌である事は想像がつき、
それを半グレ達は見逃さなかったのかもしれない。
「グヘヘヘヘヘ…あっさりOK出すなんて姉ちゃんも物好きだなぁ…」
「たぁ~っぷり可愛がってやるからよぉ…」
ニヤつきながら息を荒げる半グレ達。
「手短にお願いします」
少女は彼等に冷静に応対し、懐から何かを取り出そうとする。
その時だった。
「待てやコラ…」
半グレと少女の前に翔が現れた。
「そこの腐れ外道共、見ていたぜ…お前等、その姉さんに乱暴する気だな!?」
問いかける翔を見た半グレ達は当然の如く彼に舐めてかかる。
「あぁ~ん、その女は嫌がってねぇんだよ、それと俺達は病気でなぁ…常に発散してねぇとおかしくなっちまうのさ!」
「じゃあ病院行けや。俺が呼んでやろうか?」
怒り顔でドスを効かせた声で半グレを威圧しようとする翔だったが…
「ケッ、ヒーロー気取りがよぉ…もういい、テメー等まとめて俺達の自慢のキャノン砲で…」
半グレ達は何か意味深な言葉を吐きながら自分達のベルトに手を掛ける。
その時、翔の目の色が変わり殺気が一気に爆発した。
「バンボガンボバビガイバボーバ!!!逝ゲーッ!!!ビンバイボブブボドボーッ!!!!」
ドガガガガガガガガガガ!!!!!!!!
「ヴア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ン、いだいよぉ~っ!!」
「鼻血出たぁ~!!」
半グレ達は泣き乱しながら尻尾を巻いて逃げていく。
「助けて頂いて有難うございます」「礼には及ばねぇ…」
お礼を言う少女に翔は顔を赤らめながら返事をする。やはり滑舌が悪くなってしまった事を恥じていたのだ。
しかしその時。
ドドドドドドドド…
大人数の足音を伴い翔と少女の眼前に先程とは別の半グレと思しき男達が現れた。
彼等は皆先程の半グレ達よりガタイが良く人相も悪く放たれる圧も格段に上である。
加えて一様に激しく怒っているようである。
「テメーかあ!!随分舐めたマネしてくれてんじゃねーか!ああ!コラ!!」
「落とし前付けて貰うぜ、覚悟しろよ…!?」
男の一人が翔に怒声を響かせる。
「おいおいお仲間の登場か?」
翔は男達に怒りを交えて問う。
「まあ似たようなもんだ…ともあれテメーは絶対に許されねぇ事をしやがった…
ガキだろうが容赦しねぇぞ!!!」
男達は肯定した後再度翔に殺気を放つ。
「上等だ、受けて立つぜ!!」
ファイティングポーズを取る翔だったがその時思わぬ事態が起こる。
「私の事はいいから、早く逃げてください…」
何と少女が翔に自身を放っぽり出して逃げるように言ってきたのだ。
「(この人…自分の安全を全て諦めてよく知りもしない俺を助けるというのか…!?)
いや、それは出来ねぇ相談さ!!ここで逃げたら漢が廃るぅ!!」
少女の言葉で却って闘志が沸いた翔は男達に挑みかかる。
しかし現実は非情だった。
「オラァ!!」
ブオッ!!!ガッ!!
回し蹴りを繰り出そうとする翔の脚を男の一人がいとも容易く受け止め、直後お返しと言わんばかりに拳を放ってきたのだ。
咄嗟に手を入れる翔だったが激しく吹っ飛び腕に強烈な痺れを覚える。
その後も翔は男達に有効打は与えられず逆に手痛い反撃を貰う始末。
「(しくじっちまったぜ…!こいつら…獅子雄程じゃねぇが…1人1人が強ぇ!!
少なくとも…さっきの奴等とは…段違いだ…!!)」
必死に抗戦する翔を男達が寄ってたかって足蹴にしようとした時だった。
「もう結構です!!逃げてください!!」
少女が割って入って翔に逃げるように言う。
「それじゃあ、逃げさせて貰うぜ…ただ、あんたは絶対守る!!」
「え…?」
グイッ!!ダッ!!
男達に勝てないと判断した翔は少女の手を引いて駆け出した。
「この腐れ外道が!!なんちゅう根性してやがる!!追うぞ!!」「「「「おお!!」」」」
男達は二人を追う。
「何度も…言いますが…私の事は…いいから…貴方は…逃げて…」
翔に腕を引かれながら少女は尚も彼に逃げるよう持ち掛ける。
「ここで諦めちゃ…漢じゃ…ねぇだろ!!」
翔は少女の手を握りながら真剣な眼差しで叫ぶ。
しかしながら翔と男達の脚力の差は歴然。次第に距離は縮まっていく。
そして翔が神田川にかかる橋に差し掛かった時だった。
「ハァ…ハァ…もう…これしかねぇな…ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
ドボ―ン!
翔は少女を伴って神田川に飛び込んだのだ。
二人は男達の視界から姿を消す。
次の瞬間…
「お嬢ーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」
男の一人が橋の上から絶叫する。
どうやら彼等は少女の従者のようである。
「ああああ、俺達がついていながら何という失態!!」
「ここは近場にいる花太の兄貴に連絡だ!!」
オロオロする少女の従者達。
彼等の言葉から出た花太とは汰威超幹部、鉄花太の事を指す。
そう、彼等は半グレに変装した汰威超組だったのだ。
一方翔と少女は新宿区内のローマ風の建物の中に入っていく。
「ここは新宿区の赤灯会が守り代を貰っているホテルで俺はその赤灯会の見習いの鷹山翔って者だ…」
翔は建物と自信を少女に紹介した後、建物の奥に向き直り声を上げる。
「支配人のおっちゃーん!」
「これはこれは鷹山様。何やら只ならぬご様子で」
翔の声に応じてコロッセオの真実の口のような顔をした中年男性が現れ彼を出迎える。
「ちょいとこの姉さんを匿っちゃくれねぇか、兄貴達が来るまでの間にな」
「かしこまりました。それよりお二人とも、ずぶ濡れですね…
鷹山様にいたってはお怪我をしておられる…
まずは怪我の手当とお召し物の洗濯、シャワーといきましょう」
支配人は二人の様子を見て然るべき対応を持ちかける。
「まぁこれは何とかしねぇと…な…」
自身と少女の姿を改めて見直すと苦笑いを浮かべ、別々の部屋でシャワーを浴びる。
数分後…
「あーさっぱりしたぜ…って…はうあっ!!!!」
湯上り直後のバスローブ姿で帽子も眼鏡も着けていない少女を目にした翔は絶句して固まってしまう。
というのも少女は翔が想定したよりも遥かに美少女であり、お人形さんみたいと言っても決して大げさではなかった。
目を泳がせ口をパクパクさせる翔を余所に少女が口を開く。
「ところで貴方…赤灯会と申しましたね」
ブンブンブン!!
