サーヴァントバトルコロッセオ!それは英霊たちの戦いの場である!! この闘技場ではまるで古代ローマの剣闘士たちのように、日夜戦いが繰り広げられている。 サーヴァントと名がついているが別に普通の人間たち同士で戦うこともある。 魔術師を普通の人間と呼ぶのならば、だが。 今回はそんな試合をご紹介しよう。
ますは2102年から来た男、水無月サクヤが入場する。どう見てもただの高校生だ。こいつにマスター戦とかできるのだろうか。 彼のスペックをフルに発揮できるようここは電脳世界ということにしておいてやろう。 対する相手は『AIのべりすと』が作り上げたマスターである李小蓮の登場だ。 ガチガチの武闘派マスターである李小蓮!観客たちも彼女の勝利は間違いないと思っているようだ。 無理もないだろう。水無月サクヤはどうみてもただのチャラい高校生にしか見えないのだから。 互いに挨拶をし終えた後、マスター同士による注目の一戦が始まった。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 ブラックスミスはもう、限界だ。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 もはや、立っていることすら奇跡に等しい。だがそれでも、彼は立ち上がる。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 ついに、ブラックスミスは倒れ伏す。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」 バーサーカーは、その巨体を震わせ、天へと叫ぶ。 「Astolfooooohhh!!!!」 そして、その拳を、振り下ろす。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 ブラックスミスだったものは、もはや原形を留めていなかった。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」 試合が終わってもバーサーカーは叫び続ける。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 それは、正に、嵐。荒れ狂う、猛威の化身。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 だが、それ故に、その一撃は、必殺となる。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 彼は、バーサーカーなのだから。 彼の前に、敵など、存在しない。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 ゆえに、彼は、無敵。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 勝者はバーサーカー。 「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」 だが、この結末は当然だろう。 彼は最強。最強のバーサーカー。 彼は、決して負けない。 たとえ相手が神であろうとも。 彼は、最強だからだ。
「──────────」 バーサーカーが、立ち上がった。 「え?」 「Astolfooooohh!!」 「なっ───」 「うおおおおぉおああぁアァアアアッ!!」 「くっ…………」 「Astol!!」 バーサーカーが、再び突進してくる。 だが、ブラックスミスの表情に変化はない。 「……」 そして、またあの詠唱を始める。 「───」 「Gaaaahh!!」 だが、今度は止まらない。 「…………」 「Astol!!」 「……仕方ないか……」 「Ga!?」 ブラックスミスが、右手を前に出す。すると、彼の目の前に巨大な盾が現れた。 「……!」 「Astol!!」 「───ッ!!」 「Astolfooooohhh!!!」 そして、激突。 だが、今回は拮抗しなかった。 「うああっ───」「Gyaaaaaahh───」 押し切られたのは、ブラックスミスの方だった。 「───」 だが、まだ終わらない。 「Astol!!」 「───ッ!!」 「Astolfooooohhh!!」 「─────」 「Astolfooooohhh!!」 「─────」 「Astolfooooohhh!!」 「─────」 「Astolfooooohhh!!」 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」 ブラックスミスが膝をつく。その体には無数の切り傷があり、血を流している。 対して、バーサーカーはほとんど無傷。
「!?」 「Astolfooooohh!!」 直後、バーサーカーの背後から、声が響いた。 「──────────」 「………………あ?」 それは、何かの詠唱だった。 だが、何の呪文かわからない。理解できない言葉だった。 「………………」 「……!」 「………………」 「ッ──────!!」だが、それがどうしたと言うのか。 「Gaaaaahhaaaaahhh!!!」 そんなものは、関係ない。 「────────────」 バーサーカーは、振り向かずにそのまま突っ込んだ。 「Astolfooooonnn!!!」 そして、ブラックスミスの姿を捉えた瞬間、彼は叫んだ。 「────────────」 だが。 その時既に、勝敗は決していた。 「────────────」 バーサーカーが、自分の首に刺さっている短刀を見た。 「…………」 だが、何も言わない。 何故なら、もう終わっているからだ。 「───」 ブラックスミスの手には、先程までなかったはずの一冊の本があった。 そしてその表紙を、黒い光が覆っていた。 「……」 だが、バーサーカーは何も言わずに崩れ落ちた。 「───」 その後頭部に、ぽつりと血の花が咲いた。 バーサーカーは、倒れ伏した。 「……………………ふぅ」 ブラックスミスの勝利だ。「…………」 ブラックスミスが、ゆっくりと息を吐いて、構えを解く。 「勝った」 そして、そう言った。 「……」 だが。
その頭を踏みつける。ぐりぐりと、踏み躙るように。 バーサーカーの目が見開かれる。 そこに映るのは怒りではない。 憎しみでもない。 ただ、退屈。それだけだ。 つまらない。ただひたすらにつまらん。 そう感じている。 この男の本性は、おそらくこちらだろう。観客を、作品を、己自身を、愛している。 だからこそ、それらを傷つけられることを何よりも嫌う。 だが、同時に、彼は、自分自身もまた、作品の一つなのだと考えている。 彼の作品は、彼自身。 そして、彼の作品に傷をつけることは、彼にとって、自分を傷付けられることに等しい。 だから、許せないのだ。自分の作品が、他人によって汚されることを。 「俺は、俺の作品は完璧であるべきだ。それは、俺自身が最高傑作であるという証明でもあるからだ。それを、否定する奴がいる。ふざけるんじゃねぇぞ。誰であろうと、絶対に許さん。俺が、俺の作品を侮辱することは……俺自身を否定することだ。俺が俺を殺せば、作品は完成しなくなる。俺が俺の作品を殺すということは、俺を俺が殺すのと同義だ」 「…………」 「お前は、俺を怒らせた。俺の作品に泥を塗った。お前のようなクズには死すら生温い。俺の怒りを知れ。悔い改めよ。それが、お前にできる唯一の贖罪であり救済だ」 「Astorfooooooooooo!!!!!!!!」 「お前に、俺の最高傑作をくれてやる。ありがたく思え。お前に相応しい舞台を用意してやった。お前が俺と戦うのに相応しくない場所だと? 馬鹿を言うな。俺の戦いにふさわしい場所はここしかない。さあ、戦おうぜ。最高の演者同士による、最高の舞台で、最高に楽しく、最高に派手に、最高に盛り上がって、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に!最高な戦いを始めようじゃねぇか!」 「Astolfooo!!! Fooooaaahhh!!!」 「俺が憎いか。俺が殺したいか。いいとも! 来いよベネット! その怒り、憎悪、殺意、全て受け止めてやろう! お前はそこで見ていればいい! お前のために用意した、最高に楽しい余興を、とくと味わってくれ!!」 「Astorfoooooooooo!!!」 「行くぞオラァアアッッ! 俺の最高傑作を、テメェに叩き込んでやるよォオオオオッ!!」 「Astolffu!!! Astoldouf!(アストルフォ!!!ああ、素晴らしい!)」バーサーカーは、手にした剣を振り上げた。 まるで、獣のように。 そして、彼は叫んだ。 それは、まさに。 獣の雄叫びだった。 バーサーカーの宝具、『不毀の極刃(ドゥリンダナ)』が振り下ろされる。ブラックスミスは、避けない。 そのまま立ち尽くしている。 直撃すれば、間違いなく即死だろう。だがブラックスミスは、微動だにせずそれを待ち構えている。 「FuOooooooo!!!!」 「…………」 そして、ついに。 彼の脳天目掛けて『不毀の極刃(ドゥリンダナ)』が落下し。 その瞬間、ブラックスミスの姿が消えた。
「な、なにをしている!?」 「ちょ、ちょっと、グロすぎますよ!!」 「血だらけじゃねぇか!!」 「ほら、見てくれ。この傷を。痛々しいだろ。だから、お前達の心に訴えかけているんだよ。お前達を楽しませるために、あえてこんなことをしたんだ。どうか許してくれないか。お前達を喜ばせるためなら、どんなことでもするから。なぁ、頼むよ。なぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁ」 「な、なにがお前をそこまでさせるんだ……!?」 「俺を楽しませてどうするつもりだ!!」 「ひいっ!!」 「こ、怖い!!」 観客は悲鳴をあげる。ブラックスミスは笑顔のまま、無言で彼らの顔を見ている。 「た、助けて!!」 「た、たすけてー!!」 彼らは泣きながら逃げ出した。 「待ってくれよぉ!!」 「置いてかないでくれよぉ!!」 「俺はお前らに最高のエンターテイメントを提供するぞぉ!!」 「嫌だぁあああ!!」 「たすけてぇえええ!!」 「俺を置いていかないでくれよぉ!!」 こうなってはもはや試合どころではない。観客は皆逃げていき、残っているのはブラックスミスとバーサーカーだけになった。 「おい、バーサーカー。あいつらを追っかけようぜ。俺が連れてきてやるからよ。なに、簡単さ。追いかけっこだよ。お前が逃げる連中を追いかければいい。そして全員捕まえたら勝ちだ。簡単だろ? なぁ、やろうぜ?やらないのか? あ? やれよ。なぁ。俺と遊ぼうぜ。なぁ、なぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁ!!」 「Astolfoooooooooooo!!!!」 バーサーカーが走り出した。ブラックスミスは剣を構える。 「ふんぬぅうううううう!!」 バーサーカーがブラックスミスをぶん殴った。吹っ飛ばされる。 「なにやってんだよぉおおお!! もっと俺を楽しませろよぉ!!俺は……俺の作った物を楽しんでくれる観客が好きなだけだ!!」 「Astolfoooooo!!!!」 「うるせぇよ!! 俺が楽しむには観客が必要なんだよ!! 俺が満足するためにお前らは存在するんだ!! そうだろぉお!?」 「Astolfo!!」 「なに言ってるか分かんねぇよぉおお!! 黙って殴られやがれ!!」 「Astorfooooooooo!!」 「ぐわぁああ!!」 ブラックスミスがぶっ飛んだ。 「もういい。飽きた」 「Astolfo?」 「なぁんか、面白くねぇよなぁ。俺が作ればもっと面白いはずなのによ。なにがいけねぇんだ? もっと観客を沸かせられるはずだ。もっと観客を喜ばせてやりゃあ俺も嬉しい。俺が楽しい。お前らも楽しい。それで良いじゃねぇか。なんでそれができねぇ?」 「Astorfoooo!」 「なにを怒ってるのか知らねぇけど、俺が気に食わないなら、殴り返してみろよ。ほぉら、どうした。来いよ! なぁ!!」 「Asto-」 「遅いッ!!」ブラックスミスが腹パンをぶち込んだ。 バーサーカーが膝をつく。
