少女達が目を覚ました時、そこは… 「ん、もう朝か。ってここは…おい、蘭?蘭!起きろ!」 「ぉはようジゼ…ってここどこ?」 見知らぬ土地だった。 「あれ?フランス行きの列車へ乗ったのに見知らぬ土地へ?」 「気を付けるでち、ピオジア氏。殺気が凄まじいでち」 「嘘でしょ…なんで私達新宿に、特異点にいるの!?」 目を覚ました少女達がいたのは特異点、或いは最悪の土地。泥新宿。 「ど、どうしましょうくにさん…自分どうしたら…」 「おちつきましょう、ペトラさん。深呼吸です!」 困惑するもの 「あー、このヤク効くねぇ」 「おっ、分かるかい嬢ちゃん!これもキメてみな!」 馴染むもの 「シシィ、生徒達の一部が目を覚まさない、それに出掛けて消息を経った生徒もいる」 「ああ…厄介だね、交錯影列車と夢の国案件が同時とは。廿日、いつでも出れるようにして置いてくれ」 「止めな、二丁目でヤクなんてばら蒔くんじゃないよ」 「てめぇ! サーヴァントにバウンサー!ちっ、覚えとけ!」 「お嬢さんうちの店においで、どうせいくとこないんだろ?」 「姐さんカッコいい…」 「呆けてんじゃないよ、ダコ」 超常の存在、サーヴァントに。 「…お前ら、混じり物か?」 「ち…違います…」 「まぁ、いいさ。疲れてるようだな、暫くはここで休んでいくといい。茶くらいは出そう」 「好い人みたいですね、ペトラさんスヴェトラーナさん!」 (竜殺しとか殺されるかと思った…)
「つまり今回の件は君のせいではないと言うんだね、胡蝶」 「無論だよウォッチャー、そんなつまらないことを、私がするとでも?大方夢見人の才能がある子が何人かいたんだろう。それが運悪くに接続されたか」 少女達は集まり、帰還に向けて動き出す。
「どうするか?帰るに決まってる、タバコもないしな」 「えー、私はここ結構好きだけど?」 「一人で残っても歓迎するわよ?」 「よし、帰ろう!」 「……なら決まりだな」 「で、どうやって彼女達を返すんだ?」 「決まってるじゃない。スナークハント、いえスネークハントよ」 「あのウロボロスを? 嘘でしょ…」 泥新宿×綺羅星の園 泥濘の星 20021年公開予定
イエメンの「悪魔の井戸」の底にオマーンの探検隊が到達したらしいね。 喪失帯のネタとして面白そう。
20XX/○○/○○ イベントごと 「難波」の方へ行ってみたら、駅前にある都市戦争のサテライト施設で催事をしていた。 何でも、都市戦争が佳境を迎えたから、みんなで応援でもしながら見てみよう……というような。 旧世界だと、サッカーとかのスポーツ観戦で似たようなことをしていたと聞いたことがある。 気になったので入ってみると、確かに人が大勢。吹き抜けになった3階建ての建物の中、すし詰め状態で詰め込まれた人が、大きなモニターの映像に釘付けになっていた ただ、「梅田」のサテライトだとアルスくんのグッズまみれだけど、こっちではナンバくんのグッズだらけだ。 ……あの珍妙な人形のどこがいいのかは、正直私にはわからないけど、意外と今30~40代くらいの人に人気があるみたい。昔懐かしい、とは聞いたけど、何を懐かしんでるんだろう。 勿論、他にもたくさんの選手やサーヴァントのグッズも並んでいて、それが物販で売られている。お酒を中心に飲食物も売っていて、とても賑わっていた。 私も、ちょっとだけ見てみる気になって、フライドポテトのSサイズと、野菜ジュースを買った。これくらいなら買い食いしても平気だ。 それから、モニターの見えるところを何とか確保して、行儀は悪いけど、立ちながら飲み食いをしつつ、試合運びを見ていた。 どうやら、今は「難波」が優勢のようで、こっちで観戦している人たちは皆興奮していた。特に凄いようなのが、逆神朱音という私よりも年上の女の子で、八面六ぴ 臂の大活躍。 一般兵士役のトリグさんを薙ぎ倒したり投げ飛ばしたりして、とにかく掻き回しまくっていた。……私、魔術で強化してもあそこまでのことをできる自信はないな。 何なら、持っている刀でトリグさんの首でも刎ねてしまいそうな勢いで、あれを鬼気迫るというんだろう。ちょっと、怖かった。 そうこうしているうちに、上町大地を写しているカメラはあちこちへ。逆神さんは画面から外れてしまって、他の選手に。 そこまで見た時、端末に連絡が入って、応答してみると学校の河合先生からだった。課題の提出忘れ。ゲッ、って、そんな声が出た。 それからもう、大慌てで「天王寺」にとんぼ返り。学校へ行って、謝りながら課題を提出する羽目になった。 どっと疲れて、また中継を見るのも億劫になって、後はそのままいつもどおりに寝ることに決めた。 大変だった。
20XX/○○/○○ 梅田の往復 今日は坂井のおじいちゃんのお手伝いをした後、「梅田」へ。またエマノンさんが往復を手伝ってほしいと連絡してきた。 あの人は……何なんだろう。不定期的に、あの迷宮近くへの送り迎えを、逃がし屋としての私に頼んでくる。決して肉体的に強い人ではなくても、ちょっとしたチンピラくらいなら、あの人はあしらえるはずなのに。 態々私に頼んでくるということは、それなりに何か意味があるとは思うんだけど、今の所それもわかっていない。 ひとまず、行きと帰りで体調を極端に崩した、ということはなかったと思う。いつも真っ白な顔と肌色だから、断定はできないけど。 ただ、今日はいつもより疲れていそうだったかもしれない。帰りに、漢方系の栄養剤を差し入れしてあげた。 迷宮前のお店で売ってるやつで、たまーに一般市場にも流れてるから、極端な刺激物でもないはずだ。 そういえば、お店の前で、小さな双子を見かけた。あんなに小さいのに、迷宮に潜る探索者らしい。 口喧嘩でお互いに何か言い合っていたみたいだけど、そういう見た目相応の所とは裏腹に、何となくその雰囲気は魔術師寄りだった。 ……あの歳から何故、迷宮に魔術師が潜っているのか。何となく、浮かぶものはあるけど。人様のことには首を突っ込んではいけない、そういうものだ。
「ああ、来たのか、マスター」 「……なんだ、その格好」 「知らないのか、釣りだ」 「いや、それは分かる」 「……正直、今回の事は、俺も堪えた。だが、サーヴァントは、成長しない。 変わるとしたら精神面だ。グリフレットの、ようにな。俺が、変わろうとしているのが、不愉快なら、止めるが」 「いや、別に良い」 「そうか」 「バーサーカー。 アタシ、魔術を習い始めた」「誰にだ?」 「枢木楡、アーチャーのマスターだ」 「……信用出来るのか?」 「大丈夫だ、多分。アイツは、なんて言うか、凄く義理堅い、それに…多分似てるんだ、アイツとアタシは」 「分かった。俺も信じよう、君の感覚を」 「……バーサーカー。アタシは強くなる、絶対にだ」 「俺は、君の騎士だ。 契約の続く限り、何処までも、着いていく」 「バーサーカー、その、ありがとな」 「…………カッパを持っていく。今日は雨になりそうだ」 「テメェ!」
魔力負荷と超過駆動に限界だと叫ぶように体が軋む、分かっている。限界が近い。 敵は如何なる理由かマスターなしで現界を続ける亡霊の王ワイルドハントと化したセイバーとその配下である19騎、そして… 思考の合間を縫って、敵の一騎が側面に回りこんでいた。 まだ辛うじて反応できる。大振りの剣撃をシールドバッシュで弾き返す。 決定的な隙にガラティーンで胸を突き刺し、魔力を注ぐ。敵は黒炎によって灰も残らず燃え尽きる。その筈だった。 だが、敵を焼き尽くす程の火力が出ない。まるでルーカンがシチューを煮ている時の弱火だ。 剣を無理矢理上に持ち上げ、頭を真っ二つにして引き抜く。これで3…4騎目だったか。 「バーサーカー!」 俺を援護しようと、『マレフィキウム』が魔術を行使しようとするが、疲労からか足が縺れている。 無理はない。既に1時間は第二形態を維持し続けているのだ。 瞬間、何かが『マレフィキウム』を狙って飛来した。 盾で受けるのが間に合わない。射線に割り込み鎧で受ける。 肩を貫通し、血が鎧を赤く染める。 奴は俺に確実に当てる為に、わざとマスターを狙った。 懐かしくも忌まわしきこの矢は忘れられる筈がない 奴はこの弓矢の技巧を持って数いる騎士の中で第二の騎士と称えられた。 セイバーの軍勢、最後の20騎目、アーチャー…トリストラムだ。 意思なきその瞳はまるで人形のようで、イヤでも奴が敗北したのだと実感する。 気に入らない。騎士を捨てただと?ワイルドハントだと? ただ、負けたのなら良い。だが、その醜態はなんだ?捨てた筈の騎士鎧を身に付け、主でもない奴に従い生者を襲う。 これが、あのトリスタンの姿か! 叫び、吠えたてそうになる口を閉じ、歯を食い縛る。血の昇った頭を振り、冷静さを保とうと深呼吸。 「マスター、ここまでだ」 バックステップで後背へと退き、『マレフィキウム』の姿を敵から隠すように盾を構える。 「…ふざけんな! アタシはまだ、まだやれる!」 無理だ、肩で息をして、呼吸が整わない。 「君の目的が、果たせ、なくなるぞ」 「クソ!クソ!クソ!退く!退くぞバーサーカー!」 マレフィキウムの拳から血が滲む。 叱責なら後で幾らでも受けよう、罵倒もされよう。例え、君がそれを望んでいないとしても、それでも…私は、君に生きて欲しいと願う。
「────幼稚で惨めで浅ましい!みっともない、みっともない、本当みっともなぁぁぁぁぁぁぁぁあああい!クソ女よ! ばぁぁぁか!このっ、ばぁぁぁぁぁぁああああか!!」