翔は無言で何度も首を縦に振る。
「ならば正直に言わなければなりませんね。無駄な血を流す訳には行きませんので。
…私は志熊美音(しぐまみね)。聖ヤコブ女学院高校2年で汰威超組2代目組長、志熊貴征(たかゆき)の娘です」
「たい…ちょう…!?」
美音の自己紹介に対し脳がエラーを起こし情報処理が追いつかない翔がしどろもどろに問いかける。
「ええ、さらに言いますとさっき神田川まで追ってきた男達はうちの組員です」
「…へ…どういう…事…!?」
更に頭がこんがらがる翔に美音は順を追って説明し始める。
結論から言うと、全ては誤解であり、すれ違いであった。
美音と汰威超組構成員達はとある作戦の遂行中で、変装して新宿区に散開していた。
そんな中美音が半グレに絡まれてしまう。
この報せを聞いた汰威超組構成員達は激怒して美音のいる路地裏に向かう。
その間に半グレが翔に秒殺されてしまい、遠くに逃げた為現場に到着した構成員達は翔が美音に絡んだ半グレと思い込む。
見るからに半グレといった服装の彼等を見た翔は彼等を先程自分が倒した半グレの仲間と認識。
そこで「お仲間か?」と問いかける。
本当に美音に絡んだ半グレの存在を知らない汰威超組構成員はこの問いに対し自分達は(美音の)仲間みたいなものだという意味で肯定した。
作戦遂行中で自身の素性を明かせなかった美音は自分を助けてくれた翔を守る為にただ「逃げてください」としか言えなかった。
汰威超組構成員の迫力を前にして逃げるのは恥でも何でもないと考えたからでもあった。
しかし翔は美音が我が身を犠牲にして己を逃がそうとしてくれている、と認識してしまう。
結果却って闘志が沸いた翔は美音を「半グレ」から守る選択をし、自身で勝てないなら一緒に逃げる道を選んだ、という訳だった…
「ど、道理であの時のた、汰威超組の兄さん達、し、しし真剣そのものだった訳…です…ね…
そ、そそ、そしてさ、作戦とやらを邪魔しちまい…申し訳ありやせんでしたぁ!!!!」
顔を真っ赤にして言葉を詰まらせながら頭を下げる翔。
「いえ、お構いなく。輩から助けて頂いたのは事実ですし、貴方の勇気は本物ですから。
今から迎えの者を呼びますので。
最後に…この事は赤灯会の方への報告は不要…というよりしないでください」
「…ヘイ!!!」
美音の言葉に頷く翔。
汰威超組はかつて赤灯会側の不義理をきっかけに同組織と抗争し、勝った経歴がある。
そこで赤灯会側の人間が美音に手を出したと思われてはならないのもあるが
立場の弱い赤灯会と言えど誤解とは言え汰威超組に翔が痛めつけられたと知ると
流石にブチ切れてしまいかねない…という懸念もあったからだ。
余計な負い目、もしくは怒りを上の人間に与えない為にも翔は美音の言葉に承諾した。
美音もスマホで構成員達に事情を説明し、迎えを待つ。
その頃剣は自身のアカウントに連絡がある事に気付いた。
連絡主は春奈で顔を真っ赤にして激怒している様子である。
「ムキ―ッ!!!ブッサイクなロボットがいきなり千代田区一番町に現れて
うちと近所から金銀財宝を強奪して回っていますのよ!!!早くお壊しになって!!!お分かり!?」
ガチャッ!!
春奈は怒鳴り散らした後通信を切った。
「…博士、ロボットの情報を頼む」
「ええ、確かに転送反応があったわ。
ロボットは既に千代田区一番町を出て移動中よ。今座標を送るわね」
「分かった」
シェリーに通信を入れた剣は座標が送られた地点へ向かう。
千代田区内の市街地。
剣は人々の騒めきの中央にいるロボットをすぐ見つける事が出来た。
ロボットの大きさは人間より二回りほど大きく一見ミノムシのような外観だが
胴体の全体的な形状は電磁石を、胸の膨らみは女性を、前方の装甲はエプロンを、頭の周りにいくつものコイルがついた太めの顔は化粧中の中年女性を思わせる。
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デルタの放ったメカニロイド「ミノデンジャー」である。
「ホホホホホホホホホ!!!!!!!!!」
ミノデンジャーは嬌声を上げながら地上ではコマのようにボディを回転させながら、
壁や天井を見つけると頭頂部からワイヤーを射出して先端を固定し、そこから振り子のようにボディを放り出した後固定を解除してワイヤーを再度収納するといった手段で移動している。
またミノデンジャーは磁力を操る能力があり、既にそのボディにはありとあらゆる金属製品が付着している。
そして移動中に身に着けた貴金属を半グレやホームレスがたむろするような場所にばら撒いたり
身なりの良い者を見つけると嬌声を上げて急接近した後身に着けている貴金属を磁力で吸い寄せてしまうのだ。
当然市街地はパニックになる。
「ギャアアア~ロボットに金品が物理的に巻き上げられている~っ!!」
「ネズミ小僧だぁ~!」
「ネズミというよりミノムシだけど!!」
「小僧というよりおばさんだけど!!」
「こら!これは元々私の物だ!!」
「うるせー金持ち野郎、少しは俺達貧乏人に恵め!!!」
ボカスカボカスカボカスカ…
「こりゃ一刻でも早く収拾をつけないとな…!」
ジャッ!!!
スーツを起動させた剣がミノデンジャーの前に立ちふさがり、地上で移動中のミノデンジャーの底辺の部分に足を滑り込ませ転倒させようとする。
「キーッ!!」
ぐらついた後すぐに体制を真っ直ぐに整えたミノデンジャーは金切り声を上げて身に纏った金属製品を剣に飛ばしてくる。
カカカカカカカカカカカカン!
それを剣はロックブレードの刀身で弾き返す。
「キーッ!」
次にミノデンジャーは高速回転をして突っ込んでくるが剣は回転斬りで迎え撃つ。
その結果…
ガキィィィィィン!!!!
金属音を響かせ火花を散らしながら両者共にベーゴマのように弾き飛ばされる。
「キイイイイイイーーーーーーーッ!!!!!!!!!!」
続いてミノデンジャーはワイヤーで近くの建物の高い所にぶら下がり体当たりを繰り出そうとするが
剣が二段ジャンプをした後ワイヤーを切断しにかかる。
「キィ!」
しかしワイヤーは強靭で一瞬で切断出来ずブレードが当たった瞬間ミノデンジャーはワイヤーの固定を解除して収納し、地上で体制を立て直し剣と向かい合う。
「ホホホホホホホホホ…」
「笑ってられるのも今の内だ…!」
ブレードを構え挑みかかる剣とそれを迎え撃つミノデンジャー。
剣のダッシュや二段ジャンプ、壁蹴りといったアクション、ロックブレードによる剣技はいずれも派手で激しい動きであるがミノデンジャーのワイヤーを使った動きもダイナミックであり
金属製品による攻撃は見た目が煌びやかである為見る者を圧倒すると同時に魅了する。
そしてミノデンジャーは量産型の雑魚メカニロイドではない為、戦いは長引いていく。
この間、既に新たな脅威が動き始めていた…
御間邸にて…
「もぉ~!いくら何でも時間かかり過ぎですわ!
そうだ、これから1分遅れる度に100万円請求してやりますわよ~っ!!!」
中々ミノデンジャーを撃破出来ない剣に対し自宅のPCで戦いを見ていた春奈がヒステリーを起こしている。
そんな中。
シュルシュルシュル…
「え、何ですの!?」
突如どこからか現れた白い糸が春奈に巻き付き始めたのだ。
その速度はあまりに速くあっという間に糸は春奈の全身を覆い尽くしさながらカイコガの繭のような姿になってしまった。
その直後…
ビュッ!!
糸で覆われた春奈は壁を突き破り、どこかへと超高速で引き寄せられ始める。
「あぁ~れぇ~っ!!」
ほぼ同時刻、御間邸があり、大富豪の豪邸が立ち並ぶ千代田区一番町の豪邸でも同様の事態が発生する。
暫くするとこの事態は千代田区外にも及び始める。
都庁にて…
「倒れているババアを助けて遅刻した…!?そんなくたばり損ない放っとけばよかったえ!!
それとも良い事した自分に酔っているのかえぇ!!?」
「も、申し訳…ありません…」
怒鳴り散らす御間とそれを堪える部下。
その最中…
シュルシュルシュル…
「な、何だえ!?は、早く朕を助けるえ!!」
御間も娘同様体に糸が巻き付き、一瞬で繭のような姿になってどこかへ引き寄せられていく。
「朕を誰だと思っているえええええええええええ~!!!!!!!!!!!」
翔達が身を隠しているホテルにて…
ドドドドドドドド…
「お嬢~っ!!!!良かった…本当に良かったぁ~!!!!」
背は劾ぐらいでバイザーとカメラ付きのヘルメットを被り全身にプロテクターを纏い
先端が二枚刃の斧になっているハンマーを所持した男が車から現れ、感涙にむせびながら美音に駆け寄る。
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汰威超組幹部、鉄弟こと鉄花太である。
「君がお嬢を助けてくれた少年かい!?感謝すると同時に…うちの舎弟が恩を仇で返す真似をしてしまい…申し訳ない!!本当にすまなかった!!!」
「頭を上げて下せえ、当然の事をしたまででさあ」
声が大きい花太の礼と謝罪を翔は若干引きながら受け止める。
「お嬢、お着換えお持ちしました」
この間一般構成員の一人が持ってきた着替えを美音に渡す。
その後翔と美音は別々の部屋で着替えたのだが、部屋を出て普段の装いの美音を目にした翔は気を失いそうになる。
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「ま…眩しい…眩しすぎるぜ…直視…でき…ねぇ…」
そんな翔に鉄弟が声を掛ける。
「君みたいな勇敢な若者がいれば赤灯会は将来有望だな!これからも精進したまえ!!ハッハッハッハッハ!!!」
そんな中の事だった。
シュルシュルシュル…
「…これは一体!?」
突如御間らを襲ったものと同じ糸が美音に巻き付き始め凄まじい速度で覆っていく。
「何だこの糸は!!叩き切ってやる!!!おおおお!!!!!」
鉄弟は糸目がけて斧を振り下ろすが結果空しく糸は斧に絡まってしまう。
「…ハッ!!美音さんに…手を出すなぁっ!!」
今まで惚けていた翔は瞬時に正気に戻り所持していたナイフで糸を切ろうとするも鉄弟同様糸が絡まり切断出来ない。
最終的に糸は美音の全身を翔と鉄弟を巻き込んで覆ってしまう。
ビュッ!!