ブラックスミスが指示を出すと、恐竜達は一斉にバーサーカーへと襲いかかる。しかし、恐竜達の攻撃は全てかわされてしまい、逆に反撃されてしまう。 「うぐぅ……」 「ブラックスミスさん!!」 「そんな……」 「うおおおっ!!」 バーサーカーは恐竜達に気を取られている隙にブラックスミスに近づき、彼の腹に拳を叩き込む。「がふッ!?」 「ブラックスミス!!」 「ブラックスミス!!」 「ブラックスミス!!」 「ブラックスミス!!」 ブラックスミスは吹っ飛ばされ、壁に激突し、そのまま気絶してしまった。 そして、バーサーカーはブラックスミスの方を向いた。 ブラックスミスは、スーツのポケットから、小さな瓶を取り出し、その蓋を開ける。 すると、中から、白い煙のようなものが出てくる。「な、なんですか? あれ……」 「さ、さあ……?」 「む? なにか、様子が変だぞ?」 「た、確かに」 「どうしたんでしょうか?」 「……?」 観客が不思議に思っていると、突然、黒い霧のような物がブラックスミスを包み込み始める。 「なんだこれは!? き、消えていく!? どういうことだ!!」 「うおっ!!」 「な、なんじゃありゃ!!」 「お、おい、まさか、あいつ消えるのか!?」 「おい、嘘だろう? まだ決着ついてないじゃないかよぉ!!」 観客が騒いでいると、ブラックスミスの姿が変わっていき、やがて完全に消えた。 「ど、どこに行ったんだ?」 「も、もう終わりなのか……?」 「………………?」 「ああ……なんて素晴らしい戦いだったのだ……」 「え……」 「な、何言ってるんですか……?」 「すげぇ……あんな化け物相手に一歩も引かずに戦ってたぜ……」 「ブラックスミスさん、凄かったなぁ……」観客達が感動していると、「いいや、まだまだだね」と誰かが言った。 声がした方を見ると、そこにはブラックスミスが立っていた。「な、なにぃ!?」 「ば、馬鹿な!!」 「い、一体、どうやって復活したんだ!!」 「なにを言っている。私は最初からここにいるが?」 「なにを言っているのはこっちのセリフだ!!」 「そうですよ!!」 「そうだ、そうだ!!」 観客達は口々に言う。しかし、ブラックスミスには通じていない。 ブラックスミスは自分の手を見た後、自分の腕の皮膚を剥がしてみせた。
そんな中で、遂に勝負が決まろうとしていた。バーサーカーが走り出す。それに反応して、ブラックスミスは迎え撃つべく構える。 そして次の瞬間、両者がぶつかり合った。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 「きゃあああああああ!?」 「うぎゃああああああ!?」 その衝撃は凄まじいものだった。まるで地震でも起こったかのように地面が大きく揺れたのだ。 ブラックスミスも吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。 しかし、バーサーカーの方も、ダメージが大きかったのか、膝をついてしまう。 ブラックスミスは、よろめきながらも立ち上がり、剣を構え直す。だが、もう限界なのか肩が激しく上下に動いている。 「ああっ、これはまずいか……?」 「どうやら決着がついたようですね……」 「そんな……!」 「そんなことってあるんですかっ!」 観客たちは、この結末を受け入れられないようだ。 その時、ブラックスミスが動いた。彼は懐から何かを取り出し、それを天に掲げると、突然光り出した。 それは、とても眩しく、目を開けていられなかった。 光が収まり、目を開けると、そこには、先程まで戦っていたはずの二人の姿は無く、代わりに、二人の男が立っていた。 一人は、全身を黒の衣装に身を包んだ、長身の男。 もう一人は、スーツを着た、金髪の男性。 二人は、互いに睨み合っている。 「な、なんだこれ?」 「え、どういうことだ?」「も、もしかして、今、あの二人が、闘っているんじゃないでしょうか?」 「そ、そういえば、なんか、声が聞こえるような……」 「お、おい、あれって……」 観客たちがざわめく。 そして、ブラックスミスは、スーツ姿のバーサーカーに向かって、宝具である『W.・F.・D(ワールドフェイクデイドリーマー)』 を放つ。 「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「きゃー!!」 「な、何だ!?」 「一体、なにが起こってんだよ!!」 「どっちが勝ったんだ!!」 観客が混乱する中、突如、会場が揺れ始めた。 すると、観客席の壁の一部が開き、そこから、巨大な恐竜が現れた。 「ぎゃあああ!!」 「に、逃げろ!!」 「た、助けてくれぇ!!」 「いやぁぁぁ!!」 「ま、待て!! 俺を置いていくな!!」 「ひぃいい!!」 「くっ……! こうなったら、やるしかないか!」 (こいつらは、ただの人間じゃない) 「はああっ!!」 ブラックスミスが叫ぶと、ブラックスミスの周囲に、恐竜や怪獣などの模型が現れる。 「さ、再現完了! 行け!!」
まず仕掛けたのはバーサーカー、手近にあった鉄柱を持ち上げるとそのまま振り下ろす。 対してブラックスミスはそれを難なく避ける。 さらにバーサーカーの攻撃が続く、今度は壁を破壊して瓦礫を飛ばしてきた。 これには流石のブラックスミスも避けきれずいくつか食らう。しかし、致命傷には至らない。 次にブラックスミスは何かを取り出した。それは一冊の古びた本。表紙の文字を見る限り魔術書の類だろうか。 それを開き、呪文のようなものを唱え始めた。すると、黒い炎のような物が吹き出し、バーサーカーに襲いかかる。 「おおっと! ここでブラックスミス選手の攻撃が決まったァ!」 確かに決まったように見えたのだが、当のバーサーカーは全く効いていない様子。 逆にバーサーカーの方からも反撃が来る。巨大な拳が繰り出され、それをまともに受けたブラックスミスは大きく飛ばされ、地面に叩きつけられる。「ぐっ……!?」 かなりのダメージを負ったのか、ブラックスミスはそのまま動かなくなる。 どうやら気絶してしまったようだ。 「ああっ、これはまずいぞ! バーサーカーの勝利かと思われたその時、なんとブラックスミスが意識を取り戻したああ!!」 そしてそのまま立ち上がり、再び戦闘態勢に入る。 「まだやる気なのか、あいつ……」 「そのようですね」 しかし、そんな状況でも、ブラックスミスは戦い続ける。今度は剣を構え、果敢に攻めていく。 対するバーサーカーも応戦し、両者の攻防が続く。 そして、一瞬の隙を突いて、ブラックスミスの攻撃が決まる。 それは、今までで一番大きいダメージを与えた一撃であった。 「おおっと、ここでついにブラックスミスの攻撃が決まったああ!」 「すげぇ、やるじゃねぇかアイツ!!」 「いけえ、ぶっ殺せ!!」 「あのバーサーカーに勝てるかも!!」 「頑張ってください!!」 観客たちからの声が飛ぶ。 だが、それでもバーサーカーはまだ倒れない。 バーサーカーが手に持っていた武器を構える。それは大ぶりの剣だった。 「お、おいあれってまさか……」 「そう、彼が持っているのは不毀の極刃。その名の通りの宝具です!!」 「不毀の極刃、だと?」 ブラックスミスは、それが何を意味するか理解しているらしく、少し焦っているようにも見える。 「なぁ、アレやばくね?」 「だよなぁ……。あんなの食らったら死ぬんじゃねぇの?」 「だな……」 「いいから黙って見てろよ。面白いからよぉ!!」 観客たちも不安を感じているらしい。
【第二回】 サーヴァントバトルコロッセオ!それは英霊たちの戦いの場である!! この闘技場では英霊たちが日夜戦いを繰り広げている。どの試合も相手が消滅するまで戦い合うことだろう。 その決死の戦いを見て観客たちは盛り上がるのだ。
さて、どうやら次の試合が始まるようだ。 出てきたのは筋骨隆々のバーサーカー。対するのはエクストラクラスであるブラックスミス。 彼もなかなかの身長だがバーサーカーと比べては子供も同然だ。 観客たちもこれはどう見てもバーサーカーが勝つと思っているようでブラックスミスへの声援は少ない。 そして試合のゴングが鳴った。
「まだだ……まだ……!」 「………………」 「負けられないんだよ……俺は……!」 「………………」 「だから………………死ね。」 クロイソスは右手に持っていた槍を放り捨て、空いた手でコインを生成し始める。 そしてそれを、渾身の力を込めて投擲してきた。 「ッ!くっ……!」 「ぬおっ……!」 ペルカードは避けようとするが、間に合わない。 彼は咄嵯に右腕を前に出し、防御の姿勢を取った。 しかし、衝撃は来なかった。 ペルカードが顔を上げて見ると、クロイソスの姿が無い。 慌てて周囲を見回すと、上空高くからこちらを見下ろすクロイソスを発見した。 どうやら、ペルカードの頭上を飛び越え、背後を取っていたようだ。 「終わりだ!!」 クロイソスは左手に持った剣を突き出す。「……!」 ペルカードは振り向きざまに槍を振るおうとする。しかしその前に、クロイソスの放った刃先がペルカードの心臓を貫いた。 「……!」 ペルカードは目を大きく見開く。 それと同時に、胸元に強烈な痛みを感じた。 しかし、それも束の間。 意識が薄れていき、何も考えられなくなる。 目の前が暗くなっていき、全てが闇に包まれていく。 最後に聞こえたのは、クロイソスの呟きだった。 「さようなら、我が宿敵よ……」 (………………そうか……そういう事だったのか……) その言葉を最後に、ペルカードの思考は途絶えた。 ———— 「……」 「……」 静寂がその場を支配する。 ペルカードの身体は崩れ落ち、地面に倒れ伏した。 クロイソスはその様子を、じっと見つめている。 やがて、彼が口を開いた。 「勝ったぞ、イアソン。お前との約束通り、仇は取ったぞ。」 クロイソスは空に向かって語りかける。