「……なんだ、今のは?」 一方的な強襲からトリストラムを押しきれず一進一退の攻防を繰り広げていたラモラックが聞いたのは、感情を剥き出しにした子供の悪口以下の何かだった。 「お前の、マスターか、アーチャー」 「……さぁ、知りませんね」 ラモラックの問いにそ知らぬ顔で矢を放つトリストラム。 攻撃の圧が強まった辺り、トリストラムのマスターの声で間違いないらしい。 時間差で飛来する矢を盾と槍で打ち払う。 (マスター、なにがあった、マスター?) 『マレフィキウム』は念話にも答えようとしない。 「この勝負、預けるぞ、アーチャー」 「逃がすとでも?」 マスターの異様な様子に背を向けたラモラックに追撃を掛けるトリストラム。 「預けると、言った」 左手で引き抜いたガラティーンを振るう。ガラティーンの異持、黒点である由縁。磁気操作で操られた周囲の鉄骨や金属片がトリストラムに絡まるように拘束し、檻のように折り重なる。 トリストラムであれば短期間であの檻から抜け出すだろう。 確信じみた思いを胸にマスターの元へと跳躍した。
「はぁ、はぁ…どうよ!目にもの見せてやったわ!」 マスターの元に駆け付けたラモラックが見たのは肩で息をして勝ち誇るアーチャーのマスター。 そして仮面を剥がされ、踞りうめき声を上げる『マレフィキウム』…いや楊小路水貴の姿だった。 「あっ……ぐっ! ア、アタシは、アタシは……!」 思わず愕然として立ち尽くす。 マスターは『マレフィキウム』は、……これは、ダメだ。少なくとも暫くは立ち直れまい。 見たところマスターに外傷はない。 『マレフィキウム』は強い。少なくとも弱い箇所を人に見せるような事はしないと知っている。 そのマスターに口だけでこれほどの精神ダメージを与えるとは…… 例え口の上手さだけで巨人王を殺したと嘯き、実行して見せたサー・ケイですら、ここまで見事に相手の心は折れないだろう。 どうやら、アーチャーのマスターは傑物、女傑であるらしい。 「マスター、ここは、退こう。立てるか?」 「……ぁぁ」 ラモラックの声に『マレフィキウム』は力なく頷く。
「アーチャーの、マスター」 『マレフィキウム』を背負いながら楡へと話掛けるラモラック。 「なによ!」 気の強い女だ、と喉まで出かかった言葉を飲み込む。 ヒスを起こしたモルガンを思い出す、ああいうのは触るだけこっちが損だ。 「名を、聞かせてもらいたい」 「枢木楡よ、なんか文句あるの!?」 「いや、ない。 ……ただ、大した魔術師だと、感心するよ、レディ枢木。その口の悪さもな」 「へ?レ、レディ!?なにそれ!」 楡の困惑を余所にラモラックは跳躍し、夜の闇の中へと飛び去っていく。 「……泣くな、マスター。今は休め」 「……泣ぃて◯△□」 どうもマスターは相当重症なようだった
「……全く、悪逆の騎士など慣れぬ事をするものではないな。よりによってあのトリスタンとは相討ちとは」 「いえ、貴方に相応しい在り方と末路よ」 「抜かせ、アーチャー。なら貴様の最後も俺と同じくらい無様だったことになる」 「ええ、その通りよ」 「ふん、貴様とは本当に反りがあわんが、奇しくもお互いサーヴァントとしてマスターには恵まれたようだ」 「冗談、あんな女二度とごめんよ」 「そうか。俺は彼女にならもう一度呼ばれても良い」 「あの陰険性悪女は貴方にお似合いでしょうね。不貞を暴く盃など探し出して送りつける男には」 「チッ、しつこい奴だ……いや、今のは忘れてくれ。あれは、完全に俺が悪かった」 「随分素直ね」 「最後だからな。……次に会った時は俺が勝つ、首を洗って待っておけ」 「……最後まで共にいることが出来ずにすまない。先に逝くぞ我が主『マレフィキウム』」 「最後までバカな男ですね。 まぁそれは私もか。……精々最後までみっともなく足掻いて、生き残って見せなさいマスター、枢木楡」
「再会祝いに、盃でも、贈ろうか? ああ、貴様の、マスターに、不貞がバレるのはマズいかな!ハハハハハッ!」 下卑た笑いを浮かべる黒炎の騎士にトリストラムは眉一つ動かさない。 ただ、一本の矢を持って返答とした。 黒炎の騎士は盾を持ってそれを防ぐ。 「…安い挑発ですね。そんな挑発、言葉遣い…する方の品が知れると言うもの。 どこの馬の骨とも知れぬ三流騎士の言葉など聞く耳はありません」 続いて、一本、二本、三本。言葉を続けながらも矢を放ち続ける。 まるで汚物を見るかのようなトリストラムの目線は黒炎の騎士を矢の如く居抜いた。 「クククク……フハハハッ!!アハハハッ!…ああ、間違い、ない!貴様は、容姿こそ、性別こそ、違えど、間違いなく、あの嘆きの子、円卓第二の騎士と、謳われた、あのトリスタン、だ!」 黒炎の騎士は放たれた矢を今度はランスによって切り払うと狂乱したように笑い、天を仰ぐ。 「その名も、剣も、鎧も捨てた。今の私は狩人トリストラム」 「いいや、捨てきれぬさ。名とは生まれた瞬間に刻まれる祝福であり、呪いだ」 黒炎の騎士は頭部の炎を解除し、その兜を露にした。 これを見れば自分が誰かは分かるだろう?とでも言わんばかりに。
「ビンゴ、だな」 とあるビルの屋上、双眼鏡で教会から出てくる二組を見ながらラモラックは呟いた。 「もう一組釣れるのは予想外だけどな、僥倖って奴か」 マスター、マレフィキウムは上機嫌そうにその様子を強化された視力で見ている。 随分上機嫌だな、等とは言わない。ここ数日でラモラックはマレフィキウムとの付き合い方を分かってきていた。 恐らく次は…… 「早速潰しに行くぞ」 「どちらからだ?」 予想通りだ。とは言え、彼女は無謀ではない分断してどちらかから潰す筈だ。 無謀ではないか?などと言ったら蹴られるかゴミを見るような目で見られただろう。 顔面蹴られたり魔術を使ってこない分可愛いものだが。 「おい、なんだその生温かい視線は。取り敢えず男と騎士っぽい方からだ」 「理由は?」 結局脛を蹴られた。脛当てに足が当たった金属音が小さく響く。 「勘」 ふむ、と頷く。魔術において勘という物は案外バカに出来ない。ならここはマスターの勘に任せよう。 「では、マスターは、もう一組を?」 「ああ、あの女の面が気に入らない」 その答えに好きにすればいいさ、とでも言わんばかりに肩を竦める。 今度は金槌で兜を叩かれた。流石に頭が揺れ、少し大きな金属音が響く。 音が出ないように金槌にタオルを巻いていたようだ。 この程度可愛いものだ、という言葉は訂正しよう『マレフィキウム』の名に相応しい。 「1分半だ、プラマイアルファはアンタの勘に任せる。コテコテ同盟が連携を組むならそれ位が妥当なタイムだろ? んだから、1分半でキッチリ殺す。魔力回すぞ …ブッ潰せ!!バーサーカー!!」 マスターの表情、と言っても見えないが。その気配が変わった、遊びは終わりだ。 「承知した。……離れてくれマスター」 魔力を全身に回すと黒炎が全身を包む。 手摺に足を掛け、そこを踏み抜くように跳躍。 今日は月が随分と明るい。 月光を遮るように宙返りして、逆立ちのような姿勢になるとターゲットの二組を視界に入れる。 見覚えがあるような気もするが、直接見れば分かるだろう。 黒炎を噴出させ、加速。二組の間に向けて槍を投げる。 さぁ、決闘と行こうじゃないか。ルールは『マレフィキウム』流だがな。
「何やってんだ、オマエ」 土夏海浜公園、ペスト医師のような仮面を付けた少女は目の前の男に問い掛けた。男は手に持ったパンをちぎり鳩に与えている。 「日光浴、と言う、奴だが」 手持ちのパンがなくなり、鳩がパンを食い終えた事を確認するとラモラックはパン!と手を叩いた。驚いた鳩は一斉に飛び上がり、人目は鳩に集中する。 「マジで言ってんのか?頭湧いてんのか?」 少女、『マレフィキウム』は顔こそみえないが、ラモラックを正気と思えないとでも言わんばかりの態度を見せる。 「俺じゃ、ない、こいつだ」 ラモラックが指差したのはギターケース状の半透明のケースだった。 「そいつは……」 「俺の、正確に言えば、俺のでは、ないが、今は、俺の、武器だ」 マレフィキウムとラモラックは人目を気にしながら、言葉を選びながら話を続ける。 「『こいつ』は日に3時間は日を当てなきゃ真価を発揮できない」 「マジかよ、それ」 「言った奴が、ディナダンと言う、適当な、ホラ吹きで、有名な、奴だが、それを、しないで負けるより、ホラを、信じた方がマシだ」 「……そうかよ」 「……ああ、少なくとも、俺は負けるつもりはない」
え?ラモラックあの話マジで信じたの? 俺ガウェイン卿とすげぇ仲良くないしガラティーン持ったこともないのにそんなの分かるわけないじゃん 太陽の聖剣だし3時間3倍になれるから3時間位日に当てるのかもねって言っただけだよ俺は あー…ごめんウソ。ノリでガウェイン卿はガラティーン3時間日干しするらしいぜ!!って言った気がするわ
「お兄さん、ちょっと良いですか?」 急に掛けられた声にラモラックの思考が中断される。 「……なにか?」 声の主は青年だった。 爪先から頭の先まで、値踏みするように視線を走らせる。 ヘッドフォンを首に掛け、パーカーとスキニージーンズによる活発的な印象を与える服装。 見掛けだけなら聖杯に与えられた知識と《TSUCHIKA》で購入した本を読んだ情報を総括して考えれば限り今時の若者、と言った所か。 高度に土夏を再現された《TSUCHIKA》では相手がNPCか人なのか、サーヴァントなのか判別をつけるのは難しい。 魔力は然程感じない。……両手は、手袋を付けていて見えない。 「いえ、数日前からここに座っているのを見掛けまして」 「ああ、近くの、ライブハウスで、夜に、ライブを、やらせて貰ってるんだ」 少なくとも敵意を向けている訳ではないようだ。 用意していたカバーストーリーを口にする。 NPC相手に何度も同じことを話していた。 「ライブですか?」 意外そうな顔を見せる青年。 「ああ、ベースを、やっていてね」 近くに置かれたケースを指差す。 無論、虚偽である。内部にはガラティーンが入っている。 「元々は、イギリスに住んでたんだが、日本の友人に、誘われて、此方に来たんだ」 ゆっくりと、相手に警戒されないように立ち上がった。 「土夏は良いところだ、ロンドンに比べて飯が安くて、旨いのが、最高だ」 歩きながら言葉を続ける。 サーヴァントではない。サーヴァント独特の戦慣れや修羅場慣れした雰囲気が彼にはないからだ。 NPCかマスターかこの場で確かめるか? マスターであるか判別するのは難しくはない。 この場で襲い掛かり首の一つでも締め上げれば良い。 昼間は襲撃や戦闘が制限されている《TSUCHIKA》であれば、俺はその場で動きが止まるか停止する。 マスターであることが分かれば、昼間に活動していれば格好の獲物だ。 昼間の内に後を付けねぐらやアジトを探しだし22時になった時点で強襲をかけられるだろう。 (……まぁ、マスター抜きでやるにはリスクがありすぎるな) NPCだった場合は犯罪者として通報され、昼間に動きづらくなり、他のマスターやサーヴァントに面が割れる可能性がある。 独断専行でやるべきではない。ラモラックはそう判断した。 「まだ、此方に来て、日が浅いもので、言葉が、たどたどしくて、聞きづらいだろう?」 青年に笑みを見せる。 「いえ、お上手ですよ!…僕はてっきり、ヤの字の人かと」 あはは、と青年は頬を掻きながらはにかむ。 「ふむ(ヤ? マフィアか) 昔から、服装には、無頓着でね、ライブの衣装は、友人が用意したもので、良いんだが」 「そうだ、良ければ、私に似合う、服を見繕って、くれないか」 「ええ、僕で良ければ!」