「お嬢~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「美音さああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「一連の…ロボットでしょうか…」
3人分の身体を包んだ「繭」は御間らと同じ地点目がけて凄まじい速さで引き寄せられていく。
同じ頃、新宿のショッピングモールにて…
「これで喜んでくれるといいんだけど…って何だあれは!!?」
玲と一緒に買い物を終えた劾は、高速で飛来するいくつもの繭を見て面食らう。
「間違いなくデルタの仕業だね…!」
玲も顔を強張らせる。
ヴー!ヴ―!ヴ―!
劾と玲のロックコマンダーがけたたましく鳴る。
剣のアカウントに新たな着信があったのだ。
劾は物陰でロックスーツを起動し、着信に応じる。
既にパスワードを剣に教えて貰っており、ログイン出来るのだ。
着信の主はスキンヘッドで両目に傷があり顎が割れていて身長約2mでガタイもいいというどう見ても堅気ではない中年男性だった。
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「貴征おじさん!?」
男性の顔を遠くから見た玲が思わず反応する。
そう、彼こそが汰威超組組長、志熊貴征その人だったのだ。
「青いロックマンよ、貴殿に頼みがある…ワシは汰威超組組長、志熊貴征という
者だ…
要件だが…娘が突如一連のロボットと思しき奴に攫われてしまった…
娘を助けて欲しい!金ならいくらでも出す…!!!」
志熊は汗を滴らせながら劾に懇願する。
「お金は頂きませんよ!娘さんは必ず救出してみせます!」
劾が応じる一方で玲はシェリーからの通信を受けていた。
「これはデルタナンバーズの仕業ね。何人もの人が糸で攫われているけど…どこに向かっているか分かったわ。
…国会議事堂よ!!」
「国会議事堂!!??」
日本の政治の中枢というべき場所の名を聞き玲は驚愕する。
「デルタめ…大きく出たな…沖藍…これ持ってて!僕は行ってくる!!」
劾はシェリーへのプレゼントを玲に託し、国会議事堂へと向かう。
その頃渋谷区の汰威超組事務所では…
「ロボットはロックマンに任せたが『襲撃班』と『護衛班』にも動いて貰う…
美音の救助も大事だが、『例の作戦』も大事だからな…
これはある意味チャンスかもしれん。
『本物の襲撃者』が現れたのだからな…」
現場の映像でとある事実に気付いた志熊は現場近くの構成員に指示を出し始める。
「いつもながら逆境をチャンスに変えるとは、大胆だねぇ。流石あたしが見込んだ男だよ」
志熊に妙齢で色黒の和服美人が声を掛ける。
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志熊の妻にして美音の母、志熊裕奈(ゆうな)である。因みに旧姓は世良(せら)。
「ううう…美音…」
志熊は両手を固く握りしめ、震えている。流石に娘への心配は隠せないでいた。
「ロックマンも凄いけどうちの組員もやり手だよ、ここはドンと構えときな!!」
「裕奈…」
激を飛ばす裕奈の手を握る志熊。この時彼は裕奈の胸の鼓動を聞き逃せないでいた…
国会議事堂にて…
この時既に国会議事堂は人の知る姿ではなく巨大な繭のような姿になっていた。
その外壁の周辺には拉致された人々及び駆け付けた警察官が張り付けられていた。
拉致された人々は壁に固定された瞬間、何故か頭部を覆う糸のみ解除され、繭から顔だけ出している姿となっている。
しかも首が動くためある程度周囲の確認が出来る。
この姿は既に報道され拉致された面々の共通点が知れ渡るとより一層大きな騒ぎになった。
「えええええい!小汚いロボット共め!!!!何様のつもりだえ!!朕を開放するえ!!!」
御間は眼前のロボット達に怒鳴り散らす。
ロボットはチョココロネに手足が生えたような外見で白いボディカラーが特徴の
量産型メカニロイド「キャタピロン」である。
糸を射出したのもこのキャタピロンであり、今もなお拉致行為を続けている。
「パパ、攫われた人達に共通点がありますわ。
よく見たら近所の人達と学校(聖ヤコブ女学院高校)の生徒達ばかりですわ」
怒鳴り散らす御間に春奈が気付いた事を知らせる。
「な、何という無礼なロボットだえ!!只では済まさないえ!!」
御間は余計ブチ切れる。
「あああ、これから高級レストランに行くのにぃ~っ!」
「娘の習い事があるのにぃ~!」
「御間、貴様が一番町に住んでるから我々が巻き込まれたんだ!これが片付いたら一番町から出てけ!!」
「御間さん、貴方がヤコブ高に通っているから私達も巻き込まれたのよ!!今まで貴方に『消された』人は大勢いるけど今度は貴方が消えなさい!!」
壁に固定されている人々は我が身に起こった理不尽な出来事に対し怒り狂い、中には御間父娘に怒りの矛先を向ける者も。
「貴様等ぁ~!!!朕に向かって何という言い草だえ!!!!!許さん!許さんえぇ~!!!」
「んまぁ何て生意気な!!次の標的は貴方に決まりですわ!!」
御間父娘は自身らへの罵詈雑言を罵詈雑言で返し、それには更なる罵詈雑言が返ってくる。
壁からは罵声の大合唱が響き渡り、壁一面が真っ赤で目は充血し涙や鼻水を垂れ流し血管が浮かび上がりシワだらけになった
醜悪極まりない顔面で彩られている。
「ぐぅっ…何て丈夫な糸だ!!!!」
鉄弟は懸命に拘束を解こうとするが効果は出ず。
「ボボッド…ユブザン…ラヂザレダベンヂュウ…ミッボボネェ…ビべサンボ…ビッジャグ…」
様々な感情がごちゃ混ぜになった翔は他の拉致された人々とは違う奇妙奇天烈な顔になって言葉にならない声を絞り出す。
「…皆さん、希望の糸口が見えて来ましたよ」
そんな状況の中、美音が口を開いた。
バシュッ!!ボガン!!
遠方から戦闘と思しき轟音が響き渡り、眼前のキャタピロン達がその方向に向かっていったのだ。
音の発生源は劾で次々とキャタピロンを撃破していく。
暫くしてキャタピロンを全滅させた劾がその場にいる人々に駆け寄ろうとする。
この付近の壁には翔、美音、鉄弟、御間父娘らがいた。
「今助けに行きます!」
「青兄貴!待ってやした!」
正気に戻った翔が歓声を上げる。
しかし次の瞬間…
シュルシュルシュル…
上方から糸が現れ、劾に巻き付こうとする。
「危ない!!」
劾は咄嗟にダッシュジャンプでこれを躱す。
「やりますわねぇ…」
「誰だ!」
劾は上から聞こえてきた女性の声に反応し、声がした方向を見上げる。
そこにはグレーとクリーム色のツートンカラーでカイコガのような外観のレプリロイドが佇んでいた。
声と口調、体型から彼女は女性型レプリロイドである。
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「デルタナンバーズだな…」
確認する劾にカイコガ型レプリロイドは応じる。
「如何にも。私はデルタナンバーズの一人、ストリング・シルキーガと言いますの。
貴方はレディバイドさんの任務の時に新たに現れた青いロックマンさんで間違いありませんわね?」
「ああそうだ、シルキーガ…と言ったな…敢えて聞くけど、どうしてこんな事をする!?」
劾は静かな怒りを込めシルキーガに問う。
「聞くまでもありませんわ、人間はお金を、権力を持っているだけで無意味に威張り散らす愚かな生き物…
そんな生き物は文字通りの『お飾り』にして差し上げるのが世の為ですわ。
無能な政治の中枢であるこの建物自体も、然るべき『お飾り』にして差し上げましたわ」
「やはりお前も『そう』なのか…」
シルキーガの言葉に対し劾は呆れたような、怒ったような、そして納得したようなリアクションをとる。
「どういう事ですの?」
「デルタ、それから今までのデルタナンバーズも人間を偏見の目で見ていた…
だったら今回も反論するよ、全ての金持ちと権力者が腐った人間ばかりではないとね!
