初期EGOの「他人の鎖」の背景が、鎖に繋がれたムルソーを中心に多くの目や指を指す手が描かれているけど、これは原典の『異邦人』でムルソーが一般的な人とは違う思考回路や行動理由で動いてることを糾弾したシーンが元になってると思う(※個人の感想です)
母親の葬式があっても涙を流すことが無い、そのすぐ後に出会った旧知の女性との肉体関係を経て恋人関係になる、その女性に「結婚したいか」と尋ねられれば「望むなら」と答え、「愛しているか」と聞かれたら「多分愛していない」と返す
...そして「太陽が眩しかったから」人を殺してしまう
裁判の中でもムルソーの主張はおかしいものだとされる
正当防衛が成り立つ状況だったのにも関わらずムルソーは「太陽が眩しかったから」という嘘偽り無く自分が殺人を犯した理由を答える
ムルソー本人としては取り繕うことなく素直に自分自身が感じたこと思ったことを言動に出しているだけにすぎないのに、それが世間一般の範疇から逸脱していると見做され、異邦人だという目で見られる
そしてついには斬首刑が決定される...
ここまでは原典の解釈としてよくある(自分もそんな感じの感想だった)ものだけど、リンバスでのムルソーは「堅物っぽいけど意外な一面がある出来る男」というイメージがあると思う
ヘルチキのラップ後のヒースの「取り憑かれたか?」と言われると「一般的な人々は詳しく話すほどに、核心を受け入れることができない。」「だから今まではあえて長く話さないようにしたのだ。」と返したり
5章でムルソーがクラブに「多少、よく」行っていたことに驚いて「冗談か?」と聞いたグレゴールに対して「冗談ではない。どうしてそう思うのか分からないな。」「人生で楽しむべきものを探し回していた頃に訪問した場所のうちの一つでしかない。」と返す
ここのページ上記にも載せられているティザー情報でも「彼らは理解し難いな。」「それぞれの感情の塊で作られた質問が私の息の根を段々と締め付けてくる。」と言った言葉がある
上記から察するに、ムルソー本人にとってはどうということ無い普段の言動なのに驚かれたり変に見られることや、そのようなことが起きる環境(世間、社会など含めたもの)を示す言葉が『他人の鎖』なんじゃないかなぁと思う
それを踏まえて考えると、彼が行動する場面で『鎖の音』が鳴っているのには何か意味があるのかもしれない...
考えれば考えるほどムルソーのメイン章がどうなるか分からなくて怖い
俺、涙が出そうだよ...(グレゴールとムルソーに釣られて始めた管理人並感)