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「と、言うわけで、その青年に、服装を選んで貰った」 仏頂面のまま経緯を語るラモラック。 はぁーっと大きなため息を吐くと、マレフィキウムは大きく深呼吸をする。 「………今すぐ着替えて来やがれ!」 怒鳴った。マレフィキウムは今までにない怒りを込めて自身のサーヴァントを怒鳴り付けたのだった。
「ラモラック、今から来れるか?」 土夏旧市街の路地裏でマレフィキウムは自身のサーヴァントであるラモラックへと召集を掛けていた。 聖杯戦争参加者に支給された携帯電話を土夏の都市伝説であるレッドコートを模した赤いコートのポケットへと仕舞う。 高度に再現された土夏の夏は暑い。 日陰でもコートの中が汗ばみ、蒸発した汗がマレフィキウム…楊小路水貴の華奢な体をじっとりと蒸しあげる。 気のせいか、背中にある令呪の部分が余計に暑く感じるのは不思議だ。 (人の事を待たせやがって…) マレフィキウムのイラつきが頂点に達し掛けた頃、漸く八つ当たり先は現れた。 「待たせたな、マスター」 「遅ぇ……待てテメェ!いや、なんなのその格好は!?」 何時もの仏頂面と灰色のジャケットを想像していたマレフィキウムは思わず唖然とした。振り上げた拳の行き先すら分からなくなるほどに困惑する 一方ラモラックはマレフィキウムの反応に首を傾げた。 ラモラックは何時ものジャケットではなく明朝体で大きく魔女愛!と書かれたTシャツを着ていたのだ。 「……街中で、出会った青年に、勧められたのだが」
──────────────────────── 数時間前、土夏新市街のとある公園。 「…………」 何時も通りラモラックは公園のベンチに座り鳩に餌をやっていた。 何時も通りと言っても召喚されて数日行っているに過ぎないことだが。 夜になれば悪逆無道を尽くすマスターに支える自分が昼間はこんな事をやってると知れば笑う者もいるだろう。 だが、これは矛盾ではない。とラモラックは思っている。 悪逆の限りを尽くす人間が家に帰れば優しい父親になる。というのは珍しくはないだろう。 人は誰しも複数の顔を持っている。太陽の騎士と呼ばれたガウェインが父の仇や母親の情夫を複数で暗殺した暗い一面を持っているように。 或いは、それは我がマスターたるマレフィキウムも同じ……下らん、俺はマスターに仕える剣。余計な思考は……
サールースで行われた槍試合の後、ラモラックは騎士王アーサーに呼ばれ、会話を交わしていた。 「良く戻ってくれました、ラモラック」 玉座へと腰掛けた騎士王は気のせいか口調が軽い。 姿を消した古馴染みの騎士が戻ってきた事に僅かに気が緩んでいるのか。 「…許可も得ず姿を消した件は申し訳ありません。此度は王が嘆かれていると風の噂で耳にしましたので」 膝を着けたラモラックは僅かに顔を上げ、気まずそうに言葉を発する。 正しく顔向けが出来ない、といった所か。 「嘆く?何故私が騎士たちの奮闘を見て嘆くのですか?」 騎士王の珍しく困惑した表情にラモラックの眉がピクリと動いた。
──────嗚呼、哀れで忠誠厚く愚かなラモラック。 ──────あの優しいアルトリアが騎士達の奮闘を見て嘆く訳がないのに。 ──────察しが悪い貴方でも分かるだろう?貴方は嵌められた。
脳裏に響く愛しくも、二度と聞きたくなかった声にラモラックは全てを悟った。
「王よ、褒美は要りません。 代わりに暇をいただきたい」 ラモラックは顔を上げ、騎士王を直視する。 彼が騎士になった直後と変わらず若い姿のまま、見慣れた筈の姿がやけに眩しく思えて、少し目を細める。 「……そうですか」 「御恩に報いられず、申し訳ありません」 少々の合間の後、騎士王はただ頷く。 騎士王の何時もより更に感情の乗っていない声にラモラックは頭を下げる事しか出来なかった。
──────アルトリアは、もう貴方が帰って来ないと分かっているようですね。
騎士王は去り行く者を引き留めない。自分の元にいることはその者に取って不幸だと言わんばかりに。
「いきなり帰ってきて暇とはどう言うことだ?」 騎士王の玉座を後にしたラモラックの前に現れたのはベディヴィエールとルーカンだった。 ベディヴィエールはラモラックに詰め寄るとその顔を見上げ、睨みつける。 「……ベディヴィエール、ルーカン。後は、頼む」 ラモラックはベディヴィエールを押し退けるとルーカンに軽く頭を下げ、その場を立ち去る。
「分かった、任せたまえ」 「姉さん、どう言うことだ?」 ルーカンはそれに頷き、ベディヴィエールは不服そうにラモラックの背を見た。 「無頼漢を気取っている癖に、最後の最後で確執や血の因果に囚われるとはね。『彼女』が生きていれば、そんなものはブッ壊せば良いって言い切る女性に出会えれば違ったのかね…」 「姉さん?」 大きく溜め息を付くとルーカンはラモラックとは逆方向に足早に去っていく。 困惑が隠せないベディヴィエールはラモラックの背を今一度見ると、ルーカンの後を追った。
キャメロットの城門前で鎧を纏い、槍と盾を持ったままでラモラックは祈る。
「母上。親父殿に続き、早逝する馬鹿息子を御許し下さい。パーシヴァル、お前は騎士になどなるな。……騎士ラモラックこれより、死地に参ります」 祈りを終えたラモラックは城門を押し開け、外へと足を踏み出す。
──────本当に馬鹿な人。全てを捨て去ってしまえば長生き出来たのに。
「それは君との愛さえも否定することになる」 脳内に流れ込んでくる声に一言返したラモラックは振り返りもせずにキャメロットを後にした。
「母上、産後の肥立ちは如何ですか?」 巡察の最中、実家であるペリノア王の居城に立ち寄ったラモラックは久方ぶりに顔を会わせようと母を訪ねていた。 アーサー王と王の即位を認めない11人の王との戦も一段落となり、ブリテン内戦の終息は間近に迫っている。 それは、卑王ヴォーディガーンとの決戦を意味していた。 こんな時期に末の弟が産まれたと聞いたラモラックは最期になるかも知れないと母に会い来たのだ。 「まぁ、ラモラック! ……どうして男の人は、騎士と言う生き物は戦に夢中になると家の事をすっかり忘れてしまうのかしら。 ねぇ、パーシヴァル?」 ラモラックの顔を見るなり母は大袈裟に驚いて見せると、腕に抱いた赤子の頬を軽く突いた。 パーシヴァルは眠いのか、母の指を小さい手で軽く握る。 「……パー(槍)とデュア(硬い鋼)。良い騎士になりそうですね」 母の軽い揶揄に気まずそうにその長身を縮ませて、ラモラックは何とか言葉を絞り出した。 「パース(貫く)とヴァル(谷)よ。全く女の子にしては随分物騒過ぎるわ」 うつらうつらと首を揺らすパーシヴァルを揺りかごへと乗せると、母はため息を付く。
「妹? ふむ、確かに。妹でしたか」 揺りかごを覗き込む、名前で思い込んでいたが、言われてみれば女の子かもしれない。 「貴方のそう言うところは本当に良くないわ、戦と領地経営以外に興味を持ちなさい」 体全体でラモラックを押し退けパーシヴァルから遠ざける母。 ちょっかいを出されて起こされたくないらしい。 「機会があれば、何か趣味を探すとし ます」 お小言が多くなってきた。と言わんばかりに顔を反らすラモラック。 その足は出口へと向いていた。 「もう行くのラモラック? 落ち着きがないこと。 あの人に宜しくね」 もう少しいたらどう?などと騎士の奥方は言わない。 名残を残す前にさっさと行きなさいとでも言わんばかりに母はラモラックを追い出し手を振っていた。 母上はパーシヴァルを騎士にはしたくないようだが、母上に似ても中々の騎士になるのではないか? もし、嫁を探すならもう少し気性の控えめな女子が良いな。 口には出さずに様々な事を考えながらラモラックは部屋の扉をゆっくりと閉めた。