それに政治が腐敗していたり無能な政治家がいるのは事実かもしれない。
だからと言ってそれを武力で解決しようだなんてテロじゃないか!
お前は腐った金持ちや権力者と同様特定の人間を差別しているし
こんなテロ行為をするのは愚かな人間のテロリストと同じだ!
僕は出来れば武力で解決したくない…もし僕が言った事が分かるなら…彼等を開放するんだ!
「おーほっほっほほ、甘い、甘すぎますわよ、ロックマンさん。
綺麗ごとでは何も解決しませんの!
戦わないというのなら、貴方もこの生き物同様飾り付けて差し上げますわ!!」
「やはり、ダメか…仕方ない…」
言葉の説得が通じないと見た劾はキッとシルキーガを見据え、バスターのエネルギーをチャージし始める…
その頃千代田区内では…
「キィィィィィィィィィィ…」
高所からぶら下がったミノデンジャーが自身の磁力を増大させ、周囲の金属はおろか剣をも引き寄せようとしていた。
そのパワーは強力で、剣の体は地面を離れミノデンジャーへと吸い寄せられ始める。
「させるか…!」
懸命にエアダッシュで抗う剣。
この間剣はブレードのエネルギーをチャージしていた。
そしてチャージが終わった瞬間。
「今だ!」
突然剣が抵抗をやめ、凄まじい速度で吸い寄せられる。
ミノデンジャーに激突すると思われた剣だったが…
ズバッ!!!!!
激突の瞬間ミノデンジャーにチャージブレードを叩き込んだ。
その吸い寄せる力の強さが却って相手の斬撃の勢いを強化して結果撃破されるという皮肉な結末を、
ミノデンジャーは迎えた。
次の瞬間ミノデンジャーが纏っていた、もしくは飛ばした金属製品がこの場から消滅し、元の場所に戻った。
「良くやったぞロックマン!」
「借金が返せると思っていたのにぃ~!」
歓声を上げる者、絶叫を響かせる者等そのリアクションは様々である。
その時だった。
ヴ―!ヴ―!ヴー!
剣のロックコマンダーが鳴った。
着信源はシェリーだった。
「ツルギ君!まだ事件は終わってないわ!
デルタナンバーズが国会議事堂を占拠したの!
ガイ君も向かわせたわ!」
「こいつは…前座か。分かった、俺も行く!」
剣も国会議事堂に向かうのだった。
その頃国会議事堂にて…
バシュッ!!
ロックバスターから放たれるシルキーガに迫る光弾。
その狙いは正確だった。
しかし…
「どこを狙っておりますの?」
ブオンッ!
シルキーガがジャンプした直後1回羽ばたくと彼女の体は勢いよく舞い上がり結果バスターの光弾は空を切る。
「今度はこちらから行きますわ、ストリングバインダー!」
シュルシュルシュル…
シルキーガの腕から糸が射出され瞬時に劾に巻き付く。
次の瞬間…
ブンッ!
「なっ…!?」
シルキーガがその小さく華奢な見た目からは想像もつかない膂力で劾を振り回し始めたのだ。
ズダン!ズダン!
振り回されては叩きつけられる劾だったがスーツの防御力のおかげで決定打にはならず、
その間に糸をバスターで攻撃して切り離す事が出来た。
バッ!!
劾は起き上がり、再度シルキーガと対峙するがある事に気付く。
シルキーガが壁を背にした位置に移動しており、自身と拉致された人々の間に立ち塞がっいる。
「ロックマンさん、正確に私を射抜けますの?」
嘲笑する口調で劾を挑発するシルキーガ。
「くっ、卑怯な…!!」
これにより劾は攻撃をためらう。
「何をやっているんだえ!早く撃ち殺すえ!!それからもし朕にかすりでもしたら許さんえぇ~っ!!!!」
シルキーガの真後ろにいる御間が怒鳴り散らす。
「青兄貴ぃ!!こいつはド腐れ外道ですぜ!!構わず撃っちまってくだせぇ!!」
若干離れた位置にいる翔が劾に向かって叫ぶ。
「僕は助ける人を選んだりしない!あいつなら…そうするから…!」
「…あいつ…!?」
翔は首を傾げる。
劾の言う人物は、これからこの場に来る事になるのだが…
「どうでもいいから早く助けるえ!!あとそこのクソガキ、貴様こそ流れ弾に当たってくたばるがいいえ!!」
御間は変わらず自分本位な事を喚き散らす。
そんな彼等を余所に劾がシルキーガに向かって言い放つ。
「こんな手を使うだなんて、お前はそうでもしないと僕に勝てないんだな!?
弱いからこんな手段を取るんだろ!?」
シルキーガを人質から引き離すため挑発したのだ。
「ならば彼等を巻き込まなければ私に勝てると言いますの?」
「ああ、楽勝だ!」
問い返すシルキーガに劾が追い打ちと言わんばかりに煽る。
「ならば試してごらんなさい?」
ブオッ!
シルキーガは跳躍した後羽ばたき一気に人質との距離を取った。
しかしこれは劾の挑発に乗ったというより自身の力を見せつける意図があった。
「ほらほら当ててごらんなさい!楽勝じゃありませんでしたの!?」
劾の攻撃をひらりひらりと躱すシルキーガ。
「こちらからも行きますわ…ストリングランス!!」
ビュッ!
「うっ…!」
シルキーガからの手から高密度に束ねられた糸が射出され劾のスーツの装甲に突き刺さる。
劾の攻撃は当たらずシルキーガの攻撃は当たるので劾はジリ貧になっていく。
この光景を目の当たりにした壁に固定されている人々はあろうことか劾を罵倒し始める。
「オラどうした、しっかりやれ!!」
「助けに来てくれたんじゃないのか!!」
「この役立たず!!」
これを聞いている翔は腸が煮えくり返っていた。
「(青兄貴が一生懸命戦っているのに…こいつらと来たら…!)」
そして繭の中で拳を握りしめ絶叫しようとした時だった。
「いい加減にしてください」
罵声をかき消すように美音の一声が響き渡る。
「先程のロボットの言葉を聞きました?
金持ちや権力者は無意味に威張り散らしてばかりとあのロボットは言っていました。
今の皆さんの態度はあのロボットが言った通りの人間像ですよ。
我が身を顧みず我々の為に戦っているロックマンさんに対しての皆さんの言葉は身勝手な事ばかり…
皆さんは物質的には豊かかもしれませんが精神的には貧困…そう私の目には映ります」
「ううう…」
「これだけしっかりしている高校生がいるのに我々大人は…」
これまでの自分の態度を悔いる者がいる一方…
「うるさいえ!!朕が助からなかったら意味ないえ!!早く朕を助けるえぇ~っ!!!」
「ムキ―ッ!!私達は特別ですのよ!!選ばれた人間ですのよ!!優遇されて当然ですのよぉ~!!」
御間父娘のように変わらず身勝手な者もいる。
「皆さん、新たな希望の糸口が見えてきましたよ」
美音は彼等を無視してこの場の人々にある事を知らせる。
「来たぞ!!」
ブオンッ!!