「甘いわっ!」 だがそれも、クロイソスには簡単に避けられてしまった。 逆に彼はペルカードの背後に回り込み、槍を突き刺そうとする。 「……ッ!」とっさに体を捻って避けるが、肩口を少し掠めてしまう。 血が滲み出るが、気にしている暇はない。 すぐに振り返り、追撃をかける。 クロイソスは今度は左手からコインを生み出し、投げつけてくる。 ペルカードは身を低くして走り抜け、クロイソスの懐に飛び込んだ。 そのまま腹部に向けて、掌底を放つ。 「ぬぐぅ!!」 流石のクロイソスもこれを防ぎきれず、後ろに仰け反ってしまう。 その隙を逃さず、ペルカードは足払いを仕掛けた。 だがクロイソスはすぐに立ち上がると、大きく跳び退いて回避した。 そして空中に浮かんだまま、また新たな宝具を作り出し始める。 「まだまだ行くぞ!」 「させるか!」 再び接近しようとするペルカードを牽制するように、クロイソスは次々とコインを投げていく。 ペルカードはそれらを全て弾き飛ばし、一気に距離を詰めた。「無駄ァ!!」 勢いのままに拳を振り下ろす。 クロイソスはそれを槍の柄で受け止めると、そのまま押し返そうと力を込める。 しかし、そこで異変が起きた。 突然ペルカードの足元が光を放ち始めたのだ。 「なにっ!?︎」 「おぉっ!?︎なんだこりゃあ!?︎」 同時にクロイソスが動揺の声を上げる。 二人は驚きつつも離れようとしたが、遅かった。 次の瞬間、二人の身体は眩い光の渦の中に飲み込まれていた。 二人が立っていた場所を中心に、まるで竜巻のような風が吹き荒れる。 それは周りの木々をなぎ倒し、地面の土を巻き上げていった。 やがて光が収まり、視界が戻る。 そこには、先ほどまでの光景は無くなっていた。 あるのは、クレーターのようにえぐれた大地のみ。 周りにあった木や草は全て消え失せており、代わりに黒焦げになった岩や砂が広がっている。 その中心で、二人の戦いはまだ続いていた。 「おおおおおおおおおおおお!!!!」 「うおらああああああ!!!」 「おおおおおおっっっっっっ!!!!!!!!」 ペルカードは全力の一撃を繰り出す。 対するクロイソスもまた、全身全霊の力を込めた突きを繰り出してきた。 互いの力が拮抗し、一瞬だけ動きが止まる。そして、爆発が起こったように弾けた。 二人の鎧が砕け散り、辺りに散らばる。クロイソスの鎧は、彼の頭部と左腕の籠手、そして腰の部分しか残っていなかった。 一方のペルカードも鎧の大半を失っており、残った部分もボロ布と化している。 両者ともに満身創痍であり、立っているだけでもやっとの状態だ。 だが、それでも戦いは終わらない。
「……これは、いけませんね。あの二人、本気で殺し合いを始めていますよ」 そう言って眼鏡の位置を直しながら呟いたのは、審判役のサーヴァントだった。 その言葉に周りの者達はどよめく。 「なんですと?まさか、そのようなことが……」 「本当ですとも。私の目は誤魔化せません。あれは間違いなく、相手を殺めるつもりで戦っている。それもどちらかが死ぬまで終わらないでしょう。私にはわかります。あの戦いは、そういう類のものだ。 まあもっとも、それを止められるのは同じ"主催者側"であるマスターだけなのですが……。……おっと失礼。どうやら向こうも決着がついたようですね。勝者は……クロイソス殿だ」 サーヴァントの言葉通り、いつの間にかクロイソスが地面に倒れ伏すペルカードを上から見下ろしていた。 そして倒れた彼に歩み寄りながら声をかける。「降参するなら、命までは取らないが?」 ペルカードはその言葉を鼻で笑い飛ばした。 「フッ、ハハハハハハハ!バカを言うな!ここまで来て引き下がれるものか!たとえここで朽ち果てようと、俺は最後まで戦い抜くぞ!それが騎士というものよ! さぁこいクロイソス!俺はまだ戦えるぞ!」 彼は立ち上がり、再び構えを取る。 その姿からは、もはや敗北の恐怖など微塵も感じられない。 「ふむ、ならば仕方がない。お前に敬意を表して、我が全力を持って相手しよう!」 対するリディア王もまた、自らの最強の技をもって応戦せんとする。 二人の視線がぶつかり合った次の瞬間、両者は同時に動いた。 「行くぞ、『金の魔貨・銀の聖貨(コイン・コイーン)』!!」クロイソスの手から大量の金貨と銀貨が発射される。 だがそれはただの貨幣ではなく、魔力によって生み出されたものである。クロイソスはそれを空中に投げ上げ、そして指を鳴らした。 するとコインは重力に従って落下することなく、その場で静止した。 まるで、一枚ずつが意志を持っているかのように、自ら宙に浮かび続けているのだ。 やがて全てのコインは、一斉にクロイソスに向かって飛来し始めた。 それに対してクロイソスは黄金の鎧を身に纏い、さらに手に持っていた短剣を頭上に掲げる。 「うおおおおおお!!!」 雄叫びと共に、クロイソスは短剣を振り下ろす。 その動作に連動するように、空中に浮いていたコイン達が一斉に動き出した。 そしてクロイソスの周りをぐるりと一周してから、彼の手元へと戻っていく。 最後に彼がもう一度短剣を振ると、先程までコインだったものは一瞬で金塊に変わっていた。 「『金の魔貨・銀の聖貨(コイン・コイーン)』はその名の通り、金と銀を生み出す宝具。 つまりクロイソスは、自分の望むものを自由に作り出すことができるのです。」 「何という宝具だ……」 サーヴァントの解説を聞いている間にも、試合は続いていた。 クロイソスは今度は両手を掲げ、そこにそれぞれ一本ずつの金の槍を作り出すと、一気に投擲してきた。 二本の槍は回転しながら飛び、ペルカードの身体を貫かんとする。しかしそれを、ペルカードは難なく避けて見せた。 「ふんっ、狙いが見え見えなんだよバーカ!」 そのままクロイソスに接近し、一撃を入れようとする。 だがクロイソスは余裕そうに笑うと、右手で拳を作り、振りかぶった。 次の瞬間、ペルカードに強烈な衝撃が走る。 なんと、クロイソスは右ストレートを繰り出してきたのである。 まともに食らってしまったペルカードはよろめきながらも、なんとか体勢を立て直す。 「なんだと!?︎くそ、小賢しい真似を……!」 「どうだ?これが俺の実力だ!さぁ、次は何を出す?」 クロイソスの言葉を聞きながら、ペルカードは相手の隙を探る。 あの宝具は、一度使うたびに莫大な魔力を消費するようだ。 それ故に、連発はできないはず。ならば、そこを狙うしかない。 (ならばまず、手数を減らす!)「喰らえ!」 再び距離を詰めて肉薄する。そして、渾身の力を込めて蹴りを放った。 しかしその攻撃も、クロイソスは腕をクロスさせて防御する。 ペルカードはそのまま回し蹴りの要領で足を横に振る。
先に動いたのは黒の騎士ペルカードの方だ。彼はその手に持つ漆黒の槍を構えながら相手に向かって駆け出す。 対するリディア王は右手を掲げ、そこから幾つもの金色のコインを空中に放り投げる。コインはくるくると回転しながら宙に浮かび上がる。次の瞬間、コインが光を放ち始める。眩く輝く金貨たちは一斉に空へと舞い上がりペルカードの頭上から降り注ぐ。 だがそんな攻撃もものともせず、黒の騎士は突き進む。 一方のリディア王の方はというと左手から今度は大量のコインを取り出しそれを自分の周囲にばら撒いた。 すると地面に落ちたコイン達がまた再び輝き始め、そこから矢のような光線を放つ。 上空からの無数の光線の雨に晒されながらも、黒の騎士はその足を止めない。 そのまま一気に距離を詰めると、手にした槍を突き出した。 対するリディア王もその身に纏う鎧の一部を変化させた盾を構える。 ガキンッ! 両者のぶつかり合う金属音と共に、一瞬の拮抗が生まれる。 しかしすぐに両者は互いに距離を取る。 続いて仕掛けたのは黒の騎士ペルカードだ。彼は両手に構えた槍を振り回し、まるで舞うように連撃を叩き込む。 それに対してリディア王はその場を動かず、ただひたすらその攻撃を受け止めるのみ。 やがて痺れを切らしたのはペルカードの方であった。 「ふんっ!」 彼は大きく飛び退き、手にしていた槍を投げ放つ。 彼の手を離れたそれは一直線に飛び、相手の胸元を狙う。 それに対しリディア王が取った手段はシンプル極まりないものであった。なんと自らの剣を抜き放ったのだ。 リディア王の剣は飛来してきた槍を打ち払い、そのまま振りかぶって投げ返す。 予想外の反撃を受けて体勢が崩れていたペルカードは避けきれず、まともに食らうこととなった。 「ぐあっ!?」 思わぬ一撃に苦悶の声を上げる彼だが、そんなことはお構いなしにリディア王は追撃を仕掛ける。 彼は右手に持った剣を振るいながらも、同時に左手に新たな黄金の剣を生み出しそれを投げつけてくる。 迫り来る二刀の刃に対し、ペルカードはとっさに両腕で防御の体制を取った。 しかしその程度のことで防げるような生易しい攻撃ではない。 「ぬあああ!!」 彼は全身に力を込め、踏ん張ることでなんとか攻撃を耐えきった。一方の攻撃を防いだところで、今度はもう片割れの刃が迫っている。 ペルカードは再び腕を交差させて受け止めようとするが、そこに容赦のない連続攻撃が叩き込まれる。 「ぐうぅ……!」 衝撃に耐えかねて思わず膝をつく。 一方でリディア王の方は全くと言っていいほどダメージを受けていないようだ。 先ほどのコインの一斉射撃といい、今の連続攻撃といい、明らかにこちらの方が分が悪い。 この勝負、このままでは負けてしまうだろう。その時、会場の隅で観戦している一人の男が立ち上がった。
【第一回】 サーヴァントバトルコロッセオ!それは英霊たちの戦いの場である!! 大勢の観客たちがそれぞれが推す英霊を応援し盛り上がっている。英霊たちの勝敗には多額の賭け金が飛び交いこの戦いを市民たちにとってよりスリリングなものとしている。
さて、もうすぐ最初の試合が始まることとなる。 二人の英霊が闘技場に姿を表した。 片方は漆黒の鎧に身を包んだ騎士である黒の騎士ペルカード。ランサークラスのサーヴァントだ。 もう片方は一転して綺羅びやかな宝石や細やかな装飾が施された黄金の鎧に身を包むアーチャークラスのサーヴァント、リディア王クロイソスだ。 果たして対象的な二人がどう戦うのだろうか。観客たちが見守る中、試合が始まった。
私、天埜羽々祢!1回死んだことがある16歳の女子高生! ある日目が覚めると私の胸が縮んでしまっていた! しかも天埜家三女・心祢と名乗る謎の巨乳妹が登場!? 「はばねーちゃんのむねはわたしがうばった」 「お゛の゛れ゛ぇ゛ー゛!゛」 「まな板なことには変わりないわよ愚妹1号」 けれど実は心祢には重大な秘密が隠されていて……? 「わたしはじつはせいはい(Gカップ)がつくりだしたあまらはばねのざんしなの」 「聖杯まで私を胸で煽るのかよぉー!」 この冬、天埜家と羽々祢の胸を巡る大決戦が繰り広げられる! 「わたしがいたらはばねーちゃんのむねはもうにどともどらないんだよ……?」 「知ったことか!妹に幸せになってほしいって思わない姉はいないんだよ!」 劇場版・天摩聖杯戦争外伝 Fate/Cup of Ace ~消えたBカップの謎~ 「ねたばれするとはばねーちゃんのむねはBからうえにはそだちません」 「ク゛ソ゛ァ゛ー゛!゛」
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>> 13 「そうなのかなぁ? 多分そうなのかなー。ごめん、実はよくわかってないや」
嘘をついても仕方がないし、自分にわかる範囲で答えてみる。 どうだろう、鉄道には乗車賃がいるそうだけれど、そんなものを払った覚えはない。すると、私は無賃乗車をしているのか、それともそもそも乗客じゃないのか。
「そういう風に質問するってことは、そっちも似たような立場なのかな? とにかく人がいて良かったなあ。これで誰も居なかったら、ひたすら歩き回ってるとこだったよ」
これは少しだけ不正確。私の性格を思えば、多分そのうち探すこと自体を諦めただろう。 だから、ある意味こうして人に出会えたのは、幸運だったと言えるのかもしれない。 とりあえず、ただそこにあるだけで時間を過ごすようなことは避けられたから。 ともかく、もう少し会話してみよう。まともな話が通じる相手は、久しぶりな気がする。