葉っぱを使うことで手を汚さない工夫にもなっているとはなんとも合理的だとセイバーは感心する。 そして、始めての柏餅を葉っぱごと頬張り、カシワの苦味と餅と餡の甘味の入り交じるその独特な風味を味わったあと、サクヤに疑問を投げかけた。 「サクヤは食べないのですか」 「うん。セイバーが食べていいよ。あと葉っぱは食べないものだよ」 サクヤは餡が嫌いだった。 小豆を潰した食感がなんとなく嫌だったし、喉が渇くことがとにかく苦手だった。 その後飲むお茶が美味しく思えるのは良かったが、和菓子ならばだいたいそうだったので、やっぱり好きになる事はなかった。 「好き嫌いは駄目ですよ」 「好き嫌いという個性がなければ人類はこれほど豊かに食文化を発展させる事など出来なかったと思うのだがね。はいお茶」 「どうも。お茶と合って美味しいです」 本当に幸せそうな愛くるしい笑顔を見せるセイバーを見て、サクヤはやっぱり考え直して、ひとつ食べてみることにした。 思ってた通りの味だったが、なんだか今日は美味しく感じられた。 なぜだろうと疑問に思い、すぐに目の前の少女がその答えだと気づいて、サクヤはもう一口頬張った。 そういえば、柏餅で一つ思い出したことがあった。 「なんでセイバーは甘いものが好きなんだ?」 「む?」 リスのように両頬を柏餅で膨らましてこちらを向くセイバー。可愛いやつめ。 そして回答するためにもきゅもきゅと口内の柏餅を食していった。可愛いやつめ。 「はいお茶」 「どうも。……ふう。なぜ私が甘いものが好きなのか、ですか」 セイバーは少し考えた後、何かを懐かしむように、そうですね、と語った。 「当世における甘いもの、特にデザートはある種『幸福の象徴』のようなものといった印象でした。 それも高貴な人のみの嗜好品ではなく、街の人々、特に年頃の女性が好んで食べるものだと。 現界したばかりの私は、人の心を理解するにあたって、まず形から倣おうと考えたのです。そして」 「そして食べてみて、心を奪われたと」 「はい。それはもう一目惚れでした。あむ」 一通り話し尽くし、柏餅を美味しそうに食べるセイバー。可愛いやつめと思いながら、自分も新しく柏餅を1つ頬張った。
>柏餅から葉っぱ剥がすのってなんだかエッチですよね 水無月サクヤに天啓が舞い降りた。 「セイバー、君は人の気持ちを理解するために甘いものを食べてみたとさっき言ったね」 「いいましたが……」 サクヤがこういう輝く目をしている時はまた変なことを思いついた時だ。セイバーは目を細め警戒する。 「いっそ甘いものの気持ちを理解してみるというのはどうだろう!? そう君は、これから僕の手で柏餅になるのだ!!」 「は?」 「つまりだね。柏餅を覆う葉っぱのように君の体を何かで覆う!そして、それを僕が剥がして中身を食べるのだよ!そして君は柏餅の気持ちを完全に理解する!このロジックはパーフェクトでチャレンジはドリームだ!」 何を突然言いだしたのかわからないというセイバーをサクヤはそのどこからくるのかわからない熱意で無理やり押し切り、ふたりの城へと連れ込んだ。 しばらくすると、セイバーはまさしく葉っぱが体に張り付いただけというような奇抜な格好にさせられていた。 「セイバー!今君はだいぶ柏餅だよ!かなり柏餅だ!」 これは褒め言葉なのだろうか? 自分は一体何をしているのだろうかとセイバーは悩んだ。
20XX/○○/○○ 樽の人 センセイがまた変なことをしていた。樽の中に入った少年と会った、と話したら、その次の日にはその人のところに行っていた。リコさんの絵をもう一度見に行った時に、たまたま見かけた。 どうも、センセイはその人と口論……というより、議論をしているようだった。ソクラテスがどうの、って言ってたっけ。 ソクラテスがどんな人か、くらいなら少しは知ってるけど、それが話題になるということは、ギリシャ系の人なのだろうか。 終始少年らしいその人はそっけない態度をしていたけど、議論を中断する様子はなく、私が絵を見て帰るまでの10分か15分くらいの間、延々と話をし続けていた。 センセイがあんなに話し込むんだから、きっと学問とかで有名な人なんだろう。そういうところが、センセイにはある。 私は……あまり勉強が得意と胸を張って言えるわけでもないし、口が回るというわけでもない。だから、あんな風に延々議論をするのは、ちょっとゴメンかな。
P.S.後で都市情報網を見てたら、ずっと議論してる変な人がいるってセンセイ達の写真がSNSにあがってた。どれだけ話してたんだろう……。
追伸。後から調べたら、あの女の人が描いた絵は、エスクローと呼ばれる集団の作品の一つだということがわかった。 作品としては良かったと思うから、できればもう一度見たいけど……彼らの作品は、しばしば建物などの管理人に取り壊されてしまうので、あまり長く残らないのだとか。残念。
20XX/○○/○○ エスクロー 今日は……何だろう。犯罪といえば犯罪で、芸術といえば芸術。そんなものを見た。 私が遠出をしている間に、難波の方で落書き事件が多発していたらしい。 たまたま今日は、その落書きをしている場所の近くを通りかかったんだけど。何というか、とても……アーティスティックな格好の女性と出会った。 ストリートアート、というらしい。センセイが文化の一端として、苦笑と一緒に紹介してくれた、街中の落書き。っぽい絵。 法律に照らすと、あれは明確な違反行為らしいけど、それに芸術的価値を見出す人もいると。今日会った人は、まさしくそういうタイプの人だったと思う。 リコと、その女性は名乗った。何でも、普段から、時間になっていた落書きのようなアートを描いているのだとか。 たまたまその現場を目撃してしまった一般市民としては、多分都市情報網で通報した方が良かったんだろうけど。私自身後ろ暗いものもあるし、他に見ている人も通報した様子がない。 そもそも、本当に絶対ダメだというなら、カレンシリーズは間違いなく行動を起こす前に止めている。少なくとも、都市にとって致命的なことではない、ということ。 それならいいか、と思って、彼女のアートを見ていたけど、本当に凄かった。スプレーだけであんな絵が描けるんだ! と、びっくりしっぱなしだった。私はあんまり絵は得意ではないから、なおさら。 最終的に書き上がったのは、都市戦争にも出ているナンバくんを、面白おかしくデフォルメしたもので、思わず笑ってしまった。皆も笑いながら、拍手を送っていた。 でも、そのすぐ後に警邏隊が来て、あっという間にその集まりも解散しちゃったんだけど。まだ絵を見てみたくなっていたから、ちょっと残念だった。 そういえば、後でもう一度同じ場所を通ってみたら、サーヴァントらしい少年が樽に収まって何故か寝ていた。あれはなんだったんだろうか。
ヤクザみてーな顔してんな…
東京聖杯戦争がほぼ全員揃ってるのにキャスターが完成せず、申し訳ないのでキャスターのイメージ画像を載せておきます 今週中に頑張って完成させるので何卒お待ち下さい
そういえばスレ復活してない?
T/ROでも鉄道奪還クエストみたいなの用意されてたな…
鉄道なら推理モノの舞台にも良い
レクイエム世界だとドローンがばら蒔かれててモザイク都市外だと無人の荒野が広がってるって設定だから結界を最小限にして点と点を繋ぐ線として使える大量輸送手段としての鉄道はかなり有効かもしれない
泥モザイク市限定だけどかなり初期からある設定だね 離れた都市を結ぶ移動手段の一つだって
新世界でも新幹線はあるんだ…
ジャングル完結編を首を長くして待っていますので…
はやい…
日記帳更新しました 良ければどうぞ
20XX/○○/○○ 顛末 何があったかというと……うん。予想通りというか、ドローンがいた。わんさか。 しかもどういうわけか、新幹線のルート上を蠢く、サーヴァント・レムナントの群れが一緒にくっついてた。 ドローンの方については予想してたし、動体センサーや赤外線レーダーなんかをかわすための準備はしてたけど、流石にレムナントは別だ。 魔力の源を嗅ぎつけたのか、折角隠形でやり過ごせそうだった私の姿がバレてしまった。 依頼人の船に引き寄せられて集まっていたドローンの数は、ちょっとやそっとのレベルではなかった。そこにレムナントもいて、それが私を襲ってきたものだから、本当に死ぬかと思った。 一番解せなかったのは、当の依頼人本人は、追われながらも何食わぬ顔で船を操縦して、ドローンの誘導なんかもこなしつつしれっと追撃をかわしていたこと。 あの人のせいで大勢集まった相手をやり過ごさなくちゃならなくなったけど、あの人がいなかったら、多分私は死んでたと思う。だから、こう、罵倒するには偲びないけど、ありがとうとも言いたくない複雑な気持ちだった。 結局、ドローンを依頼人が引きつけている間に、レムナントをいくらか私が減らして、魔術で姿を誤魔化すような格好で何とか逃げ延びることができた。……2度と同じ仕事はやりたくない。本当に死んじゃう。 結局、その後依頼人は大阪に来て、梅田の最下層で裏の商いをしている人から補給を受けた後、そのまま旅立っていった。「ドローンさえ何とかしてくれたら後はいい」、って。……そのドローンをどうにかするのが、本当に命懸けなんだけど。 何というか。最近、体良く私を便利屋扱いしている人も多い気がする。そういう意味で、今後は依頼も選ばないといけないと思った。センセイが依頼人を仲介してた頃が懐かしい。
ともかく、こういうわけで、私は何日にも渡って依頼人と酷い目に遭い続けて、何とか逃げ延びてきたのがつい昨日。こうして日記に起こすのも大変なくらいの、大仕事だった。 病み上がりにこんなハードなことしなきゃ良かったと、ちょっと後悔はしてる。……これで依頼人から酷い扱いを受けてたら、私は泣いてたかも。そうじゃなかったから、良かったけど。
今日からは、また毎日日記をつけようと思う。こんな酷いことが何度もないといいんだけど。
うっみんなやるべきものを仕上げていく… ジャングル完結編もうちょっと…もうちょっと待ってね…
そういえば登場人物一覧のどこに置けばいいんだろう
先にオルタを練ったのもありますが、そのまま普通に練ると公式の劣化になるかもと思って オルタだと英雄という役割に対する向き合い方を捻ったので、じゃあこっちはいっそ性別を捻ろうかと あとはこれは2102年Afterを見てうみちゃんがマスターなら女性の方がいいかなーという打算もありました
テセウス噛ませ6人衆、色々な意味で因果を感じさせて好き にしてもセイバーのテセウスは女性だったか
残虐な方法で人を殺していた者たちがしっかりリンク貼られててダメだった
きたか!
確か後で編集できたはずだし置いてみよう 2102Afterの梅村警察のセイバーのテセウスです 明日か明後日には出せるって言ったのに1日オーバーしてごめんね!