国会議事堂に遅れて現れた剣がシルキーガに斬りかかり、シルキーガは咄嗟に躱す。
「白兄貴!!」
歓声を上げる翔。
剣のロックスーツは機動力で劾のそれを上回る為、シルキーガの攻撃を躱し
逆にシルキーガに攻撃を当てる事で徐々に押し始める。
劾と剣は二段ジャンプが可能で、シルキーガは空中で羽ばたき似たような動作が可能である。
この為、地上と空中でそれぞれの技と技がぶつかり合い、戦いはより一層激化していく。
「そろそろ、頃合いでしょうか…」
一方シルキーガ及びロックマン達との距離が出来、更にシルキーガが自分達に構っていられない状況に陥ったと察した美音はある事を考えていた。
「むう!中々…手強いな…!!」
鉄弟は相変わらず自分達を縛る糸を引きちぎろうと足掻く。
「(鉄弟の力で破れないとなると、この糸は単純な力で引きちぎるのは困難のようですね。
ロックマンさん達との戦いを見る限りどうやら熱に弱いみたいですが…
でしたら…)」
繭の中で美音は手を動かし懐から何かを取り出し始める。
美音の体は鉄弟と一緒に巻かれていた為ある程度腕の可動域が広く、元々美音の体が柔らかかった為
「それ」を容易に取り出すことが出来た。
「それ」はアイスピックだった。
美音は戦闘の際アイスピックで相手を高速で滅多刺しにするのを得意としている。
実は最初に半グレに絡まれていた際も彼等を滅多刺しにするつもりだったのだ。
今回美音はそのアイスピックを別の目的に使用するようである。
スリスリスリスリスリ…
美音はアイスピックを繭の中で高速ですり合わせる。
結果そのあまりの速度の為摩擦熱で糸に火がつき燃え始める。
そして美音は繭に穴が開くとそこから徐々に穴を広げていき脱出した。
同じ繭に閉じ込められていた翔と鉄弟も自由の身になった。
「まさかアイスピックの新たな使い道をこの場で考えるとは…流石お嬢!」
「これが…汰威超の親分の娘…」
鉄弟が称え、翔が驚愕する中美音は次の行動に移ろうとする。
「このまま他の方も逃がしましょう、この糸は私達が壁にぶつかっても守ってくれたぐらいには丈夫ですので
防具にはなるでしょう」
「「ヘイ!!」」
美音、翔、鉄弟がこれまで自分を覆っていた眉をマントのように纏って行動しようとした時だった。
タタタタタタタタ…
新たに現場に現れシルキーガの目を盗んで突入する集団が2つあった。
1つは先程翔達を追った半グレに変装した汰威超組構成員、もう1つは御間グループ護衛チームだった。
「お嬢!花太の兄貴!よくぞご無事で!!」
「赤灯会の小僧、話は聞いたぞ…知らなかったっとは言え本当に済まなかった!!
借りを返させてくれ!!」
汰威超組構成員は美音達を視認し真っ先に駆け寄り彼等の無事を喜び翔には謝罪する者も。
「旦那様、お嬢様、助けに参りました!!」
護衛は御間父娘に駆け寄る。
「皆さん、この糸は熱に弱いです。その代わり衝撃には強いです。
ですから火で糸を焼き切ってそれで体を覆いながら脱出しましょう」
「火…俺はライターを持っています!」
「我々も持っています!」
美音の指示を聞き、両団体はライターを手に壁へと向かう。
汰威超組構成員は美音の指示通り全ての人間の繭を焼き切ろうとする一方で
御間グループ護衛チームは真っ先に御間父娘の繭を焼き切ると撤退を始める。
「おいコラ、手伝え!!」
周囲の人々が護衛チームを非難するが…
「我々の任務は飽くまで御間家の護衛。主を救出した後はここに用はない」
護衛の一人が冷たく言い放つ。
「ささ、旦那様、お嬢様、こちらです…」
「おおお前達、助かったえ!!」
「アンタ達はせいぜい頑張りなさーい♪」
護衛に誘導されながら御間父娘は勝ち誇りながらこの場を後にする。
彼等を乗せた車はいち早く現場から離れていった。
「チクショ~、身勝手な奴等め…プッ…」
「あんな奴、犠牲になればよかったのによぉ…プクククク…!」
汰威超組構成員は御間父娘に悪態をつくと同時に何故か噴き出しそうになる。
「にくまれっこよにはばかるってやつだな!」
鉄弟も愚痴るが何故か棒読みだった。
「???」
翔は彼等の態度が理解できない。
そこに美音が耳打ちする。
「世の中には分からなくてもいい事もあるんですよ」
「は、はひ…」
翔は心臓が爆発しそうになりながら応じた。
その頃シルキーガ戦は…
「ストリングフィスト!!」
何重もの糸で覆った拳で劾に殴り掛かるシルキーガ。
「チャージサンブラスター!!」
それを劾はレディバイドの特殊武器、サンブラスターの溜め撃ちで対抗。
すると熱線がシルキーガの拳を覆う糸を焼き始め、拳の威力が削がれていくが
糸を全て焼き尽くすには至らず最終的に劾は弾き飛ばされるが
同時にシルキーガも熱線によるダメージを受ける。
「隙あり!!」
ダッ!!
一瞬怯んだシルキーガに剣が斬りかかろうとするが…
「甘いですわ、ストリングバインダー!」
シルキーガは糸で剣を拘束する。
「また切ればいいだけだ!」
これを見た劾が糸を切るべく武器エネルギーをチャージし始めるが…
「いや、切らなくていい…スパークスマッシュ!!」
ビリビリビリビリビリ…
「キャッ!」
剣の放ったスパークスマッシュの電撃が糸を伝っていき、それが一時的にシルキーガの動きを止めた。
「そこだ!!」
バシュッ!バシュッ!
この瞬間劾のバスターが、シルキーガの両翼を射抜いた。
これによりシルキーガの機動力は大幅に失われた。
「こうなったら彼等にもう一度役に立って貰いますわ、ストリングバインダー!」
シュルシュルシュル…ブンブンブン!!
次にシルキーガが取った行動は地に倒れ伏すキャタピロンの残骸に糸を巻き付け
それらを激しく振り回すというものだった。
「肉を切らせて骨を断つ…チャージショット!!」
ドウッ!!
劾は激突に耐えながらチャージショットを放ち、シルキーガに直撃させた。
「見事…ですわ…」
先程の雷のダメージも相まって劾の一撃が決定打となりシルキーガは機能停止した。
「博士、決着がついた。デルタナンバーズと一緒に戻るぞ」
剣がシェリーに通信を入れると共に劾と剣はシルキーガのボディを伴ってこの場から姿を消す。
シルキーガが撃破されるとその影響で彼女が射出された糸は消滅した。
国会議事堂は従来の姿に戻り、壁に固定されていた人々は一気に全員自由の身になった。
幸い高所に固定された人間はいなかった。
「私達…助かったのね…!?」「ワアアアアアアアアア!!!!」「ロックマン万歳!!」
この場の人々が手の平を返してロックマンを褒めたたえる。
「チッ、勝手な奴等め…しかし青兄貴の言葉には痺れたぜ!あの人もまた、任侠者だな!」
翔は呆れつつも劾に対しての敬意を示す。
「うむ!助ける人を選ばない等中々出来る事ではないからな!かく言う俺も絶対に出来ん!」
鉄弟も劾を褒めたたえると同時に自身が誰彼構わず助ける事が出来ない事を言い切る。
「自慢する事ではないと思いますよ、私にも出来ませんが…
最後に鷹山さん、今回は有難うございました。あなたの事は忘れません」
美音も困っている人がどんな人かによっては助けない場合もある事をほのめかした後翔に別れの挨拶をする。
「オデボ…バズベバベン…」
翔は顔を真っ赤にして滑舌が悪くなって応じる。
そして翔と美音はそれぞれの帰路についたが、彼等はいつかまた出会う事になる…
シェリーの基地にて…
シルキーガのボディは既に作業台に寝かせられ、修理が始まっていた。
そんな中、大小二つの包み紙に包まれた商品を手にした劾と玲がシェリーに口を開く。
「あの、博士…」「実はプレゼントがあるのですが…」
「まあ、何かしら」
シェリーは嬉しそうな表情でまずは大きい方の包み紙を開ける。
その中には女性もののバッグが入っていた。
「あら素敵なバッグ!わざわざ悪いわね…こっちは何かしら?」
シェリーは一層喜び小さい方の包み紙を開けると中にはペンギンのキャラクター、
「ギーゴくん」のぬいぐるみが入っていた。
「まあ、ギーゴくんじゃない!!どうして私がこれが好きだと分かったの?」
更に大喜びの様子のシェリーが劾に問う。
「僕も好きだし、何となくそう言う気がしたからです」
照れながら応える劾。
「有難う…有難う…本当に大事にするわね…!」
心から喜ぶシェリーを見て劾と玲は買った甲斐があったとほほ笑むのであった…
汰威超組事務所にて…
「おや、美音…どうしたんだい、顔が赤いじゃないか」
「新宿で素敵な出会いがあったのです」
裕奈の問いかけに美音が応える。
「な、ななな何ィ!!??ろくでもない男だったらワシは認めんぞ!!」
志熊は必死になる。
「美音のお眼鏡に適う男がろくでなしの訳がないじゃないか、親なら娘の恋路を応援しておやりよ」
「むむむ…」
裕奈にたしなめられる志熊であった…
赤灯会事務所にて…
「ハァ…ハァ…心臓が…苦しい…」
美音の事を思い出し悶え苦しむ翔。
「むむ、どうしたと言うのだ、鷹山!!??」
「ハァ…ハァ…まるで…俺みたいじゃ…ないか…」
五里石と火纏を始め他の構成員達も翔の身を案じる。
「心配は、無用ですぜ…これは…悪いもんじゃあ、ありやせんから…」
「??」「もしかして恋か?」
翔の言葉を聞いた赤灯会構成員達には何の事か分からない者もいれば何かを察した者もいたという…
その頃御間父娘を乗せた車は…
「おい!!どこに向かっているえ!?」
御間の怒鳴るような問いかけに護衛の一人が応える。
「旦那様方の新しい邸宅と職場でございます」
「何の事だか分からんえ!!朕の職場は都庁、家は千代田区一番町だえ!!」
「またまたぁ~、先程自分で仰ってたじゃないですかぁ、もうお忘れですかぁ?」
にやけ声で護衛の一人がスマホの映像を見せる。
そこには御間父娘が映っていた。
まずは映像の中の御間が謝罪して知事の辞任を発表する。
「この度私は今までの折り合いをつけるべく、知事を辞任する事に致しました。
私のこれまでの横暴で身勝手な言動と行動は権力の範囲を超えていると、
先日記者の方からご指摘を受けました。
思い返せば…このご指摘は以前のパワハラの告発同様、真摯に真剣に受け止めるべきものでした…」
この辺りから映像の御間は涙ぐみ始める。
「そして今回、私どもが例のロボットの標的にされた事も言ってしまえば私の日頃の至らなさが招いたもの…
この事件のロボットの主張も、それまでの記者の方のご指摘も…
真摯に真剣に受け止めて!一人の大人として何とか折り合いの付くところで折り合いを付けさせていただいて、
この東京都に新たな風を吹き込むためにも!堪えに堪えて!
