オフィスタ・ハケンニュース

配偶者控除:パート世帯にメリット…150万円上限

0 コメント
views

◇社会保険の壁を考慮 政府・与党が配偶者控除の年収上限引き上げで「130万円」と「150万円」の有力2案のうち、150万円を選んだのは、社会保険料の支払いが生じる130万円では、パート女性らの就労拡大を促すには不十分と判断したためだ。だが、メリットはパートの妻がいる一部の世帯にとどまり、働き方によって税負担が異なることへの不公平感は残ったままだ。「配偶者控除の見直しで『壁』を厚くするようなことはやめるべきだ」。24日に開かれた自民党税制調査会では、配偶者控除の年収上限を「130万円」とする案について否定的な意見が大勢を占めた。中小企業などでパートで働く場合、年収が130万円を超えると社会保険料の支払いが生じる。将来年金として受け取れるものの、現在の手取り収入が減ることを懸念して労働時間を抑える女性が多いとされ、「130万円の壁」と言われている。大企業では、今年10月から、この基準が106万円に引き下げられ、新たに「106万円の壁」ができたとの指摘もある。このため、政府・与党は「130万円以上でなければ、労働時間の調整をやめる動機にはならない」(宮沢洋一・自民党税調会長)として、上限を「130万円」か「150万円」とする2案を検討してきた。だが、自民、公明両党の税調の議論では「130万円では社会保険料の負担が生じる基準と重なり、『壁』がさらに分厚くなるだけ」などの意見が多く、議論は「150万円」案に収れんしていった。また、自民党内では、中小企業の人手不足に対応する観点から「年収上限はなるべく高く引き上げるべきだ」との意見も強かった。最低賃金の引き上げなどでパートの時給は上昇しており、上限が低いとパート女性らが労働時間を増やす効果が見込みにくいためだ。時給1000円で1日6時間・週5日勤務した場合、年収は144万円となる。上限を130万円とした場合は「『もう少し働きたい』というパート勤務のニーズに対応できない」(政府関係者)と懸念する声もあった。配偶者の年収上限を150万円とする場合、主な稼ぎ手(主に夫)の年収が1120万円を超えると制度の対象外とするため、増税となる世帯も生まれる。自民党内では「税収維持のためには高所得層に負担を求めるのはしょうがない」(税調幹部)との声が多い。一方、公明党内には「慎重に検討する必要がある」との意見も残っており、年収制限を超えても段階的に控除を受けられる仕組みの導入も検討している。 ◇不公平感解消されず 政府・与党は、配偶者控除の年収上限の引き上げで、パートで働く女性の就労拡大を後押しする効果を見込む。一方、フルタイムで働く女性のいる世帯にメリットがない状況は変わらず、専門家からは「効果は限定的で不公平感は解消されない」との指摘が出ている。配偶者の年収上限の引き上げでメリットを受けるのは、主にパートで働く妻のいる世帯だ。働く意欲がありながら、配偶者控除の年収上限を意識して労働時間を抑えている女性らは、働く時間を増やす可能性がある。労働時間を増やしたうえで、社会保険料を支払っても、夫の税負担が軽減され、世帯としての手取りが増える可能性があるためだ。だが、フルタイムで働く妻のいる世帯は控除の対象から外れたままで、政府税制調査会が目指した「働き方に中立な税制」とはほど遠いのが実情だ。政府・与党は当初、政府税調の案を基に、配偶者控除を廃止して夫婦なら一定の控除が受けられる「夫婦控除」の導入を模索した。だが、対象世帯が大幅に拡大し、税収減を防ぐには主な稼ぎ手の年収制限を低く設定する必要がある。多くの世帯で増税になるため、与党内で来年夏の東京都議選などへの影響を懸念する声が高まり、現行制度の上限引き上げに方針転換した。第一生命経済研究所の柵山順子主任エコノミストは今回の上限引き上げについて「限られたパート女性らのいる世帯への減税に過ぎない」と指摘。「社会保険料の支払い負担が生じない130万円未満で働くメリットが一番大きくなるため、それ以上就労拡大の効果は見込めない」と話している。  (2016.11.25 毎日新聞)

オフィスタ
作成: 2019/03/21 (木) 17:39:49
通報 ...