「えーと、君……と、そっちのお兄さんのお名前は? あ、私は名前忘れちゃってるから教えられないんだ、ごめんねー」
確認させて頂きました。 連日ありがとうございます。
>> 11 「そう……ですか。俺もそうなんだ。気付いたら、此処にいた」
少し、困らせてしまっただろうか? そうだとしたら申し訳ない。 考えれば、俺がこうして意味も理由もわからずに列車に乗っていたんだ。同じような人がいると考えるのが自然だった。 相も変わらず、思慮が浅い自分に嫌悪感が奔る。だが、今は自己嫌悪に浸っている場合じゃない。 分からないという状況は変わらないが、今俺と同じ状況にいる人──────言ってしまえば、仲間が出来たのは、非常に安心する状況と言える。
「俺は…石沢啓哉と言います。学生をやっていて……。差し支えなければ、貴方のお名前を聞かせてもらえますか? もし協力できれば、此処が何なのかわかるかもしれません」
>> 12 そう提案した時だった。誰かが近づいてくる足音が聞こえた。 扉の方に視線を移す。するとそこには、人影がいた。また1人、乗客がいるという事を確認できた。 この人や俺と同じように、理由もわからずこの列車に迷い込んだ人なのか、あるいは────────────。 どちらにせよ、俺にとって+になるというのは間違いない。前者ならば仲間が増えるし、後者ならば見識が増える。 そう俺は考えて、その人が扉を開いてこちらの車両に足を踏み入れると同時に、声をかけた。
「貴方も、この列車の乗客ですか?」
該当ページを更新いたしました。 ご確認ください。
連日申し訳ありません 「天魔聖杯戦争のシナリオ」のページの『マスター』の項目の1番下に こちらのファイルの中身の追加を依頼させて頂きたいです。 よろしくお願いします。
「はえー。これが電車かあ」
カラッポの人だから、何も知らない。常識というものの範疇に電車がどんなものかというものが入っているとしても、カラッポの自分にとっては、新鮮な風景だった。 記憶にある限り、自分は電子情報に分解されて死んだはずだった。なのに生きているというのは不思議な話で、しかも、ここはどうも月面都市(ムーンスカブ)とは違う場所だ。 死後の世界があるのかを知っているわけではないけれど、今のあの世というものは、こんなふうに魂を運んでいくのだろうか、なんて。 情報に還元されていた存在がそんなことを言うなんて、らしくないだろうか。それとも、逆に魂を情報化した新世代の魔術師(かもしれない人間)としては、ある意味全うな言葉だろうか。 そんな風に思いながら、窓の外の景色が次々と入れ替わるのを見ていたら、隣から人の声が聞こえた。
「もしかして、私みたいな人がいるのかな?」
独り言ちて、立ち上がる。様子を見てみて、もし話の通じそうな相手だったら、ここが何なのかを聞いてみようか。
20XX/○○/○○ 変な人 「梅田」でエマノンさんと会う前に、変な人と会った。 ……いや、サーヴァントとして喚ばれる人にそういう人は多いし、そもそもこの街自体変人の巣窟みたいなものだけど、それはともかくとして変な人だった。 スラッと背の高い、シルクハットとタキシードのオシャレなお姉さん。 街角を歩きながら、仰々しくお辞儀なんかして道行く人に語りかけたり、ひょうきんな動きをしながらどこか遠いところを見るようにしていたり。 どうも普通に人間らしく、しかも割りと周りの人も慣れている感じで、程々に受け流しながら相手をしていた、感じ。 どこかで喧嘩の声がしたら、そちらの方にふらっと行ったみたいだったけど、どういう人なのか全然わからない。 都市情報網でちょっと調べてみたけど、「梅田」にいる人だということ以外には、名前もよくわかってないんだとか。 たまたまこの件をエマノンさんに話したら、ちょっとだけ顔を強張らせてたけど、知り合いなんだろうか。それもあまりよろしくない感じの。 とりあえず、気にしないでもいい、とは言っていたけれど。どういう繋がりがあるんだろうか。気にならないではないけど、詮索はしないでおこうと思う。
>> 10
「おっと……失礼。少しぼんやりしていました」
声をかけられて、思索の海から意識が戻ってきた。声の主の方を見ると、どうやら高校生くらいの青年のようだ。 今しがた浮かない顔をしながら別の車両から来たことと、質問の内容を踏まえれば、どうも自分と同輩らしい。
「申し訳ありません。私も、この車両のことはよくわかっていないのです」
役に立てないことを申し訳なく思いつつも、続けて問うた。
「……あなたも、気がついたらここにおられたのでしょうか?」
確認させて頂きました。 複数の追加、更新ありがとうございました。
今回は一括で更新させていただきました。 同様に、今後泥を投げる一番最初の時に、新規ページ作成以外の依頼がある場合も、こちらで承ります。 SS一覧表のページも含めて更新しましたので、ご確認ください。
新規ページ作成の依頼なのですが このファイルの1行目をページタイトルに、2行目以降をページ内容にして作成を依頼させて頂いても大丈夫でしょうか。
それが可能でしたら、もう一つ「天魔聖杯戦争」のページの最後…『SS』の項目の表の下に |[[Intermezzo《AとA》]]|[[木兎理藍]]、赤い髪の女性、[[マスティマ]]|街に起こる異変、気に障る風、いつも通りの日常の裏に蠢く何かを突き止めるため行動を開始する藍。旅先で得た答えと、その答えの奥に待つ更なる謎。そして自分の為すべき事。多くの事を抱え込み、嬰児は『試練』へ足を踏み入れる。|藍の前日譚+召喚SS| の追加もお願いしたいですが、こっちは更新依頼に当たりそうなのでそちらで依頼した方が良いとのことでしたらそちらで改めて依頼させて頂きたいです。 重ね重ねよろしくお願いします。
ふと気が付くと、俺は電車に揺られていた。 ……いつの間に、俺は電車に乗っていたんだろう。いやそもそも、俺は何処に向かっているんだ? 学校……いや、学校は徒歩圏内にあるから電車に乗る必要はない。駅前…?いや、そこに行くぐらいだったら歩いて電車代を浮かせたい。 ……まずいな。思い出せない。昨日結構強めにコンクリートに頭ぶつけたせいか…?いやでも特に意識とかは飛ばなかったし……、血も出なかったし……。そんな後遺症がある筈が……。
いや、過ぎたことを振り返っていても仕方がないか。まずはこの電車が何処に向かってるのかから知るとしよう。 アナウンスか何かがあればいいんだが、車内は大分静まり返っている。周囲を見渡しても人はあまりいないようだった。 どうしたものか……。そうだ、ひとまずは別の車両に行こう。そうすれば、何か乗客がいるかもしれない。
いた。 別の車両に繋がるドアを開くと、穏やかそうな青年がため息をついている様が目に飛び込んだ。 ひとまずは、此処がどこなのか……というより、この電車は何処に向かっているのかを聞くとしよう。 まぁ、分からなければ分かる人が来るまで待てばいいか。
そんな心持ちで、俺は穏やかそうな雰囲気を持つ青年に対して声をかけた。
「あの……すいません。 この電車について……何か知っている事はありますか?」
色物な泥や逸話の方向性が似た変わった泥同士が絡んでる所が見たい 意外と静かだったりしてもいいし舞台は選ばず見てみたいなと…
……遠くで、喧騒を聴いた気がした。思い込みだったかもしれないが、少しだけ、人の気配はあったように思う。ただ、ついぞその正体は、私の前に現れることはなかった。
さて、どう考えても、ここは列車の中だった。ただし、都市間を結ぶ高速鉄道でも、ましてや私の棲まう「天王寺」の鈍行線でもないことは断言できた。 車窓からの景色は、モザイク市のそれとは違いすぎる。それどころか、常識にそぐわない異様な風景すらも時として映る。しかも、そこで実際に人の乗り降りがあるようだとなれば、大規模な幻術にかけられているのでもなければ、これは現実のことであるのに間違い無いだろう。 私が今乗り込んでいるこの列車は、あまりにも奇妙で、聴いたことも見たこともないような代物だと考えざるを得なかった。
そして、そんなものに乗り込んでいる自分というものについての記憶も、とんと私自身の中からは消え失せている。 確か、市議会の仕事で、「天王寺」内外の人々とあれこれと対話をしていたことだけは記憶してあるのだが、その跡がスッパリと抜け落ちている。 その状態で気づいたら乗り込んでいたこの列車が、怪しいものではないとは口が裂けても言えない。
とはいえ、である。 ……あまり不自然にならないように、列車の中を探索してみると、どうもこの列車は、旧世界において持て囃された観光用客車に性格が似ているようだった。通り一遍の乗客用個室、共用トイレ、一部には寝台車もあるほか、食堂らしきものもあった。 少なくとも、ここにいることで即座に命の危険が及ぶような感じではなさそうだ。となると、無理に脱出を図るよりは、様子を見てみるのが得策ということになるだろうか。
ほう、と、大変なことになってしまった様子だということにため息をつく。どうやら自分のサーヴァントもいない。いたとしても脱出に助力してくれそうかというとそうでもないように思われるが、ともかく、既知の味方を頼ることはできないのだ。 さて。どうしたものだろうか?
次の駅は、█████……█████……
/取り敢えず今回はこれを区切りの目印としておきます。本来の用途ならこういうのはいらないと思いますが、前回の投稿から間が空いたのでリセットということで…… /あと、このように「/」が文頭にある文章は、全てロールプレイをしている泥主の発言であるということです。ご活用ください。
スペースシャトルのチャレンジャーとコロンビア姉弟が動いているところを見てみたい 泥新宿舞台でもカルデア舞台でも良いので…
20XX/○○/○○ お巡りさん 昔の警察は、今とは違って、色んな犯罪の調査をしていたって聞いたことがある。でも、今はそういうことを全部カレンがやってしまうから、警察が自分で操作する必要が薄れて、すっかり街の便利屋さんみたいになってしまったんだとか。 そういう便利屋さんのお巡りさんは、個人的にはあんまり有難い人ではない。誰かに言われるまでもないけど、中学生がこんな家で一人暮らししてるなんておかしな話なんだ。だから、何かあると口うるさく言われそうで、なるべくご厄介にはならないように気をつけてる。 でも、今日はそういうお巡りさんに捕まりかけた。逮捕されるとか、そういうことはないだろうけど、学校帰りの私の様子をたまたま見られちゃったみたいで、変なところ(これでもお下がりとはいえマイホーム!)に帰っていくのを怪しまれてたみたい。 ……旧新世界方向の裏道を知っててよかった。こっそりそっちの方から抜け出して、上手く見失わせることには成功したから。 サーヴァントらしいおじいさんとあれこれ言い争いをしていたり、後輩、かな? 女の人とも騒がしくしてて、辺りの家の人からうるさいってどやされてた。あの分なら、私のこともそのまま見逃してくれるだろう。 ……念のために、当分は顔を合わせないように注意しておこう。うん。
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サーヴァントバトルコロッセオ!それは英霊たちの戦いの場である!!