東京都知事の座を後進に譲り渡す事に致しました」
映像の中の御間はこの後冒頭の記者から入手した情報にある様々な不正を自白する。
それが終わるとこの謝罪と報告を締めくくり始める。
「これまで権力の範囲を超えて威張り散らし、人を酷使し、人生を破壊し、申し訳ございませんでした!
我が御間家はこれより世間から姿を消しますので探さないでください。
最後に私の言葉が信じられないと思う方々がいる事を利用して
私を騙る者も今後現れるでしょう。
しかし!それは偽者です!過去の亡霊です。
故にそのような輩が現れた時は然るべき対処をお願いいたします」
うつむき両拳を握りしめ涙ながらに深い謝罪をする映像の中の御間。
次からは春奈の謝罪が始まる。
「私も父の財力と権力に甘え…好き放題に振る舞い…大勢の人を傷つけ…
挙句今回の騒動にご近所の方々及び学校の方々を巻き込んでしまいました。
本当に…本当に申し訳ありませんでした…!
ご近所の皆さま、学校の皆さま、私達のように権力や財力を笠に着て
驕り昂り他人を虐げるのはもうやめましょう。
人に貴賤はありません。
私達はこれから物質的な豊かさではなく精神の豊かさを追求する為にどこかに隠れ住みます。
最後に、私の偽者も現れるかもしれませんが、決して相手にしないでください」
映像を見た御間父娘は…
「何だえ、この映像はぁ!?朕が愚民に頭を下げる等有り得ないえぇ!!」
「んまぁ、何この捏造映像は!?嘘ニュース事件の真似事ですの!?
そもそも私達は車を降りてませんわぁ!!」
パニックと怒りで怒鳴り散らす。
この映像であるが、事実御間父娘に酷い目に合わされた人間の中でも彼等に体格が似た者が特殊メイクで変装し、
音声も合成された嘘ニュース並に精巧なでっち上げである。
勿論撮影と編集は汰威超組。
汰威超組はその財力と人脈を駆使して御間父娘に恨みを持つ人間や邪魔に思う人間、
組の息がかかった様々な業種の人間を「御間失脚作戦」に引き入れていたのだった。
この後映像はネットに拡散される事に…
そして喚き散らす御間父娘を護衛は軽くあしらいつつ彼等を乗せた車は目的地に到着。
「到着いたしました、こちらが新たな御間邸でございます」
「何だえ!?これは…!?」「これって、どう見ても…」
護衛が指し示す先にあったのは工事現場に佇む質素な仮設住宅だった。
「さあ!さあ!こちらです!」
「ちょ、やめるえ!!」
「さっきから何ですの!?」
車を降りた御間父娘を護衛達は強引に歩かせ仮設住宅へといざなう。
「次はお二人に反省の意を示す姿になって頂きます。さあ!ご着席お願いします!」
「何をするえ!!」「座ればいいんですの!?」
護衛達は御間父娘を仮設住宅内の椅子に半ば強引に座らせる。
次の瞬間…
「「!?」」
ヴィィィィィィィィ…
護衛が取り出したのはバリカンだった。
「ちょ、まさか…」「やめ…」
ジョリジョリジョリジョリ…
「「ギャアアアアアアアアアアア~ッ!!!!!!!!!」」
護衛は御間父娘の頭髪をと御間の髭をバリカンでそり落とし、それが終わるとその姿を彼等に見せる。
「お二人ともお似合いでございます、何とも輝かしい…」
護衛はにやけ声で御間父娘に言う。
「朕の…朕の自慢のドレッドヘアーがぁ~っ!!ツルッパゲなんてあんまりだえ!!」
「んまぁ何て事してくれましたの!?これじゃお嫁に行けませんわ!!」
髪を失った自身の姿に絶叫する御間父娘だったが…
「きさまらーっ!!オヤジ(組長)を愚弄する気かーっ!!!!!」
ジャキジャキジャキ!!!
護衛が一斉に銃を御間父娘に突きつける。
「ヒィッ!!まままさか…!?」「ハゲのオヤジって…!?」
この状況に御間父娘は何かを察する。
「ああお芝居はやめだ、俺達は汰威超組だ…本物の護衛とはとっくに入れ替わっていたんだよ!!」
護衛、改め汰威超組構成員は自らの身分を明かした。
彼等は冒頭で鉄兄に付き従っていた構成員達だったのだ。
「最初は半グレに扮したうちの組員からお前等を逃がすという筋書きだったが
このロボット騒動…ある意味あのロボット共には感謝してるぜ…」
他の構成員も更なる真実を明かす。
半グレに扮した汰威超組構成員とは、神田川まで翔を追った構成員達で史実では彼等が
御間父娘を襲撃するところを護衛に扮した構成員が助ける振りをしてここに連れていく事になっていた。
「そんな事は今となっちゃどうでもいい、これから職場に案内するが…まずは着換えだ!!