リンク
ノンボは変なババアと縁がありすぎる…
ツクシちゃん日記をちょっとずつ更新中なう あと一回分投稿しますね……
少女達が目を覚ました時、そこは…
「ん、もう朝か。ってここは…おい、蘭?蘭!起きろ!」
「ぉはようジゼ…ってここどこ?」
見知らぬ土地だった。
「あれ?フランス行きの列車へ乗ったのに見知らぬ土地へ?」
「気を付けるでち、ピオジア氏。殺気が凄まじいでち」
「嘘でしょ…なんで私達新宿に、特異点にいるの!?」
目を覚ました少女達がいたのは特異点、或いは最悪の土地。泥新宿。
「ど、どうしましょうくにさん…自分どうしたら…」
「おちつきましょう、ペトラさん。深呼吸です!」
困惑するもの
「あー、このヤク効くねぇ」
「おっ、分かるかい嬢ちゃん!これもキメてみな!」
馴染むもの
「シシィ、生徒達の一部が目を覚まさない、それに出掛けて消息を経った生徒もいる」
「ああ…厄介だね、交錯影列車と夢の国案件が同時とは。廿日、いつでも出れるようにして置いてくれ」
「止めな、二丁目でヤクなんてばら蒔くんじゃないよ」
「てめぇ! サーヴァントにバウンサー!ちっ、覚えとけ!」
「お嬢さんうちの店においで、どうせいくとこないんだろ?」
「姐さんカッコいい…」
「呆けてんじゃないよ、ダコ」
超常の存在、サーヴァントに。
「…お前ら、混じり物か?」
「ち…違います…」
「まぁ、いいさ。疲れてるようだな、暫くはここで休んでいくといい。茶くらいは出そう」
「好い人みたいですね、ペトラさんスヴェトラーナさん!」
(竜殺しとか殺されるかと思った…)
「つまり今回の件は君のせいではないと言うんだね、胡蝶」
「無論だよウォッチャー、そんなつまらないことを、私がするとでも?大方夢見人の才能がある子が何人かいたんだろう。それが運悪くに接続されたか」
少女達は集まり、帰還に向けて動き出す。
「どうするか?帰るに決まってる、タバコもないしな」
「えー、私はここ結構好きだけど?」
「一人で残っても歓迎するわよ?」
「よし、帰ろう!」
「……なら決まりだな」
「で、どうやって彼女達を返すんだ?」
「決まってるじゃない。スナークハント、いえスネークハントよ」
「あのウロボロスを? 嘘でしょ…」
泥新宿×綺羅星の園
泥濘の星
20021年公開予定
イエメンの「悪魔の井戸」の底にオマーンの探検隊が到達したらしいね。
喪失帯のネタとして面白そう。
20XX/○○/○○ イベントごと
「難波」の方へ行ってみたら、駅前にある都市戦争のサテライト施設で催事をしていた。
何でも、都市戦争が佳境を迎えたから、みんなで応援でもしながら見てみよう……というような。
旧世界だと、サッカーとかのスポーツ観戦で似たようなことをしていたと聞いたことがある。
気になったので入ってみると、確かに人が大勢。吹き抜けになった3階建ての建物の中、すし詰め状態で詰め込まれた人が、大きなモニターの映像に釘付けになっていた
ただ、「梅田」のサテライトだとアルスくんのグッズまみれだけど、こっちではナンバくんのグッズだらけだ。
……あの珍妙な人形のどこがいいのかは、正直私にはわからないけど、意外と今30~40代くらいの人に人気があるみたい。昔懐かしい、とは聞いたけど、何を懐かしんでるんだろう。
勿論、他にもたくさんの選手やサーヴァントのグッズも並んでいて、それが物販で売られている。お酒を中心に飲食物も売っていて、とても賑わっていた。
私も、ちょっとだけ見てみる気になって、フライドポテトのSサイズと、野菜ジュースを買った。これくらいなら買い食いしても平気だ。
それから、モニターの見えるところを何とか確保して、行儀は悪いけど、立ちながら飲み食いをしつつ、試合運びを見ていた。
どうやら、今は「難波」が優勢のようで、こっちで観戦している人たちは皆興奮していた。特に凄いようなのが、逆神朱音という私よりも年上の女の子で、八面六
ぴ臂の大活躍。一般兵士役のトリグさんを薙ぎ倒したり投げ飛ばしたりして、とにかく掻き回しまくっていた。……私、魔術で強化してもあそこまでのことをできる自信はないな。
何なら、持っている刀でトリグさんの首でも刎ねてしまいそうな勢いで、あれを鬼気迫るというんだろう。ちょっと、怖かった。
そうこうしているうちに、上町大地を写しているカメラはあちこちへ。逆神さんは画面から外れてしまって、他の選手に。
そこまで見た時、端末に連絡が入って、応答してみると学校の河合先生からだった。課題の提出忘れ。ゲッ、って、そんな声が出た。
それからもう、大慌てで「天王寺」にとんぼ返り。学校へ行って、謝りながら課題を提出する羽目になった。
どっと疲れて、また中継を見るのも億劫になって、後はそのままいつもどおりに寝ることに決めた。
大変だった。
20XX/○○/○○ 梅田の往復
今日は坂井のおじいちゃんのお手伝いをした後、「梅田」へ。またエマノンさんが往復を手伝ってほしいと連絡してきた。
あの人は……何なんだろう。不定期的に、あの迷宮近くへの送り迎えを、逃がし屋としての私に頼んでくる。決して肉体的に強い人ではなくても、ちょっとしたチンピラくらいなら、あの人はあしらえるはずなのに。
態々私に頼んでくるということは、それなりに何か意味があるとは思うんだけど、今の所それもわかっていない。
ひとまず、行きと帰りで体調を極端に崩した、ということはなかったと思う。いつも真っ白な顔と肌色だから、断定はできないけど。
ただ、今日はいつもより疲れていそうだったかもしれない。帰りに、漢方系の栄養剤を差し入れしてあげた。
迷宮前のお店で売ってるやつで、たまーに一般市場にも流れてるから、極端な刺激物でもないはずだ。
そういえば、お店の前で、小さな双子を見かけた。あんなに小さいのに、迷宮に潜る探索者らしい。
口喧嘩でお互いに何か言い合っていたみたいだけど、そういう見た目相応の所とは裏腹に、何となくその雰囲気は魔術師寄りだった。
……あの歳から何故、迷宮に魔術師が潜っているのか。何となく、浮かぶものはあるけど。人様のことには首を突っ込んではいけない、そういうものだ。
「ああ、来たのか、マスター」
「……なんだ、その格好」
「知らないのか、釣りだ」
「いや、それは分かる」
「……正直、今回の事は、俺も堪えた。だが、サーヴァントは、成長しない。 変わるとしたら精神面だ。グリフレットの、ようにな。俺が、変わろうとしているのが、不愉快なら、止めるが」
「いや、別に良い」
「そうか」
「バーサーカー。 アタシ、魔術を習い始めた」「誰にだ?」
「枢木楡、アーチャーのマスターだ」
「……信用出来るのか?」
「大丈夫だ、多分。アイツは、なんて言うか、凄く義理堅い、それに…多分似てるんだ、アイツとアタシは」
「分かった。俺も信じよう、君の感覚を」
「……バーサーカー。アタシは強くなる、絶対にだ」
「俺は、君の騎士だ。 契約の続く限り、何処までも、着いていく」
「バーサーカー、その、ありがとな」
「…………カッパを持っていく。今日は雨になりそうだ」
「テメェ!」
魔力負荷と超過駆動に限界だと叫ぶように体が軋む、分かっている。限界が近い。
敵は如何なる理由かマスターなしで現界を続ける亡霊の王ワイルドハントと化したセイバーとその配下である19騎、そして…
思考の合間を縫って、敵の一騎が側面に回りこんでいた。
まだ辛うじて反応できる。大振りの剣撃をシールドバッシュで弾き返す。
決定的な隙にガラティーンで胸を突き刺し、魔力を注ぐ。敵は黒炎によって灰も残らず燃え尽きる。その筈だった。
だが、敵を焼き尽くす程の火力が出ない。まるでルーカンがシチューを煮ている時の弱火だ。
剣を無理矢理上に持ち上げ、頭を真っ二つにして引き抜く。これで3…4騎目だったか。
「バーサーカー!」
俺を援護しようと、『マレフィキウム』が魔術を行使しようとするが、疲労からか足が縺れている。
無理はない。既に1時間は第二形態を維持し続けているのだ。
瞬間、何かが『マレフィキウム』を狙って飛来した。
盾で受けるのが間に合わない。射線に割り込み鎧で受ける。
肩を貫通し、血が鎧を赤く染める。
奴は俺に確実に当てる為に、わざとマスターを狙った。
懐かしくも忌まわしきこの矢は忘れられる筈がない
奴はこの弓矢の技巧を持って数いる騎士の中で第二の騎士と称えられた。
セイバーの軍勢、最後の20騎目、アーチャー…トリストラムだ。
意思なきその瞳はまるで人形のようで、イヤでも奴が敗北したのだと実感する。
気に入らない。騎士を捨てただと?ワイルドハントだと?
ただ、負けたのなら良い。だが、その醜態はなんだ?捨てた筈の騎士鎧を身に付け、主でもない奴に従い生者を襲う。
これが、あのトリスタンの姿か!
叫び、吠えたてそうになる口を閉じ、歯を食い縛る。血の昇った頭を振り、冷静さを保とうと深呼吸。
「マスター、ここまでだ」
バックステップで後背へと退き、『マレフィキウム』の姿を敵から隠すように盾を構える。
「…ふざけんな! アタシはまだ、まだやれる!」
無理だ、肩で息をして、呼吸が整わない。
「君の目的が、果たせ、なくなるぞ」
「クソ!クソ!クソ!退く!退くぞバーサーカー!」
マレフィキウムの拳から血が滲む。
叱責なら後で幾らでも受けよう、罵倒もされよう。例え、君がそれを望んでいないとしても、それでも…私は、君に生きて欲しいと願う。
「────幼稚で惨めで浅ましい!みっともない、みっともない、本当みっともなぁぁぁぁぁぁぁぁあああい!クソ女よ! ばぁぁぁか!このっ、ばぁぁぁぁぁぁああああか!!」
「……なんだ、今のは?」
一方的な強襲からトリストラムを押しきれず一進一退の攻防を繰り広げていたラモラックが聞いたのは、感情を剥き出しにした子供の悪口以下の何かだった。
「お前の、マスターか、アーチャー」
「……さぁ、知りませんね」
ラモラックの問いにそ知らぬ顔で矢を放つトリストラム。
攻撃の圧が強まった辺り、トリストラムのマスターの声で間違いないらしい。
時間差で飛来する矢を盾と槍で打ち払う。
(マスター、なにがあった、マスター?)