この闘技場ではまるで古代ローマの剣闘士たちのように、日夜戦いが繰り広げられている。
サーヴァントと名がついているが別に普通の人間たち同士で戦うこともある。
魔術師を普通の人間と呼ぶのならば、だが。
今回はそんな試合をご紹介しよう。
ますは2102年から来た男、水無月サクヤが入場する。どう見てもただの高校生だ。こいつにマスター戦とかできるのだろうか。
彼のスペックをフルに発揮できるようここは電脳世界ということにしておいてやろう。
対する相手は『AIのべりすと』が作り上げたマスターである李小蓮の登場だ。
ガチガチの武闘派マスターである李小蓮!観客たちも彼女の勝利は間違いないと思っているようだ。
無理もないだろう。水無月サクヤはどうみてもただのチャラい高校生にしか見えないのだから。
互いに挨拶をし終えた後、マスター同士による注目の一戦が始まった。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
ブラックスミスはもう、限界だ。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
もはや、立っていることすら奇跡に等しい。だがそれでも、彼は立ち上がる。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
ついに、ブラックスミスは倒れ伏す。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」
バーサーカーは、その巨体を震わせ、天へと叫ぶ。
「Astolfooooohhh!!!!」
そして、その拳を、振り下ろす。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
ブラックスミスだったものは、もはや原形を留めていなかった。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」
試合が終わってもバーサーカーは叫び続ける。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
それは、正に、嵐。荒れ狂う、猛威の化身。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
だが、それ故に、その一撃は、必殺となる。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
彼は、バーサーカーなのだから。
彼の前に、敵など、存在しない。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
ゆえに、彼は、無敵。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
勝者はバーサーカー。
「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」「Astolfooooohhh!!」「───」
だが、この結末は当然だろう。
彼は最強。最強のバーサーカー。
彼は、決して負けない。
たとえ相手が神であろうとも。
彼は、最強だからだ。
「──────────」
バーサーカーが、立ち上がった。
「え?」
「Astolfooooohh!!」
「なっ───」
「うおおおおぉおああぁアァアアアッ!!」
「くっ…………」
「Astol!!」
バーサーカーが、再び突進してくる。
だが、ブラックスミスの表情に変化はない。
「……」
そして、またあの詠唱を始める。
「───」
「Gaaaahh!!」
だが、今度は止まらない。
「…………」
「Astol!!」
「……仕方ないか……」
「Ga!?」
ブラックスミスが、右手を前に出す。すると、彼の目の前に巨大な盾が現れた。
「……!」
「Astol!!」
「───ッ!!」
「Astolfooooohhh!!!」
そして、激突。
だが、今回は拮抗しなかった。
「うああっ───」「Gyaaaaaahh───」
押し切られたのは、ブラックスミスの方だった。
「───」
だが、まだ終わらない。
「Astol!!」
「───ッ!!」
「Astolfooooohhh!!」
「─────」
「Astolfooooohhh!!」
「─────」
「Astolfooooohhh!!」
「─────」
「Astolfooooohhh!!」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
ブラックスミスが膝をつく。その体には無数の切り傷があり、血を流している。
対して、バーサーカーはほとんど無傷。
「!?」
「Astolfooooohh!!」
直後、バーサーカーの背後から、声が響いた。
「──────────」
「………………あ?」
それは、何かの詠唱だった。
だが、何の呪文かわからない。理解できない言葉だった。
「………………」
「……!」
「………………」
「ッ──────!!」だが、それがどうしたと言うのか。
「Gaaaaahhaaaaahhh!!!」
そんなものは、関係ない。
「────────────」
バーサーカーは、振り向かずにそのまま突っ込んだ。
「Astolfooooonnn!!!」
そして、ブラックスミスの姿を捉えた瞬間、彼は叫んだ。
「────────────」
だが。
その時既に、勝敗は決していた。
「────────────」
バーサーカーが、自分の首に刺さっている短刀を見た。
「…………」
だが、何も言わない。
何故なら、もう終わっているからだ。
「───」
ブラックスミスの手には、先程までなかったはずの一冊の本があった。
そしてその表紙を、黒い光が覆っていた。
「……」
だが、バーサーカーは何も言わずに崩れ落ちた。
「───」
その後頭部に、ぽつりと血の花が咲いた。
バーサーカーは、倒れ伏した。
「……………………ふぅ」
ブラックスミスの勝利だ。「…………」
ブラックスミスが、ゆっくりと息を吐いて、構えを解く。
「勝った」
そして、そう言った。
「……」
だが。
その頭を踏みつける。ぐりぐりと、踏み躙るように。
バーサーカーの目が見開かれる。
そこに映るのは怒りではない。
憎しみでもない。
ただ、退屈。それだけだ。
つまらない。ただひたすらにつまらん。
そう感じている。
この男の本性は、おそらくこちらだろう。観客を、作品を、己自身を、愛している。
だからこそ、それらを傷つけられることを何よりも嫌う。
だが、同時に、彼は、自分自身もまた、作品の一つなのだと考えている。
彼の作品は、彼自身。
そして、彼の作品に傷をつけることは、彼にとって、自分を傷付けられることに等しい。
だから、許せないのだ。自分の作品が、他人によって汚されることを。
「俺は、俺の作品は完璧であるべきだ。それは、俺自身が最高傑作であるという証明でもあるからだ。それを、否定する奴がいる。ふざけるんじゃねぇぞ。誰であろうと、絶対に許さん。俺が、俺の作品を侮辱することは……俺自身を否定することだ。俺が俺を殺せば、作品は完成しなくなる。俺が俺の作品を殺すということは、俺を俺が殺すのと同義だ」
「…………」
「お前は、俺を怒らせた。俺の作品に泥を塗った。お前のようなクズには死すら生温い。俺の怒りを知れ。悔い改めよ。それが、お前にできる唯一の贖罪であり救済だ」
「Astorfooooooooooo!!!!!!!!」
「お前に、俺の最高傑作をくれてやる。ありがたく思え。お前に相応しい舞台を用意してやった。お前が俺と戦うのに相応しくない場所だと? 馬鹿を言うな。俺の戦いにふさわしい場所はここしかない。さあ、戦おうぜ。最高の演者同士による、最高の舞台で、最高に楽しく、最高に派手に、最高に盛り上がって、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に、最高に!最高な戦いを始めようじゃねぇか!」
「Astolfooo!!! Fooooaaahhh!!!」
「俺が憎いか。俺が殺したいか。いいとも! 来いよベネット! その怒り、憎悪、殺意、全て受け止めてやろう! お前はそこで見ていればいい! お前のために用意した、最高に楽しい余興を、とくと味わってくれ!!」
「Astorfoooooooooo!!!」
「行くぞオラァアアッッ! 俺の最高傑作を、テメェに叩き込んでやるよォオオオオッ!!」
「Astolffu!!! Astoldouf!(アストルフォ!!!ああ、素晴らしい!)」バーサーカーは、手にした剣を振り上げた。
まるで、獣のように。
そして、彼は叫んだ。
それは、まさに。
獣の雄叫びだった。
バーサーカーの宝具、『不毀の極刃(ドゥリンダナ)』が振り下ろされる。ブラックスミスは、避けない。
そのまま立ち尽くしている。
直撃すれば、間違いなく即死だろう。だがブラックスミスは、微動だにせずそれを待ち構えている。
「FuOooooooo!!!!」
「…………」
そして、ついに。
彼の脳天目掛けて『不毀の極刃(ドゥリンダナ)』が落下し。
その瞬間、ブラックスミスの姿が消えた。
「な、なにをしている!?」
「ちょ、ちょっと、グロすぎますよ!!」
「血だらけじゃねぇか!!」
「ほら、見てくれ。この傷を。痛々しいだろ。だから、お前達の心に訴えかけているんだよ。お前達を楽しませるために、あえてこんなことをしたんだ。どうか許してくれないか。お前達を喜ばせるためなら、どんなことでもするから。なぁ、頼むよ。なぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁ」
「な、なにがお前をそこまでさせるんだ……!?」
「俺を楽しませてどうするつもりだ!!」
「ひいっ!!」
「こ、怖い!!」
観客は悲鳴をあげる。ブラックスミスは笑顔のまま、無言で彼らの顔を見ている。
「た、助けて!!」
「た、たすけてー!!」
彼らは泣きながら逃げ出した。
「待ってくれよぉ!!」
「置いてかないでくれよぉ!!」
「俺はお前らに最高のエンターテイメントを提供するぞぉ!!」
「嫌だぁあああ!!」
「たすけてぇえええ!!」
「俺を置いていかないでくれよぉ!!」
こうなってはもはや試合どころではない。観客は皆逃げていき、残っているのはブラックスミスとバーサーカーだけになった。
「おい、バーサーカー。あいつらを追っかけようぜ。俺が連れてきてやるからよ。なに、簡単さ。追いかけっこだよ。お前が逃げる連中を追いかければいい。そして全員捕まえたら勝ちだ。簡単だろ? なぁ、やろうぜ?やらないのか? あ? やれよ。なぁ。俺と遊ぼうぜ。なぁ、なぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁ!!」
「Astolfoooooooooooo!!!!」
バーサーカーが走り出した。ブラックスミスは剣を構える。
「ふんぬぅうううううう!!」
バーサーカーがブラックスミスをぶん殴った。吹っ飛ばされる。
「なにやってんだよぉおおお!! もっと俺を楽しませろよぉ!!俺は……俺の作った物を楽しんでくれる観客が好きなだけだ!!」
「Astolfoooooo!!!!」
「うるせぇよ!! 俺が楽しむには観客が必要なんだよ!! 俺が満足するためにお前らは存在するんだ!! そうだろぉお!?」
