10/2付の日経新聞に東京労働局より都内の有効求人倍率が1.19倍という低水準を記録したとの発表がありました。景気の減速で求人が減る一方で、企業の倒産が相次ぎ求職者が増加の一途を辿る中で、有効求人倍率は6カ月連続で下降し続け今後も一層の落ち込みの見込みであるとの発表でした。有効求人数そのものが減少し8月は前年同月比で15%減で23カ月連続の前年を下回るという就職・転職活動中の方にとっては、いよいよ最悪の事態になってきてしまいました。 わたしどもも企業や団体の人事ご担当者とお会いする機会が多いのですが、どの企業さまも人材を必要とはしているが、先の見えない景気の動向を考えると正社員採用を見合わさざるを得ない苦しい現状を痛切に感じます。反面、多くの企業さまが派遣という制度に大きな期待をかけている日本の社会情勢が伺えます。企業さまの声をお聞きして、まず第一に感じることは「派遣スタッフ」に寄せる期待がこれまでの「派遣」というイメージとは明らかに一線を画してきていることがわかります。皆様もそうだと思いますが、これまで派遣というと、企業の部分的なお仕事を一時的に補佐するポジションであり、スキル・キャリアを生かして能力・特性に特化した部門を助けるというイメージを持たれていることと思います。しかし、これからの派遣像は部分的な補佐役では通用せず、企業側も単なる一時的な補佐役ではなく正社員と同等もしくはそれ以上のポテンシャル(意欲・熱意)を長期的な視点で派遣スタッフに求める時代になってきています。 どんなに高いスキルを有していても補助的なお仕事意識のスタッフではなく、派遣先の職場で正社員と同等の熱意を持ちスキルを積んで育っていく、将来的に企業の中核を担ってもらえるまでに育って欲しい、一緒に企画を出して欲しい、物言うスタッフ、そんな派遣像への期待感が企業からヒシヒシと感じられます。正社員を採用したくてもできない状況下ですから、正社員と同様の意識を有する派遣スタッフを求めることが、企業にとってこれからの主流になっていくのではないかと私見ではありますが考察しています。 派遣という制度が米国から渡ってきて40年、これまで米国流を見様見真似で成長してきた派遣制度は、ここにきて日本独自のスタイルとして進化し、日本の社会状勢に適応する新しい日本流のシステムとして確立される転換期に差し掛かってきたのではないかと思います。「スキル」よりも「意欲」が求められる時代になり、企業側も「短期的な補佐役」から「長期的な視野で企業自ら派遣スタッフを育成して仕事を任せていく」時代に突入していくのではないでしょうか。 そこには、企業が派遣として育成した人材を景気等の動向を見定め、時期を見て即戦力として正社員採用していく、企業が将来の正社員候補を派遣という制度を通じて育成していく、そんなスタイルが一般化していくことは容易に想像でき、企業も現在の厳しい状況を堪え忍びながらも好景気到来に向けての雇用準備を潜在的に派遣という中に意識し始めているという兆しをみせていることを実感させられます。 米国の派遣と日本の派遣が異なる路線を進むであろう近い将来を見据え、スタッフの皆様と企業を結ぶ私たちは、オフィスタのテーマの一つである「企業になくてはならない人材」という観点を今一度しっかり肝に銘じて、日本版の派遣路線への適応力をいち早く高める必要性が求められるとともに、スタッフの皆様にとっても「正社員を目指すための近道として派遣を活用する」時代がいよいよきたなと感じています。 http://www.offista.com/
http://www.offista.com/data/mailmagazine/0810.pdf
(2008.10.7 オフィスタNEWS-第5号-より)
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