「ギャアアアアアアアアアア~何てもん着せるんだえ!?」
「変態!変態!変態!」
汰威超組構成員達は御間父娘を無理矢理着換えさせるが、彼等が着せられたのは土木作業用の作業服だった。
着替えが終わると汰威超組構成員達は御間父娘を工事現場へと連れていく。
「先輩のいう事をよぉ~く聞くんだぞ!?」
「………」
汰威超組構成員達は御間父娘の耳元で囁き御間父娘は恐怖に震える。
現場には大勢の屈強な男達が待ち構えていた。
「おうお前等!!新入りだ、しっかり面倒見てやんな!!」
汰威超組構成員達は男達に御間父娘を紹介するが…
「お、お前達は…!?」
御間は彼等の正体に気付く。
彼等は冒頭で記者を追っていた本物の護衛だった。
汰威超組構成員に服を奪われこの工事現場に連れていかれ現在に至る。
「丁度いい、朕を助けるえ!!」
御間は護衛に命じるが…
「ハア!?何言ってんだ、俺達は先輩、テメー等は後輩…今じゃ俺達の方が偉いんだよ!!」
「な、な、朕に向かって何て口の利き方だえ!!??」
御間は困惑しながらも護衛に問い詰める。
「俺達は所詮虎の威を借りる狐でコバンザメ…
今のテメー等は例えていうなら張り子の虎でくっつき甲斐もないクラゲみたいなもん…
そんな何の価値もねぇテメー等に従う理由なんてねぇんだよ!!」
「というかいつもチンチンチンチン下品なんだよ!!」
御間父娘に悪態をつく護衛達。
雷音禁愚同様、彼等の絆も脆弱だった。
「ここは厳しいが、決してトぶ(逃げる)んじゃねぇぞ!?」
「ヒッ…」
護衛は御間父娘に圧を掛け、御間父娘は絶望する。
その後父娘に待っていたのはかつての従者にこき使われる激しい肉体労働。
ある日あまりの重労働と暴力に耐えかねた御間父娘は元護衛の目を盗んで何とか脱走に成功。
しかし御間失脚作戦に関わった大勢の人間が様々な方面に圧を掛けていた為
自分達の名前を名乗っても汰威超組の名前を出しても誰も話を聞いてくれない。
そのままホームレス生活を送る父娘だったがかつての尊大な態度が出てしまい
他のホームレスからもいじめられる始末。
こうして御間は下の名前の通り漂う生活を余儀なくされ春奈と共に各所を逃避行する末路を辿る。
冒頭で御間グループの護衛に追われていた記者であるが、御間が謝罪する映像が
拡散された後各方面から称賛された。
「手柄は貴方に譲ります、我々は飽くまで裏社会の人間ですから」
といった鉄兄の言葉を思い出しながら記者は称賛に応じる。
彼は恩人である汰威超組を裏切る事は仁義外れであると己に言い聞かせ御間の謝罪映像も本物と思い込む事にした。
「これで、良いんだ…」
御間の失脚を知り記者は世の中の為に敢えて反社の手を借りた事は明かさず捏造映像の追及もしなかった。
「御間を襲う半グレ」、「彼等から御間を守る護衛」、「己の罪を悔いる御間」、
…といった数々の「偽者」が動き幕を下ろした御間失脚作戦。
しかしこの作戦とは無関係にこの後ロックマンの名を騙る腐れ外道が現れる事を、
当時の人々はもちろんシェリーですら知る由もなかった…
続く
更新が遅れに遅れて遅れまくりましたが何とか年内に更新できました。
まず御間ですがモチーフはドクラーゲンです。
苗字の由来は声優の三間はるなさんで下の名前の由来はドクラーゲンの異名に含まれる「漂」に
政界の人間という事で「則」を加えたものです。
とはいえイメージCVは三間はるなさんではなく普通にオヤジ声で僕の中では茶風林さんが一番近いです。
これは玲のイメージCVがモチーフの声優の風間勇刀さんである訳がない事と同様です
(億が一、兆が一違うというなら謝ります)。
外観ですが鼻と口はドクラーゲンの顔の下部分の赤い部分を鼻と口にアレンジしたもので
ベレー帽に対するドレッドヘアー、髭の形、服のすそ等はクラゲを模したものです。
彼はこの小説の追加キャラの中で今のところ最も見た目が醜いキャラですが
恐らく全追加キャラの中でも最も醜いと思われます。
この先にも不細工なキャラは何人か登場しますし飽くまで主観に委ねられると思いますが…
そしてイラストの背景は彼が国土交通大臣であるという没設定の名残です。
春奈のモチーフはパレットですが金持ちという事で生え際は綾小路やいとに、ドリルのようなツインテールは白金ルナに因んでいます。
彼女が悪役で翔とくっつく気配が皆無なのは飽くまでモチーフとは別人であるいい例の1つです。
志熊のモチーフはストレートにシグマで、スーツの色はX1のシグマに因んでおります。
苗字からして彼とその妻子が原作キャラとどんな繫がりがあるか最早バレバレなのではないでしょうか。
裕奈のモチーフはセラとユーナで、旧姓の世良はバグ大ネタでもあります。
美音ですがモチーフはルミネで初期案の名前は「留美」でしたが「ルミならもういるじゃん!」という事で
後ろの二文字から名前を取りました。
彼女も玲同様モチーフとは性別が異なる他、キャラクター間の関係がモチーフと異なるいい例です。
アイスピックは声優ネタと同時にバグ大ネタであり、バグ大に登場するルミネ役の野田順子さんと同じ苗字の
「野田一(はじめ)」というヤクザが戦闘でアイスピックを愛用するのが元ネタです。
鉄兄弟ですが今思い返してみればエグゼ6の鉄国男と苗字が同じでした。
これは意図していなかったものですが思い返せば劾の苗字もエグゼシリーズのメイルと同じでしたね。
ミノデンジャーですがモチーフはミノムシ、電磁石、オバサンです。
厳密にはミノムシというよりメスのミノガです。
というのもメスのミノガは羽化しても一般的な蛾の姿にならず、頭と胴体だけの姿になります。
これはポケモンにも採用されております。
またデザインしている時胸と腹部の四角い部分が顔に見えてきたため
そのまま顔に見えるデザインを追加していき最終的にカイザーシグマ等のような顔みたいな胴体になりました。
挿絵で包丁を飛ばしているのは没設定の名残です。
というのも初期案では聖ヤコブ女学院高校がステージでミノデンジャーは家庭科室に登場する予定だったのですが「日付的に夏休みじゃん!」という事でステージが初期案から変更になったからです。
シルキーガですが原作に比べてパワーキャラになった気がします。
これはシルキーガの糸の強靭さを活かす為の工夫です。
国会議事堂を糸で覆ったのはゴジラネタです。
今回は第4作同様号泣議員ネタが出ましたが今回の場合複数のキャラに分散しております。
ニセロックマンは次々回に登場するキャラですが第1話で存在示唆されています。
ツルギ異聞は数えてみたら全部で16話ありました。
増えた分のエピソードは全て追加ボスとの戦闘という訳ではなく原作の1話が2話に分かれている場合もあります。
8ボス戦前半戦は赤灯会と汰威超組の顔見せという意図もあり、次回は赤灯会の組長が登場します。
原作のシルキーガ回で登場したものの今回登場しなかった馬場も次回出ます。
しかし馬場、沖藍強等の原作でイラストが存在しないキャラは今のところ挿絵を描く予定はございません。
第5話の執筆が終わるまでにキャラビジュアルが解禁されるような事が起こればこの限りではありませんが。
次回はウィーゼラン回です。
【悪徳都知事・御間漂則】
悪徳都知事どころか悪行の片手間に都知事をやってるレベルのゲスを超えたゲス、御間漂則。
>>酒が飲めない部下にスピリタスを強要
飲み慣れてないと焼酎のストレートでさえキツいのに、ここで飲ませたのは「アルコール入り飲料」というより殆ど全部アルコールそのものなスピリタス…
粘膜が死なないのかと思ってしまいます。
失脚、タコ部屋送り、そして脱走…
最終的にはなんとかシャバに身を置けてはいるものの、父娘揃ってホームレスという有様ではタコ部屋とどっちがマシなのやら…
都知事時代を思うと命を狙われないだけマシかもしれません。
顔つき、配色、名前的に元ネタはクラゲールではなくドクラーゲンの方だろうと思いましたが、あとがきを読むにビンゴでした。
【御間春奈】
「パレットが元ネタなのか…?いやでも…」とか思いつつ読み進めたので、本当にパレットがモチーフだったことに驚きましたが、
考えてみるとボスキャラモチーフのキャラが味方サイドに居たりしますし(氷藤とか)、元ネタがプレイヤー側のキャラだからといってマトモだとは限りませんね。
こうなると翔もどうなっていくか分からないというものです。(まあアクセルも一応、敵サイド出身ではあるのですが)
【鉄斬】
元ネタのクワンガーを思わせる細身の体格やクワガタムシの大顎っぽい髪型が特徴的。
赤いブーメラン使いということでクイックマンも彷彿とさせます。
御間グループ護衛チームの男たちを倒す際に本人曰く「睡眠薬」だけに頼ったというあたり、おそらくはクワンガーモチーフならではの鮮やかな早業で、睡眠薬を口に押し込むなり注射器を刺すなりしていったのではないかと思います。
もしそうだとすると普通に殴る蹴るで倒すよりも凄まじく高度なことをやっていますね。
【鉄花太】
元ネタとしてはビートブードなのですが、配色やヘルメット頭頂部のパーツなどがちょっとダイブマンっぽくもあります。
【志熊美音】
地の文にもあるように人形のような美少女で、これが姿を現したら翔が固まるのも無理はありません(しかもバスローブ姿)…
国会議事堂にて人々を叱りつけるシーンには、おそらく両親譲りであろう度胸も感じられます。
【志熊貴征】
何もしないで普通に街を歩いているだけでも周囲に緊張感を与えそうないかつい風貌、これはもう紛うことなきシグマですね。
【ミノデンジャー】
貴金属製品を巻き上げたりばら撒いたりと単純な破壊活動とは別の意味でたちが悪い暴れぶりですが、ミノデンジャー「自身は」人々を直接的に殺傷しにいかなかったり、ジョジョ3部のバステト女神みたいに人体に影響を与えるような事もないあたりはマシ…?なような気もします。
ただ、磁力に吸い寄せられた車などが事故など起こしていそうではありますね。
【ストリング・シルキーガ】
アジト内のシーン、そして劾の反論に対しやはりと言うべきか耳をかさず戦闘に突入する様子からして、起動して以来デルタによってたびたび“教育”が施され色々と吹き込まれていそうです。
糸攻撃というと個人的にはモスラの幼虫のイメージから、締め上げるとかぐるぐる巻きにして動きを封じるとかが真っ先に思い浮かびます。
劇中のシルキーガの「糸で縛って振り回し叩き付ける」とか「グローブ状に手に巻いて殴りかかる」という攻撃方法は、想像してみると結構豪快な絵面になりそうです。もしゲームとして再現するなら、前者に関しては食らうと早めにレバガチャで脱出しなければ手痛いダメージを貰うことになりそうですね。
【記者】
御間の破滅を見届けるも、どこか釈然としていなさそうな様子だったのは、不正をはたらく御間を引きずり下ろせたのは不正な力だった、というところによるものかなと思います。
また、地味にこの記者も御間の偽物も“あの人”を彷彿とさせるセリフを口にしていて、しばらくぶりに思い出してちょっと笑ってしまいました。
あとがきにもありますが、管理人さんの別の小説に登場したオリキャラ「ヴェルト」もこのネタをやっていましたね。
感想有難うございます!