『マレフィキウム』は念話にも答えようとしない。
「この勝負、預けるぞ、アーチャー」
「逃がすとでも?」
マスターの異様な様子に背を向けたラモラックに追撃を掛けるトリストラム。
「預けると、言った」
左手で引き抜いたガラティーンを振るう。ガラティーンの異持、黒点である由縁。磁気操作で操られた周囲の鉄骨や金属片がトリストラムに絡まるように拘束し、檻のように折り重なる。
トリストラムであれば短期間であの檻から抜け出すだろう。
確信じみた思いを胸にマスターの元へと跳躍した。
「はぁ、はぁ…どうよ!目にもの見せてやったわ!」
マスターの元に駆け付けたラモラックが見たのは肩で息をして勝ち誇るアーチャーのマスター。
そして仮面を剥がされ、踞りうめき声を上げる『マレフィキウム』…いや楊小路水貴の姿だった。
「あっ……ぐっ! ア、アタシは、アタシは……!」
思わず愕然として立ち尽くす。
マスターは『マレフィキウム』は、……これは、ダメだ。少なくとも暫くは立ち直れまい。
見たところマスターに外傷はない。
『マレフィキウム』は強い。少なくとも弱い箇所を人に見せるような事はしないと知っている。
そのマスターに口だけでこれほどの精神ダメージを与えるとは……
例え口の上手さだけで巨人王を殺したと嘯き、実行して見せたサー・ケイですら、ここまで見事に相手の心は折れないだろう。
どうやら、アーチャーのマスターは傑物、女傑であるらしい。
「マスター、ここは、退こう。立てるか?」
「……ぁぁ」
ラモラックの声に『マレフィキウム』は力なく頷く。
「アーチャーの、マスター」
『マレフィキウム』を背負いながら楡へと話掛けるラモラック。
「なによ!」
気の強い女だ、と喉まで出かかった言葉を飲み込む。
ヒスを起こしたモルガンを思い出す、ああいうのは触るだけこっちが損だ。
「名を、聞かせてもらいたい」
「枢木楡よ、なんか文句あるの!?」
「いや、ない。 ……ただ、大した魔術師だと、感心するよ、レディ枢木。その口の悪さもな」
「へ?レ、レディ!?なにそれ!」
楡の困惑を余所にラモラックは跳躍し、夜の闇の中へと飛び去っていく。
「……泣くな、マスター。今は休め」
「……泣ぃて◯△□」
どうもマスターは相当重症なようだった
「……全く、悪逆の騎士など慣れぬ事をするものではないな。よりによってあのトリスタンとは相討ちとは」
「いえ、貴方に相応しい在り方と末路よ」
「抜かせ、アーチャー。なら貴様の最後も俺と同じくらい無様だったことになる」
「ええ、その通りよ」
「ふん、貴様とは本当に反りがあわんが、奇しくもお互いサーヴァントとしてマスターには恵まれたようだ」
「冗談、あんな女二度とごめんよ」
「そうか。俺は彼女にならもう一度呼ばれても良い」
「あの陰険性悪女は貴方にお似合いでしょうね。不貞を暴く盃など探し出して送りつける男には」
「チッ、しつこい奴だ……いや、今のは忘れてくれ。あれは、完全に俺が悪かった」
「随分素直ね」
「最後だからな。……次に会った時は俺が勝つ、首を洗って待っておけ」
「……最後まで共にいることが出来ずにすまない。先に逝くぞ我が主『マレフィキウム』」
「最後までバカな男ですね。 まぁそれは私もか。……精々最後までみっともなく足掻いて、生き残って見せなさいマスター、枢木楡」
「再会祝いに、盃でも、贈ろうか? ああ、貴様の、マスターに、不貞がバレるのはマズいかな!ハハハハハッ!」
下卑た笑いを浮かべる黒炎の騎士にトリストラムは眉一つ動かさない。
ただ、一本の矢を持って返答とした。
黒炎の騎士は盾を持ってそれを防ぐ。
「…安い挑発ですね。そんな挑発、言葉遣い…する方の品が知れると言うもの。 どこの馬の骨とも知れぬ三流騎士の言葉など聞く耳はありません」
続いて、一本、二本、三本。言葉を続けながらも矢を放ち続ける。
まるで汚物を見るかのようなトリストラムの目線は黒炎の騎士を矢の如く居抜いた。
「クククク……フハハハッ!!アハハハッ!…ああ、間違い、ない!貴様は、容姿こそ、性別こそ、違えど、間違いなく、あの嘆きの子、円卓第二の騎士と、謳われた、あのトリスタン、だ!」
黒炎の騎士は放たれた矢を今度はランスによって切り払うと狂乱したように笑い、天を仰ぐ。
「その名も、剣も、鎧も捨てた。今の私は狩人トリストラム」
「いいや、捨てきれぬさ。名とは生まれた瞬間に刻まれる祝福であり、呪いだ」
黒炎の騎士は頭部の炎を解除し、その兜を露にした。
これを見れば自分が誰かは分かるだろう?とでも言わんばかりに。
「ビンゴ、だな」
とあるビルの屋上、双眼鏡で教会から出てくる二組を見ながらラモラックは呟いた。
「もう一組釣れるのは予想外だけどな、僥倖って奴か」
マスター、マレフィキウムは上機嫌そうにその様子を強化された視力で見ている。
随分上機嫌だな、等とは言わない。ここ数日でラモラックはマレフィキウムとの付き合い方を分かってきていた。
恐らく次は……
「早速潰しに行くぞ」
「どちらからだ?」
予想通りだ。とは言え、彼女は無謀ではない分断してどちらかから潰す筈だ。
無謀ではないか?などと言ったら蹴られるかゴミを見るような目で見られただろう。
顔面蹴られたり魔術を使ってこない分可愛いものだが。
「おい、なんだその生温かい視線は。取り敢えず男と騎士っぽい方からだ」
「理由は?」
結局脛を蹴られた。脛当てに足が当たった金属音が小さく響く。
「勘」
ふむ、と頷く。魔術において勘という物は案外バカに出来ない。ならここはマスターの勘に任せよう。
「では、マスターは、もう一組を?」
「ああ、あの女の面が気に入らない」
その答えに好きにすればいいさ、とでも言わんばかりに肩を竦める。
今度は金槌で兜を叩かれた。流石に頭が揺れ、少し大きな金属音が響く。
音が出ないように金槌にタオルを巻いていたようだ。
この程度可愛いものだ、という言葉は訂正しよう『マレフィキウム』の名に相応しい。
「1分半だ、プラマイアルファはアンタの勘に任せる。コテコテ同盟が連携を組むならそれ位が妥当なタイムだろ? んだから、1分半でキッチリ殺す。魔力回すぞ …ブッ潰せ!!バーサーカー!!」
マスターの表情、と言っても見えないが。その気配が変わった、遊びは終わりだ。
「承知した。……離れてくれマスター」
魔力を全身に回すと黒炎が全身を包む。
手摺に足を掛け、そこを踏み抜くように跳躍。
今日は月が随分と明るい。
月光を遮るように宙返りして、逆立ちのような姿勢になるとターゲットの二組を視界に入れる。
見覚えがあるような気もするが、直接見れば分かるだろう。
黒炎を噴出させ、加速。二組の間に向けて槍を投げる。
さぁ、決闘と行こうじゃないか。ルールは『マレフィキウム』流だがな。
「何やってんだ、オマエ」
土夏海浜公園、ペスト医師のような仮面を付けた少女は目の前の男に問い掛けた。男は手に持ったパンをちぎり鳩に与えている。
「日光浴、と言う、奴だが」
手持ちのパンがなくなり、鳩がパンを食い終えた事を確認するとラモラックはパン!と手を叩いた。驚いた鳩は一斉に飛び上がり、人目は鳩に集中する。
「マジで言ってんのか?頭湧いてんのか?」
少女、『マレフィキウム』は顔こそみえないが、ラモラックを正気と思えないとでも言わんばかりの態度を見せる。
「俺じゃ、ない、こいつだ」
ラモラックが指差したのはギターケース状の半透明のケースだった。
「そいつは……」
「俺の、正確に言えば、俺のでは、ないが、今は、俺の、武器だ」
マレフィキウムとラモラックは人目を気にしながら、言葉を選びながら話を続ける。
「『こいつ』は日に3時間は日を当てなきゃ真価を発揮できない」
「マジかよ、それ」
「言った奴が、ディナダンと言う、適当な、ホラ吹きで、有名な、奴だが、それを、しないで負けるより、ホラを、信じた方がマシだ」
「……そうかよ」
「……ああ、少なくとも、俺は負けるつもりはない」
え?ラモラックあの話マジで信じたの?
俺ガウェイン卿とすげぇ仲良くないしガラティーン持ったこともないのにそんなの分かるわけないじゃん
太陽の聖剣だし3時間3倍になれるから3時間位日に当てるのかもねって言っただけだよ俺は
あー…ごめんウソ。ノリでガウェイン卿はガラティーン3時間日干しするらしいぜ!!って言った気がするわ
「お兄さん、ちょっと良いですか?」
急に掛けられた声にラモラックの思考が中断される。
「……なにか?」
声の主は青年だった。
爪先から頭の先まで、値踏みするように視線を走らせる。
ヘッドフォンを首に掛け、パーカーとスキニージーンズによる活発的な印象を与える服装。
見掛けだけなら聖杯に与えられた知識と《TSUCHIKA》で購入した本を読んだ情報を総括して考えれば限り今時の若者、と言った所か。
高度に土夏を再現された《TSUCHIKA》では相手がNPCか人なのか、サーヴァントなのか判別をつけるのは難しい。
魔力は然程感じない。……両手は、手袋を付けていて見えない。
「いえ、数日前からここに座っているのを見掛けまして」
「ああ、近くの、ライブハウスで、夜に、ライブを、やらせて貰ってるんだ」
少なくとも敵意を向けている訳ではないようだ。
用意していたカバーストーリーを口にする。
NPC相手に何度も同じことを話していた。
「ライブですか?」
意外そうな顔を見せる青年。
「ああ、ベースを、やっていてね」
近くに置かれたケースを指差す。
無論、虚偽である。内部にはガラティーンが入っている。
「元々は、イギリスに住んでたんだが、日本の友人に、誘われて、此方に来たんだ」
ゆっくりと、相手に警戒されないように立ち上がった。
「土夏は良いところだ、ロンドンに比べて飯が安くて、旨いのが、最高だ」
歩きながら言葉を続ける。
サーヴァントではない。サーヴァント独特の戦慣れや修羅場慣れした雰囲気が彼にはないからだ。
NPCかマスターかこの場で確かめるか?