「Astolfo!!」
「なに言ってるか分かんねぇよぉおお!! 黙って殴られやがれ!!」
「Astorfooooooooo!!」
「ぐわぁああ!!」
ブラックスミスがぶっ飛んだ。
「もういい。飽きた」
「Astolfo?」
「なぁんか、面白くねぇよなぁ。俺が作ればもっと面白いはずなのによ。なにがいけねぇんだ? もっと観客を沸かせられるはずだ。もっと観客を喜ばせてやりゃあ俺も嬉しい。俺が楽しい。お前らも楽しい。それで良いじゃねぇか。なんでそれができねぇ?」
「Astorfoooo!」
「なにを怒ってるのか知らねぇけど、俺が気に食わないなら、殴り返してみろよ。ほぉら、どうした。来いよ! なぁ!!」
「Asto-」
「遅いッ!!」ブラックスミスが腹パンをぶち込んだ。
バーサーカーが膝をつく。
ブラックスミスが指示を出すと、恐竜達は一斉にバーサーカーへと襲いかかる。しかし、恐竜達の攻撃は全てかわされてしまい、逆に反撃されてしまう。
「うぐぅ……」
「ブラックスミスさん!!」
「そんな……」
「うおおおっ!!」
バーサーカーは恐竜達に気を取られている隙にブラックスミスに近づき、彼の腹に拳を叩き込む。「がふッ!?」
「ブラックスミス!!」
「ブラックスミス!!」
「ブラックスミス!!」
「ブラックスミス!!」
ブラックスミスは吹っ飛ばされ、壁に激突し、そのまま気絶してしまった。
そして、バーサーカーはブラックスミスの方を向いた。
ブラックスミスは、スーツのポケットから、小さな瓶を取り出し、その蓋を開ける。
すると、中から、白い煙のようなものが出てくる。「な、なんですか? あれ……」
「さ、さあ……?」
「む? なにか、様子が変だぞ?」
「た、確かに」
「どうしたんでしょうか?」
「……?」
観客が不思議に思っていると、突然、黒い霧のような物がブラックスミスを包み込み始める。
「なんだこれは!? き、消えていく!? どういうことだ!!」
「うおっ!!」
「な、なんじゃありゃ!!」
「お、おい、まさか、あいつ消えるのか!?」
「おい、嘘だろう? まだ決着ついてないじゃないかよぉ!!」
観客が騒いでいると、ブラックスミスの姿が変わっていき、やがて完全に消えた。
「ど、どこに行ったんだ?」
「も、もう終わりなのか……?」
「………………?」
「ああ……なんて素晴らしい戦いだったのだ……」
「え……」
「な、何言ってるんですか……?」
「すげぇ……あんな化け物相手に一歩も引かずに戦ってたぜ……」
「ブラックスミスさん、凄かったなぁ……」観客達が感動していると、「いいや、まだまだだね」と誰かが言った。
声がした方を見ると、そこにはブラックスミスが立っていた。「な、なにぃ!?」
「ば、馬鹿な!!」
「い、一体、どうやって復活したんだ!!」
「なにを言っている。私は最初からここにいるが?」
「なにを言っているのはこっちのセリフだ!!」
「そうですよ!!」
「そうだ、そうだ!!」
観客達は口々に言う。しかし、ブラックスミスには通じていない。
ブラックスミスは自分の手を見た後、自分の腕の皮膚を剥がしてみせた。
そんな中で、遂に勝負が決まろうとしていた。バーサーカーが走り出す。それに反応して、ブラックスミスは迎え撃つべく構える。
そして次の瞬間、両者がぶつかり合った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「きゃあああああああ!?」
「うぎゃああああああ!?」
その衝撃は凄まじいものだった。まるで地震でも起こったかのように地面が大きく揺れたのだ。
ブラックスミスも吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
しかし、バーサーカーの方も、ダメージが大きかったのか、膝をついてしまう。
ブラックスミスは、よろめきながらも立ち上がり、剣を構え直す。だが、もう限界なのか肩が激しく上下に動いている。
「ああっ、これはまずいか……?」
「どうやら決着がついたようですね……」
「そんな……!」
「そんなことってあるんですかっ!」
観客たちは、この結末を受け入れられないようだ。
その時、ブラックスミスが動いた。彼は懐から何かを取り出し、それを天に掲げると、突然光り出した。
それは、とても眩しく、目を開けていられなかった。
光が収まり、目を開けると、そこには、先程まで戦っていたはずの二人の姿は無く、代わりに、二人の男が立っていた。
一人は、全身を黒の衣装に身を包んだ、長身の男。
もう一人は、スーツを着た、金髪の男性。
二人は、互いに睨み合っている。
「な、なんだこれ?」
「え、どういうことだ?」「も、もしかして、今、あの二人が、闘っているんじゃないでしょうか?」
「そ、そういえば、なんか、声が聞こえるような……」
「お、おい、あれって……」
観客たちがざわめく。
そして、ブラックスミスは、スーツ姿のバーサーカーに向かって、宝具である『W.・F.・D(ワールドフェイクデイドリーマー)』 を放つ。
「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「きゃー!!」
「な、何だ!?」
「一体、なにが起こってんだよ!!」
「どっちが勝ったんだ!!」
観客が混乱する中、突如、会場が揺れ始めた。
すると、観客席の壁の一部が開き、そこから、巨大な恐竜が現れた。
「ぎゃあああ!!」
「に、逃げろ!!」
「た、助けてくれぇ!!」
「いやぁぁぁ!!」
「ま、待て!! 俺を置いていくな!!」
「ひぃいい!!」
「くっ……! こうなったら、やるしかないか!」
(こいつらは、ただの人間じゃない)
「はああっ!!」
ブラックスミスが叫ぶと、ブラックスミスの周囲に、恐竜や怪獣などの模型が現れる。
「さ、再現完了! 行け!!」
まず仕掛けたのはバーサーカー、手近にあった鉄柱を持ち上げるとそのまま振り下ろす。
対してブラックスミスはそれを難なく避ける。
さらにバーサーカーの攻撃が続く、今度は壁を破壊して瓦礫を飛ばしてきた。
これには流石のブラックスミスも避けきれずいくつか食らう。しかし、致命傷には至らない。
次にブラックスミスは何かを取り出した。それは一冊の古びた本。表紙の文字を見る限り魔術書の類だろうか。
それを開き、呪文のようなものを唱え始めた。すると、黒い炎のような物が吹き出し、バーサーカーに襲いかかる。
「おおっと! ここでブラックスミス選手の攻撃が決まったァ!」
確かに決まったように見えたのだが、当のバーサーカーは全く効いていない様子。
逆にバーサーカーの方からも反撃が来る。巨大な拳が繰り出され、それをまともに受けたブラックスミスは大きく飛ばされ、地面に叩きつけられる。「ぐっ……!?」
かなりのダメージを負ったのか、ブラックスミスはそのまま動かなくなる。
どうやら気絶してしまったようだ。
「ああっ、これはまずいぞ! バーサーカーの勝利かと思われたその時、なんとブラックスミスが意識を取り戻したああ!!」
そしてそのまま立ち上がり、再び戦闘態勢に入る。
「まだやる気なのか、あいつ……」
「そのようですね」
しかし、そんな状況でも、ブラックスミスは戦い続ける。今度は剣を構え、果敢に攻めていく。
対するバーサーカーも応戦し、両者の攻防が続く。
そして、一瞬の隙を突いて、ブラックスミスの攻撃が決まる。
それは、今までで一番大きいダメージを与えた一撃であった。
「おおっと、ここでついにブラックスミスの攻撃が決まったああ!」
「すげぇ、やるじゃねぇかアイツ!!」
「いけえ、ぶっ殺せ!!」
「あのバーサーカーに勝てるかも!!」
「頑張ってください!!」
観客たちからの声が飛ぶ。
だが、それでもバーサーカーはまだ倒れない。
バーサーカーが手に持っていた武器を構える。それは大ぶりの剣だった。
「お、おいあれってまさか……」
「そう、彼が持っているのは不毀の極刃。その名の通りの宝具です!!」
「不毀の極刃、だと?」
ブラックスミスは、それが何を意味するか理解しているらしく、少し焦っているようにも見える。
「なぁ、アレやばくね?」
「だよなぁ……。あんなの食らったら死ぬんじゃねぇの?」
「だな……」
「いいから黙って見てろよ。面白いからよぉ!!」
観客たちも不安を感じているらしい。
【第二回】
サーヴァントバトルコロッセオ!それは英霊たちの戦いの場である!!
この闘技場では英霊たちが日夜戦いを繰り広げている。どの試合も相手が消滅するまで戦い合うことだろう。
その決死の戦いを見て観客たちは盛り上がるのだ。
さて、どうやら次の試合が始まるようだ。
出てきたのは筋骨隆々のバーサーカー。対するのはエクストラクラスであるブラックスミス。
彼もなかなかの身長だがバーサーカーと比べては子供も同然だ。
観客たちもこれはどう見てもバーサーカーが勝つと思っているようでブラックスミスへの声援は少ない。
そして試合のゴングが鳴った。
「まだだ……まだ……!」
「………………」
「負けられないんだよ……俺は……!」
「………………」
「だから………………死ね。」
クロイソスは右手に持っていた槍を放り捨て、空いた手でコインを生成し始める。
そしてそれを、渾身の力を込めて投擲してきた。
「ッ!くっ……!」
「ぬおっ……!」
ペルカードは避けようとするが、間に合わない。
彼は咄嵯に右腕を前に出し、防御の姿勢を取った。
しかし、衝撃は来なかった。
ペルカードが顔を上げて見ると、クロイソスの姿が無い。
慌てて周囲を見回すと、上空高くからこちらを見下ろすクロイソスを発見した。
どうやら、ペルカードの頭上を飛び越え、背後を取っていたようだ。
「終わりだ!!」
クロイソスは左手に持った剣を突き出す。「……!」
ペルカードは振り向きざまに槍を振るおうとする。しかしその前に、クロイソスの放った刃先がペルカードの心臓を貫いた。
「……!」
ペルカードは目を大きく見開く。
それと同時に、胸元に強烈な痛みを感じた。
しかし、それも束の間。
意識が薄れていき、何も考えられなくなる。
目の前が暗くなっていき、全てが闇に包まれていく。
最後に聞こえたのは、クロイソスの呟きだった。
「さようなら、我が宿敵よ……」
(………………そうか……そういう事だったのか……)
その言葉を最後に、ペルカードの思考は途絶えた。
————
「……」
「……」
静寂がその場を支配する。
ペルカードの身体は崩れ落ち、地面に倒れ伏した。
クロイソスはその様子を、じっと見つめている。
やがて、彼が口を開いた。
「勝ったぞ、イアソン。お前との約束通り、仇は取ったぞ。」
クロイソスは空に向かって語りかける。
「甘いわっ!」
だがそれも、クロイソスには簡単に避けられてしまった。
逆に彼はペルカードの背後に回り込み、槍を突き刺そうとする。
「……ッ!」とっさに体を捻って避けるが、肩口を少し掠めてしまう。
血が滲み出るが、気にしている暇はない。
すぐに振り返り、追撃をかける。
クロイソスは今度は左手からコインを生み出し、投げつけてくる。
ペルカードは身を低くして走り抜け、クロイソスの懐に飛び込んだ。
そのまま腹部に向けて、掌底を放つ。
「ぬぐぅ!!」
流石のクロイソスもこれを防ぎきれず、後ろに仰け反ってしまう。
その隙を逃さず、ペルカードは足払いを仕掛けた。
だがクロイソスはすぐに立ち上がると、大きく跳び退いて回避した。
そして空中に浮かんだまま、また新たな宝具を作り出し始める。
「まだまだ行くぞ!」
「させるか!」