そして今年初の書き込みですね。
>御間漂則
彼がパワハラが問題になったもののまた知事に再選してしまったのは昨年実際に
同様にパワハラが摘発されたもののやはり知事選に再選してしまった某知事が元ネタです(尤も他の県の話ですが)。
彼の暴君ぶりは復讐物などに登場する権力者の悪役のイメージです。
スピリタスですが度数を鑑みるに飲料の用途があるとは信じられず最早薬品ですね。
僕も口にしたら反射的に噴き出す自信があります。
彼はモチーフである陰キャのドクラーゲンとはまた違ったタチの悪さですが
「自分は悪くない」と思っている点は共通しております。
彼の末路ですがタコ部屋にせよホームレス生活にせよ生きるか死ぬかの過酷な日々ですので
命を狙われるのとどちらがマシか微妙なところですね。
ホームレス生活中に命を狙われる描写を省いているのは御間父娘が人目を忍んで生活している事と
一般人が「御間が反省した」という都合のいい映像を信じたのが要因です。
そしてクラゲールがモチーフの可能性も視野に入れられるとは鋭いですね。
実はこの先に登場するゲストキャラの中にはメカニロイドボスがモチーフのキャラもいます(そのキャラのモチーフがクラゲールか否かは置いておいて)。
>御間春奈
彼女の名前の由来は他2人のオペレーターモチーフキャラ同様声優さんの字を変えたというものです。
予告にも書きましたが追加キャラとそのモチーフは飽くまで別人という事で
性格がモチーフ譲りとは限りませんしキャラクター間の関係も異なる場合があります。
この現象は「ツルギ」本編はもちろんエグゼ、DASHにも見られます。
主な例ではエグゼケインは悪人であり、DASHワイリーは善人といったものです。
>鉄斬
モチーフのクワンガーからして赤くて速くてブーメランを使いますので彼にもクイックマン要素があるのは必然ですね。
Xシリーズの8ボスには本家の8ボスと似ているボスがしばしばいますが
クイックマンとクワンガーもその例ですね。
鉄斬はモブでも強い汰威超組の中でもかなりの実力者ですので御間グループ護衛チームぐらいなら睡眠薬で気絶させるのは容易い事です。
>鉄花太
彼のメットに付いているカメラは角に当たるものですが色と形状からして僕もダイブマンに似ていると思いました。意図した訳ではありませんが。
ちなみにカメラ付きヘルメットは実在します。
>志熊美音
彼女の美貌は完全に母親から受け継いだものですね。
そして彼女が度胸があるのは仰る通り両親譲りで叱られた人々の多くが反省したのは
彼女の雰囲気や口調によるものでこれがもし翔だったらただただ感情的であり火に油を注ぐだけでした。
>志熊貴征
彼の容姿がシグマそのものなのは「もう一人のシグマモチーフの既出キャラ」との対比です。
>ミノデンジャー
ミノデンジャーが人々に直接危害を加えようとする描写がなかったのは
「金持ちを困らせる」といった今回の任務によるものでしょう。
剣が現れるまでは主に装飾品等の小型の物体を巻き上げていたミノデンジャーですが、
剣との戦いの公判では磁力で剣を引き寄せようとしていたのでこの間は自動車等も巻き込まれていそうです。
>シルキーガ
彼女が劾に聞く耳を持たなかったのはやはりデルタに植え付けられた先入観のようなものです。
彼女の糸は熱には弱いが力には強い、という設定にしたためそれを活かした技を追加したのですが
こうした技はゲームではレバガチャで抜けて対処するのが常套手段ですね。
>記者
彼が釈然としていないのは飽くまで彼が真実を追求する記者の立場だからですね。
法で裁けぬ悪を裁く行為は標的の被害者や世間に歓迎され勝ちですが
記者として正しい行為ではないので汰威超組の手を借りるのには葛藤がありました。
この投稿は昨年末のものですが年が明けた後とある映画にて
無許可で悪役を成敗する主人公を警察官が葛藤の末見逃す、という展開がありました(公開して比較的日が浅い為何の映画かは書きませんが)。
ちなみに書いている時はネタが思い浮かばなかったり他キャラの挿絵や文章の執筆で力尽きた為
彼の名前の設定や挿絵は割愛しましたが彼のモチーフはあるとすればロックマンバトル&チェイスのリポットです。
彼及び偽御間の台詞にはヴェルトと同じく号泣議員ネタが含まれますが
ヴェルトの場合「元ネタ同様保身の為にヤケクソになって駄々をこねる」、
記者は「本心」、偽御間は「自分の罪を認める御間を演じる」といった差異があります。
ビリーヴ率いるテクノピアのレジスタンスは反社の手を借りたり犯罪行為を働いていない為
この記者のような後ろ暗さを感じてはいません。
執筆お疲れ様です。
オリキャラたちにロックマンキャラや声優ネタが随所に見られて、その組み合わせが新鮮でした。
たしかに公式でも元のキャラと名前は同じでも性格が違うキャラがいましたね。
御間父娘の暴君ぶりは酷いものでしたが、繭に絡まれてもその言動は変わりなく、
謝罪のコメントに違和感がありましたが、やはり捏造映像でしたか(汗)。
終盤の展開はこれまでの報いを受けるようで自業自得な感じがしましたが、
これで罪を自覚したかどうかは怪しいですね。
美音の冷静な物言いや、アイスピックでの脱出は見事でしたね。
今後の翔との展開が気になるところです。
戦闘の舞台のスケールが大きく、
ミノデンジャーやシルキーガの、各々の攻撃方法もインパクトがあって迫力がありました。
それでは。
感想有難うございます!
今回もロックマン内外から様々なネタを入れました。
御間父娘が親子なのはモチーフの声優が同じであり、ツルギ本編のキャラにモチーフの声優の苗字を由来とする苗字のキャラがいる事に因んでおります。
このツルギ異聞、そしてツルギ本編の以前にDASHとエグゼの時点で外見や性格が元のキャラとギャップがあるキャラは結構いましたね。
上記の例以外にもエグゼのゼロとアイリスは何の接点もありませんでしたし。
とはいえ、ツルギ異聞ではDASH、エグゼ、ツルギ本編と同じく誰も彼も差別化だの奇のてらいなどで元キャラとギャップを付けるわけではなく
元のキャラに沿った外見や性格のキャラも登場します。
そして御間父娘は上記のレスにもあるように「自分は悪くない」と思っているタイプの悪ですので
謝罪映像も真っ赤な嘘ですし罪の自覚は皆無かと思われます…
美音ですがモチーフがモチーフという事もあり、家庭環境という事もあるので年齢に見合わぬ大物感がある人物です。
彼女は苗字からして既存キャラとどんな間柄かバッレバレな気がしますね。
翔は男で美音は女ですがツルギ本編のブロッサム夫妻やDASHのロールの両親の例もありますし…
また今回は3体目の8ボスにも関わらず舞台を国会議事堂に致しました。
中ボスの存在だけでなく8ボスの技を追加している事もツルギ異聞の工夫です。