マスターであるか判別するのは難しくはない。
この場で襲い掛かり首の一つでも締め上げれば良い。
昼間は襲撃や戦闘が制限されている《TSUCHIKA》であれば、俺はその場で動きが止まるか停止する。
マスターであることが分かれば、昼間に活動していれば格好の獲物だ。
昼間の内に後を付けねぐらやアジトを探しだし22時になった時点で強襲をかけられるだろう。
(……まぁ、マスター抜きでやるにはリスクがありすぎるな)
NPCだった場合は犯罪者として通報され、昼間に動きづらくなり、他のマスターやサーヴァントに面が割れる可能性がある。
独断専行でやるべきではない。ラモラックはそう判断した。
「まだ、此方に来て、日が浅いもので、言葉が、たどたどしくて、聞きづらいだろう?」
青年に笑みを見せる。
「いえ、お上手ですよ!…僕はてっきり、ヤの字の人かと」
あはは、と青年は頬を掻きながらはにかむ。
「ふむ(ヤ? マフィアか) 昔から、服装には、無頓着でね、ライブの衣装は、友人が用意したもので、良いんだが」
「そうだ、良ければ、私に似合う、服を見繕って、くれないか」
「ええ、僕で良ければ!」
─────────────────────────
「と、言うわけで、その青年に、服装を選んで貰った」
仏頂面のまま経緯を語るラモラック。
はぁーっと大きなため息を吐くと、マレフィキウムは大きく深呼吸をする。
「………今すぐ着替えて来やがれ!」
怒鳴った。マレフィキウムは今までにない怒りを込めて自身のサーヴァントを怒鳴り付けたのだった。
「ラモラック、今から来れるか?」
土夏旧市街の路地裏でマレフィキウムは自身のサーヴァントであるラモラックへと召集を掛けていた。
聖杯戦争参加者に支給された携帯電話を土夏の都市伝説であるレッドコートを模した赤いコートのポケットへと仕舞う。
高度に再現された土夏の夏は暑い。
日陰でもコートの中が汗ばみ、蒸発した汗がマレフィキウム…楊小路水貴の華奢な体をじっとりと蒸しあげる。
気のせいか、背中にある令呪の部分が余計に暑く感じるのは不思議だ。
(人の事を待たせやがって…)
マレフィキウムのイラつきが頂点に達し掛けた頃、漸く八つ当たり先は現れた。
「待たせたな、マスター」
「遅ぇ……待てテメェ!いや、なんなのその格好は!?」
何時もの仏頂面と灰色のジャケットを想像していたマレフィキウムは思わず唖然とした。振り上げた拳の行き先すら分からなくなるほどに困惑する
一方ラモラックはマレフィキウムの反応に首を傾げた。
ラモラックは何時ものジャケットではなく明朝体で大きく魔女愛!と書かれたTシャツを着ていたのだ。
「……街中で、出会った青年に、勧められたのだが」
────────────────────────
数時間前、土夏新市街のとある公園。
「…………」
何時も通りラモラックは公園のベンチに座り鳩に餌をやっていた。
何時も通りと言っても召喚されて数日行っているに過ぎないことだが。
夜になれば悪逆無道を尽くすマスターに支える自分が昼間はこんな事をやってると知れば笑う者もいるだろう。
だが、これは矛盾ではない。とラモラックは思っている。
悪逆の限りを尽くす人間が家に帰れば優しい父親になる。というのは珍しくはないだろう。
人は誰しも複数の顔を持っている。太陽の騎士と呼ばれたガウェインが父の仇や母親の情夫を複数で暗殺した暗い一面を持っているように。
或いは、それは我がマスターたるマレフィキウムも同じ……下らん、俺はマスターに仕える剣。余計な思考は……
サールースで行われた槍試合の後、ラモラックは騎士王アーサーに呼ばれ、会話を交わしていた。
「良く戻ってくれました、ラモラック」
玉座へと腰掛けた騎士王は気のせいか口調が軽い。
姿を消した古馴染みの騎士が戻ってきた事に僅かに気が緩んでいるのか。
「…許可も得ず姿を消した件は申し訳ありません。此度は王が嘆かれていると風の噂で耳にしましたので」
膝を着けたラモラックは僅かに顔を上げ、気まずそうに言葉を発する。
正しく顔向けが出来ない、といった所か。
「嘆く?何故私が騎士たちの奮闘を見て嘆くのですか?」
騎士王の珍しく困惑した表情にラモラックの眉がピクリと動いた。
──────嗚呼、哀れで忠誠厚く愚かなラモラック。
──────あの優しいアルトリアが騎士達の奮闘を見て嘆く訳がないのに。
──────察しが悪い貴方でも分かるだろう?貴方は嵌められた。
脳裏に響く愛しくも、二度と聞きたくなかった声にラモラックは全てを悟った。
「王よ、褒美は要りません。 代わりに暇をいただきたい」
ラモラックは顔を上げ、騎士王を直視する。
彼が騎士になった直後と変わらず若い姿のまま、見慣れた筈の姿がやけに眩しく思えて、少し目を細める。
「……そうですか」
「御恩に報いられず、申し訳ありません」
少々の合間の後、騎士王はただ頷く。
騎士王の何時もより更に感情の乗っていない声にラモラックは頭を下げる事しか出来なかった。
──────アルトリアは、もう貴方が帰って来ないと分かっているようですね。
騎士王は去り行く者を引き留めない。自分の元にいることはその者に取って不幸だと言わんばかりに。
「いきなり帰ってきて暇とはどう言うことだ?」
騎士王の玉座を後にしたラモラックの前に現れたのはベディヴィエールとルーカンだった。
ベディヴィエールはラモラックに詰め寄るとその顔を見上げ、睨みつける。
「……ベディヴィエール、ルーカン。後は、頼む」
ラモラックはベディヴィエールを押し退けるとルーカンに軽く頭を下げ、その場を立ち去る。
「分かった、任せたまえ」
「姉さん、どう言うことだ?」
ルーカンはそれに頷き、ベディヴィエールは不服そうにラモラックの背を見た。
「無頼漢を気取っている癖に、最後の最後で確執や血の因果に囚われるとはね。『彼女』が生きていれば、そんなものはブッ壊せば良いって言い切る女性に出会えれば違ったのかね…」
「姉さん?」
大きく溜め息を付くとルーカンはラモラックとは逆方向に足早に去っていく。
困惑が隠せないベディヴィエールはラモラックの背を今一度見ると、ルーカンの後を追った。
キャメロットの城門前で鎧を纏い、槍と盾を持ったままでラモラックは祈る。
「母上。親父殿に続き、早逝する馬鹿息子を御許し下さい。パーシヴァル、お前は騎士になどなるな。……騎士ラモラックこれより、死地に参ります」
祈りを終えたラモラックは城門を押し開け、外へと足を踏み出す。
──────本当に馬鹿な人。全てを捨て去ってしまえば長生き出来たのに。
「それは君との愛さえも否定することになる」
脳内に流れ込んでくる声に一言返したラモラックは振り返りもせずにキャメロットを後にした。
「母上、産後の肥立ちは如何ですか?」
巡察の最中、実家であるペリノア王の居城に立ち寄ったラモラックは久方ぶりに顔を会わせようと母を訪ねていた。
アーサー王と王の即位を認めない11人の王との戦も一段落となり、ブリテン内戦の終息は間近に迫っている。
それは、卑王ヴォーディガーンとの決戦を意味していた。
こんな時期に末の弟が産まれたと聞いたラモラックは最期になるかも知れないと母に会い来たのだ。
「まぁ、ラモラック! ……どうして男の人は、騎士と言う生き物は戦に夢中になると家の事をすっかり忘れてしまうのかしら。 ねぇ、パーシヴァル?」
ラモラックの顔を見るなり母は大袈裟に驚いて見せると、腕に抱いた赤子の頬を軽く突いた。
パーシヴァルは眠いのか、母の指を小さい手で軽く握る。
「……パー(槍)とデュア(硬い鋼)。良い騎士になりそうですね」
母の軽い揶揄に気まずそうにその長身を縮ませて、ラモラックは何とか言葉を絞り出した。
「パース(貫く)とヴァル(谷)よ。全く女の子にしては随分物騒過ぎるわ」
うつらうつらと首を揺らすパーシヴァルを揺りかごへと乗せると、母はため息を付く。
「妹? ふむ、確かに。妹でしたか」
揺りかごを覗き込む、名前で思い込んでいたが、言われてみれば女の子かもしれない。
「貴方のそう言うところは本当に良くないわ、戦と領地経営以外に興味を持ちなさい」
体全体でラモラックを押し退けパーシヴァルから遠ざける母。
ちょっかいを出されて起こされたくないらしい。
「機会があれば、何か趣味を探すとし ます」
お小言が多くなってきた。と言わんばかりに顔を反らすラモラック。
その足は出口へと向いていた。
「もう行くのラモラック? 落ち着きがないこと。 あの人に宜しくね」
もう少しいたらどう?などと騎士の奥方は言わない。
名残を残す前にさっさと行きなさいとでも言わんばかりに母はラモラックを追い出し手を振っていた。
母上はパーシヴァルを騎士にはしたくないようだが、母上に似ても中々の騎士になるのではないか?