再び接近しようとするペルカードを牽制するように、クロイソスは次々とコインを投げていく。
ペルカードはそれらを全て弾き飛ばし、一気に距離を詰めた。「無駄ァ!!」
勢いのままに拳を振り下ろす。
クロイソスはそれを槍の柄で受け止めると、そのまま押し返そうと力を込める。
しかし、そこで異変が起きた。
突然ペルカードの足元が光を放ち始めたのだ。
「なにっ!?︎」
「おぉっ!?︎なんだこりゃあ!?︎」
同時にクロイソスが動揺の声を上げる。
二人は驚きつつも離れようとしたが、遅かった。
次の瞬間、二人の身体は眩い光の渦の中に飲み込まれていた。
二人が立っていた場所を中心に、まるで竜巻のような風が吹き荒れる。
それは周りの木々をなぎ倒し、地面の土を巻き上げていった。
やがて光が収まり、視界が戻る。
そこには、先ほどまでの光景は無くなっていた。
あるのは、クレーターのようにえぐれた大地のみ。
周りにあった木や草は全て消え失せており、代わりに黒焦げになった岩や砂が広がっている。
その中心で、二人の戦いはまだ続いていた。
「おおおおおおおおおおおお!!!!」
「うおらああああああ!!!」
「おおおおおおっっっっっっ!!!!!!!!」
ペルカードは全力の一撃を繰り出す。
対するクロイソスもまた、全身全霊の力を込めた突きを繰り出してきた。
互いの力が拮抗し、一瞬だけ動きが止まる。そして、爆発が起こったように弾けた。
二人の鎧が砕け散り、辺りに散らばる。クロイソスの鎧は、彼の頭部と左腕の籠手、そして腰の部分しか残っていなかった。
一方のペルカードも鎧の大半を失っており、残った部分もボロ布と化している。
両者ともに満身創痍であり、立っているだけでもやっとの状態だ。
だが、それでも戦いは終わらない。
「……これは、いけませんね。あの二人、本気で殺し合いを始めていますよ」
そう言って眼鏡の位置を直しながら呟いたのは、審判役のサーヴァントだった。
その言葉に周りの者達はどよめく。
「なんですと?まさか、そのようなことが……」
「本当ですとも。私の目は誤魔化せません。あれは間違いなく、相手を殺めるつもりで戦っている。それもどちらかが死ぬまで終わらないでしょう。私にはわかります。あの戦いは、そういう類のものだ。
まあもっとも、それを止められるのは同じ"主催者側"であるマスターだけなのですが……。……おっと失礼。どうやら向こうも決着がついたようですね。勝者は……クロイソス殿だ」
サーヴァントの言葉通り、いつの間にかクロイソスが地面に倒れ伏すペルカードを上から見下ろしていた。
そして倒れた彼に歩み寄りながら声をかける。「降参するなら、命までは取らないが?」
ペルカードはその言葉を鼻で笑い飛ばした。
「フッ、ハハハハハハハ!バカを言うな!ここまで来て引き下がれるものか!たとえここで朽ち果てようと、俺は最後まで戦い抜くぞ!それが騎士というものよ! さぁこいクロイソス!俺はまだ戦えるぞ!」
彼は立ち上がり、再び構えを取る。
その姿からは、もはや敗北の恐怖など微塵も感じられない。
「ふむ、ならば仕方がない。お前に敬意を表して、我が全力を持って相手しよう!」
対するリディア王もまた、自らの最強の技をもって応戦せんとする。
二人の視線がぶつかり合った次の瞬間、両者は同時に動いた。
「行くぞ、『金の魔貨・銀の聖貨(コイン・コイーン)』!!」クロイソスの手から大量の金貨と銀貨が発射される。
だがそれはただの貨幣ではなく、魔力によって生み出されたものである。クロイソスはそれを空中に投げ上げ、そして指を鳴らした。
するとコインは重力に従って落下することなく、その場で静止した。
まるで、一枚ずつが意志を持っているかのように、自ら宙に浮かび続けているのだ。
やがて全てのコインは、一斉にクロイソスに向かって飛来し始めた。
それに対してクロイソスは黄金の鎧を身に纏い、さらに手に持っていた短剣を頭上に掲げる。
「うおおおおおお!!!」
雄叫びと共に、クロイソスは短剣を振り下ろす。
その動作に連動するように、空中に浮いていたコイン達が一斉に動き出した。
そしてクロイソスの周りをぐるりと一周してから、彼の手元へと戻っていく。
最後に彼がもう一度短剣を振ると、先程までコインだったものは一瞬で金塊に変わっていた。
「『金の魔貨・銀の聖貨(コイン・コイーン)』はその名の通り、金と銀を生み出す宝具。
つまりクロイソスは、自分の望むものを自由に作り出すことができるのです。」
「何という宝具だ……」
サーヴァントの解説を聞いている間にも、試合は続いていた。
クロイソスは今度は両手を掲げ、そこにそれぞれ一本ずつの金の槍を作り出すと、一気に投擲してきた。
二本の槍は回転しながら飛び、ペルカードの身体を貫かんとする。しかしそれを、ペルカードは難なく避けて見せた。
「ふんっ、狙いが見え見えなんだよバーカ!」
そのままクロイソスに接近し、一撃を入れようとする。
だがクロイソスは余裕そうに笑うと、右手で拳を作り、振りかぶった。
次の瞬間、ペルカードに強烈な衝撃が走る。
なんと、クロイソスは右ストレートを繰り出してきたのである。
まともに食らってしまったペルカードはよろめきながらも、なんとか体勢を立て直す。
「なんだと!?︎くそ、小賢しい真似を……!」
「どうだ?これが俺の実力だ!さぁ、次は何を出す?」
クロイソスの言葉を聞きながら、ペルカードは相手の隙を探る。
あの宝具は、一度使うたびに莫大な魔力を消費するようだ。
それ故に、連発はできないはず。ならば、そこを狙うしかない。
(ならばまず、手数を減らす!)「喰らえ!」
再び距離を詰めて肉薄する。そして、渾身の力を込めて蹴りを放った。
しかしその攻撃も、クロイソスは腕をクロスさせて防御する。
ペルカードはそのまま回し蹴りの要領で足を横に振る。
先に動いたのは黒の騎士ペルカードの方だ。彼はその手に持つ漆黒の槍を構えながら相手に向かって駆け出す。
対するリディア王は右手を掲げ、そこから幾つもの金色のコインを空中に放り投げる。コインはくるくると回転しながら宙に浮かび上がる。次の瞬間、コインが光を放ち始める。眩く輝く金貨たちは一斉に空へと舞い上がりペルカードの頭上から降り注ぐ。
だがそんな攻撃もものともせず、黒の騎士は突き進む。
一方のリディア王の方はというと左手から今度は大量のコインを取り出しそれを自分の周囲にばら撒いた。
すると地面に落ちたコイン達がまた再び輝き始め、そこから矢のような光線を放つ。
上空からの無数の光線の雨に晒されながらも、黒の騎士はその足を止めない。
そのまま一気に距離を詰めると、手にした槍を突き出した。
対するリディア王もその身に纏う鎧の一部を変化させた盾を構える。
ガキンッ! 両者のぶつかり合う金属音と共に、一瞬の拮抗が生まれる。
しかしすぐに両者は互いに距離を取る。
続いて仕掛けたのは黒の騎士ペルカードだ。彼は両手に構えた槍を振り回し、まるで舞うように連撃を叩き込む。
それに対してリディア王はその場を動かず、ただひたすらその攻撃を受け止めるのみ。
やがて痺れを切らしたのはペルカードの方であった。
「ふんっ!」
彼は大きく飛び退き、手にしていた槍を投げ放つ。
彼の手を離れたそれは一直線に飛び、相手の胸元を狙う。
それに対しリディア王が取った手段はシンプル極まりないものであった。なんと自らの剣を抜き放ったのだ。
リディア王の剣は飛来してきた槍を打ち払い、そのまま振りかぶって投げ返す。
予想外の反撃を受けて体勢が崩れていたペルカードは避けきれず、まともに食らうこととなった。
「ぐあっ!?」
思わぬ一撃に苦悶の声を上げる彼だが、そんなことはお構いなしにリディア王は追撃を仕掛ける。
彼は右手に持った剣を振るいながらも、同時に左手に新たな黄金の剣を生み出しそれを投げつけてくる。
迫り来る二刀の刃に対し、ペルカードはとっさに両腕で防御の体制を取った。
しかしその程度のことで防げるような生易しい攻撃ではない。
「ぬあああ!!」
彼は全身に力を込め、踏ん張ることでなんとか攻撃を耐えきった。一方の攻撃を防いだところで、今度はもう片割れの刃が迫っている。
ペルカードは再び腕を交差させて受け止めようとするが、そこに容赦のない連続攻撃が叩き込まれる。
「ぐうぅ……!」
衝撃に耐えかねて思わず膝をつく。
一方でリディア王の方は全くと言っていいほどダメージを受けていないようだ。
先ほどのコインの一斉射撃といい、今の連続攻撃といい、明らかにこちらの方が分が悪い。
この勝負、このままでは負けてしまうだろう。その時、会場の隅で観戦している一人の男が立ち上がった。
【第一回】
サーヴァントバトルコロッセオ!それは英霊たちの戦いの場である!!
大勢の観客たちがそれぞれが推す英霊を応援し盛り上がっている。英霊たちの勝敗には多額の賭け金が飛び交いこの戦いを市民たちにとってよりスリリングなものとしている。
さて、もうすぐ最初の試合が始まることとなる。
二人の英霊が闘技場に姿を表した。
片方は漆黒の鎧に身を包んだ騎士である黒の騎士ペルカード。ランサークラスのサーヴァントだ。
もう片方は一転して綺羅びやかな宝石や細やかな装飾が施された黄金の鎧に身を包むアーチャークラスのサーヴァント、リディア王クロイソスだ。
果たして対象的な二人がどう戦うのだろうか。観客たちが見守る中、試合が始まった。
私、天埜羽々祢!1回死んだことがある16歳の女子高生!
ある日目が覚めると私の胸が縮んでしまっていた!
しかも天埜家三女・心祢と名乗る謎の巨乳妹が登場!?
「はばねーちゃんのむねはわたしがうばった」
「お゛の゛れ゛ぇ゛ー゛!゛」
「まな板なことには変わりないわよ愚妹1号」
けれど実は心祢には重大な秘密が隠されていて……?
「わたしはじつはせいはい(Gカップ)がつくりだしたあまらはばねのざんしなの」
「聖杯まで私を胸で煽るのかよぉー!」
この冬、天埜家と羽々祢の胸を巡る大決戦が繰り広げられる!
「わたしがいたらはばねーちゃんのむねはもうにどともどらないんだよ……?」
「知ったことか!妹に幸せになってほしいって思わない姉はいないんだよ!」
劇場版・天摩聖杯戦争外伝 Fate/Cup of Ace ~消えたBカップの謎~
「ねたばれするとはばねーちゃんのむねはBからうえにはそだちません」
「ク゛ソ゛ァ゛ー゛!゛」
一部それなりに大きな変更がありましたので、独断で旧版を残しつつ更新しました。
全く不要であるということでしたらお申し付けください。
度重なる更新ですいません
クーマラのページをリンクの内容に変更お願いします
>> 13
「そうなのかなぁ? 多分そうなのかなー。ごめん、実はよくわかってないや」
嘘をついても仕方がないし、自分にわかる範囲で答えてみる。
どうだろう、鉄道には乗車賃がいるそうだけれど、そんなものを払った覚えはない。すると、私は無賃乗車をしているのか、それともそもそも乗客じゃないのか。
「そういう風に質問するってことは、そっちも似たような立場なのかな?
とにかく人がいて良かったなあ。これで誰も居なかったら、ひたすら歩き回ってるとこだったよ」
これは少しだけ不正確。私の性格を思えば、多分そのうち探すこと自体を諦めただろう。
だから、ある意味こうして人に出会えたのは、幸運だったと言えるのかもしれない。
とりあえず、ただそこにあるだけで時間を過ごすようなことは避けられたから。
ともかく、もう少し会話してみよう。まともな話が通じる相手は、久しぶりな気がする。
「えーと、君……と、そっちのお兄さんのお名前は?
あ、私は名前忘れちゃってるから教えられないんだ、ごめんねー」
確認させて頂きました。
連日ありがとうございます。
>> 11
「そう……ですか。俺もそうなんだ。気付いたら、此処にいた」
少し、困らせてしまっただろうか? そうだとしたら申し訳ない。
考えれば、俺がこうして意味も理由もわからずに列車に乗っていたんだ。同じような人がいると考えるのが自然だった。
相も変わらず、思慮が浅い自分に嫌悪感が奔る。だが、今は自己嫌悪に浸っている場合じゃない。
分からないという状況は変わらないが、今俺と同じ状況にいる人──────言ってしまえば、仲間が出来たのは、非常に安心する状況と言える。
「俺は…石沢啓哉と言います。学生をやっていて……。差し支えなければ、貴方のお名前を聞かせてもらえますか?
もし協力できれば、此処が何なのかわかるかもしれません」
>> 12
そう提案した時だった。誰かが近づいてくる足音が聞こえた。
扉の方に視線を移す。するとそこには、人影がいた。また1人、乗客がいるという事を確認できた。
この人や俺と同じように、理由もわからずこの列車に迷い込んだ人なのか、あるいは────────────。
どちらにせよ、俺にとって+になるというのは間違いない。前者ならば仲間が増えるし、後者ならば見識が増える。
そう俺は考えて、その人が扉を開いてこちらの車両に足を踏み入れると同時に、声をかけた。
「貴方も、この列車の乗客ですか?」
該当ページを更新いたしました。
ご確認ください。
連日申し訳ありません
「天魔聖杯戦争のシナリオ」のページの『マスター』の項目の1番下に
こちらのファイルの中身の追加を依頼させて頂きたいです。
よろしくお願いします。
「はえー。これが電車かあ」
カラッポの人だから、何も知らない。常識というものの範疇に電車がどんなものかというものが入っているとしても、カラッポの自分にとっては、新鮮な風景だった。月面都市 とは違う場所だ。
記憶にある限り、自分は電子情報に分解されて死んだはずだった。なのに生きているというのは不思議な話で、しかも、ここはどうも
死後の世界があるのかを知っているわけではないけれど、今のあの世というものは、こんなふうに魂を運んでいくのだろうか、なんて。
情報に還元されていた存在がそんなことを言うなんて、らしくないだろうか。それとも、逆に魂を情報化した新世代の魔術師(かもしれない人間)としては、ある意味全うな言葉だろうか。
そんな風に思いながら、窓の外の景色が次々と入れ替わるのを見ていたら、隣から人の声が聞こえた。
「もしかして、私みたいな人がいるのかな?」
独り言ちて、立ち上がる。様子を見てみて、もし話の通じそうな相手だったら、ここが何なのかを聞いてみようか。
20XX/○○/○○ 変な人
「梅田」でエマノンさんと会う前に、変な人と会った。
……いや、サーヴァントとして喚ばれる人にそういう人は多いし、そもそもこの街自体変人の巣窟みたいなものだけど、それはともかくとして変な人だった。
スラッと背の高い、シルクハットとタキシードのオシャレなお姉さん。
街角を歩きながら、仰々しくお辞儀なんかして道行く人に語りかけたり、ひょうきんな動きをしながらどこか遠いところを見るようにしていたり。
どうも普通に人間らしく、しかも割りと周りの人も慣れている感じで、程々に受け流しながら相手をしていた、感じ。
どこかで喧嘩の声がしたら、そちらの方にふらっと行ったみたいだったけど、どういう人なのか全然わからない。
都市情報網でちょっと調べてみたけど、「梅田」にいる人だということ以外には、名前もよくわかってないんだとか。
たまたまこの件をエマノンさんに話したら、ちょっとだけ顔を強張らせてたけど、知り合いなんだろうか。それもあまりよろしくない感じの。
とりあえず、気にしないでもいい、とは言っていたけれど。どういう繋がりがあるんだろうか。気にならないではないけど、詮索はしないでおこうと思う。
>> 10
「おっと……失礼。少しぼんやりしていました」
声をかけられて、思索の海から意識が戻ってきた。声の主の方を見ると、どうやら高校生くらいの青年のようだ。
今しがた浮かない顔をしながら別の車両から来たことと、質問の内容を踏まえれば、どうも自分と同輩らしい。
「申し訳ありません。私も、この車両のことはよくわかっていないのです」
役に立てないことを申し訳なく思いつつも、続けて問うた。
「……あなたも、気がついたらここにおられたのでしょうか?」
確認させて頂きました。
複数の追加、更新ありがとうございました。
今回は一括で更新させていただきました。
同様に、今後泥を投げる一番最初の時に、新規ページ作成以外の依頼がある場合も、こちらで承ります。
SS一覧表のページも含めて更新しましたので、ご確認ください。
新規ページ作成の依頼なのですが
このファイルの1行目をページタイトルに、2行目以降をページ内容にして作成を依頼させて頂いても大丈夫でしょうか。
それが可能でしたら、もう一つ「天魔聖杯戦争」のページの最後…『SS』の項目の表の下に
|[[Intermezzo《AとA》]]|[[木兎理藍]]、赤い髪の女性、[[マスティマ]]|街に起こる異変、気に障る風、いつも通りの日常の裏に蠢く何かを突き止めるため行動を開始する藍。旅先で得た答えと、その答えの奥に待つ更なる謎。そして自分の為すべき事。多くの事を抱え込み、嬰児は『試練』へ足を踏み入れる。|藍の前日譚+召喚SS|
の追加もお願いしたいですが、こっちは更新依頼に当たりそうなのでそちらで依頼した方が良いとのことでしたらそちらで改めて依頼させて頂きたいです。
重ね重ねよろしくお願いします。
ふと気が付くと、俺は電車に揺られていた。
……いつの間に、俺は電車に乗っていたんだろう。いやそもそも、俺は何処に向かっているんだ?
学校……いや、学校は徒歩圏内にあるから電車に乗る必要はない。駅前…?いや、そこに行くぐらいだったら歩いて電車代を浮かせたい。
……まずいな。思い出せない。昨日結構強めにコンクリートに頭ぶつけたせいか…?いやでも特に意識とかは飛ばなかったし……、血も出なかったし……。そんな後遺症がある筈が……。
いや、過ぎたことを振り返っていても仕方がないか。まずはこの電車が何処に向かってるのかから知るとしよう。
アナウンスか何かがあればいいんだが、車内は大分静まり返っている。周囲を見渡しても人はあまりいないようだった。
どうしたものか……。そうだ、ひとまずは別の車両に行こう。そうすれば、何か乗客がいるかもしれない。
いた。
別の車両に繋がるドアを開くと、穏やかそうな青年がため息をついている様が目に飛び込んだ。
ひとまずは、此処がどこなのか……というより、この電車は何処に向かっているのかを聞くとしよう。
まぁ、分からなければ分かる人が来るまで待てばいいか。
そんな心持ちで、俺は穏やかそうな雰囲気を持つ青年に対して声をかけた。
「あの……すいません。
この電車について……何か知っている事はありますか?」
色物な泥や逸話の方向性が似た変わった泥同士が絡んでる所が見たい
意外と静かだったりしてもいいし舞台は選ばず見てみたいなと…
……遠くで、喧騒を聴いた気がした。思い込みだったかもしれないが、少しだけ、人の気配はあったように思う。ただ、ついぞその正体は、私の前に現れることはなかった。
さて、どう考えても、ここは列車の中だった。ただし、都市間を結ぶ高速鉄道でも、ましてや私の棲まう「天王寺」の鈍行線でもないことは断言できた。
車窓からの景色は、モザイク市のそれとは違いすぎる。それどころか、常識にそぐわない異様な風景すらも時として映る。しかも、そこで実際に人の乗り降りがあるようだとなれば、大規模な幻術にかけられているのでもなければ、これは現実のことであるのに間違い無いだろう。
私が今乗り込んでいるこの列車は、あまりにも奇妙で、聴いたことも見たこともないような代物だと考えざるを得なかった。
そして、そんなものに乗り込んでいる自分というものについての記憶も、とんと私自身の中からは消え失せている。
確か、市議会の仕事で、「天王寺」内外の人々とあれこれと対話をしていたことだけは記憶してあるのだが、その跡がスッパリと抜け落ちている。
その状態で気づいたら乗り込んでいたこの列車が、怪しいものではないとは口が裂けても言えない。
とはいえ、である。
……あまり不自然にならないように、列車の中を探索してみると、どうもこの列車は、旧世界において持て囃された観光用客車に性格が似ているようだった。通り一遍の乗客用個室、共用トイレ、一部には寝台車もあるほか、食堂らしきものもあった。
少なくとも、ここにいることで即座に命の危険が及ぶような感じではなさそうだ。となると、無理に脱出を図るよりは、様子を見てみるのが得策ということになるだろうか。
ほう、と、大変なことになってしまった様子だということにため息をつく。どうやら自分のサーヴァントもいない。いたとしても脱出に助力してくれそうかというとそうでもないように思われるが、ともかく、既知の味方を頼ることはできないのだ。
さて。どうしたものだろうか?
次の駅は、█████……█████……
降りられるお客様は、忘れ物等ございませんようにお気をつけください……
/取り敢えず今回はこれを区切りの目印としておきます。本来の用途ならこういうのはいらないと思いますが、前回の投稿から間が空いたのでリセットということで……
/あと、このように「/」が文頭にある文章は、全てロールプレイをしている泥主の発言であるということです。ご活用ください。
スペースシャトルのチャレンジャーとコロンビア姉弟が動いているところを見てみたい
泥新宿舞台でもカルデア舞台でも良いので…
20XX/○○/○○ お巡りさん
昔の警察は、今とは違って、色んな犯罪の調査をしていたって聞いたことがある。でも、今はそういうことを全部カレンがやってしまうから、警察が自分で操作する必要が薄れて、すっかり街の便利屋さんみたいになってしまったんだとか。
そういう便利屋さんのお巡りさんは、個人的にはあんまり有難い人ではない。誰かに言われるまでもないけど、中学生がこんな家で一人暮らししてるなんておかしな話なんだ。だから、何かあると口うるさく言われそうで、なるべくご厄介にはならないように気をつけてる。
でも、今日はそういうお巡りさんに捕まりかけた。逮捕されるとか、そういうことはないだろうけど、学校帰りの私の様子をたまたま見られちゃったみたいで、変なところ(これでもお下がりとはいえマイホーム!)に帰っていくのを怪しまれてたみたい。
……旧新世界方向の裏道を知っててよかった。こっそりそっちの方から抜け出して、上手く見失わせることには成功したから。
サーヴァントらしいおじいさんとあれこれ言い争いをしていたり、後輩、かな? 女の人とも騒がしくしてて、辺りの家の人からうるさいってどやされてた。あの分なら、私のこともそのまま見逃してくれるだろう。
……念のために、当分は顔を合わせないように注意しておこう。うん。
確認しました
ありがとうございます
天埜衛純さんを登録しました
天魔聖杯戦争のNPCの項目と、マスター一覧ページのNPCの項目にも記載してあります
ご確認ください
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登録をお願いします
サリー・ホーナー、登録完了しました
ご確認ください
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