もし、嫁を探すならもう少し気性の控えめな女子が良いな。
口には出さずに様々な事を考えながらラモラックは部屋の扉をゆっくりと閉めた。
葉っぱを使うことで手を汚さない工夫にもなっているとはなんとも合理的だとセイバーは感心する。
そして、始めての柏餅を葉っぱごと頬張り、カシワの苦味と餅と餡の甘味の入り交じるその独特な風味を味わったあと、サクヤに疑問を投げかけた。
「サクヤは食べないのですか」
「うん。セイバーが食べていいよ。あと葉っぱは食べないものだよ」
サクヤは餡が嫌いだった。
小豆を潰した食感がなんとなく嫌だったし、喉が渇くことがとにかく苦手だった。
その後飲むお茶が美味しく思えるのは良かったが、和菓子ならばだいたいそうだったので、やっぱり好きになる事はなかった。
「好き嫌いは駄目ですよ」
「好き嫌いという個性がなければ人類はこれほど豊かに食文化を発展させる事など出来なかったと思うのだがね。はいお茶」
「どうも。お茶と合って美味しいです」
本当に幸せそうな愛くるしい笑顔を見せるセイバーを見て、サクヤはやっぱり考え直して、ひとつ食べてみることにした。
思ってた通りの味だったが、なんだか今日は美味しく感じられた。
なぜだろうと疑問に思い、すぐに目の前の少女がその答えだと気づいて、サクヤはもう一口頬張った。
そういえば、柏餅で一つ思い出したことがあった。
「なんでセイバーは甘いものが好きなんだ?」
「む?」
リスのように両頬を柏餅で膨らましてこちらを向くセイバー。可愛いやつめ。
そして回答するためにもきゅもきゅと口内の柏餅を食していった。可愛いやつめ。
「はいお茶」
「どうも。……ふう。なぜ私が甘いものが好きなのか、ですか」
セイバーは少し考えた後、何かを懐かしむように、そうですね、と語った。
「当世における甘いもの、特にデザートはある種『幸福の象徴』のようなものといった印象でした。
それも高貴な人のみの嗜好品ではなく、街の人々、特に年頃の女性が好んで食べるものだと。
現界したばかりの私は、人の心を理解するにあたって、まず形から倣おうと考えたのです。そして」
「そして食べてみて、心を奪われたと」
「はい。それはもう一目惚れでした。あむ」
一通り話し尽くし、柏餅を美味しそうに食べるセイバー。可愛いやつめと思いながら、自分も新しく柏餅を1つ頬張った。
>柏餅から葉っぱ剥がすのってなんだかエッチですよね
水無月サクヤに天啓が舞い降りた。
「セイバー、君は人の気持ちを理解するために甘いものを食べてみたとさっき言ったね」
「いいましたが……」
サクヤがこういう輝く目をしている時はまた変なことを思いついた時だ。セイバーは目を細め警戒する。
「いっそ甘いものの気持ちを理解してみるというのはどうだろう!? そう君は、これから僕の手で柏餅になるのだ!!」
「は?」
「つまりだね。柏餅を覆う葉っぱのように君の体を何かで覆う!そして、それを僕が剥がして中身を食べるのだよ!そして君は柏餅の気持ちを完全に理解する!このロジックはパーフェクトでチャレンジはドリームだ!」
何を突然言いだしたのかわからないというセイバーをサクヤはそのどこからくるのかわからない熱意で無理やり押し切り、ふたりの城へと連れ込んだ。
しばらくすると、セイバーはまさしく葉っぱが体に張り付いただけというような奇抜な格好にさせられていた。
「セイバー!今君はだいぶ柏餅だよ!かなり柏餅だ!」
これは褒め言葉なのだろうか? 自分は一体何をしているのだろうかとセイバーは悩んだ。
20XX/○○/○○ 樽の人
センセイがまた変なことをしていた。樽の中に入った少年と会った、と話したら、その次の日にはその人のところに行っていた。リコさんの絵をもう一度見に行った時に、たまたま見かけた。
どうも、センセイはその人と口論……というより、議論をしているようだった。ソクラテスがどうの、って言ってたっけ。
ソクラテスがどんな人か、くらいなら少しは知ってるけど、それが話題になるということは、ギリシャ系の人なのだろうか。
終始少年らしいその人はそっけない態度をしていたけど、議論を中断する様子はなく、私が絵を見て帰るまでの10分か15分くらいの間、延々と話をし続けていた。
センセイがあんなに話し込むんだから、きっと学問とかで有名な人なんだろう。そういうところが、センセイにはある。
私は……あまり勉強が得意と胸を張って言えるわけでもないし、口が回るというわけでもない。だから、あんな風に延々議論をするのは、ちょっとゴメンかな。
P.S.後で都市情報網を見てたら、ずっと議論してる変な人がいるってセンセイ達の写真がSNSにあがってた。どれだけ話してたんだろう……。
追伸。後から調べたら、あの女の人が描いた絵は、エスクローと呼ばれる集団の作品の一つだということがわかった。
作品としては良かったと思うから、できればもう一度見たいけど……彼らの作品は、しばしば建物などの管理人に取り壊されてしまうので、あまり長く残らないのだとか。残念。
20XX/○○/○○ エスクロー
今日は……何だろう。犯罪といえば犯罪で、芸術といえば芸術。そんなものを見た。
私が遠出をしている間に、難波の方で落書き事件が多発していたらしい。
たまたま今日は、その落書きをしている場所の近くを通りかかったんだけど。何というか、とても……アーティスティックな格好の女性と出会った。
ストリートアート、というらしい。センセイが文化の一端として、苦笑と一緒に紹介してくれた、街中の落書き。っぽい絵。
法律に照らすと、あれは明確な違反行為らしいけど、それに芸術的価値を見出す人もいると。今日会った人は、まさしくそういうタイプの人だったと思う。
リコと、その女性は名乗った。何でも、普段から、時間になっていた落書きのようなアートを描いているのだとか。
たまたまその現場を目撃してしまった一般市民としては、多分都市情報網で通報した方が良かったんだろうけど。私自身後ろ暗いものもあるし、他に見ている人も通報した様子がない。
そもそも、本当に絶対ダメだというなら、カレンシリーズは間違いなく行動を起こす前に止めている。少なくとも、都市にとって致命的なことではない、ということ。
それならいいか、と思って、彼女のアートを見ていたけど、本当に凄かった。スプレーだけであんな絵が描けるんだ! と、びっくりしっぱなしだった。私はあんまり絵は得意ではないから、なおさら。
最終的に書き上がったのは、都市戦争にも出ているナンバくんを、面白おかしくデフォルメしたもので、思わず笑ってしまった。皆も笑いながら、拍手を送っていた。
でも、そのすぐ後に警邏隊が来て、あっという間にその集まりも解散しちゃったんだけど。まだ絵を見てみたくなっていたから、ちょっと残念だった。
そういえば、後でもう一度同じ場所を通ってみたら、サーヴァントらしい少年が樽に収まって何故か寝ていた。あれはなんだったんだろうか。
ヤクザみてーな顔してんな…
東京聖杯戦争がほぼ全員揃ってるのにキャスターが完成せず、申し訳ないのでキャスターのイメージ画像を載せておきます

今週中に頑張って完成させるので何卒お待ち下さい
そういえばスレ復活してない?
T/ROでも鉄道奪還クエストみたいなの用意されてたな…
鉄道なら推理モノの舞台にも良い
レクイエム世界だとドローンがばら蒔かれててモザイク都市外だと無人の荒野が広がってるって設定だから結界を最小限にして点と点を繋ぐ線として使える大量輸送手段としての鉄道はかなり有効かもしれない
泥モザイク市限定だけどかなり初期からある設定だね
離れた都市を結ぶ移動手段の一つだって
新世界でも新幹線はあるんだ…
ジャングル完結編を首を長くして待っていますので…
はやい…
日記帳更新しました
良ければどうぞ
20XX/○○/○○ 顛末
何があったかというと……うん。予想通りというか、ドローンがいた。わんさか。
しかもどういうわけか、新幹線のルート上を蠢く、サーヴァント・レムナントの群れが一緒にくっついてた。
ドローンの方については予想してたし、動体センサーや赤外線レーダーなんかをかわすための準備はしてたけど、流石にレムナントは別だ。
魔力の源を嗅ぎつけたのか、折角隠形でやり過ごせそうだった私の姿がバレてしまった。
依頼人の船に引き寄せられて集まっていたドローンの数は、ちょっとやそっとのレベルではなかった。そこにレムナントもいて、それが私を襲ってきたものだから、本当に死ぬかと思った。
一番解せなかったのは、当の依頼人本人は、追われながらも何食わぬ顔で船を操縦して、ドローンの誘導なんかもこなしつつしれっと追撃をかわしていたこと。
あの人のせいで大勢集まった相手をやり過ごさなくちゃならなくなったけど、あの人がいなかったら、多分私は死んでたと思う。だから、こう、罵倒するには偲びないけど、ありがとうとも言いたくない複雑な気持ちだった。
結局、ドローンを依頼人が引きつけている間に、レムナントをいくらか私が減らして、魔術で姿を誤魔化すような格好で何とか逃げ延びることができた。……2度と同じ仕事はやりたくない。本当に死んじゃう。
結局、その後依頼人は大阪に来て、梅田の最下層で裏の商いをしている人から補給を受けた後、そのまま旅立っていった。「ドローンさえ何とかしてくれたら後はいい」、って。……そのドローンをどうにかするのが、本当に命懸けなんだけど。
何というか。最近、体良く私を便利屋扱いしている人も多い気がする。そういう意味で、今後は依頼も選ばないといけないと思った。センセイが依頼人を仲介してた頃が懐かしい。
ともかく、こういうわけで、私は何日にも渡って依頼人と酷い目に遭い続けて、何とか逃げ延びてきたのがつい昨日。こうして日記に起こすのも大変なくらいの、大仕事だった。
病み上がりにこんなハードなことしなきゃ良かったと、ちょっと後悔はしてる。……これで依頼人から酷い扱いを受けてたら、私は泣いてたかも。そうじゃなかったから、良かったけど。
今日からは、また毎日日記をつけようと思う。こんな酷いことが何度もないといいんだけど。
うっみんなやるべきものを仕上げていく…
ジャングル完結編もうちょっと…もうちょっと待ってね…
そういえば登場人物一覧のどこに置けばいいんだろう
先にオルタを練ったのもありますが、そのまま普通に練ると公式の劣化になるかもと思って
オルタだと英雄という役割に対する向き合い方を捻ったので、じゃあこっちはいっそ性別を捻ろうかと
あとはこれは2102年Afterを見てうみちゃんがマスターなら女性の方がいいかなーという打算もありました
テセウス噛ませ6人衆、色々な意味で因果を感じさせて好き
にしてもセイバーのテセウスは女性だったか
残虐な方法で人を殺していた者たちがしっかりリンク貼られててダメだった
きたか!
確か後で編集できたはずだし置いてみよう
2102Afterの梅村警察のセイバーのテセウスです
明日か明後日には出せるって言ったのに1日オーバーしてごめんね!
リンク
ノンボは変なババアと縁がありすぎる…
ツクシちゃん日記をちょっとずつ更新中なう
あと一回分投稿しますね……